ソードアート・オンライン 〜英雄の槍〜   作:オトマトペ

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ハッピーハロウィン!


儚き剣のロンド
竜騎士旅団頭目と強化詐欺


第2層

主街区《ウルバス》郊外

ここでは、アルゴから教えてもらったクエストを進めていた。このクエストは規定のモンスターを倒すというものだった。その報酬は《ウォー・スピア》というこの2層で手に入れられるレアな槍だ。クリアすれば1人一本ずつ槍を手に入れられるのだ。このクエは最初タキは1人で受けようとしてたけど私も無理を言って2人でクエストを行った。そして、

 

「これで…ラスト!」

 

両手鎌スキル連続派生技《ブラッド・オンスロート》を発動させる。この技は連撃は最初は二連撃だがスキルの熟練度を上げるほど連撃の数も増やしたり減らしたりすることも可能な技よ。これによりモンスターを撃破し私達に経験値とコルが手に入った。

 

「お疲れ。これでクエストはクリアね」

「ああ。それじゃあ早速NPCのもとに行くか」

 

NPCのところに戻るとお礼を言われウォー・スピアを二本もらった。

 

「クエストはクリアだな。ついさっきのモンスターで素材も溜まったし、ウルバスに戻って武器を強化するか?」

「そうね。今日も日が暮れるし、夜になる前に戻っておこ」

 

SAOの夜は暗い。現実で外灯がなければかなり暗くなるのと同じくらいだ。その時間帯は松明やランタンなどの灯りがないとまともに狩りをするのも難しいでしょうね。しかも、私たちは二人とも両手武器だからまともに戦うことすら難しくなる。だから一旦ウルバスに戻ろうと言うのだ。

 

「そう言えば知ってる?あるプレイヤーで初の鍛冶屋が出てきた話」

「いや、知らないな。生産職は初めてか?だとしたらプレイヤー達にも希望が見えて来たってことになるのかもな」

 

今日も他愛のない会話で攻略が終わる。もし私達がSAOみたいなファンタジーの世界で生まれてたらこんな冒険でもしてたのかな…このままこの日々が続けばいいのに

 

☆¥%

 

第一層を攻略してから、2日がたった。第一層のボスが倒されてからのプレイヤー達の空気は変わった。端的に言うならば、希望が見えたのだ。SAOをクリアできる可能性が浮上したのだ。プレイヤー達は喜びながら第二層の主街区に入り見て回っている。だが、決していいことばかりではない。まず、黒ずくめの行方が知れていないこと。もう一つはギルドを立ち上げようとしているプレイヤーが現れたことだ。そのプレイヤーは2人、1人はキバオウだ。どうやら黒ずくめに言った『ワイのやり方』と言うものだろう。そして、もう一方は…

 

「皆さん!我々はギルド《ドラゴンナイツ・ブリゲード》です!我々は未だ少数ではありますが第一層のボスを第二層を解放しました!これは、このゲームは攻略を重ねていけばいずれクリアできると言うことに他なりません!皆様方には我々と協力をお願いしたいのです!」

 

リンドという男だ。彼はボス戦の後に黒ずくめをビーターと非難した人物だ。彼はキバオウとは真逆で攻略組にリソースを集中させクリアするというスタンスだ。確かにリソースを集中させるのはありだが…それにはある一つのデメリットがある。

 

「ギルドね……タキはどう思う?」

「俺はギルドを作るのはありだ。なにせそれぞれ個人だったりある程度のパーティーは決まっている。それらの間に繋がりがあれば情報を共有出来るからな。だが、問題はギルドが割れちまってる事だ」

 

リンドとキバオウはそれぞれの方針が違うギルドを作った。だが、お互いを出し抜くことに躍起にならなきゃいいが…

 

「なぁそこのお姉さん。あんた第一層のボス戦にいた鎌使いの子だろ?」

 

ここで3人のプレイヤーが声を掛けてきた。この3人の恰好から見るに恐らく《ドラゴンナイツ・ブリゲード》の連中だろう。

 

「ええ、そうだけど」

「ならさ《ドラゴンナイツ・ブリゲード》に入らないか?あんた強いし美人だから優遇するよ」

 

《ドラゴンナイツ・ブリゲード》の連中はミトに勧誘する。確かにミトは強いし美人だ。だが、ミトは恐らくギルドに入ることはない。

 

「ごめんだけど私はもう既に組んでいる人がいるから間に合っているわ。」

 

それを聞いた《ドラゴンナイツ・ブリゲード》の連中は俺を見つけるとその顔を恐怖に歪ませる。

 

「それって後ろにいる傷野郎のことか?あんなやつ辞めときなよ。脅されてるなら無理矢理でも引き剥がすから」

 

聞こえないようにと配慮してコソコソと喋っているつもりだろうが完全に聞こえている。ここまで来るといっそのこと清々しい。

 

「よくもそんな都合よく考えられるな。俺はそんなマネをするつもりはない」

「嘘をつくな!脅しでもなければなんでお前がこの娘と一緒にいられるんだ!」

 

《ドラゴンナイツ・ブリゲード》の連中は声を荒げる。それを聞き集まっていたプレイヤー達はこちらを驚いたように見つめる。俺達の空気が険悪になっている時だった。

 

「君達は何をしているのかな?」

 

声をした方を見ればリンドが顔を顰めながら立っていた。

 

「り、リンさん…」

「この場で荒事を起こすのは辞めてもらおうか」

 

確かにこの場はギルドの勧誘している広場のど真ん中だ。ここで荒事を起こすのは邪魔でしがないだろう。

 

「リンさん!この鎌使いの子の強さを知ってますよね!なら勧誘しといた方が…」

「それは分かるが君達のそれはやりすぎだ。騒ぎが起きては意味がないだろう。勧誘の続きは俺がやっておくから君達は他の所で再度勧誘を行ってくれ」

 

それを聞き《ドラゴンナイツ・ブリゲード》の連中は立ち去り、リンドだけが残る。

 

「すまないな。こんな風になってしまって」

「アンタが起こしたわけじゃないんだ。それにミトという可愛い彼女を連れてればそう言う事も起きちまうさ」

「なら再び聞こう。君達は俺のギルドに入る気はないか?」

 

これには俺も驚きを示す。俺もギルドに誘う事はないと思っていたがどうやらそうでもないらしい。

 

「何故俺も誘う?あいつらの言っていることが本当かも知れないぞ?」

「それでもだ。強いのには違いないし、それは彼女にも言える。それに君達もあのビーターの事嫌いだろ?ならあいつより強くなってしまえば、ビーターは入らなくなる。俺達ならあいつよりも強くなれるさ」

 

ああ…駄目だな。コイツは俺のことを一つ誤解している。俺は黒ずくめのことは嫌いじゃない。それにリンドは恐らく自分の意見を曲げるつもりはなさそうだ。これは断っておくか。

 

「残念だけど、私達はあなたのギルドに入るつもりはないわ」

 

するもミトが断りを入れる。するとリンドの顔は少し曇る。

 

「もしかして、キバオウさんのギルドからいい条件でも提示されたのか?ならうちはもっといい条件を提示するからどうだい?」

「残念だけどそう言う問題じゃないわ。…私はさ、嫌なの。さっきの連中みたいにタキとの関係が脅しだと言われるのは」

「さっきのことを言っているのか?あいつらには言って聞かせるから…」

「それでも無理」

 

ミトは俺の手を握る。ミトはさっきの事そんなに嫌だったのか。まあそれは俺にも言える事だが。

 

「俺も同意見だ。俺はミトと一緒に居ることを許さない連中の仲間になる気は……ない」

「そうか…残念だよ。また気が変わったら言ってくれ。俺達はいつでも歓迎するからさ」

 

リンドはそう言って去って行った。ミトは俺の手を握ったままだった。

 

「ミト?」

「なんで…なんであんなこと言われなくちゃならないの!私達はここに来る前からずっと…貴方のことがこんなにも好きなのに…」

 

ミトはただ悔しそうに言うのだった。確かに俺だってミトとの関係を脅しだの言われる筋合いはない。…だが、許せないんだろうな。

 

「向こうからしたら俺のことは嫌がることは目に見えてたろ?実際向こうで出かけた時も今と同じようなもんだ」

「タキみたいに私は考えられないよ。私は悔しいよ。タキと一緒にいたいからこうしてるのに」

「それは俺も分かってるさ。言いたい奴には言わせとけばいい」

 

俺はミトの頭を撫でる。ミトはそれを嬉しそうに受け入れていた。さてそろそろ目的を果たすか。

 

「さて、元々の本題ってのは忘れてないよな?」

「プレイヤーの鍛治屋に武器の強化を頼みにきたんでしょ?忘れるわけないじゃない」

 

そう、今日は武器の強化の為に主街区にやってきたのだ。プレイヤーが鍛治スキルを使えば成功率はNPCのものと比べものにならないほどよい。それならばと思いここにやってきた。

 

「確か……あそこか」

「お店は開いてるみたいね」

 

鍛冶屋の店主は今はお客がいないからか新たな武器を生成しているらしい。その仕事の丁寧さは見事なものだ。店の名前は《Nezuha's smith shop》と書かれていた。恐らく頭のネズハが彼の名前だろう。

 

「いらっしゃいませ。どのような武器をご所望ですか?」

「いや、今日は武器の強化を頼みに来たんだ」

「そうですか…わかりました。一体どの武器を強化致しますか?」

「先にタキの槍からいいわよ。その槍手に入ったばっかりだし」

 

ミトの言うようにその槍の強化は初めてなので、失敗をしてもプロパティが下がることはない。

 

「わかった。じゃあこのウォー・スピアの鋭さを強化してくれ」

「鋭さですね。…この槍ってこの層でしかドロップしないんですよね?初めて見るので嬉しいです」

「そうか、よかったな」

「はい!それでは強化を始めます」

 

ネズハは《ウォー・スピア》を炉に焚べる。その焔はベータテストに比べて解像度が上がったからか鮮やかに見えた。そして取り出した《ウォー・スピア》を金槌で叩いていく。その顔は真剣そのものだ。だが、その顔には…一種の罪悪感があるな。何故だ?

 

「成功するといいね」

 

ミトは笑顔でそう言うが俺には嫌な予感が拭えなかった。その予感は見事に的中し

 

 

パキィィィイン

 

 

「「…え?」」

 

《ウォー・スピア》は俺の目の前で半分に折れる。それを俺もミトもそして、ネズハ自身も驚愕し固まる。そこで風が吹きネズハが一足早く我に帰るとすぐさま土下座を敢行した。

 

「す、すみません!すみません!…手数料はお返ししますので「どういうことだ?」…え?」

「なぜ槍が折れた?その理由を聞かせてくれ。俺は元ベータテスターなんだが、少なくともその時は武器破壊はなかったはずだ」

「じ、実は…武器破壊は本サービスから追加されたものではないのかと考えられているんです」

「そうか…」

 

武器破壊か…これが()()()追加されているのであれば仕方ないことなのだろう。

 

「代わりのものを渡したいにも今在庫がなくて…よろしければアイアン・スピアでも…」

「いや、大丈夫だ。ついさっきの槍はもう一本あるからな。ただ予備がすぐに使われるとは思わなかったがな」

「本当にすみませんでした。」

 

俺とミトはネズハに見送られながらも《Nezuha's smith shop》を後にした。

 

「タキ…大丈夫?」

「大丈夫だが…そんなに心配するほどのことじゃない」

「でも、槍が…あんなに頑張ってクエストを…」

「お前が、一緒にやってくれたおかげでもう一本あるからな。ただ…」

「?」

「武器破壊が本当にあれはの話だがな」

 

 

☆¥%

 

私とタキは宿を取り、部屋に入った。基本的私たちはコルの節約のために同室に………いや、少しでも長く一緒に居たいからね。でも、ついさっきのあのタキの言葉は一体…

 

「ねえ、さっきの言葉ってどういう意味なの?」

「さっきのって?」

「武器破壊が本当にあるのかってことよ」

 

メニューを深い所まで操作してあるボタンを押す。その時床に防具や素材その上に服などが散らばる。たしか…

 

「《コンプリートリィ・オール・アイテム・オブジェクタイズ》よね。でもなんで?」

「俺の予想が正しければ…こういう事だ」

 

タキは自分の荷物を片っ端から漁っていき、一本の槍…ネズハに折られた《ウォー・スピア》を取りだした。

 

「嘘!どうして!」

 

思わず私はタキに詰め寄る。タキはそれをとどめながら答える。

 

「どういう原理かは分からないが、恐らく俺達はネズハに武器をすり替えられて騙しとられそうになったってことだ」

「でも目の前で槍は折られたわよ?」

 

私の疑問はそこだ。目の前で槍が壊れたのになんでそのまま槍があるのか分からなかった。タキは冷静に答える

 

「確かに現実で同じ状況なら分からなかっただろうな。だが、ここはゲームの中だ。なら武器が壊れたと判定するのはシステムだ。つまり、システム外で何か起きることも、考えておいた方がいい」

 

タキの言う通りだ。私もまだこのゲームをタキほど理解はできてないのかも知れない。でも……

 

「彼が悪い人には見えなかったわよ」

「考えられるのは二つだ。一つ目は誰かに脅されているか。もう一つは……それすらも演技の可能性があると言う事だ」

 

 

☆¥%

 

SAOが始まってから二ヶ月経ったが、犯罪行為がついに起きたか…俺の想定よりも遥かに()()がそれはほぼ奇跡のようなものだ。今回の詐欺のように決めつけで損をしたとは考えない。ありとあらゆることをして事実を確かめる。それがこの世界で生きて行くのに必要なことだ。ついさっきの後ミトは悩む様子を見せるが、急に立ち上がり部屋を出ようとする。

 

「まて。何をするつもりだ?」

「決まってるじゃない!あのネズハって人に問い詰めるのよ!」

「それをしてどうする?詐欺を行う奴だぞ。正直に武器をすり替えましたとでも言うと思うのか?」

「でも、このままじゃタキだけじゃない。他の人にも被害が及ぶ可能性だってあるのよ。なら…」

「確かにそれは困るだが、目の前の事を考えてみろ。明後日には何が待っているかわかるか?」

「あ……確かフィールドボスの…」

「そうだ。それまでに俺達は準備をしておかなけりゃならないんだ」

「……わかった」

「そうと決まれば…」

 

 

俺はミトの手を引きベッドに引き込んだ。

 

「ちょっ!?」

「とっとと寝るに限る」

「だからっていきなり引っ張らないでよ!」

「いいだろ?……それに面白い反応をしてくれるし」

「なら…」

 

ミトは俺に思い切っりキスをして来た。

 

「う…ん」

「ふふふ、どう驚いたでしょ?」

「それはどうだろうな。」

「あら、しらばっくれるの?」

「………おやすみ」

「全く……おやすみなさい」

 

俺達はお互いを抱きしめ合いながら眠りについた。




短編(キャラ崩壊注意)
「「「「happy Halloween!!」」」」
「と言うわけで私、タキ、アスナ、キリトの四人での仮装してるわけなんだけど…」
「ううっ…」
「どうしたの?キリト君?」
「やット…やットこコの小説内デ名前が…」

キリトはこの小説で今まで名前が出てないことを割と気にして泣いていた。彼の格好は全体にボタンをつけた棘が意匠であるロングスカート風の軍服にマスクをつけたものだった。

「そんなに泣かない!いいじゃない!それにもう始まってるわよ!」

アスナは学ランを身につけ頭にハチマキを巻きポニーテールにしている。まるでどこかの応援団の人だ。

「ったく、いつまで泣いてるのかな?…それよりもミトはどうだい?こんな僕もかっこいいだろう?」

タキは青い服にマントを羽織り黒いブーツをつけている。そして目の前に剣を刺しその柄頭に手を置いている。そして目の前のミトにキメ顔を向けるが…

「少し気持ち悪いですよ。タキ君」

胸と肩と腕が露出しているメイド服を着込んだミトに毒を吐かれた。





危ねえ!!なんとかギリギリハロウィン内に投げられた!渋谷だとハロウィンで人混みがすごいから行くなら気をつけましょう。そもそも俺は渋谷のハロウィン行ったことないけどね。それではまた次回。


P.S.

仮装イメージ

キリト→エス・ノト(BLEACH)
アスナ→堀京子(ホリミヤ)
タキ→ヒンメル(葬送のフリーレン)
ミト→レム(Re:ゼロから始める異世界生活)
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