ソードアート・オンライン 〜英雄の槍〜   作:オトマトペ

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皆さんお待たせしました!
今回はああでもないこうでもないと必死に執筆してました。
今回は私にとって結構覚悟をして書きました。
賛否両論になるかもしれませんがそれではどうぞ!


湯煙の中で

どうして・・・

 

 

わたしの心の中はそれしかなかった。わたしはこのゲームに入るつもりはなかった。ただ現実世界の友達・・・深澄がこのゲームについて話していたのを聞いてこの世界にやってきたからだ。このゲームがデスゲームだと聞いて最初に思った事はまだ手をつけていない課題の事だった。だけど二ヶ月経ってもクリアどころか最初のボスを倒すことすらできていない。だからわたしは嬉しかった。深澄がミトとして隣で戦ってくれていたからでもあの日・・・

 

『Mitoがパーティーを離脱しました。』

 

このメッセージを見て私は理解した。ミトに見捨てらたことが。だからわたしは助けられた後雨の中決意した。どうせ死ぬなら行ける所まで行って死のうと、そしてわたしは死んだ・・・はずだった。またわたしは同じ人に助けられ、その人に攻略会議と呼ばれる場所に参加した。そこでわたしは見てしまった。ミトが男の人に向けた笑顔を。その笑顔は私に向けられた物より輝いて見えた。結局、わたしはその程度の価値しかなかったのだろうか・・・。ミトが呼びかけた男・・・タキがこちらに目を向けた。その目はわたしを見ていた。その時、わたしは負の感情が爆発しそうになり、その場から逃げた。

 

「・・・て・・・・待てって!」

 

いっしょにここまで来た片手剣士が呼び止めた事で私は我に帰った。

 

「何があった?」

 

何があった?・・・大アリよ!現実を突きつけられたんだから・・・

 

「なにも・・・ないわよ・・・」

「そんなわけが・・・」

 

「お前、オレ達を見ていたな。」

 

後ろから一人の少年・・・タキ君が声を掛けてきた。

 

「見てないわよ」

「ならなぜそんなにもほの暗い目をしている?」

 

駄目だ。これ以上彼の言葉を聞いてたら、心の中で抑えてたものが飛び出してしまう。

 

「なにを考えてる?ミトに危害を加えるなら妨害させてもらう」

 

もう・・・嫌だ。

 

「なんでよ・・・なんでよ!」

 

わたひの叫び声にタキ君は身構え片手剣士は呆然とする。

 

「なんでミトはわたしを見捨てたの!レアアイテムを手に入れたから!あなたと会ったから!わたしの価値ってそんなものなの!」

 

言って仕舞えば止まらなかった。ミトはわたしを見捨てても一緒にいる人がいる。それに比べてわたしはどう・・・誰もいない。誰も私を見てくれない。

 

「お前は・・・そういう事か」

 

タキ君は何かを察したのか近づいてくる。わたしは怯み何も言えなかった。

 

「何よ!ミトからなにか・・・」

「ミトがお前の事をなんとも思ってないとおもってるのか」

「え・・・」

「あいつはお前のことを悔やんでたぞ。」

 

ウソよ・・・ウソよ!

 

「お前が死んだと思って自分を責めていたし、自殺紛いの事もしようとしていた。それほどまでに追い詰められてた」

「じゃあなんで、レアアイテムを取りに・・・」

「それはオレの口からは言えない。ただ一つだけは言っておく。」

 

タキ君はわたしに詰め寄り告げる。

 

「あいつは人を見捨ててなんとも思わないクソじゃない」

「っ!!」

「俺が言いたいことはそれだけだ。じゃあな」

 

タキさんはわたしたちの前から去っていった。あの人の言葉がミトがわたしのことを気にしていることが本当なのかはわからない。でも・・・

 

☆¥%

 

まさかミトの親友に会うとは思わなかったな。ただアイツはミトの事を恨んでいたのだろうか、それはオレにもわからない。オレはミト達のもとにもどり連携を確認した。彼らとの連携を確認した後ミトと宿屋に戻ってきた。

 

「いよいよ明日ね・・・」

「そうだな・・・」

 

ミトの言葉にオレは感慨を持つこのゲームが始まり早二ヶ月、その間に犠牲者は2000人にも及んだが明日の結果次第では、ここから脱出することすら叶わないだろう。そう思いながら夕食の蜂蜜パンを食べている。

 

「さすがね。この蜂蜜パンベータの時より美味しくなってない?」

「言えてるな。ベータテストの時はただ甘いだけだったが舌触りがよくなってるしコクがある」

 

オレ達は今街外れの農家に部屋を借りている。その農家は蜂を養殖しており、蜂蜜を製造している。風呂付きで朝晩の食事付き(といっても蜂蜜パンとスープというささやかなものだが)でお代は普通の宿屋に泊まるより安く泊まることができる。オレ達はここか牛を飼っている農家の部屋にするか悩んだが牛を飼っている農家の方は部屋が埋まってしまったのでこちらを借りたのだ。

 

「そういえばさ。私と一旦別れてどっか行ってたけどどうしたの?」

 

こいつの親友・・・アスナが生きていたことを言うべきなんだろうか。心情としては直ぐにでも言いたい。だが、明日は初のボス戦できるだけベストな状態で望むべきだ。

 

「今は言えない。明日のボス戦が終わったら教えてやる」

「なら今は聞かないでおくわ。その代わり・・・」

 

ミトは先に夕食を食べ終わり立ち上がりオレの手を掴んで頼んできた。その手は小刻みに震えていた。

 

「一緒にお風呂入らない?」

「ああ。入るか」

 

 

☆¥%

 

私は明日生き残れるのかな・・・シャワーを浴びながら私は考える。明日の第一層のボス戦はベータテストの時はもちろん参加した。だが、《イルファング・ザ・コボルドロード》を倒すのにはかなりの時間がかかった。何度も死に戻りを繰り返しやっとクリアした時も参加したプレイヤーの半数以上がその場にはいなかったのだ。しかも今回はベータテストと違い死者を0に抑えなければならない。その難しさはベータテストの比ではない。

 

「いけないわね。後ろ向きに考えすぎなのかな・・・」

「ついでにだがオレはいつまで後ろを向いてたらいいんだ?」

 

私の独り言にタキは問う。タキは今湯船に浸かっており私の方を見ないように後ろを向いていた。

 

「それは私がお風呂から出るまでね」

「お前の風呂長えじゃねえか」

「冗談よ。もう向いていいわ」

 

いいじゃない。女性の風呂は長いものよ。タキは体ごと振り返り、こちらを見る。

 

「やっぱり、ミトは綺麗だ」

「そう?また現実で一緒に入る時に幻滅されたくないからね」

「そんな簡単に幻滅はしねぇよ」

 

こういう言葉をさらりと言ってくれるのは嬉しいな。私はシャワーを止めゆったり湯船に浸かる。タキの前にすっぽり入るようにつまり、タキがバックハグ出来るような体勢で。ハァ・・・いい湯ね♪悩みが一瞬で彼方に追いやられていく。タキにもたれかかると彼が生きてるって実感した。

 

「私達は明日生き残れるのかな?」

「それは・・・オレにはわからない。オレ達のどっちか、あるいは両方が死ぬ可能性だってある。そう簡単に生き残れるってわからないからな」

 

タキの言いたいことははっきりと分かる。明日で私達は永遠の別れになるのかもしれない。そう思うと怖くなってくる。もしかしたらアスナが向こうで待っているのかもしれない。でも私の事は殺したいほど恨んでいるだろうな。絶対守るって言ったのに見捨てた私の事を・・・

 

「ミト。もしお前の友達と会ったらお前はどうするつもりだ?」

「まずは謝るつもり」

「そうか。 」

「でも私のせいでアスナが死んじゃってたら・・・」

 

その言葉を口にすると同時にあの夢の事を思い出した。アスナはあの夢と同じようにネペント達に食われてるかもしれない。そのことを想像するだけで怖くなった。その時タキは私の体の前に腕を回し抱き寄せてきた。

 

「え?」

「大丈夫だ。お前の友達のこと信じてやれよ」

「・・・うん」

 

まただ。私はタキの好意に甘えている。それはタキが引っ越すまで同じだった。私は自分の家が好きじゃなかった。父と母はできるかぎり顔を合わせず、顔を合わせようものなら喧嘩が起きて家を空けがちだった。でもあの日からだよね。

 

「覚えてる?あの日のこと」

「ああ。今でもはっきりと覚えてる。確かあの時は・・・」

 

 

 

♪$°

 

 

あれはオレ達がまだ小学生のときだった。その時から帰ってゲーム機を持って公園で遊んでいた。

 

「お待たせ!遅くなっちゃった!」

「大丈夫だ。今来たところだ」

 

オレ達は当然のようにベンチで隣に座る。

 

「今日は何やる?」

「そうだな・・・今日は久々に格ゲーでもやるか?」

「いいわよ。今回こそ勝ち越してやるわ」

「フッやれるものならやってみろ」

 

それから格ゲーで連戦していた時だった。

 

ポチャン・・・

 

「ん?」

「雨?」

 

その瞬間一気に豪雨となりオレ達は一瞬で濡れ鼠になった。

 

「うわ・・・もうビチャビチャ・・・」

「どっかに雨宿りしないと風邪ひくしゲームも壊れるぞ」

「ならさ、うちよってかない?」

 

・・・は?

 

「いやいや、ちょっと待て。こんなびしょびしょな状態で行っても迷惑だろ」

「今日は夜まで帰ってこないから大丈夫よ。もしかしていやだった?」

「オレは問題ないんだが・・・」

 

普通女子が自分の家に男子を誘うか?

 

「問題ないなら行こ!」

「あっおい!」

 

オレは深澄に手を引かれ強引に連れて行かれた。

 

「ただいま・・・」

「お邪魔します」

 

オレは深澄に連れられて深澄の家に連れて来られた。彼女の両親がいる気配はなかった。

 

「風邪ひくかもしれないからお風呂沸かすね」

「ああいや、そこまでは・・・」

「沸かすからね」

「アッハイ」

 

有無を言わない深澄の態度に思わず了承してしまう。お風呂が沸き深澄を先に入らせる。その間タオルを借りて体を拭かせてもらう。そのとき、深澄のスマホに通知が入る。オレは見るつもりはなかったがそのメッセージを見えてしまった。そのメッセージに書いてある事を読んでオレには聞きたいことができた。

 

「どうしたの?」

 

いつの間にか出てきたのか、深澄は着替えて部屋にやってきた。

 

「なあ、お前の両親はいつもお前を夜遅くまで1人にしてるのか?」

「え・・・まさか・・・」

 

深澄はスマホの通知を見て一瞬で顔を強張らせる。その顔を見れば結果は火を見るより明らかだ。メッセージには『いつものように泊まり込みになります。何かあったら父さんに連絡して。』『すまないが今日は帰れない。何かあったら母さんに連絡しろよ』と書いてあった。お互いが深澄の事を押し付けあっている。血の繋がった両親を持ったとしても幸せとは限らない。それをわかったのは最近になってだ。

 

「そうよ。でも、私は寂しくなんかないよ。だってゲームさえあれば私はそれでもいいと思ってるから。」

 

ゲームさえ?深澄は笑顔を浮かべる。だがその顔は本当の笑顔じゃないように見える。その顔は何かを求めていた。

 

「深澄・・・ちがうんだろ」

「何言ってるの?」

「本当は親にいて欲しいんじゃないのか?」

 

それを聞いて深澄は動揺する。だが、彼女はすぐに表情を変える。

 

「そんな訳ないじゃない。あの人達はお互いに顔を突き合わせるのも嫌がるし。私には物だけ与えていればいいと考えてる人達は別にいなくてもいい」

「嘘つくなよ」

「嘘なんかついてない」

「じゃあなんでそんな顔するんだ。なんで今にも泣きそうなんだ」

「っ!同情なんかしないで!今までずっとこうやって生きてきたのよ!」

「同情じゃない。この際はっきり言ってやる。お前は愛が欲しいんじゃないのか」

 

深澄は図星を突かれたのか大声をあげる。それは俺には虚勢を張っているように見えた。深澄は顔を俯かせる。その顔には涙が流れていた。突然深澄は顔を上げ凄い勢いで抱きついてくる。俺は受け止めようとするがベッドに躓いてしまい押し倒されてしまう。

 

「深澄・・・」

「欲しいよ!私を見てほしい!私を愛して欲しい!今まで家族からは大事にされなくて!友達もどんどん離れて行って!誰から愛されない気持ちが貴方にわかる?」

 

深澄が流した大粒の涙は俺の顔に降ってくる。彼女の顔はもうぐちゃぐちゃだった。

 

「わからないな」

「ならそんなこと」

「それはお前の受けた痛みだ。それをそっくりそのまま分かることはできない」

 

オレは隠していた額の、着ていたシャツのボタンを外し胸をはだけさせて胸元にある傷を見せた。この傷を見せるのは()()家族を除けば深澄が初めてだ。

 

「その傷・・・一体何処で?」

「これは罪だよ。何もできなかった無力のオレに刻まれた罪だ。お前に分かるかこの気持ちが」

「・・・ごめん。私が勝手だった。でも、怖いの・・・雅樹が前の友達と同じようにいつかいなくなっちゃうんじゃないかって」

「いなくならねえよ。だってオレはお前の事を・・・」

「ならお願いがあるの」

 

深澄は唇をオレの唇に重ねた。その感触はオレには冷たく冷え切っているようひ見えるが実際は違う。

 

「ずっと一緒にいてよ。ずっと遊んでよ。何処にも行かないで。貴方なしじゃ生きられないくらいに私を愛して」

 

ああ。オレは結局あの時から変わってない。あの時に途切れてしまったあの気持ちを深澄で埋めようとしている。だけど、もう離れたくない。離したくない。オレは気づいたら自分の唇を深澄のものに重ねていた。その感触は冷え切った体に心地よい温もりを与えてくれた。それはまるで・・・

 

「もう離さない。絶対に離さない。もう何処にも行かせない。オレともう離れられないくらいにな。・・・だから俺にも」

「うん・・・うん… ・・・・・!」

 

深澄は泣き続けた。まるで涙の止め方もわからないように。その間にもオレ達はお互いを抱き続けた。お互いの存在を確かめるように。深澄は泣きながらも笑顔を浮かべた。

 

「ねぇ。一緒にお風呂入ろ」

「お前はそれでいいのか?」

「うん。雅樹ならいいよ。今日は絶対離れたくないから」

「なら一緒に入るぞ」

 

 

♪$°

 

「懐かしいな。あのときから随分経ったな」

「何ジジくさいこと言ってるのよ。まだ数年前じゃない」

 

私とタキは昔を思い出していた。それは今でも大切な思い出よ。でも、私達は一回離された。その時の私は身も心もバラバラになりそうなほど寂しかった。このゲームに閉じ込められてタキに会えないと知った時の私は焦燥感に駆られてアスナを死地においやってしまった。アスナ・・・私は罪深い人間よ。タキと会えたことがこんなにも嬉しいと思っていなかった。私が幸せになる権利なんてないのでしょうけど・・・許して欲しい。もし、死んで地獄に堕ちるなら私は喜んで身を捧げよう。

 

「このゲームが始まってから私はもうタキに・・・雅樹に会えないのかもしれないって不安だった。だから始まりの街から真っ先に飛び出した。アスナを失って自暴自棄になって約束すらも忘れて1人になろうとした私を助けてくれた」

「オレもだ。ミト・・・深澄を始まりの街で見失った時は必死で探した。深澄がオレの知らない所でいなくなったらと思うとすごい怖かった。でもこうしてオレの腕の中にいる」

 

私は雅樹の顔を見る。私達はお互いの唇を重ねた。長い間私たちは離れなかった。

 

「明日は絶対生き残るぞ。深澄と一緒にな」

「私も絶対生き残るわ。雅樹と一緒にね」

 

私達は湯煙の中でお互いに誓い合った。

 

 

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