ソードアート・オンライン 〜英雄の槍〜   作:オトマトペ

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皆さん…アインクラッドで戦っているであろうキリトに祈りを….例え待ち受ける結果が悲劇だとしても


種明かし

オレ達はあれから攻略を進めた。先頭で攻略を行っているのは専ら黒ずくめのコンビであり、オレ達に宝箱等は残されてなかった。たまに残っているものもあるにはあるが・・・

 

「こいつら全部ミミックだな」

「そうね。全く早いわね。アスナ達」

 

ミトは適当に拾った石を投げるとミミックはそれを食いちぎる。

 

「でも攻略は続けていかないとな」

「レベルも上げないと後がキツくなっていく」

「そうだな・・・っとメッセージだ」

「誰から?」

「ゲイルだ」

 

ゲイルからのメッセージはこうだ。

 

『レジェンド・ブレイブスとネズハの動向を探りました。その結果アルゴにも彼等に対する依頼が出されていたようでその依頼主と合同で探ることになりますがよろしいでしょうか?』

 

「これって・・・」

「おそらくオレ達と同じく疑問に思った奴らがいたんだろうな。そいつらとも一旦合流してみるか」

 

 

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で合流したわけだが・・・

 

「お前らだったのか・・・」

「アスナ!久しぶり!!」

「ミト!」

 

ミトは久しぶりにあったアスナを思いっきり抱きしめる。その後ろには所在なさげに立つ黒ずくめが居た。オレは黒ずくめに近づこうとすると黒ずくめは少し動揺する。

 

「こうして話すのは初めてだな」

「そ、そうだな」

 

?なぜどもるんだ。オレは疑問に思いながら黒ずくめを見る。

 

「いやごめん。あの時は・・・」

 

ああ・・・そう言うことか。

 

「クハっ・・・」

「え・・・」

「お前あの時のこと気にしてたのか」

 

こいつはあの時にあんな啖呵を切れる割にそう言うのを気にするのか。意外だな。

 

「確かオレは使えないって言ってたよな」

「ごめん。あの時は・・・」

「こっちこそすまなかった。あの時は役に立てなくて」

「え?」

「オレもベータテスターだ。なのにあんな不甲斐ない真似をしてしまって」

 

オレはあの時のことを謝りたかった。コイツがビーターと呼ばれてしまった原因はオレにある。オレがあの時力があれば・・・

 

「気にしないでくれ。あの場はそうでもしないと収まらなかった」

「そうか?ならいいんだが」

「にゃははは!ター坊もキー坊みたくそう言うのを気にするノカ!コイツは傑作ダ!」

「やめた方がいいっスよ。彼には彼の答えがあるわけですし」

 

アルゴがオレの謝罪に笑っているのをゲイルが注意する。人のことをなんだと思ってるんだか。

 

「今は依頼のことです。とりあえず私はレジェンド・ブレイブスとネズハの動向を探りました。そして依頼されたその日にネズハはアスナさんの持つウィンド・フルーレを騙し取ろうとしました」

「え・・・本当なの!」

「ええ。でもキリト君のおかげでこの子は今もちゃんとあるから大丈夫よ」

 

アスナの剣もターゲットにされていたのか・・・だが、黒ずくめも流石はベータテスターと言ったところか。しかし、こっちは既に槍は売られた後だろうなぁ。

 

「ってことはやはり詐欺だったか。無害そうな顔してダーティなことしやがる」

「え?どう言うことだ?」

「こっちはタキの槍が取られちゃったのよ。その事に気づいたのは今なんだけどね」

「なに?ってことは・・・」

「オレから奪った《ウォー・スピア》は金に変えられた後だろうなぁ。人を詐欺ったんだ。きっちりその手段もまとめて暴いてやるつもりだ」

 

実際オレは《ウォー・スピア》がもう一本あったことで事なきを得たが他の奴も同じ手順で武器を奪われているなら下手したら攻略組から脱落。最悪死人が出たかもしれねえ。そう思うとネズハに怒りが湧いてくる。ここでゲイルが手を鳴らす。

 

「はい一旦話を戻しましょう。タキさんやアスナさんのように強化詐欺にあったプレイヤーは数名確認されています。その売り上げをネズハはある四人組に提供しようとしていました。しかし、どうやらアスナさんのレイピアが奪い返されたことに気づいたのか解散した。という顛末です」

「そうか・・・五人組じゃなかったのか?」

「はい。四人組です。それが一体なんスっか?」

「いや・・・いいよ。当てが外れただけだ」

 

黒ずくめはため息を付きながら答える。5人組ではなく4人組。つまり、俺が疑ったブレイブスは関係がない・・・のか?

 

「それで、タキさんが言っていたブレイブスの動向を探れって言った依頼についてですが・・・結論から述べますが、その四人組はブレイブスのメンバーです」

「んな!?」

 

と思ったらゲイルが答えを示した。ほお、1人を除いた4人がネズハと会っていたのか。そいつは気になるところだ。黒ずくめもズッコケていたことからレジェンド・ブレイブスが怪しいと思っていたらしい。

 

「なんで、勿体ぶるんだよ」

「いやぁ、キリトさんの反応が少し面白くて」

 

ゲイルはカラカラと笑う。こいつの胡散臭さも大概だな。揶揄われた黒ずくめはゴホンと強引に話を戻した。

 

「共犯者も割れた以上後は手口だけだ。とりあえずだけど武器をすり替えた方法は俺とアスナで仮説を立てたが証拠がない。でも、武器を奪った手口の証拠があれば抑えられる。俺とアスナは証拠を抑えるつもりだ」

 

黒ずくめは目星を付けているのか。なら・・・

 

「オレとミトも協力させてもらうぞ。このまま見過ごすのは性に合わないからな」

「いいのか?」

「オレも詐欺の被害者でもあるわけだしな」

「放置しておけば、それこそどうなるか分からないしね」

「・・・ありがとう」

 

とりあえずこれで協力は取り付けられた。

 

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「武器の強化を頼む」

 

ネズハに俺の剣を渡す。今俺と彼・・・タキとネズハの店にやって来た。ただし俺もタキも全身に鎧をつけ兜を被っている。こうしておけば俺達の正体が分かることはない。あとはアスナとミトが手口を見ていれば・・・

 

「わかりました。上昇させるプロパティは?」

「鋭さで頼む」

「わかりました」

 

ネズハは剣を炉に配る。剣はあっという間に光となる。しかし、そこで俺は剣がクイックチェンジによってすり替えられる。確定だな。ネズハはすり替えたエンド品の《アニール・ブレード》を金床に置き槌で打ち始める。その手際は丁寧でこれから詐欺を行う人のものではない。その顔はまるで剣に懺悔しているような感覚だ。そして剣を10回叩くと剣は光出すがその剣は根本から折れ粒子となり消滅した。ネズハは直ぐに土下座を敢行する。

 

「申し訳ありませんでした。この剣「その必要はない」・・・え?」

 

タキがメニューを開き装備を外していく。俺も慌てて装備を外し始める。ちらりとタキの方を見てみると俺には彼の表情がとてつもなく冷たいものに見えていた。

 

「わかってみると案外単純だ。まさか鍛冶屋がクイック・チェンジを持っているとは誰も思わない。つまりは、完全犯罪になるというわけだ。オレが自力でトリックに辿り着きたかったが、オレもまだまだか」

 

クイック・チェンジで背中に戻ってきたアニール・ブレードを抜きネズハに向ける。ネズハも俺の顔を見て既にカラクリにたどり着いていることを悟ったのだろう。

 

「ネズハ。事情は聞かせてもらうぞ」

 

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ネズハは大人しくなり宿屋の部屋に連れて行くことは出来た。あのあとゲイルは依頼があるとこの場から脱していて今はオレとミトにアスナと黒ずくめ、アルゴにネズハだ。テーブルには黒ずくめとアルゴが座りネズハが対面にオレ達は黒ずくめとアルゴの後ろに立つ。

 

「要するに騙し取った武器は全部換金して飲み食いやら宿代やらで豪遊してほとんど残ってないと・・・そう言うんだな?ネズハ」

「はい・・・本当に申し訳ありません」

 

ネズハの謝罪に黒ずくめとミトはビクッと反応する。だが2人の気持ちはわからんでもない。アインクラッド史上初の詐欺師が素直に謝罪していることが不自然に思うのだろう。こればかりは同意する。オレも怒りが湧いてくる。

 

「一つ聞こう・・・お前が騙し取った金は攻略組が命をかけて稼いだものだ。その上武器はまさに攻略を支える相棒だ。その武器をお前のために利用したことはどう思ってるんだ?」

「それは・・・僕はただ美味い飯や快適な宿に泊まりたいと「嘘だナ」・・・え?」

 

ネズハはそこで言い淀む。まるで誰かを・・・本当のことを隠そうとしているように。アルゴがここで調査の結果を報告する。

 

「お前のここ最近の暮らしを調べさせてもらったヨ。食事は安くてあまり味がしない黒パン一つに泊まっている宿は快適とは言えない宿だヨ。この暮らしでは君が言っていた美味い飯や快適な宿とは全く釣り合わないヨ」

 

ネズハはアルゴの言葉に黙り込む。

 

「現在君はただ一人のプレイヤー鍛冶として市場を独占している。それに加えての強化詐欺だ。計算がまったく合わない・・・俺たちは今こう疑っているんだ。

 

 

 

君は荒稼ぎした金を誰かに意いでいるんじゃないか?…ってさ

 

 

 

「は・・・ははそんな・・・一体誰に!!なんの根拠があってそう言うんですか!!これは僕が全部やったことです!!それは変わりません!!」

 

ネズハは大声で否定する。しかしここで・・・ミトが近づいてきた。ネズハはそちらを見る。

 

「な・・・なんですか!」

「あるにはあるわよ・・・Nazha(ナーザ)

「っ!?」

 

オレもミトから聞いて驚いた。まさかネズハの読みが違うものだった事にだ。

 

「確かナーザ・・・正しくは哪吒だけど中国の小説に出てくる少年の神の名前よね。確か宝貝って武器を使って空を飛ぶらしいわね。でもそれはまるでオルランドやベオウルフと並ぶ伝説の勇者(レジェンド・ブレイブ)ね。それで、私の仮説は間違ってるかしら?」

 

ネズハ・・・ナーザは思わず顔を伏せてしまう。その沈黙が答えだった。つまり、ブレイブスはナーザと結託して武器を騙し取り装備を整えてボス戦に参加するようになった。筋書きはこんなものだろう。黒ずくめとミトはさらに問い詰める。

 

「教えてくれ。何故君だけが不当なリスクを背負いながらこんな不正が出来た?それに見合う対価を約束されたのか?彼らは・・・君達はなぜ強化詐欺が出来たんだ!」

「貴方達は攻略組をも超える収入を得たことでかなり強化されたみたいだけど、そこまでして貴方達はトップに立ちたいのか・・・どうなのよ?」

 

流石に熱くなりすぎだろう。こんなに熱く・・・そして焦っている黒ずくめは初めてだ。ミトもミトで珍しく熱くなっている。見ているこっちの怒りが冷えるくらいだ。一回止めなきゃ収拾がつかなくなりそうだ。

 

「落ち着いて2人とも。論点はそこじゃないでしょ」

「いや、大問題よ!」

「このペースでいけばレジェンド・ブレイブスは攻略組をも超えるトッププレイヤーになる!悪事を厭うことはない犯罪者たちがだ。そんなやつらがトップになった攻略組はどうなる!」

 

アスナが諌めようとするがミトと黒ずくめの言いたいことは分かるだが・・・ナーザは歯を食いしばって耐えている。まるで何かに我慢ならないように。アスナはそれにきづいていたのかは知らないが慈愛に満ちた目でナーザを見る。そして机の上に一本の投げナイフを置く。

 

「アルゴさんに調べて貰ったら、NPCショップで売ってる物ではなく、プレイヤーメイドの物。そして、これを作れるのは現段階では貴方だけよ、ナーザ」

「な・・・何故?」

「やっぱり・・・眼帯をつけたあの人は貴方だったのね」

 

アスナは机に置かれた投げナイフを取り、持ち手をナーザへと向ける。ナーザは観念したように、投げナイフへと手を伸ばす。しかし、その手は空気をつかむのみだった。つまりあいつは・・・

 

「やっぱり、貴方目が・・・!」

「・・・見えないわけじゃないんです。ただ、ナーヴギアを介して見ると、遠近感が・・・!」

「まさか、FNCなのか!?」

 

黒ずくめが驚きの声を上げる。ミトもアルゴも思わずといった表情を浮かべる。唯一アスナがなんのことか分からないと言う表情で首を傾げる。

 

「FNC?」

「フルダイブ不適合ノン・コンフォーミング・・・民生用のナーヴギアで偶に発生する脳とフルダイブマシンとの間の接触障害ダ」

「五感のどれかが機能しないとか微小なラグがあるとか症状はたくさん。ひどい時にはダイブそのものが出来ないなんてのもあるわ」

「恐らく、彼の場合は両眼視機能不全、奥行きが判別できないんだろウ・・・SAOには弓や魔法と言った遠距離攻撃は存在しなイ。剣で戦うには致命傷ダ。ログインは諦めるべきだっタ」

 

アルゴとミトの声は怒りというよりもやるせなさの方が強い。黒ずくめもそんな表情を浮かべながら続ける。

 

「いや、でも気持ちは分かる。俺だって、ダイブ可能ならどんな障害があってもSAOこの世界を見たいしな・・・まさか!」

 

そこで、黒ずくめはある推測を思い浮かべる。

 

「レジェンド・ブレイブスは、剣士としての君を見捨てて、弱みに付け込んで汚い仕事を!?」

「違う!」

 

ナーザは椅子から立ち上がり机に思いっきり手を付け黒ずくめの推測を否定する。ナーザが声を荒げたことに黒ずくめは驚き固まる。ここまで来れば俺もわかる。

 

「ナーザ。レジェンド・ブレイブスはお前を置いて行くことができなかったんだろ?」

「え?」「うそ・・・」

 

ミトと黒ずくめは思わず驚愕の声を上げる。ナーザの反応を見ればある程度想定できる。

 

「まず、あいつらが詐欺でコルを稼いで武器をどんどん強化していくなら、ウルバス・バウの時わざわざ前に出て攻撃を止めたりしない。もし、名誉目当てだとしても・・・あそこでオレ達にトドメを譲らない」

「それだけじゃ証拠には・・・」

「ならない。だがもう一つだ・・・人は悪行を初犯でする時は大概恐るもんだ。自分と同じ立場の奴を決して見過ごさずに罪に引き込む。これはどこでも変わらない。そして、その罪を重ねて仕舞えばもう止まれない。永遠に抜け出せない負のループだ。そこから悔やむかそれとも開き直るか・・・どうやらこいつは後者なのかもな。仕方ねえよ。人は弱い生き物だからな。正当化して精神を保つしかなかったのかもな・・・ああ、勘違いするな」

 

オレはナーザの胸ぐらを掴む。突然のことに周囲は一瞬困惑する。だが、周囲の反応を無視して努めて冷静な声でナーザに聞く。

 

「俺は詐欺行為を容認したんじゃない。ただこの件には黒幕・・・もしくは手口を思いついた奴がいるはずだ・・・そいつの名を出せ」

 

オレはナーザを威圧する。ナーザも少し体を震わせながらオレの腕を掴んで外そうとする。だが、戦闘職でもないナーザではオレの腕を振り払うことは出来ない。このままじゃ喋ることも出来ない・・・か。オレは乱暴にナーザを離す。ナーザは思わずと言った形で後退り始めた。

 

「それは・・・」

「なんだ。言えないのか。お前の裏には何がある?それくらいは話せ」

 

ナーザはどんどん追い詰められアインクラッドの外に繋がる窓の手すりに持たれるようになった。だが、オレはそこで止めない。真実を明かさなければ・・・また武器を取られる奴が生まれる。・・・もしミトが俺と同じ目に会いそのまま死んだなら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレはそんな未来断じてみとめない。認めてたまるか!ならいっそのこと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タキ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだ?いきなり?・・・これは・・・手?目線を上げればその手の持ち主・・・ミトがオレの手を握っていた。

 

「ミト?」

「そんなに追い詰めたってナーザは喋らないわ。それに・・・怖いの。まるで貴方が人が変わったようでナーザをどうにかしようと手を汚してしまうんじゃないかって」

 

ミトは涙を流しつつそう言う。それを見てオレは心の中のどす黒い部分が少しずつ収まっていくのがわかった。

 

「そうだったな・・・すまなかった」

「いえ・・・僕がこんなことをしでかしたのが悪かったんです・・・話します。真実を」

 

そこからナーザの口から真実を聞いた。どうやらナーザは遠距離で視界が悪くても攻撃できる《投剣》スキルを習得したが通用するレベルになるのに時間がかかり仲間であるレジェンド・ブレイブスと共に途方に暮れていたところ1人の男が声をかけたそうだ。そいつはポンチョでフードを被り顔がわからないようになっていた。

 

「だからと言って、それだけでそいつの言うことを信じるようになるのか?」

 

黒ずくめの疑問も分かる。ただそれだけ・・・いきなり見知らぬ奴に手口を教えられただけでそのまま実行しようとなるだろうか。

 

「普通なら信じないですよね。でも、その人の声がまるで脳にじんわりと来て心地よいんです。あの人が去った後僕達の中にはいけるだろって気持ちがいっぱいになったんです。でも、僕はあの時に駄目だって、思う気持ちが少しでもあれば・・・お願いです!僕の身なんてどうなっても構いません!だから、僕の命で仲間を・・・どうか!」

 

ナーザは土下座を敢行する。ナーザの言葉通りなら扇動した奴のカリスマはかなりヤバいのだろう。だが、それだとしても行動したのは・・・こいつを含めたブレイブスの奴らだ。なら、その償いをさせるべきだ。

 

「信じるわ・・・それで一つ聞きたいの。貴方はこのまま終わっていいの?」

「終わる・・・?」

「貴方はただ鍛治職で詐欺をするだけのプレイヤー、それを見返すことができなくていいの?」

「嫌だ・・・嫌だ!まだ終わりたくない!」

 

ナーザが人一倍叫ぶ。ミトはそれを見て上出来と判断したのかにっこりしている。

 

 

「ナーザ、貴方の所持してるスキルはなに?」

「《投擲》に《所持容量拡張》と《片手武器作製》です」

 

ミトはメニューを呼び出すと一つの武器を取り出す。その武器は確か、ウルバス・バウのラストアタックボーナスで手に入れた・・・チャクラムだ。

 

「この武器を使うにはあるエクストラスキルが必要になるわ。その入手方法がわからないから無駄足になるかもしれないけどナーザ・・・貴方は鍛冶スキルを捨てる覚悟はある?」

 

その言葉にナーザは力強く呟いた。だが、オレはそれを・・・許すことは出来ない。

 

「ミト、正気か?」

「どう言う意味?」

 

ミト・・・分かっているのか?黒ずくめ達もそうだが、オレみたいに詐欺の被害を被った奴らはこいつを許すことなんて出来ない。出来るはずがない。

 

「見返すとかの問題じゃない。こいつにはまず償いをさせるべきだ。そのためにも・・・」

「タキ、一層で会った時の私を覚えている?」

 

一層で会った時のミト・・・あの時のミトは罪悪感で押し潰されそうになっていた。もう自分が消えてしまいたいと言う目だ。ナーザを見やればその時のミトと同じ顔をしていた。なら、罪悪感に塗れたままではなく・・・

 

「そうか・・・そう言うことか!」

「タキ?」

「オレは許すつもりはない。ミト、お前はいいのか?」

「許せるかはわからない。でも、気持ちわかっちゃったのよ。なら、せめて攻略の面で手伝って欲しい。そう思ったの」

「そうか、ナーザ」

「は、はい!」

 

ナーザはびくりと体を震わせて俺に顔を向ける。

 

「今は償いとかは一旦いい。一回見返して生まれ変わってから償え。それだけだ」

 

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あの後、体術スキルはアスナとキリトが場所を知っているので明日の朝に向かう予定になった。今はそれぞれ分かれて宿に泊まっている。今私とタキは一つのベッドで一緒になってはいる。でも、あの時のタキを見て私は怖くなってしまった。まるでタキがタキじゃなくなったかのような感じで、私から離れて行ってしまうんじゃないかって。タキはあの時離れないって言ってくれた。その言葉には偽りはないはずよ。もし私から離れようというのなら、私はもう生きては行けない。残るのはただの屍である私だけ。ああ・・・もしそうなったら・・・私は・・・

 

「タキ・・・」

 

その声は自分でも冷たく感じた。自分自身でも歪んでいるのかも知れないとも思ってる。けど、この思いは多分消え去ることはないのだろう。

 




更新しました
いやーこの話書いてる最中に評価バーに色ついたの嬉しかったですなぁ。
聖夜の夜に上げようというのに必死すぎてイブの朝までかかりました笑
出来れば執筆スピード上げたい。それでは良いお年を。
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