転生ハンターぐだぐだ狩猟記〜猫と祖龍を添えて〜   作:犬社長

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尻尾切るよ、役目だもん。

 

 

とある日の昼下がり。

 

俺は自宅でのんびりと寛いでいた。

 

天気も良く、気温も良く、実に心地良い。……そして、実に暇である。

 

「…あぁー、暇だな…。YouTube見てぇ……。」

 

そんな事を呟いた俺の隣で、部屋の掃除をしている白の助がため息を吐いた。

 

「…はぁ。ーーー暇ならオイラの掃除を手伝って欲しいニャよ、旦那さん……。」

「大丈夫大丈夫。俺の部屋汚れてないから。」

「…汚れは目に見えない所に溜まる物ニャ旦那さん。毎日しっかりベットの下からタンスの上まで、見えない所こそキレイにしてだニャ……。」

「ーーーーお前は俺の母親か。」

 

思わず突っ込んでしまう俺。

 

 

……その時、俺は玄関を誰かがノックしている事に気付いた。

 

…コンコン

 

「ん?…誰か来た??」

「うニャ???」

 

コンコンとノッカーの音が聞こえて来る。それと同時に、聴き慣れた声も聞こえて来た。

 

 

「ーーーータクト〜??居る〜〜??居るんだったら返事しなさーーい。」

 

 

「………リコだな。」

「…リコだニャ。」

 

顔を見合わせる俺達。ーーーにしても、リコが訪ねて来るなんて珍しい。一体何なのだろう?

 

「…タ ク ト〜??」ドンドンドンドン。

 

尚も叩かれるドア。ーーーーなんかミシミシ言い出したぞ…壊れねぇよな??

 

壊される前にと、俺はドアを開けた。

 

「居るよ。ーーーそんなにドアを叩かないでくれ。アンタなら壊しかねないからさ。」

 

ドアを開けた先にいたリコが口をへの字に曲げた。

 

「…そこまで強く叩く気は無いわよ。」

 

ーーーーそう言ってから、リコは俺に向かって口を開く。

 

「ーーー取り敢えず、こんにちはタクト。…いま暇??」

「めっちゃ暇してる。」

「…そう。なら丁度良かったわ。ーーークエストに付き合ってくれない??」

 

そう言って、リコは俺の目の前に紙を突き出してきた。

 

「…うぉ。ーーーえっと……地底火山でウラガンキン亜種の狩猟か?…珍しいヤツだな。」

 

彼女が突き出した紙(クエスト発注用紙)に、サッと目を通して俺は呟く。

 

リコが説明に入った。

 

「そ。ーーーウラガンキン亜種の素材を使って、ハンマーを作りたいの。……でも、制作には尻尾が要るらしくてね。…タクト、剣得意じゃん?…同行して貰えるかな??」

「ん〜…なるほどねぇ。……でも、コレ別に俺じゃなくても良いんじゃね?集会所になら沢山ハンター居るし…さてはリコ、お前ぼっちーーーー」

 

リコの拳が俺の顔に突き刺さった。

 

「ぐへぇっ?!?!」

「旦那さーーーん?!?!」

 

体力の9割を持っていかれて床に倒れ伏す俺に向かって、リコが真っ赤な顔で叫んだ。

 

「ぼ、ぼっちじゃ無いもん!!!!」

 

…うーん、コレはぼっち。ーーーま、良いや。

 

「…分かったわかった。リコはぼっちなんかじゃ無いよ。ーーーうん…そうだな…あー…行くよ。準備するから、ちょっと待っててくれ。」

 

リコの顔がパッと明るくなった気がする。

 

「え?!ほんと??…やった!ーーーじゃ、集会所で待ってるからね?」

 

ーーーー絶対来てね?と念押ししてから、リコは足早に去って行った。

 

「……ったく、元気な人だ。ーーーーま、準備しますか。白の助?」

「何ニャ?」

 

俺はアイテムBoxを漁りながら、白の助に声を掛ける。

 

「…お前も来てくれ。ーーー相手はウラガンキン…しかも、亜種だ。お前の助けが要る。」

「ーーーー勿論ニャ。同行させて貰うニャ旦那さん。」

 

白の助は既にやる気スイッチを入れた模様だ。…素晴らしいオトモだよ、まったく。

 

 

ーーーーこうして、およそ20分程かけて準備を済ませた俺達は、リコと共にウラガンキン亜種の狩猟の為、地底火山へと向かう…………。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「ーーーーあぁ〜、糞あっちい……。」

 

 

俺の情けない声が洞窟に響く。

 

ココは地底火山の中。…すぐそばにマグマが流れる熱気に満ちた場所だ。

 

「……クーラードリンク飲んでもコレだもんな…。マジで暑すぎだろ。」

 

…地底火山は文字通り地下深くにある火山だから、熱気が篭って仕方がない。

クーラードリンクで多少マシになっても、へばりつく様な熱気はどうしようも無かった。

 

「気をしっかり保つのよ。…相手はウラガンキン亜種なんだから。」

「分かってるよ。」

 

先頭を行くリコに応えつつ、俺は辺りを見渡しながら進む。…その時、後ろで白の助がそっと声を立てた。

 

「……む。振動を検知…10時の方向。来た、ニャ。」

 

「そうか。」

 

俺は一言呟くと、白の助が指し示した方向を見やる。…視界の先に、コチラに向かって転がって来る巨体が写り込んだ。

 

「…出たわね。ウラガンキン亜種…!」

 

リコがそう言って、背中からお馴染みイカリハンマーを抜刀した。

俺も背中から大剣『チェーダアルザバル』を引き抜く。…今回は、尻尾切りが目的ともあって、細身の太刀では無く重量で叩き切るタイプの大剣をチョイスした。

 

…セルレギオス武器はどれも切れ味がイイから、尻尾切りに最適なんだわ。

 

 

ーーーー俺たちの目の前まで転がって来たウラガンキン亜種が、その巨躯を大地に擦り付ける様に停止する。

 

…そしてギロリとコチラを睨みつけて来た。

 

通常種とは違う青っぽい甲殻に覆われた身体に、明るい赤色に染まったハンマーの様な、特徴的なアゴ。

 

「……何気に実物は初めて見るぜ…。」

 

大剣を構えながら、俺はそっと呟く。

 

同時にウラガンキン亜種が吠えた。

 

「ゴガアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」

 

「ッ…!!」

「ぬ…。」

「うニャ…!」

 

激しい咆哮に、三者三様に耳を押さえる。ーーーーそして、目の前でウラガンキン亜種は動き出した。

 

「…ガァッッ!!」

 

勢いよく振るわれる尻尾。避ける俺たち。

 

尻尾の遠心力で、亜種の身体に付着した岩がコチラに飛んでくる。…この岩、悪臭ガスを噴き出す厄介物なんだよね。……近付かない様にしないと。

 

「行くわよ!!」

 

行動を終えたウラガンキン亜種に、リコが肉薄する。一方で、ウラガンキン亜種は迎え撃つ様に顎を振り上げた。

 

…コイツらの代表技、顎スタンプだ。

 

「リコ!!」

「…大丈夫ッ!」

 

ズドンッーーーと大地に叩きつけられた顎を、素早く回避するリコ。振動が地面を伝わり………

 

「…あ、ヤベ。」

 

……俺は、地面にばら撒かれた悪臭ガスの詰まった岩が、スタンプの振動に刺激されて爆発する事を顎スタンプの瞬間まで失念していた。

 

目を落とすと、俺の直ぐそばに件の岩が転がっていてーーーー。

…コレは遺言言っとくか。

「Oh… I'm Die, Thank You Forever。」

「WHAT?!」

 

ドカーーーーン!!!

 

俺は爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ。更に体に悪臭ガスが纏わりついて酷い臭いを感じさせる。

 

「ああぁぁぁぁぁ!!!クッセェェェェッ?!?!…ちょ、ファブリーズ!誰かファブリーズ!!プリーズ!!」

 

悶絶する俺に向かって消臭玉が飛んで来た。

ーーーーボワン!と噴き出す消臭効果のある煙が全身を包み込む。

 

「あぁ〜〜消臭玉助かるぅ……。」

「だ、大丈夫かニャ??」

 

心配そうに白の助が覗き込んでくる。

 

「ああ、大丈夫だ。……リコの援護に行くぞ!」

「うニャニャ!!」

 

俺は白の助と一緒に、ウラガンキン亜種へ駆け出す。

 

「シビレ罠、仕掛けるよ!!」

 

奥の方から、リコの声がした。シビレ罠で動きを止め、その隙に俺が尻尾を切る算段だ。

 

「りょ!…こっちに引きつけとくぜ!!」

彼女が罠を仕掛け終わるまでの間、俺はウラガンキン亜種を引き付けておく。

 

「ーーーほら、顎デカ野郎!!コッチだ!!」

「グオォォォ!!」

「ほっ。」

 

体当たりをいなし、

 

「ガァァァッ!」

「当たらないんだなぁ、それが。」

 

振り回される尻尾を避け、

 

「ゴガァ!!」

「…っと。」

 

顎の振り下ろしをステップで躱す。

 

……攻撃の合間に、さりげなく大剣で斬り付けたりしておけば、それだけで十分注意は引けるのだ。

 

「シビレ罠仕掛けたわよ!!」

 

ーーーー奥からリコの声がする。俺は、踵を返しリコとシビレ罠の方へ一目散に走り出した。

 

後ろからウラガンキン亜種が追いかけて来る。……そして、そのままシビレ罠を踏み抜いた。

 

「ゴガァァァァ?!?!」

 

地面に設置された金属板から、麻痺効果のある電撃がほとばしりウラガンキン亜種を拘束する。

 

「…今よ!!尻尾切って!役目でしょ!!」

……おお。リコからそのセリフが聞けるとは…。すこし感慨(?)に耽りながら、俺はチェーダアルザバルを構える。

「分かってる、よっっ!!」

 

渾身の力を込めて、俺はチェーダアルザバルを尻尾に振り下ろした。

…到底生物の体を斬り付けたとは思えない衝撃が腕に走る。

 

「硬ッッ!!……尻尾の裏狙ってコレかよ!!…こりゃ1発じゃ切れねぇな!!」

「オイラも手伝うから、斬り続けるニャ!」

「おう!!」

 

シビレ罠の効果時間は長くは無い。俺は白の助と協力して、尻尾に大剣を叩き付け続けた。

 

一方、リコはウラガンキン亜種の顔面にハンマーを叩き付け続けていた。……あんなにガキンガキンと振り下ろし続けて、大丈夫なのか??…てか、弾かれないの??

 

「弾かれるなら、それを上回る力で抑え込めば良いのよッ!!」

 

ーーーーあ、解決策が脳筋なだけだった。

 

「グオォォォンッ?!」…ドサッ!!

 

シビレ罠の拘束が解ける。ーーーーと、同時にウラガンキン亜種はリコの度重なる頭部への打撃によって気絶した。…良いコンボだ。

 

「…タクト!狩技!!…アンタの狩技なら切れる!!」

倒れ込んだウラガンキン亜種を指差して、リコが俺に指示する。

 

「…オッケー!1発お見舞いしてやるか!!」

 

俺はチェーダアルザバルを振り回すと、その勢いでそのまま跳び上がって空中で体を捻る。ーーーー体を捻った勢いと、大剣の重量を破壊力へ変換する狩技……『ムーンブレイク』だ。

 

刃先が尻尾に触れた瞬間、ガッ!!ーーーーと鈍い音がして、確かな手応えが伝わって来る。

 

「ギャワァァッッ?!?!」

 

体をジタバタさせながら起き上がったウラガンキン亜種。……その尻尾は、先端がスッパリと切り落とされていた。

 

「ナイス!ほんとナイス!!…後は殴るだけね!」

 

リコが俺に賞賛の言葉を掛けて、ウラガンキン亜種に肉薄して行った。

 

「続くぞ白の助!」

「ーーーもちろんニャ。」

 

俺達も追従して、ウラガンキン亜種と戦うーーーー。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

〜2時間後〜

 

 

 

あれから特に何事も無く、ウラガンキン亜種は討伐された。

 

難易度の比較的高いクエだったので、かなり纏まった報酬金も手に入り、俺としても嬉しい結果だ。

 

 

「…ハイこれ。タクトの取り分。」

 

報酬を貰った帰り道。…リコが袋を俺にスッと差し出して来た。

 

「…ん。良いのか?なんか多い気がするけど。」

袋の重さを手で測りながら、俺は彼女に問いかける。

リコはそっぽを向いたまま答えた。

「…尻尾切ってくれた手間賃も加算して有るだけよ。ーーー働きに見合った報酬を与えるのは当然の事…でしょ?」

 

「…ははっ。」ーーーー微かに笑いが込み上げた。

「ーーーー何で笑ってるのよ?」

「いや。リコって案外真面目だよなって思ってな。」

 

リコの頬が膨れた。

 

「…私はいつだって真面目よ。」

「そういう事にしとくよ。…な、白の助?」

「オイラを巻き込むなニャ。」

 

…あ、コラ!逃げるな白の助ぇ!

 

 

 

 

 





リコはエリアルスタイル。

タクトはブレイブスタイルをメインに使ってます。
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