ソードアート・オンライン 〜英雄の槍〜   作:オトマトペ

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連日投稿!!


伝説の勇者達

《アステリオス・トーラスキング》が倒されたことにレイドは湧いた。第1層ではリーダーであったディアベルが死んだこともあり今回は犠牲者ゼロでなんとか勝ち切った。その気持ちが強いのだろう。ミトは余りの疲労にへたり込む。キリトやアスナも同様だ。オレはなんとか槍を支えにへたり込むことは避けられた。

 

「コングラッチュレーション」

 

その背後からネイティブ発音で祝福が投げかけられた。振り向けばそこにはエギルが笑顔でサムズアップしていた。オレもサムズアップで答える。エギルは頷いた後手を下ろすと視線を遠くへ動かしながら続ける。

 

「あんたと鎌の嬢ちゃんよコンビネーションも大したもんだ。あんたら2人が来なかったら今頃レイドは崩壊していたぜ」

「マジかよ。間に合ってよかったぜ」

 

後に聞いた話だが、あの時リンドとキバオウが共にブレスで麻痺しており死ぬ寸前だったらしい。後数秒遅ければ攻略自体二度と出来なくなった可能性がある。そう考えるとギリギリだった。

 

「それにあのチャクラム使いがいてくれなきゃ死人も出ただろうな」

 

エギルの言葉にオレは頷く。アイツの投剣スキルがなかったら雷のブレスは放たれ続けて死者も出ていたことは間違いないだろう。当のネズハはチャクラムを握りしめたままボスが四散した後のポリゴンを見つめていた。この時は普段も仲が悪いリンドとキバオウも肩を組んで喜んでいた。

 

「なんだよ。意外に仲いいじゃないか」

「まあ、三層に着くまででしょうけどね」

 

キリトはそう言いながら立ち上がる。オレはミトの手を握って立ち上がらせるとハイタッチでお互いを労った。今回はなんとか攻略できたが、今後はベータとの変更点を探すためにその層のクエストは全部クリアしてボスの情報を探すことが重要になるだろう。また、今後はボスモンスターの偵察も必要になる。そのためにもネズハを・・・攻略組に置いといた方がいいのだろう。彼のような飛び道具を使える奴も欲しいところだが、早々見つからない。そんな事を考えながらゲイルとアルゴを探すがボスが倒されてすぐにハイドしたのか姿は見えなかった。

 

「お疲れ様でした!キリトさん、アスナさん、ミトさん、タキさん。最後の4人の一撃、すごかったですよ!」

「いや、すごかったのはナーザ、貴方よ。貴方のチャクラムの腕がなければ多分私達はどこかで全滅していたわ」

 

ネズハはすっきりとした顔で頭を下げながら言う。その姿は数日前の押しつぶされそうな彼はいなかった。それに対してミトも労いの言葉をかける。ネズハは嬉しそうに笑っていた。

 

「タキさん。ありがとうございました。僕はやっとなりたかったものになれた。これでもう、悔いはないです。貴方の言葉がなければ僕はやらなきゃならないことに目を背けてたのかも知れませんから」

 

そうか・・・ネズハ、お前のその責任感の強さ。それは一級品だ。別の方法があればこれからも活躍していったのかも知れない。だけど、それは所詮IFの話だ。レイド本隊の中から三人のプレイヤーがこちらに・・・ネズハに向かって歩み寄る。そのうち2人はリンド隊、もう1人はキバオウ派閥のプレイヤーだ。彼らに共通点があるとすれば・・・その全員が表情を固くしていた。それを見たネズハ自ら進んで彼らの前に立つ。三人の中の1人が声をかける。

 

「あんた、何日か前まで、ウルバスやタランに来てた鍛冶屋だよな?」

「・・・はい」

 

肯定したネズハに男は眉をぴくりと反応させるが感情を爆発させずに続ける。

 

「なんで戦闘職になったんだ?しかも、明らかにレア武器のチャクラム(それ)を引っ提げて。鍛冶屋でそんなに儲けを出すことが出来たのか?」

 

やはりか。言い方からして恐らく詐欺のトリックまでとはいかずとも詐欺自体があったのだろうと疑っている。チャクラム自体前線プレイヤーで使用してる奴はいない。そんな中でのネズハの活躍は明らかに不自然だ。気づけばボスを倒して盛り上がっていたレイドメンバーは全員静まり返っている。リンドやキバオウも静観を決めている。一方、レジェンド・ブレイブスはと言うと・・・オルランド以外は焦りを見せていた。唯一彼のみ目を閉じて落ち着き払っていた。オレはと言うと今回は静観を決めていた。ネズハを問い詰めていた三人と同じくオレも詐欺に会っていたが今飛び出すべきではない。ミトやキリト、アスナの三人は咄嗟に判断することはできなかった。彼等としてはなんとかしたいと思っているのだろうが・・・ネズハは恐らく逃げない。

 

「いえ、僕が、シヴァタさんとそちらのお二人。それにタキさんの武器を強化直前にエンド品にすり替えて騙し取りました!」

 

ネズハはチャクラムを床に置き頭を床に擦り付けた。重い沈黙がその場。満たしていた。その姿を見た男・・・シヴァタと他2人の反応は千差万別だ。後ろ2人は怒りで青筋が立ち顔を真っ赤にしていた。シヴァタはギリギリ耐えようと眉間に寄せていた皺を深くするだけだった。シヴァタは俺を見る。

 

「本当なのか?」

「ああ、オレの槍も一本取られたよ。幸いミトもクエスト報酬で選んでくれたおかげでなんとかなったがな」

「そうか・・・知ってたのか?」

 

そう言ったシヴァタの眼は俺を見据えていた。シヴァタは怒りを暴発させずに静かに問いかける。かなりの自制心だ。

 

「数日前に・・・な。恐らくだが、すでに取られた槍は金に変えられてるだろう」

 

そして、その金はブレイブスの強化に使われた。今回は巡り巡ってブレイブスに助けられたが許すことは出来ないのだろう。シヴァタはネズハに視線を戻すと更に問いかける。

 

「なら、コルで弁償することは出来るか?」

「いえ、弁償も、もう出来ません。お金は全部、高級レストランの飲み食いとか、高級宿屋に全部遣ってしまいました」

 

隣でミトがびくりと体を震わせた。そして、何かを叫ぼうとするがオレは手で制して止める。

 

「タキ!?このままじゃ・・・」

「あいつは、ここで償うと決めたんだ。その覚悟はオレは否定しない」

 

恐らくネズハは詐欺の罪を仲間に背負わさず1人で被っていくつもりだ。仲間に類が及ばないように。だが、仲間であるはずのブレイブスは静観している。当然だ。今ここで黙っていればあいつらはネズハを生贄にして無実で居られる。

 

「お前・・・お前えええええ!!!」

 

声のした方を見れば詐欺の被害に遭ったキバオウ派閥のプレイヤーがネズハの胸ぐらを掴んで揺らしていた。

 

「お前、分かっているのか!!俺が!俺達が大事な武器をぶっ壊されてどれだけ苦しんだか!なのにてめえは武器売った金で美味いもん食った?高い部屋に泊まった?そのくせ、ボス戦に割り込んでヒーロー気取りかよ!」

 

彼の声を聞いてリンド隊のプレイヤーも前に進み出る。

 

「オレだってそうだ!!剣無くなって前線から去ろうと思ったんだぞ!そしたら仲間が協力してくれて武器も強化素材も集めるの手伝ってくれて・・・お前はオレ達だけじゃねえ!攻略プレイヤー全員を裏切ってたんだよぉ!」

 

その言葉が起爆装置だった。事の成り行きを見ていたプレイヤーの怒りが一斉に爆発した。

 

「裏切り者が!」

「自分が何したのか分かってんのか!」

「てめえ、謝っただけで済むと思ってんのか!」

 

プレイヤー達の怒りの声がコロシアムに響き渡る。その声を一心に受け止めるネズハの体は縮こまっていった。一応エギルやその仲間達は何も言えない、と言った表情で立ちすくんでいた。オルランド達も同様だった。もはや、事態の収拾はできない。

 

「タキさん。貴方はどうなんだ?こいつに詐欺られたことは知ってたみたいだけどなんで一緒にボス部屋に?」

 

シヴァタの言葉にレイドのメンバーはオレに視線を集中させる。何かを間違えばただでは済まない。そんな気配がした。

 

「オレはそのことを数日前に知った。本当だったら早くに知らせるべきだったのかもな。だが、ボス戦前に不安要素を与えるわけにも行かない。今回は結果的に助けられた形になったが・・・まあいいだろう。オレとの約束通り償いをしようとする姿勢は見せたわけだからな」

 

 

その場にまた怒号が飛び交う。そう思っていたが1人のプレイヤーが声を上げる。

 

「そうだな。確かに彼の言うと通りだ。今回は彼に助けられた面もある・・・まず、名前を教えてくれ」

 

《ドラゴンナイツ・ブリケード》のリーダー、リンドだ。彼の登場でレイドメンバーは頭が多少冷えたのか黙って成り行きを見守った。ネズハは俺やミトと同様遅れてやってきたのだ。名前やHPについては知る由もなかった。

 

「ネズハ・・・です」

 

ネズハは土下座したままそう答える。リンドは厳しい表情をしながら頷くと低い声で続ける。

 

「そうか。ネズハ、お前のしたことは許せない。それは理解しているな?カーソルはオレンジではなくグリーンのままだからこそ許せない。つまり、カルマクエストで許されることはない。そして、金も使ってしまったと言うなら弁償もできない。なら、他の方法で償え」

 

リンドはそう言いながらネズハを見る。一体何をするつもりだ?金で払えないのなら黒鉄宮に放り込むのもありだ。ネズハもそれを望むだろう。だが・・・オレは想像してしまった。そのことから1人のプレイヤーが金切り声を響かせながら前に進み出る。

 

「知ってる・・・俺知ってる!!そいつが奪ったのは金や武器だけじゃない!」

 

この金切り声・・・どこかで聞いた声だ。確か第一層でキリトをベータテスターと言い吊し上げる原因を作った男だ。

 

「そいつに武器を騙し取られて店売りの武器でフィールドに出た奴が・・・それまで勝てていた雑魚MOBに殺されたんだ!」

 

その言葉が・・・コロシアムにいた全員の理解を遅らせた。もし、これが本当ならネズハは間接的とは言え人を殺した事になる。ネズハ自身も信じたくないとばかりに男を見る。プレイヤー達の理解が追いついた時震えながら言葉を紡ぐ。

 

「おい、マジかよ」「人が死んだって・・・」「ってことはあいつは人を・・・」

 

決定的な言葉は誰も口に出さない。それが本当であって欲しくない。もしそうなってしまえば・・・

 

「そうだ、あいつは人殺しだ!あいつが奪ったのは金や武器だけじゃねえ!命も奪ったんだ!!」

 

コロシアムにまた静寂が戻る。だが、今回は先程とは違う。この場を支配するのは怒り。そのボルテージがどんどん跳ね上がっていくのを肌で感じた。

 

「てめえの土下座で死んだ奴が帰ってくるのか?そんなことはあり得ねえ!どう責任を取るんだよ!!言ってみやがれ!!」

 

また、あの鬱陶しい金切り声が響く。言われたネズハは手をぎゅっと握りしめる。もはや、この場を収める手立てなどあるはずもなかった。

 

「どんな裁きにも従います」

 

ネズハの言葉に込められた意味に気づかないほどプレイヤー達は馬鹿ではなかった。遂に怒りが爆発する。その大きさは既にラインを超えていた。

 

「殺せ」

「死んで償え」

「こんな奴が前線に来る事自体が間違ってる」

 

プレイヤー達のうち数人は剣を抜きネズハを斬ろうと近づく。ネズハは動かない。最早斬られることすら望んでいるようだ。エギルやリンド、キバオウもこの状況に・・・裁きと言う名の殺しの狂気に充てられて動けない。ミトやキリト、アスナも同様だ。ミトはあまりの空気に白い肌をさらに青白くさせている。キリトはあまりの状況に冷や汗を垂らしアスナは余りの狂気に気圧されていた。だが、その中でも動き始めるものがいる。

 

「待たれよ!」

 

堂々とした野太い声が響き渡る。声がした方を見る。そちらに居たのは今まで静観に徹していた聖騎士オルランドだった。その後ろにはレジェンド・ブレイブスのメンバーが全員で続いている。オルランドは剣を抜いていた。その事に気づいたアスナが近づこうとする。それを見たミトとキリトが肩を掴んで止める。

 

 

「アスナ、何をするつもりだ」

「何って、簡単よ。彼らを止めないと。そうじゃなきゃ、ネズハが仲間に殺される。それだけは絶対にダメ」

「今割って入るのは危険よ。下手したら貴方まで共犯者にされてしまうわ」

「ミト・・・分かってる。でも、私は私であるためにこの城を攻略してるの。そんな自分を曲げるのは嫌」

 

 

アスナは尚も行こうとするが2人がかりで抑えられてる現状動くことはできなかった。オレはオルランドを見る。オルランドの表情は自分が今立っている場所から見ることはできなかった。彼はネズハの前に立つ。ネズハはびくりと体を震わせる。当然だ。仲間の手で殺されるなんて酷い話だ。このままいけばネズハはオルランドに殺される。それでネズハに対する裁きが終わる。だが、お前達・・・()()()()()()()。仲間を生贄にして生き残るなどさせるつもりはない。オレはいつでもオルランドが剣を振り下ろそうとした時受け止められるよう走り始める。

 

「タキ!?」

 

死んでしまえば人はそれまでだ。だが、生きていれば・・・償いをすることは出来る。許されるかは分からないがそれだけは出来る。だが、精神が堕ちてしまえばそれまでだ。しかし、オレの思いとは裏腹にオルランドは膝をつきネズハに声をかけた。

 

「ネズオ・・・すまない。お前には辛い思いを1人でさせてしまった。お前1人には絶対に償わせない」

 

その言葉を聞いてオレは脚を止める。どうやら、こいつらはオレの予想よりも仲間想いだったらしい。ポツリと呟くとネズハの横に並んだ。そして、武器とバシネットを床に置く。ブレイブスの面々もそれに続き全員が土下座の態勢になる。どうやら、オレの覚悟は杞憂で終わったようだ

 

「この者は・・・ネズハは俺達の仲間です。彼に強化詐欺を指示したのは俺達です」

 

 

 

 

 

 

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「全く。なんで私達が・・・」

 

ぶつぶつと言いながら歩く少女・・・アスナはそう呟く。それを見ていたミトが共感しながら答える。

 

「しょうがないわよ。私達は集団からのはみ出し者なんだしどうしようもないわ。と言うよりいいの?私たちも一緒で」

「大丈夫よ。わたしとしてもまたミトと一緒に組めるのは嬉しいことだし」

 

アスナとミトはお互い微笑み合う。別離してから約一ヶ月弱。やっと共に歩める。その光景をオレは嬉しそうに眺めていた。それと同時に後ろではキリトも続く。

 

「そうだ。黒ずくめ。お前ネズハからもらったあの商売用のカーペット、どうするつもりだ?」

「ああ。《ベンダーズ・カーペット》のことだな。あれはエギルに渡すつもりだよ。今はエギルも戦闘職だけど、将来的に有望な職人クラスの知り合いがいそうだし。そいつに使ってもらえればネズハも喜ぶ・・・それと、俺のことはキリトで頼むよ。その呼び方だと距離感が遠くてむず痒い」

「いや、だとしても・・・」

「それにもうキリトって呼んでんだから構わないぜ。今更呼び方戻さないでくれ」

 

 

そうか。まあ、これからパーティーを組むんだったら。黒ずくめ呼びだと色々やりづらいか。

 

「OK。改めてよろしくなキリト。オレのこともタキって呼んでくれ」

「ああ、よろしく頼むよ」

 

この時、オレとキリトはやっと同じラインに立てた。そう思った。

 

「なに男同士の友情育んでのよ」

「いや、別にいいだろうが。これからパーティー組んでいくんだからさ。お前だって分かるだろ?これからの展開は・・・」

「そうね。第三層ってなるとあのクエストが始まるからパーティーメンバーも増えるし、渡りに船よ」

 

そう。第三層、ここからがソードアート・オンラインの本当の姿が見えてくる。これからは人型のmobと闘うようになるのだ。これまでの亜人型mobと違ってソードスキルをガッツリ使ってくるmobなのだ。これらのことを踏まえて注意していかなきゃな。そう考えているとアスナが気になったことを呟いた。

 

「これからブレイブス達はどうなるのかしら。詐欺の方はなんとかなるでしょうけどその先は?」

「まあ、リンドとキバオウはなんやかんや言ってもリーダーとしての能力は優れてる。寛大な処置をしてくれるさ」

 

キリトは肩をすくめながら答えた。ブレイブスの面々は今ボス部屋に残っている。彼らの罪についての協議があるからだ。オレの予想も入ってはいるが恐らくブレイブスの面々が処刑されることはない。プレイヤー達も一気に6人のプレイヤーを殺す度胸など持ち合わせていないのだ。また、ブレイブスが名乗り出たことで状況が変わった。あいつらの武器の持ち合わせで弁償することが可能になったのだ。今頃ボス部屋では二大ギルドによるオークションが始まっているだろう。それで罪の精算は終わるかはわからない。結局強化詐欺にあったプレイヤーが居たのかは定かではない。そう言っていた男に聞いたがどうやら酒場の噂話を聞いただけらしい。全く人騒がせなこった。

 

「タキ、一つ聞きたいことがあるの・・・」

「どうした?」

「なんであの時飛び出したの?」

 

ミトが深刻な顔をしながら答える。どうやら先ほどブレイブスが罪を告白する直前の話をしているらしい。なんでか・・・答えは一つしかない。

 

「罪を数えようとしてる奴を命で償わせるのはダメだ。そうして仕舞えばいずれ歯止めが効かなくなって殺しも上等の攻略になる。それだけは避けたかったんだ」

「それは攻略組の話でしょう?私が聞きたいのはなんでタキが吊し上げられるリスクを背負おうとしたのかよ」

 

なるほど、確かにそうだ。あの場で庇おうものならオレもブレイブスの面々の共犯者と見られていた可能性もあるだろう。だが、そのリスクを背負ってでも曲げたくない矜持がオレにはあった。

 

「罪を償おうとしてる奴を命で払わせる。そんな真似をオレはしたくない。そう思ったんだ。お前の時と一緒だよ」

 

オレのスタンスを曲げることはしたくない。それは確かなことだった。それを聞いてミトは一言二言言葉を紡ごうとするが・・・その言葉は口から出ることは無かった。代わりに一言こう呟いた。

 

「分かったわよ。でも、次からは私にも一言相談してね」

 

それに関しては申し訳ないと思っている。オレは手を合わせて謝意の姿勢を見せればミトは納得したように呟いた。

 

「そう言えば・・・タキ。ゲイルにブレイブスの面々の動向も探って欲しいって言ってたけど。あれって料金払ったの?」

「ああ、ついさっきな。あの時はまだオルランドの情報だけ出揃って無かったからな。ついさっきお前らがリンドと話してる時に報告と同時に支払ったよ」

「そんなことしてたのか・・・それで、何か分かったことがあったのか?」

 

キリトがそう問いかける。オレは少し考え答える。

 

「オルランドは強化詐欺について関わってなかったそうだ。あいつ以外の五人が強化詐欺を始めたらしい。オルランドとしてもネズハが稼いだと言っていた金の金額に不自然さを感じて調べさせたらしい。ゲイルが一旦離脱した理由がやっとわかったぜ。恐らくオルランドからの依頼だ。それで離脱してコンタクトを取ってたんだと思う。この結果からの推測だがブレイブスの面々はオルランドのことを慕ってたんだと思う。その心に足を救われた形だろう。実際共闘してみてあいつは心底真っ直ぐな奴だと思った。そんな奴が詐欺なんて言うやましい真似なんて出来るはずがないさ」

 

その答えを聞いた三人は納得の表情で頷いた。これからブレイブスは険しい道を辿るだろう。ブレイブスが強化詐欺をしていた事実は決して消えない。それを避けるために前線から離れるのか。はたまた、また1から成り上がって攻略組に戻ってくるか。それは彼ら次第だろう。

 

「んで、ボスのラストアタックボーナスってどうなったんだ?」

 

ネズハの行動に気を取られていて忘れていたが今回のラストアタックは全員ほぼ同時に決まっていた。だが、こう言う時全員にボーナスが得られる・・・なんてことはなく大体1人のプレイヤーのみしか得ることはできない。

 

「え?私はもらってないわ。てっきりタキなのかと・・・」

「わたしでもないわ」

「当然オレの訳もねえ・・・と言うことは?」

 

オレ達は揃ってキリトを見る。キリトは若干冷や汗を流していた。どうやら、ラストアタックボーナスを取ったのはこいつらしい。

 

「そう言えばナト大佐のラストアタックボーナスも取ってたわよね」

「いや、それはそうなんだけど・・・おっ、あれ出口じゃないか?」

 

そう言ってキリトは小走りで階段を駆け上がる。それを見たミトとアスナは追いかけ始める。

 

「ちょっと待ちなさい!さては取ったのね!」

「何ドロップしたのか教えなさいよ!」

「なんでもいいだろぉおおおおおおお!!!」

 

俺はそれを笑いながら追いかける。来た道を振り返りながらこう呟いた。

 

「ネズハ、今回のMVPはお前だ。それだけは誇っていい。一緒にいてくれる仲間もいる。その仲間達を大切にしろよ」

 

今日もまたアインクラッドでの旅は続いていく。ここからがSAOの本番だ。

 

 

 

 

 

 




二層やっと終わった!!
このまま連日投稿・・・と言うのはちょっと難しいです・・・
映画の続報を見て書く意欲がグイグイ沸いてから来たのが原因ですから。
せっかくだったらもっと頑張って書いてきたいと思っているので是非よろしくお願いします
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