ソードアート・オンライン 〜英雄の槍〜   作:オトマトペ

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はい。第一層ボス戦です。そしてミトとアスナの再会です。それではどうぞ!


イルファング・ザ・コボルドロード

俺達は今レイドが集まりボス部屋へ向かっている真っ最中だ。ディアベルは昨日会議に来てた連中が全員揃っていることを喜んでいた。

 

「ミト。」

「なに?」

「今回のボス戦なんだが、攻略本の知識を鵜呑みにするなよ。」

「わかってる。ベータテストと実際のボスの攻撃パターンは違う事も多いからでしょ。」

 

ミトの言う通りベータテストと攻撃パターンが違う可能性がある。その上このSAOを作ったのはあの茅場だ。その可能性は充分に跳ね上がる。そんなことを考えてる間にボス部屋の前に到着した。

 

「聞いてくれ!みんな!俺達はやっとここまで来た!だから俺が言いたい事はただひとつだけだ!……勝とうぜ!」

 

ディアベルのリーダーシップもすごいものだ。彼の呼びかけに応じてここまで来れたのは間違いなく彼の指揮能力にある。だからこそ…ここで負けるわけにはいかない。ミトは拳を突き出してくる。

 

「勝って生き残ろう!」

「当然だ!」

 

俺も拳を作りお互いの拳を合わせてボス部屋に突入した。ボス部屋の奥にある玉座から巨大なモンスターが立ち上がる。その姿は強靭な筋肉で覆われ兜と最低限の鎧をつけている。右手には斧左手には盾をつけ腰には恐らく湾刀らしき物を差している。あれが《イルファング・ザ・コボルドロード》だろう。

 

 

グォオオオオオオオオ!!

 

《イルファング・ザ・コボルドロード》が咆哮をあげ、攻略隊のプレイヤー達は怯む。その隙に天井から水晶が落ちてきて《ルイン・コボルト・センチネル》が三匹出現する。

 

「攻撃開始!」

 

ウォオオオオオ!!

 

こうして第一層ボス戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「A隊C隊、スイッチ!来るぞ、B隊、ブロック!C隊、ガードしつつスイッチの準備。今だ、交代しながら側面を突く用意!DEF隊、センチネルを近づけるな!」

「「了解!」」

 

俺とミトが所属するF隊はディアベルの指示の元センチネルの相手をしていた。センチネル自体は下に出てきたコボルドより強いが俺達には人数がある。

 

「スイッチです!」

「ゼアァ!」

 

リーダーがセンチネルの攻撃を防ぐと同時に《両手槍》スキル単発技《グレイブ》を発動しセンチネルを倒す。俺達は6人でセンチネルを相手しているがそれよりもすごいやつがいる。

 

「スイッチ!」

「5匹目!」

 

昨日会ったアスナとコンビを組んだ片手剣の剣士だ。あの2人の連携はかなり息があっている。センチネルの攻撃を片手剣の剣士が《片手剣》スキル単発技《バーチカル》で受け止める。それによりお互いは仰け反るがその隙にアスナの《細剣》スキル単発技《リニアー》で攻撃し、センチネルを撃破する。その剣先は見えないほど速い…これがビギナーだということが信じられないほどだ。

 

「あの人は「A隊スイッチだ!F隊!」っ!」

「今は後回しだ。とっととスイッチするぞ。」

「わかった。後でキッチリ教えてもらうからね。」

 

コボルドロードは《片手斧》スキル単発技《クリーブ》を発動するが、俺とミトはそれぞれの《両手槍》スキル薙ぎ払い技《カーム》と《両手鎌》スキル横単発技《モーアー》でダメージを与えコボルドロードのHPを減らす。そのときコボルドロードは盾を腕から外し斧と一緒に放り捨てた。

 

「情報通りみたいやな。」

「C隊ボスを取り囲め!ターゲットは俺が取る!」

 

ディアベルの指示でC隊がボスを取り囲む。恐らくここで決め切る気だろう。俺達は一旦コボルドロードから距離を取るがコボルドロードは笑みを浮かべる。

 

「何故だ?」

 

考えてみれば偵察もせずにここまでコボルドロードを追い詰めてるのは出来すぎている。何だ?この違和感は?コボルドロードが腰に挿していた獲物を抜くそれは粗雑な出来ではない。少し反り返っているがその刀の輝きを見て確信する。

 

「湾刀じゃねぇ!」

「ダメだ!下がれ!範囲攻撃が来るぞ!」

 

俺の声と同時に後ろにいた片手剣の剣士が叫ぶが遅かった。ディアベルは既に《バーチカル》を発動させてしまっている。しかし、コボルドロードは飛び上がって回避して刀に赤い光を纏わせる。あれは恐らく《刀》スキル範囲技《旋車》!回避は間に合わない!なら…

 

「ミト!」

「わかってる!」

 

俺とミトはそれぞれ単発技のソードスキルを放って相殺するがプレイヤー達は《旋車》を諸に受けてしまう。

 

「なんだ…」

「動けねぇ…」

 

どうやら麻痺を食らってしまったらしい。そんなプレイヤー達には目をくれずゴボルドロードは《刀》スキル斬り上げ技《浮舟》を発動させる。そのターゲットは…ディアベルだった。

 

「ぐわぁ!」

 

そこからは時の流れが遅く感じた。ほとんどのプレイヤーが麻痺し、俺とミトもノックバックで動きが遅れる。取り巻きを相手していたプレイヤー達は言うまでもない。コボルドロードは連続して《刀》スキル3連撃技《緋扇》を喰らい柱に叩きつけられた。片手剣の剣士が呼びかけるが一言二言残してその体は呆気なくポリゴンと化した。

 

うわぁああああああああああああああああああああああ!!!

 

プレイヤー達の間に絶望が広がるが、状況の悪化は止まらない。センチネルが湧き始めたのだ。その数は6体。

 

「嘘だろ…」

「3体までのはずだ!」

「話が違う!」

 

さすがに放っておけねぇ!

 

「今助け…!」

 

プレイヤー達をセンチネルから守ろうと向かうがコボルドロードが邪魔をする。

 

「どけ!」

グルル!

 

俺は無理矢理通ろうとするがコボルドロードが邪魔だ。すかさず攻撃するが…コボルドロードは隙を見せない。

 

「クソガァ!」

 

 

 

☆¥%

 

 

 

 

どうしよう…ディアベルが死んだ事によってプレイヤー達は冷静さを失い混乱している。タキを見るがゴボルドロードが邪魔をしてこっちに来る事は出来ない。センチネルを1匹でも多く引きつけようとしているが数が多すぎて受け止めるのが精一杯だ。

 

「ヤァアアア!」

 

1人のプレイヤーが《リニアー》でセンチネルを突き飛ばした。

 

「あ、ありがとう。助か…」

 

お礼を言う間も無くすぐにプレイヤーがセンチネルを攻撃するがその剣捌きは忘れるはずがない。その剣捌きが、その声が、明確に答えを示してくれた。この技は…

 

「スイッチ!」

 

もうそこからは体が勝手に動いた。私は両手鎌スキル単発技《フロウ》でセンチネルを倒した。それでもセンチネルはまだ数が多く囲まれる。そのときだった。

 

「ワイらもやるでぇ!」

 

キバオウ達が混乱から抜け出したようね。センチネルはキバオウ達を無視するわけにも行かずそちらを攻撃する。そのときだった。

 

「くっ!?」

 

タキがコボルドロードによって切り飛ばされこちらに転がって来た。そのHPはレッドに差し掛かっている。

 

「タキ!」

「安心しろ。まだHPは残ってる。それよりも…」

 

タキに駆け寄るが、タキはポーションを飲みながら単独でコボルドロードと戦っているアスナの相方に目を向ける。アスナの相方はまだ第一層には出て来ていない刀スキルを受け止めている。あの受け止め方は刀スキルを知らなければ受け止められないし恐らくベータテスターね。

 

「あいつ1人じゃすぐに限界が来ちまうぞ!」

「なら私が!」

「待って!」

 

もういてもたってもいられない。

 

「アスナ…アスナなの?」

 

その沈黙が答えだった。

 

「そんな…生きて…」

 

自分が許せなかった。あの日アスナを見捨ててしまったことがどれだけアスナを傷つけたことか。

 

「私…私は……あのとき……」

 

何故?何故私の言葉から謝罪の言葉が出ないの?一言謝ることが出来ないの!おもわす下を向いてしまう。そのときアスナが私に近づき剣を振りかぶり私の鎌と合わせる。思わずアスナを見るとその顔は笑顔を浮かべていた。

 

「このゲームをクリアするんでしょう?」

 

その言葉は私の…思わず一筋の涙を流した。

 

「まだボスは倒れていない。一緒に生き残ろう。」

 

その言葉が私に勇気を与えてくれる。もう怖いものなんてない!まだ戦える!

 

「さっきのボスの範囲攻撃はベータテストで見たことある。あれはボスを取り囲まなければ来ない。」

「うん。ありがとう。」

 

アスナは私の助言を聞いて走り出した。アスナは強いわ。だからこそ私はあのとき手に入れたあのレイピアを…

 

「アスナ…使って!」

 

このときに使う!私は手に入れていた《ウィンド・フルーレ》をアスナに投げ渡す。アスナはすぐさま持っていたレイピアをストレージにしまい《ウィンド・フルーレ》を抜いた。

 

「ハァアア!」

 

アスナは《リニアー》でコボルドロードを突き飛ばすが、コボルドロードは反撃してくる。しかし、アスナは紙一重で避けるがフードが捲れるが、アスナは再び《リニアー》を発動し突き飛ばした。そして、アスナは外套を外した。その姿はまるで女神の様ね。

 

「みんな聞いて!ボスを囲まなければ範囲攻撃は来ない!ひとまず全員後退!回復した人から復帰して!」

 

アスナの指示でプレイヤー達は混乱から完全に立ち直り後退を始めた。

 

 

 

☆¥%

 

 

 

 

くそ!まだ回復しないのか!コボルドロードの刀スキルを喰らって数分経った。ポーションを飲んだがHPはまだイエローのままだ。アスナと片手剣の剣士が相手取っている。片手剣の剣士がコボルドロードの攻撃を受け止めアスナが攻撃するが《リニアー》だけではHPの減少量が少ない。そしていずれは…

 

「しまった!」

 

片手剣の剣士が《刀》スキル単発技《幻月》を諸に受けてしまいアスナを巻き込んで転んでしまう。

 

「あ!」

「マズイ!」

 

俺のHPはやっとグリーンになり立ち上がりミトは相手をしていたセンチネルを倒して助けに向かうがゴボルドロードはすでに《緋扇》を発動させている。間に合わないと思ったその時だった。

 

「ウォラァ!」

 

エギルが割り込みソードスキルをぶつける。エギルのSTRは恐らく高い。コボルドロードを仰け反らせた。

 

「回復するまで俺達で支える!ダメージディーラーにタンクやらせてたら立つ背がないんでな!」

「すまない。」

 

エギル率いるB隊がコボルドロードの攻撃を防御するが反撃することは出来ない。なら…

 

「コボルドロードを攻撃してHPを削ってくしかねえ!」

「攻撃は私とタキでするから防御をお願い!」

 

俺とミトでコボルドロードを攻撃する。これが今のところ最善手だ。他のF隊のメンバーはセンチネルの相手に手一杯で来れそうにはない。

 

「おう!任せたぞ!」

 

そこからは長い時間のように感じた。エギル達が片手剣の剣士の指示を受け攻撃を受け止める。生じた隙に俺達はソードスキルで攻撃する。その繰り返しだ。その時だった。B隊のプレイヤーが躓きボスを取り囲んでしまった。マズイ!その立ち位置は…

 

グオゥ!

 

《旋車》の発動条件だ!コボルドロードは飛び上がり降下してくる。今回は先程の様に間に合わない!

 

「届けぇ!」

 

ここで片手剣の剣士が《片手剣》スキル跳躍技《ソニック・リープ》を発動させゴボルドロードを叩き落とす。アスナの相方は着地と同時に受け身をとる。

 

「行くぞ!」

「ええ!」

 

俺とミトはすぐにコボルドロードに向かって走り出した。途中で片手剣の剣士とすれ違う。

 

「止めは譲ってやるよ。」

「え!おい!」

 

少し遅れて二人も走り出した。

 

グルル…

 

ゴボルドロードが既に体勢を立て直し《刀》スキル居合い技《辻風》を発動させているのだ。

 

「ダメだ!防御だ!」

 

片手剣の剣士が叫ぶが俺達は止まらなかった。

 

「あれ…やるぞ!」

「OK!私は右から!」

「俺は左だ!」

 

グォオオオ!

 

コボルドロードは猛スピードで突っ込んでくる。俺はコボルドロードの左足をミトは右足を攻撃する。ダメージとしては微々たるものだ。コボルドロードは驚愕するが踏み込んだ勢いを止めることは出来ず転倒する。コボルドロードは立ちあがろうとするが…

 

「アスナ!最後の攻撃一緒に頼む!」

「了解!」

 

アスナが《リニアー》でコボルドロードを攻撃し片手剣の剣士が《片手剣》スキル縦二連撃技《バーチカル・アーク》でコボルドロードをVの字に切り刻む。コボルドロードの巨体は宙に飛びその体は地に打ち付けられる事もなくポリゴンと化した。それと同時にセンチネルも姿を消した。プレイヤー達は警戒するが目の前にリワードメニューが表示され経験値が加算される。

 

ウォオオオオオ!!

 

ここに第一層ボス戦は攻略組の勝利で終了しボス部屋に歓喜の声が響いたのだった。




というわけでディアベルは原作通りです。
最後のタキとミトのシーンはキリアスと一緒に止めを差すか、隙を作るかで悩みましたがこの様な形にしました。
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