スプラトゥーンレイダースが面白いのが悪いです。映像綺麗だしやり応えが抜群!!
誕生日が1日だったので日頃から頑張ってる自分にご褒美じゃ!
天幕の奥にあるバスタブは綺麗だったなぁ。そう思いながら私は装備スロットを開き服を着ていく。リアルと違ってボタンをタップするだけで服が着られるこのシステムは実に楽ね。ただお互い風呂上がりだからか、湯気のエフェクトがついていた。天幕の入口の垂れ幕を捲るとタキとキリトが何かを食べながら待っていた。でかい果物なのは分かるけど少し乾燥しているっぽい?
「ねえ、何食べてるの?」
私は気になってタキに聞いてみる。タキは食べていたものを見ると笑みを浮かべながら答える。
「これは、オレノの実と言うものらしい。
「うまいっちゃうまいけど出来れば出来れば辛いものが良かったよ・・・」
「あら、美味しそうじゃない。私の分はない?」
「残念ながらオレとキリトの分しかくれなかったよ。頼んでは見たがこれ以上は余裕がないってな・・ってか風呂交代か。こいつ食わねえと「待って」?」
そんな美味しそうな果物私も食べたい。私は手をタキの前に差し出す。
「急いで食べるくらいなら私にちょうだい」
「これ、食いかけだがいいのか?」
「気にしないわよ。と言うかそんな美味しそうな果物全部食べるとかずるい」
タキが一部食べてはいるけど見た感じ、かなり大きな実だったのだろう。そう思いながら果物を引っ手繰ると一口齧る。口の中に甘い味が広がる。かなりの甘さが脳まで染み渡る。
「ちょ!?ミト!?それは!!」
見ていたアスナは顔を真っ赤に染め上げる。キリトの方も同様だ。一体どうして・・・ってああ。もしかして、食べかけの奴を食べてるから間接キスになると思ったからかな。これに触れると昼間みたいにカウンターを喰らいそうだから触れないでおきましょう。
「アスナももらったら。この果物甘くて美味しいわよ」
「いやよ。流石に食べかけはいりません」
アスナはプイッとそっぽを向く。だが、羨ましそうに果物を見つめていた。
「まあ、いっか。そろそろ交代だな。キリトも入っとくか?」
「え?いや俺は・・・」
キリトはめんどくさいって顔をしながら拒否する。仮想世界じゃ汚れエフェクトはすぐに取れるけど、気持ち的に入った方がさっぱりするわ。それを見ていたアスナは微笑む。しかし、その目は笑っていなかった。
「キリト君、入って。今日ボス戦あったんだから汗いっぱいかいたでしょ?」
「いや、ここ仮想世界だから臭いなんてことはないはずだぞ」
「それでも気持ち的に不潔。入らないなら天幕の外で・・・」
「はい!!分かりました!行くぞ、タキ!」
キリトはアスナの笑みに震えて天幕に駆け込んで行った。タキもやれやれと言った拍子で続いていく・・・現実だと私以外とお風呂に入ることはなかったから少し嫉妬を感じてしまう自分がいた。タキは私と会った当初は人前で傷を晒すことは怖かったみたいで髪を伸ばしていた。だけど、私との出会いでタキの中の何かが変わった。髪を伸ばさずに傷は曝け出すようになっていった。彼はわざと人に恐怖を与えたいわけではないことくらい分かっている。だからこそ、少し嬉しいと共に嫉妬も胸の中にあった。私は心中を誤魔化すように手にしていた果実をまた一口齧る。その手は無くなるまで止められなかった。
☆¥%
ふと、目が覚める。視界には寝泊まりしているキズメルの天幕の天井が映っていた。
「もう起きる時間か・・・」
メニューを出そうと右腕をフリックしようとするが右腕が動かない。何か柔らかいものに包まれているような感触だ。右側を見ればミトがオレの右腕を抱きしめて眠っていた。
「まじか・・・」
バッと周りを見渡すがどうやら天幕にいたのはオレ達だけらしい。キリトとアスナはもちろん、NPCであるキズメルすら天幕にいなかった。なんとか、腕を抜こうとするがミトはガッチリ掴んでいるお陰で腕が動かない。そうしているとミトは遂に目を覚ます。
「んむ・・・」
ミトはうっすらと目を覚ます。本人曰くペイントアイテムで瞳の色を変えた紅色の瞳がオレを見る。その目は寝起きでトロンとしていた。
「おはよう・・・」
「おはよう・・・・あ、そうだ。昨日の夜は出来てなかったから・・・にゃあ」
寝起きでこんなの見せられたら可愛すぎるだろ。そう思いながらオレはミトを抱きしめる。
「昨日といいこんなのを不意打ちされていたら困るぜ」
「言ったじゃん。また夜にって・・・」
「一層の時は恥ずかしがっていたのにな」
「いや、それはそうだけど・・・なんか、こうしていると夢みたいでさ・・・」
ミトはそう言って抱きしめ返し顔を肩で埋める。その姿が愛おしい。そう思えて仕方がない。オレはミトの頭を撫でる。
「夢じゃねえよ。ミトはちゃんと友達ともまた話せる。それだけでも幸せだ」
「タキも一緒にいるからってことも忘れちゃダメよ。それで・・・他の三人がいないならこれから「そこまでだ」え?」
オレの言葉にミトが呆けた顔を見せる。オレはそれを見ながら天幕の入り口を見る。その端には黒いコートの裾が写っている。
「おい、取り敢えずそこから覗いてる黒いの。出歯亀してるのバレてるぞ」
そう言うと観念したのか黒いの・・・キリトが姿を現す。
「ちょ!?な、き、キリト!?どう言うこと!?」
「いや、覗き見るつもりはなかったんだ」
いつからかは知らないがオレとミトとの会話を目撃してしまったらしい。それについてはオレ達もとやかく言えない。天幕の中であんなことしていればそりゃ見られもする。
「アスナには見られてないわよね!?」
「だ、大丈夫。アスナはキズメルと一緒にポーションとかを揃えてるからこの現場は見てないぞ」
それを聞いたミトはあからさまにホッとするとキリトにスススと近づいて圧をかける。
「いいわね?貴方は何も見ていない。オーケー?」
「お、オーケー・・・理不尽だぁ」
「何か言った?」
「いえ、何も!」
キリトはタジタジになって答える。ミトはまだ足りないだろうが流石に可哀想だな。オレはミトの肩に手をかける。
「そこまでだ。そろそろ準備始めないと予定時刻に出発出来ないぞ」
これから行うエルフクエストの内容は至ってシンプルだ。司令官が出した斥候部隊が大蜘蛛の巣に向かったが行方が不明になった。よって彼らの捜索及び発見、死んでいた場合は形見であろう代物を持ち帰って欲しいと言う内容だ。オレ達はそのクエストを受けポーション等を補給したのち出発した。司令官によれば大蜘蛛は強い毒を持っているので解毒の手段を持っておけとの助言をもらったので解毒ポーションを多めに準備した。オレ達プレイヤーはポーションで解毒を行う必要があるからだ。だが、NPCのキズメルはと言うと・・・
「十分に一回解毒が自動で行われる指輪だぁ?」
「そうだ。ただ十分のインターバルは必要だから解毒薬も持っているがな」
オレは目を丸くする。十分に一回解毒ができる指輪があればポーション代もある程度浮くだろう。それを聞いていたミトとキリトは欲しいと言う顔をしていた。それを見ていたアスナは冷ややかな目をしながら告げる。
「まさか、男子が女子に指輪をねだるなんて真似しないわよね?」
「ま、まるでその逆は許されるみたいな発言だな。なぁタキ?」
「オレに話を振るな!オレは解毒の効果が少し羨ましいと・・・」
「へえ、まさか私を差し置いてキズメルの指輪は欲しいと言うわけね?」
ミトは笑みを浮かべながら詰め寄る。だが、目は笑っていない。女子二人組の圧力に野郎二人は焦りを見せる。だが、その空気を変えたのはキズメルだった。
「すまないがこれはリュースラの血が無ければ解毒の効果は失われる。それに女王直々に貰ったものだからおいそれと渡すことはできないのだ」
それはそうだろう。もしこれがプレイヤーが使えるのであれば今も森で
キシャアアアアアアア!!
大蜘蛛は甲高い声をあげる。その大きさは家屋の一棟ほどはあるだろう。キリトは一息で注意点を口にする。
「戦闘準備!アスナ、直接攻撃は牙の噛みつきだけだが、ケツから発射する糸には気をつけろ!」
「・・・言い方!!」
「ケツに綺麗も汚いもないだろ!?」
「ああもう!了解!」
キリトの言葉にアスナは一瞬だけ怪訝な顔をするがすぐに気を持ち直す。大蜘蛛は叫び声を上げるとオレに向かって飛びかかる。オレはそれをバックステップで回避する。その隙にアスナとキズメルが同時攻撃してHPを四割削る。大蜘蛛は怯むと攻撃して来たアスナとキズメルに向かって糸を出す。だが、二人とも蜘蛛の対処方法は知っている。余裕を持って回避する。
「今だ!」
オレは両手槍スキル範囲技《ワール・プール》で大蜘蛛の八本の内三本を攻撃する。大蜘蛛はそれに怯むが既に機動力は落ちている。
「スイッチ!」
「了解!」
ミトは両手鎌スキル範囲技《インファナル・シャッター》を繰り出す。その先はオレが攻撃した三本の脚だ。ミトの攻撃で三本の脚は切り落とされ大蜘蛛は転倒する。その顔面にキリトが飛び込み片手剣スキル三連撃技《シャープ・ネイル》を叩き込みHPを0にする。大蜘蛛は叫び声を上げながら爆散した。
「お疲れ」
「ええ」
オレとミトはハイタッチでお互いを労う。その後キリトに向かって行きそのままハイタッチする。キリトの方はおっかなびっくりしながらのハイタッチだった。久しぶりだったのか、それとも何か理由があったのかは分からない。そう思っているとキズメルが不思議そうな顔をしながら話しかけて来た。
「キリト、タキ、何なのだ?今のそれは?」
「これか?これはハイタッチって呼ばれる奴だ」
「俺達人族の挨拶の一つだよ。意味は色々あるけど今はお疲れ様ってことだぜ」
キリトが手を上げるとキズメルも釣られるように手を上げる。キズメルのその手にキリトは手を重ねる。それを見たオレも手を重ねハイタッチをする。
「ほお、これがはいたっちか・・・リュースラの民の文化にはないが悪くない」
キズメルは感慨深そうに掌を見つめる。それを見ながら本当にNPCかと思いながらオレ達は森を進んでいく。そのうちに洞窟が見えてくる。
「この洞窟だな。この奥が毒蜘蛛の巣だ。斥候部隊もこの中にいるかも知れない。救出に向かうぞ」
確かこのクエストでは斥候部隊の捜索だが、ベータ時代では次のクエストは毒蜘蛛の討伐だ。恐らくここの洞窟にまた来させるハメになるのだろう。
「わたしこう言う天然系のダンジョンはやっぱり苦手ね」
「私も慣れるのに時間かかったからそれが普通よ。たまにいる虫がちょっとね」
そう言葉を溢したのはアスナだった。その言葉にミトは同意の言葉をかける。SAOのダンジョンの一種である天然の洞窟。これは灯りがほぼ無く申し訳程度に光るコケがある程度だ。その上地面には背景動物である小さい虫も多い。最初にここに来た時共にミトはおっさんのアバターで悲鳴を上げパーティーメンバー共々笑い転げたものだ。洞窟の暗さを照らすためプレイヤーは松明を持たなければならない。だが、ここで問題が一つ。
「すまねえな、二人とも」
「私たち両手武器で片手が空かないから」
オレとミトは二人とも両手武器を持ってる関係上松明を持つことができない。キズメルも片手にそれぞれサーベルと盾を持っている関係上持てない。よって、キリトとアスナが松明を持っている。
「いや、大丈夫よ。使ってる武器的にどうしようもないしね」
「アスナの方も困るわよ。レイピアはスピードと手数が命なのに・・・」
「その時は一旦地面に落とすわ。水溜りに落とさなきゃ火は消えないからやりようはあるわ」
最後列にいるアスナとミトの会話を聞きながらオレは最前列を歩いている。こう言う洞窟は横になって歩くよりも縦に一列、もしくは二列で進むのが鉄板だ。そうでなきゃ狭過ぎて武器が振るいづらいのだ。
「タキはベータの時このクエストはミトと二人で受けたのか?」
「いや、そうじゃない。このクエストを受けた時は臨時でパーティを組んでいたぞ」
「臨時パーティー?一体どんな武器構成だったんだ?」
「オレとミトを含めて四人だ。他の人の武器はククリナイフを使う女性とそれと
カノンとエリック。この二人はエルフクエストの時だけ組んでいたパーティーだが、その腕前はかなりのものだった。特にカノンの動きはかなり早く動いていてモンスターを翻弄するのが上手かった。
「いや、あんまりないな。ボス攻略とこのエルフクエストの時はソロで進んでいたから・・・」
キリトはそう言いながら松明で先を照らす。ソロの片手剣の剣士か・・・いやでも、ベータテストの最後の場面を思い出す。オレとミトを追い抜かした剣士はこの世界に今いるのだろうか。いるのであればリンドとキバオウの集団にいるのかはたまたソロで・・・
「むっ、近づいて来てるな」
キズメルがそう呟くと後ろを振り向く。その目は険しいものだった。
「何か来ているのか?」
「ああ、人族の戦士達だろう。数は五,六人ほどだな」
五,六人?この洞窟と言えば・・・そうか!!今来てるのは!!
「キリトどうする?来るとすれば見当が付く」
「俺もだ。多分キバオウかリンドのどっちかだな。キズメル。俺達は今から来る人族の戦士達と顔を合わせたくないんだ。なんとか隠れる場所を探さないか?」
「奇遇だな。私もだ。安心しろ少し狭いが全員そこの窪みに入れ」
窪みの大きさはオレとミトの武器をしまい詰めればなんとか五人入れる大きさだった。オレとミトはお互いの目を合わせて頷きメニュー開いてすぐに装備スロットから武器を外す。キリトとアスナが先に奥に行きオレとミトが続き最後にキズメルが窪みに入るとキズメルはマントを外し窪みを隠す。
「おい、そんなマントで・・・
「な!?」
「嘘!?」
オレの漏らした言葉にキリトとミトが絶句する。この
「来るぞ。声を出すなよ。隠密がバレてしまうからな」
その言葉でこの場にいた全員が口を塞ぐ。そして、目の前でプレイヤーが横切る。
「なんでや!なんで宝箱が全部開けられてるんや!」
お前かよ!!と思ってしまうのも無理はないと思いたい。キズメル以外の四人は恐らく気持ちを同じくしているのか微妙な顔をしている。やって来たのはキバオウのパーティーだ。確かここの洞窟はギルドを発足するクエストもやっている。そのキーアイテムを取りに来たはいいが、既に洞窟内の宝箱は全部開けられていることにイラついているのだろう。まず先に片手斧を持ったプレイヤーが斧を指先でぐるぐる回しながら先頭を行きその後ろにキバオウと数人のプレイヤーが続いて行った。
「人族の言葉とは難しいものだな」
「いや、あいつが特殊なだけだからな」
思わずオレがツッコミを入れる。この世界に来てから関西弁を喋る奴はキバオウ以外に見てないので特殊なのは間違いない。キズメルは不思議そうにしながらキリトに問いかける。
「それにしても、ここまでして彼奴等と顔を合わせたくないとは因縁があるのか?」
「因縁ってほどじゃないよ。ただ方針の違いと言うか・・・剣を向け合うほどではないけど相容れないことも多いんだよ」
「なるほど、私が所属するエンジュ騎士団と王都を警護するビャクダン騎士団のようなものか」
「ほお、そっちでも仲の良し悪しがあるのか」
「樹の名前がそのまま騎士団の名前になっているのね!私入るならキズメルと同じエンジュ騎士団に入りたいな!」
「すまないが人族が女王陛下から騎士の栄誉を賜ったことは未だにない」
「そんな・・・」
キズメル言葉にアスナは落ち込む。だが、とキズメルの言葉続く。
「そなたらの功績なら女王陛下に謁見する栄誉が与えられるだろう。その時は私が出来るだけの口添えはしてやろう」
「ほんと!わたし頑張るわ!」
アスナは表情を明るくさせる。その姿はミトと同学年だと言うことがよく分かる。ミトも嬉しそうにアスナを見つめている。だが、いつまでもそうし続けてはいられない。
「なんや!あのでっかい蜘蛛は!こんなん聞いてないわ!」
キバオウ達のパーティーがこちらに走って向かってくる。その後ろにはかなり大きな蜘蛛がいる。この洞窟のボスである毒蜘蛛だ。確か名前は・・・《ネフィラ・レジーナ》だったはずだ。
「どう・・・」
「キリト君どうする?」
「ここはそなたに任せよう!」
「・・・する」
キリトがどうするか意見を聞こうとするが先んじてアスナとキズメルがキリトに意見を求める。それを聞いたキリトは焦りを見せるが何かを思いついたのか閃いた顔になる。
「一旦別れ道に退避!こっちまで来ているあの毒蜘蛛を倒す!」
「「「「了解!!」」」」
オレ達は来た道を引き返し別れ道にやってくる。別れ道は三つに分かれていて真ん中が出口に繋がり他は行き止まりである。オレ達はその中の一つに隠れる。
「十字路だ!出口どっちだっけ?」
「さっき通ったやろが!真っ直ぐや真っ直ぐ!」
キバオウ達のパーティーが片手斧使いを除いて必死の形相で通り抜ける。そして毒蜘蛛が通り抜ける。その瞬間、全員が一斉に攻撃する。全員が刺突、もしくは振り下ろしの攻撃で毒蜘蛛の二段あるHPバーの一本は四割まで減少した。
「よし!計画通りだ!ボスの攻撃手段は今までのやつと同じやつともう一つ、脚の突き下ろし二連撃だ!二連撃は足が震えた方から!必ず外に避けろ!牙には毒が付いてるから気をつけろ!」
そこからオレ達は毒蜘蛛との戦闘が始まる。現時点では攻撃力が一番高いキズメルにヘイトが向き脚の振り下ろしがやってくる。キズメルは手にしたシールドで受け流す。キリトとアスナはそれをみて蜘蛛の腹に単発系のソードスキルを叩き込む。毒蜘蛛のHPは二割まで削れる。
「いける!」
オレは洞窟の壁を蹴って飛び上がる。蜘蛛の弱点は真下と真上だ。今は毒蜘蛛は下のキリトとアスナに気を取られている。そこから重力と勢いとソードスキルの威力を合わせれば・・・
「うっらぁ!」
両手槍スキル下段突き《ロウ》。それで毒蜘蛛の頭蓋を貫通する。毒蜘蛛はふらつきHPの一段目は削れる。
「まだまだ、行くぞ!」
毒蜘蛛との戦いは、人数が多かったこともあり、オレ達のHPはイエロー状態になることなく討伐を終えた。毒蜘蛛はベータテスト時からの変更点は特に見受けられなかった。それだけに今も隣に立っているキズメルはイレギュラーな存在なのだろう。そう思っているとキズメルが端にあった蜘蛛の巣から一つの徽章を拾い上げる。
「これは・・・斥候部隊のものだ。彼等の徽章がここにあると言うことは恐らく・・・」
死んだ、と言う設定なのだろう。だが、そうではなく本当に斥候隊が毒蜘蛛の巣に入り込んで命を落とした。それが現実で起きた。そう思えて仕方ないほどキズメルの顔は哀悼の意を示していた。
「任務は達成した。野営地に戻るぞ」
キズメルの表情は硬い。しかし、その肩は少し落ち込んでいるように見えた。オレの中にはキズメルに対して気になることが幾つかあったが・・・この疑問を解消できるのはこの世界のGMである茅場明彦くらいだろう。なら考えてもどうしようもないな。そう感慨に浸りながらオレ達は洞窟を後にした。