契約金取んのかよ!?
くそったれ!
(タイトルは適当です)
それは、ある穏やかな日の事だった。
「なんか良いクエストないか見に行こうぜ、白の助?」
「ん、わかったニャ。」
ーーーーーーー何気なく口に出したその言葉が、俺たちを大冒険に巻き込む事になったんだ………。
◇◆◇
集会所まで、白の助とのんびり歩く。
……ポカポカとした実に良い天気だ。ついでになんか楽して稼げるクエストが有れば尚良い。
「いや〜繁殖期に入って来たからか、稼げるクエストが多くなって来て嬉しいよ俺は。」
俺の呟きに頷く白の助。
「うニャニャ。ーーーハンター稼業が1番捗る季節ニャ。」
繁殖期ーーーー即ち、モンスター達の活動が一年で最も盛んになる時期。
そして、モンスターの動きが活発になる影響で、モンスター絡みの困り事などが最も多く発生する時期でもある。
一般人にとっては厄介な時期かもだが、ハンターにしてみれば最も稼げる時期でもあるのだ。…クエストがたくさん出るからね。
だから今集会所に行けば、必ず何かしらのクエストが受けられるのだがーーーーーーー
……ヒラッ。
ふと、目の前に紙が飛んできて俺の顔に引っ付いた。
「うぷ?!」
突然の事に仰け反って、顔にくっ付いた紙を取る。
それはクエストの受注用紙だった。…既に受注済みなのか、ギルドの紋章がデカデカと押してある。
「何かと思ったら、クエスト用紙じゃん。…えーっとなになに??『チャナガブルの狩猟依頼』……か。」
紙に書いてある文字を読んで呟く俺。横から白の助が覗き込んで来た。
「あぁ…あの膨らむヤツかニャ。」
「そうそうそう。カエルで釣るの楽しいヤツ。」
「オイラ、アイツの肝好きニャ。特に甘辛い醤油煮で頂くのが。」
「やめろよ。ジュルリ……よだれが出るだろ。」
そう2人で言っていると、遠くから人の声が聞こえて来た。
「お〜〜い!!大丈夫かぁ〜?!」
見ると、青いバンダナを巻いた赤茶色の髪の男性がこっちに向かって走って来る所だった。
恐らくハンターだろう、身につけているのは『レザーシリーズ』(…だが、上位素材を使用して居る様に見えるので、レザーSシリーズかも知れない)
背中には弓ーーーブロスホーンボウを背負って居る。
…このクエスト用紙を落としたハンターだろうか?
「…なーんか、あの人一時期腐るほど見た気がするなぁ……。」
俺が謎の既視感に首を傾げて居ると、レザー装備の男が目の前にやって来た。
「いや〜、焦ったぜ。…クエスト用紙落としちまってよ〜。ーーー顔に当たったみたいだったが、大丈夫だったか?」
「あぁ、大丈夫だったぜ。……ほら、クエスト用紙。無くさない方が良いぞ??」
そう言って俺がクエスト用紙を手渡すと、彼は頭を下げた。
「おぉ、ありがてぇ!ーーーーあ、俺こういう者っす。」
名刺の様に差し出されたのは、一枚のギルドカード。其処にはこんな文字が書いてあった。
「気持ち良すぎだろ!!!!」
ノータイムで俺は叫んでいた。
この数字とこの名前を見て、そのセリフを叫ばない奴は居るだろうか?いや居ない。(倒置法)
「…?気持ち……??」
ワッカさんは困惑している様だ。
「…あ、いや。何でもない。」
そう言ってから、俺は白の助に囁く。
「やべぇ!ワッカだぞ白の助…!正真正銘本物のワッカさん(ハンターのすがた)だぞ…!?」
「そんなポケモンのリージョンフォームみたいな……。」
白の助の呆れた様な声が響く。
「あ、ダメだ…頭の中に
「ワッカでテ○ノブレイクは笑えないから抑えてもろて。」
しかしもう遅い、脳内で
「気持ち良すぎだろぉぉぉぉおぉぉぉ!!!!」
「……遅かったニャ。」
「…なんか、面白い奴だなアンタ達。」
この世界の人類には、到底理解できないであろうネタで盛り上がっている俺を見て、ワッカさんは笑った。
「俺、なんか気に入ったぞアンタ達の事。ーーーーどうだ?一緒に狩りに行かねぇか??」
「えっ?ーーーーマジで?!行きてぇ!!本当に良いのか?!」
「おう。良いぞ良いぞ〜。……1人で行くのもつまらないと思ってたんだ。アンタ達面白い奴等だから、タイクツしなさそうだしな。」
「コイツと一緒くたに纏められるのは嫌ニャ…。」
ーーーーおい、ご主人に向かってなんて事言うんだ白の助。
…かくして、俺たちはワッカさんと一緒に水没林に向かう事になったのだ。
◇◆◇移動中◇◆◇
飛行船でゆらゆら揺られ、辿り着いたは〈水没林〉。
年がら年中、じっとりジメジメした狩場である。…正直言って、あまり好きな環境では無い。
「ーーーーーーーちょ〜っと、お願いがあるんだな〜。」
水没林の
「何すかワッカさん?」
「ーーーさん付けは照れるからやめれ〜////…って、そうじゃ無くてだな。」
ワッカさんは手を動かした。
「釣りカエル、持ってたりしないか??…準備を忘れちまってよ。」
「あ…。そういえば、俺も持って来てねぇや。」
頭を掻く俺。水没林行きはいきなりの事だったので、すっかり忘れていた。
「ま、いっか。そこら辺探せば、1匹2匹ぐらい出てくるっしょ。」
そう俺が言った時、上半身を支給品ボックスの中に突っ込んで中を物色していた白の助が、こっちを振り向いた。
「あるニャよ旦那さん。支給品の中に釣りカエル。」
白の助の手に握られたでっかいカエルが、『ゲコ』と鳴いた。喜ぶ俺とワッカさん。
「お、マジか。…流石ギルド、手回しが良い。」
「これもギルドの賜物だな。」
うーん…徐々にワッカ構文の侵食が始まって来てるな……。
何はともあれ、俺たちはチャガナブルを探す為にベースキャンプを出発するのだった。
◇◆◇…移動中…◇◆◇
「お前ら見ろ!!ーーーー怒って膨らんだチャガナブルのモノマネッ!!」
……移動中で暇になったのか、突然ワッカさんが頬っぺたを膨らましてモノマネをして来た。
驚くほど似て無い。
「「キモ。」」
「おい…言葉を慎めよ……(泣)」
あーあ、いじけちゃった。
……と言うか、中々チャガナブルの姿が見えない。白の助も気配を感じ取れていないようだし、水没林の奥の方まで行く必要があるかもな。
なーんて思ってたら、白の助がピクリと動いた。
「む……。今気配を感じたニャ…!多分近くに居る!」
「おお。やっとか。」
白の助レーダーは期待を裏切らない。俺は警戒しつつ、口を開く。
「ちゃっちゃと倒して、アイツのくそ美味いあん肝戴いてやる…!」
…俺の意識は、チャガナブルの美味いあん肝に吸われていた。……剥ぎ取り上限とかあるけど…ちょっとぐらい多めに剥ぎ取っても…バレへんか。うん。
「…なぁ。白の助。」
「なんニャ?」
「ちょっとぐらい、あん肝多めにとっても…バレないよな…?(小声)」
「え…でもギルドの規約違反……。(小声)」
「…ちょっとだけだよ白の助。バレないバレない。…転売目的じゃなくて、個人で食べるだけだから、さ??(小声)」
白の助は少し揺らいでいたが、あん肝の誘惑に勝てなかったのか頷いた。
「わ、分かったニャ。…じゃ、ちょっとだけ……。(小声)」
こそこそ話している俺たちを見て、ワッカさんが眉を顰める。
「何をこそこそ話してんだお前ら???」
「ん?!ーーーあ、いや……ナンデモナイデスヨ??」
ワッカさんが訝しげな表情になる。
「ん??なんか怪しいぞ、お前ら。……まさか、お前ら
「密猟者って書いてアルベドって読ますのは、相当無理があると思うんだ。」
俺は極めて冷静に言った。
作者よ…そこまでしてワッカ構文使おうとしなくていいから……。
◇◆◇…更に移動中…◇◆◇
「近いニャ…!もう目の前レベル…!!」
白の助がそう声を発した直後、近くの濁った川から巨大なチョウチンアンコウーーーー否、チャガナブルが飛び出して来た。
「うお?!ーーーーソッチから来たか!!」
基本、チャガは待ち伏せタイプだと思ってたんだが、この個体は意外とアグレッシブなのかもしれない。
ーーーーぬかるんだ大地に現れたチャガナブルが、突進してくる。
避ける俺たち。
大地を滑っていったチャガナブルは、ワッカさんの横で止まると尻尾を振り回した。
「危ないぞワッカさん!?」
…チャガナブルの尻尾には、麻痺毒が含まれている針が付いている。少しでも触れると、たちまち全身が麻痺してしまうのだが………
「アババババッ!?」
ワッカさんはアッサリと麻痺してしまった。
「ちっ…!」
モンスターの前で行動不能に陥るのはとても危険だ。…俺はすかさずワッカさんに走り寄る。
一方で麻痺ったワッカさんはと言うとーーーー
「ーーーーチャガの麻痺毒、気持ち良すぎだろ!!!」
ーーーー何かに目覚めかけていた。
「不味い!ワッカさんがソッチ系の道にッ!!」
慌てて俺は、トューク流のやり方(思いっきり、蹴っ飛ばす)でワッカさんの麻痺状態を解除させる。
「おわーーーーッ?!」
蹴り飛ばされたワッカさんは、濁った川の中に落ちていった。
……うん。泳ぎ上手いから大丈夫だろ。ブリッツボールの選手なんだし。
チャガナブルは白の助が注意を引いている。一旦ワッカさんは置いておいて、俺は大剣〈チェーダアルバザル〉を引き抜くと、チャガナブルの尻尾を切り落とした。
ウラガンキンとかと違って、尻尾そのものは細いし柔らかいから斬りやすい。
『ギョアァァァァァァァァ!!!』
尻尾をちょん切られたチャガナブルが怒る。体が膨らんで、無数の針がハリセンボンのように突き出した。……アレに刺さったら、絶対痛いどころじゃない。
息荒く此方を睨むチャガナブル。その顔にぶら下がっている提灯状の器官が点滅を始めた。あれはーーーーーー
「閃光攻撃ッ!!目を塞げッ!!」
「ニャ!!」
俺たちは目を閉じる。ーーーーしかし、チャガナブルは閃光を放てなかった。
『グギャッッッ?!』
何故なら、飛来した矢が提灯を刺し貫いて破壊したからだ。
「ーーーーおりゃあ!!どうだ、食らったか!!」
威勢のいい声が響く。…矢を撃ったのはワッカさんだった。ピンポイントで提灯を狙い撃つとは、かなりの腕前と言えよう。
「おぉ、流石ワッカさん!!ーーーーこのまま行くぞ、白の助!!」
「ガッテン承知ニャ!!」
逃げられて厄介な水中戦に持ち込まれる前に倒すべく、俺たちは怒涛の攻撃を仕掛けていきーーーーーーーー
◇◆◇◆◇◆
ドサリ……と音を立てて、巨体が大地に倒れ伏した。
「はぁ…はぁ……ふぅ。ーーー討伐…完了か…。」
俺は直ぐそばにあった倒木に腰掛けて、息を吐く。白の助は、泥まみれになった体をブラッシングしていた。
「…いやぁ〜〜、中々手強い個体だったなぁ。」
ワッカさんが隣で一息ついて言う。
「…あぁ。最後の方で、かなり粘られた。」
ーーーーあれから、チャガナブルとの戦いが思ったより長引いたのだ。普通の個体より、体力のある個体だったのかも知れない。
「結局、水中戦もする事になったし……オイラの毛がびしゃびしゃニャ……。」
「ネコは水が苦手だもんなぁ…。」
…ま、死なずに討伐出来たから良しとしよう。命大事。
兎も角、討伐したのなら後はお楽しみの剥ぎ取りタイムである。
「…俺は針貰うぞ〜。良いか??」ーーーとワッカさん。
「あぁ。俺たちはチャガナブルの肝さえ貰えれば、それでいい。」
「あん肝ニャ〜〜。美味しい美味しいあん肝ニャ〜!!」
嬉々として剥ぎ取りにかかる俺たち。…巨大なチャガナブルから採れる肝の量は、かなりの物だ。
本当ならギルドの規約に則って、少し残しとくべきなんだが……
「こんだけあるんだし……多めにとっても、バレへんか。」
「ばれニャい。ばれニャい。」
…結構な量を剥ぎ取って行く俺たちを見て、ワッカさんが口を開いた。
「オイオイ。……あん肝取り過ぎだろお前ら〜?俺にもちょっと剥ぎ取らせてくれよ〜??」
「……一回5000zな。」
「金取んのかよッ!?」
ワッカさんの絶叫が水没林に響く。
『ギルドの裁きを受けて欲しいわね……。』
最後に祖龍がボソッと呟くのだったーーーーーーーー
1ヶ月半ぶりだな…冬月()
これほど間が開いたのは、私の書いている『シリアスな方の話』が最終局面間近なので、ソッチに集中してたからです。
…因みにシリアスな話の方も一段落した訳では無いので、次の投稿は完全に未定です。ワンチャン、この話が最終話かも……。
リアル、ネット共に暇になったら更新します。…何ヶ月後になる事やら()