こと沢山あるのに。
2023.7月15日
あとがきに設定を追加
2022年11月6日
午前6時
広尾駅
「ふぁあああ・・・・眠い」
雅樹と出会ってから数年の時が経った。あの公園での日々は私にとってはまさに幸福な思い出だった。あれからお互いが空いているならあの公園で、用事があってもオンラインゲームをするようになるくらいだった。そして、この前ベータテスターとしてプレイしていたゲームの正式版が遂に発売されたのだ。そのゲームの名前は《ソード・アート・オンライン》。
「ワリィ。待たせたか」
ここで雅樹は広尾駅に合流した。ここから私達は池袋に行ってゲームを買うのだ。初回ソフトはたった五万本しか売られない。だからこそ早朝から集まる必要があったのだ。優先券があるとは言えどもここで売り切れとなってしまえば私達はしばらく立ち直れないからね。
「ううん。待ってないから大丈夫よ。それより、早く行きましょう」
私と雅樹は自然に手を繋いで歩く。雅樹の手は私に確かな温もりを伝えて来る。私はやっぱり雅樹の手が好きだ。
「深澄も好きだな・・・手を繋ぐの」
「だって温かいんだもん。雅樹の手を握ってると落ち着くから」
冬用の格好をしてるとは言えどももう11月・・・すぐに冷えてくると予想して少し厚着にして来たのだ。そうこうしているうちにまだ人が少ない東京メトロに乗り込む。なんとか二人で座れる場所があり、そこに腰をかける。
「本当に今日すぐには無理なの?」
「俺もそうしたかったがな。流石に断れねえ」
「そう。確かお母さんの仕事関係?」
「まあな・・・」
『次は池袋。池袋』
「それじゃあお願いがあるの。絶対明日にはログインして一緒にプレイしよ」
「ああ。多分夜には入れるからその時にな」
☆¥%
2022年
南麻布
12:59
「やっとSAOの開始か」
私は自室で呟いた。あの日から雅樹とゲーム仲間となりあの日の公園でゲームを楽しんでいた。だが、雅樹とは住んでる場所が少し遠いこともあり遊べる回数もそんなに多くなかった。 でも、私は雅樹がいるから愛という物をしれた。ナナハチでしか知り得なかった愛をまさか年下の男の子から知るとは思わなかった。でも、私にとっては関係ない。雅樹は私にとって大切な人だから。二人ともソードアート・オンラインのβテストに当選した時は喜んだものだ。βテストが終了してからというもの今日まで頭にはSAOのことばかり浮かんだ。
「やっぱり雅樹とプレイしたいな」
雅樹は夜にログインしてくると言ってたけど・・・やっぱり開始から一緒にプレイしたかった。でも、これはちょうどいい機会かも。レベルをたくさん上げて雅樹を驚かせたい。
「それじゃ、そろそろ・・・」
ナーヴギアの電源を入れSAOのカセットをセットし頭に付けてベッドに仰向きになる。
「リンク・スタート」
2022年11月6日
広尾
15:14
「まさか、こんなに早く終わるとはな・・・」
俺はこの日母さんの事務所に連れて行かれた。ファッションデザイナーである母さんは俺や弟によく自分がデザインした服の試着をさせて調整するからだ。母さんのデザイン案の締切が近かったこともあり、SAOの発売日である今日俺と弟は駆り出された。母さんは気を遣ったのか、早めに帰らされて今は自宅でSAOにログインする準備をしていた。その時弟が部屋に入ってくる。
「兄貴!俺は今日トレーニングあるから夜遅くなるぞ!」
「おう。今日もか。がんばれよ」
「へへ、ああ!それじゃあ行ってきます!」
弟の雅人はボクシングジムに通っていて今は毎日毎日トレーニングをしている。俺自身から見てもあいつのボクシングの腕はいい。ただあいつ曰く、
『兄貴と試合しても俺は勝てるイメージがねえけどな』
らしいが、俺はそうと思わない。俺はナーブギアを付ける直前にピアススタンドに飾ってあるピアスに触れる。
「お前ら・・・今はもしかしたらもうあの世にいて怒ってるかもしれないが一つ言わせてくれ。俺は守りたい奴が出来た。そいつのことを一生守る。だから、待っててくれ」
このピアスをくれたあいつらを思い出しながら俺はナーブギアを付けベッドに仰向けになる。深澄とは夜に合流って言ってたけど、待ちきれないしログインするか。
「リンク・スタート」
俺がSAOにログインすると同時にスマホに通知が入る。そこには『新作ゲーム"ソードアート・オンライン"で異常発生!!すでに死者も・・・・』と表示されていた。だが、もしSAOがデスゲームだと知っていたとしても俺は多分止まらないだろう。
アインクラッド
第1層
始まりの街
目を開けるとそこには数ヶ月ぶりの光景が映る。広がる広場、NPCの楽団が奏でるBGM・・・その全てが懐かしい。
「久しぶりだな。この空気は」
俺のアバターは色白で黒髪、そして中性的な顔立ちにしている。これは深澄がアバターを作る前に話して決めていたことだ。
『私はおっさんのアバターにするね』
『は?出来るのか?』
『調べたけど出来るっぽい』
『知らなかったな』
『雅樹もする?性変換。ちょっと見たいかも』
『勘弁してくれ・・・中性的で我慢しろ』
あの時は本当に焦ったのを覚えている。しかし、深澄はよくベータの間ずっと男のアバターでプレイ出来たもんだと、俺は思う。慣れない体は大変だろう。
「まぁベータは置いといて、武器探してレベル上げでもするか」
俺は始まりの街を歩き出した。
☆¥%
時は経ちタキは今夕暮れを眺めていた。この景色は現実でも中々お目にかかれないほどの絶景だろう。
「さて、一旦落ちて飯食うか」
タキはログアウトしようとメニューを開くがそこにはログアウトボタンがなかった。
「どういうことだ」
その直後にでかい鐘の音が聞こえた。タキはあまりの大きさに耳を塞ぐと同時に俺は転移した。目を開けるとそこは広場だった。突然のことにあたりの人々は困惑している。
「お、おいあれ!」
一人が空を指差すとそこにはwarnningと表示されていた。それは、無数に増殖しあっという間に空を埋め尽くして真っ赤に染めた。そこの隙間からは液体が漏れ人の形をとった。
「なんだあれは?」
その人型は普通のアバターより巨大でローブを羽織りフードをかぶっている。そのフードよ中には顔はなく闇が広がっていた。
「プレイヤーの諸君、私のせかいへようこそ。私の名前は茅場彰彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ」
「はぁ?」
フード…茅場彰彦の話を聞いてタキは驚愕する。それも仕方ないだろう。何せいきなりゲームの制作者が現れたのだから。タキの驚愕をよそに茅場の話は進んでいく。
「プレイヤーの諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅ているのには気づいていると思う。しかし、これはゲームの不具合ではない。繰り返す。不具合ではなくソードアート・オンライン本来の仕様である。諸君は自発的にログアウトすることは出来ない。また、外部の人間の手によるナーヴギアの停止または解除もありえない。もしそれが試みられた場合ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが諸君の脳を破壊し生命活動を停止させる」
その言葉に困惑したりゲームの演出だと本気に受けない者が見られた。だが、タキは気付いた。茅場の言っていることは本当であると。
「ナーヴギアの原理は電子レンジと一緒だ。そうなると俺たちの脳みそを蒸し焼きにすることなど簡単なことだ。だがこんなことして一体何になる?」
「残念ながら現時点でプレイヤーの家族、友人などが警告を無視しナーヴギアを強制的に解除した例があり253名のプレイヤーがアインクラッド及び現実でも永久退場している」
それと同時にニュース番組あるいはニュースサイトが表示されそこにはSAOで死者が出たことが報道されていた。
「これによりナーヴギアが強制的に解除される確率は低くなっているだろう。諸君らは安心してゲーム攻略に励んでほしい。しかし十分に留意して欲しい。これからはこの世界のあらゆる蘇生機関が機能しない。HPが0になった瞬間にこの世界から退場し・・・」
そこで茅場は言葉を止める。プレイヤーはそのことに緊張感が増していく。そして茅場はプレイヤーに絶望を叩きつけた。
「諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される」
その時タキは想像してしまった。最初に出会った《ダイアーウルフ》に自分の首に噛みつかれHPがなくなり体がポリゴンと化してしまうのを。そのことで彼は拳を握り締め唇を噛んだ。もしここが現実世界なら唇から血を流していただろう。
「諸君らが解放される方法はたった一つこのアイクラッドを100層まで攻略しそこにいる最終ボスを倒せばゲームクリアだ」
ベータテスター達は絶望した。ベータテストの間で到達出来た層は10層までだ。それも数えきれないほど死に戻りしてきた上でだ。ゲームクリアするのには、気が遠くなるほどの時間が必要だろう。
「それでは最後に諸君のアイテムストレージに私からのプレゼントを用意してある。確認してくれたまえ」
タキはすぐにアイテムを確認する。そこには《手鏡》と表示されていたのですぐにオブジェクト化する。
「なんでこんなものを…うわっ!?」
するとそこでタキの体が光に包まれた。それはタキだけでなく他のプレイヤーも同様だ。光が消えると同時にタキは驚愕した。そこにいたのは美男美女のアバターではなく、老若男女問わずの様々な人がいた。中には、女性の服を着た男性などもおり男女比に偏りができていた。
タキの周囲の人々はタキの顔を見て
なぜなら、右側の額に横向きの傷があったからだ。その上彼の目は三白眼であり精悍な顔つきなのもありその顔は端的に言えば強面で人相が悪いのだ。
周囲の反応に違和感を覚え手鏡で確認するとタキは自身の顔がリアルの顔になっていることに気づいた。
「チッ!あの野郎勝手に人の顔を変えやがって!」
タキは憤るがその間に茅場が話し始めた。
「諸君は今なぜと思っているだろう。なぜソードアート・オンラインおよびナーヴギアを作りこんな事をしているのかと。私の目的はすでに達せられた。この世界に干渉するためだけに私はソードアート・オンラインを作った。そして、私の目的は達せられた。以上をもってソードアート・オンラインのチュートリアルを終了する。諸君らの検討を祈る」
その言葉を最後に茅場のアバターは溶けるように消えてえていった。それと同時に真っ赤に染まっていた空がもとに戻った。だがプレイヤーたちは動かなかった、否動けなかった。それは全員が現実を認識できなかったのだ。その時だった。
「いや…いやぁああああああ!!」
一人の少女が悲鳴を上げた。その悲鳴によりプレイヤー達は現実に引き戻された。
『ふざけんな!出せ!ここから出せよ!』『こんなの困る!このあと約束があるんだよ!』『殺す気かよ!』
この場には恐怖、憎悪、狂気、様々な叫びが響きわたった。それを聞いてタキは落ち着きを取り戻した。
(恐らくここに居ても生き残ることは難しい。まずはミトと…いや待てよ!)
タキはミトと合流するのは夜だと伝えていた。つまり向こうはタキがログインしていないと思っていない可能性があると気づいたときだった。彼の視界に薄紫の髪で鎌をもった少女が栗色の髪の少女の手を引いて人混みから出ようとしていた。
「っ!?待「どうすればいいんだよ!」おまえは!」
タキが声を掛けようとした時にプレイヤーが胸ぐらを掴んできたのだ。
「出せよ!ここからだ…」
プレイヤーは思わず口をつぐんだ。タキから殺気を感じたからだ。
「どけ。」
「ヒィイイイイイイイイイイ!」
タキの低い声を聞いてプレイヤーが逃げていくがミトを追うことはできないだろう。だが、それでも彼は走った。ミトと合流するためにそして…
「誓ったんだ!俺はあいつらの分まで生きるって!こんなとこで死ねるかよ!」
タキは誓いを胸に始まりの町を飛び出した。
オリ主設定
本名:滝沢雅樹
キャラネーム:タキ
年齢:14歳
東京都広尾在住
イメージCV:岡本信彦
容姿:髪型はウルフカットにしており右側の額に傷あり。三白眼で精悍な顔つきにしている。身長は同年代と比べて高め。
イメージカラー:灰と青