太陽系の中心に位置する恒星。太陽と呼ばれるその星の内側に、惑星フレアはあった。
この惑星フレアは、侵略や破壊を目的とした星人の侵入を防ぐため、表面温度セ氏六千度の光球で覆っている。その星に、L77星のアルス王が訪れたのは今から四万年前の事だった。
アルス王はこの星の砂漠地帯で後にL77星の王妃となる美しい女性と出逢った。
「こんな所に他の星から人が来るなんて。一体どうやって入ったのです?」
女性は空を覆う光球を抜けてきたアルス王に驚いて訊ねた。
(何て美しい
アルス王は目の前の女性に見とれていた。
「私の顔に何か?」
「あ、いや……貴方が余りにも美しいのでつい見とれてしまって」
女性は嬉しさの余り頬を赤らめた。
「あ、申し訳ない。初対面なのにこんな事を」
「いえ、とても嬉しいです。生まれてから今まで一度もそんな事は言われた事が無かったので。所で、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「L77星の王アルスだ」
「それはそれは、遠い所からようこそいらっしゃいました。私はこの惑星の女王の妹です」
「そうか。ならば話は早い。私を王宮へ案内してくれ」
女性はアルス王を連れて王宮へと向かいだした。
「あの……一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「何だね?」
「この星にはどんなご用で来られたのですか?」
だがアルス王はその問いには答えなかった。
歩き始めて十数分。二人は城下町へとやってきた。
「あそこが姉の住まうお城です」
女性は町の入り口の反対側に聳える大きなお城を指差した。
「立派なお城だな。所で、何か食べる所は無いか?」
「でしたら私の家で何かご馳走しますけど?」
「それは有り難い。お邪魔させてもらおう」
女性は真新しい一軒家へアルス王を案内した。
「狭い所ですがおくつろぎ下さい」
女性が中へ入り、それにアルス王が続こうとした刹那、地響きが町を襲った。
「な……何だ!?」
戸惑うアルス王に家から出て来て言う女性。
「アルス王様、逃げましょう!」
町の住民たちが慌てて逃げ出していく。
「一体何が起きようと言うんだね?」
「ゴモラです! 地上に姿を現しては町を破壊していくんです!」
そして、咆哮と共に地中からゴモラザウルスが姿を現した。
「お城の兵士たちが何度挑んでも傷一つ付かないんです!」
「お嬢さんはここに居てくれ」
アルス王は周囲の建物を破壊するゴモラへ向かっていく。
「無茶です! 戻って下さい!」
だがアルス王は無視してそのまま行ってしまった。
「アルス王様……」
女性が涙を浮かべた刹那、眩い光と共に赤い巨人が現れた。
獅子のたてがみを彷彿させる頭部にLと7を合わせたような腹部のL77星の文字。腰には剣を携えていた。
巨人の名はウルトラマンアルス。その昔、M78星雲光の国から放たれたディファレーター因子を含む光を浴びたアルス王の真のお姿である。
「あの巨人は一体……?」
女性はアルスの出現に疑問符を浮かべた。
アルスは剣を抜いてゴモラに接近しながら振りかぶった。
「はあ!」
アルスが剣を振り下ろすと、ゴモラは縦に真っ二つになってしまった。
女性はアルスへと駆け寄った。
(何て大きさなの?)
アルスは光に包まれ、アルス王の姿に戻った。
「アルス王様!?」
女性はその現象に驚いた。
「見られてしまったか」
「あのお姿は何なんですの!?」
「ウルトラマンアルス。あれが私の真の姿だ」
女性はアルス王に抱きついた。
「どうしたんだ?」
「ずっと、ずっとこの地に居てフレアを守っていただけませんか!?」
「いや、そう言う訳には……」
「ではせめて貴方の子を私に」
「え?」
「アルス王様がウルトラマンなら、その子どももウルトラマンの筈! 私に貴方の子を産まさせて下さい!」
「そ……それはつまり、私に結婚してくれと言う事か?」
「いけませんか?」
女性はアルス王の顔を見ながら目を潤わせる。
「う゛……」
アルス王はどう答えたらいいか分からなかった。
「どうか私を貴方のお側に居させて下さい」
「わ……分かったから放してくれぬか?」
「では私と結婚してくれるのですね!?」
「あ……ああ、もちろんだ」
「有り難う御座います!」
(どうしよう……)
「ああ、お腹が空いてるのでしたね。私の家へどうぞ」
女性は強引にアルス王を家へ連れ込んだ。
(随分と強引な女だな)
女性はキッチンに立つと、大急ぎで料理を作り上げ、食卓に並べた。
「どうぞ召し上がって下さい」
「ああ……」
アルス王は女性の手料理を口に運んだ。
「美味い! こんな料理は初めてだ!」
「私、料理には自信があるんです!」
余りの美味しさに、アルス王は無我夢中で食べた。
あっという間に無くなる料理。アルス王は完食した。
「さて、では城へ行くとしよう」
アルス王は立ち上がった。だが、目眩を起こして倒れてしまった。
「大丈夫ですか!?」
女性がアルス王の額に手をあてがう。
「物凄い熱! 宇宙風邪にかかったみたいですね」
女性はアルス王をベッドへ運んだ。
「すまない」
「今日はゆっくりお休みになって下さい」
「ああ、そうしよう」
アルス王は目を瞑り、深い眠りに就いた。
アルス王が目を覚ましたのは倒れてから三日後の事だった。
「随分と長い夢を見ていたようですね」
「私はどれぐらい眠っていたのだ?」
「三日です。あれから一度も起きなかったんですよ」
「そうか」
アルス王は起き上がる。
「ダメです、まだ寝ていなくては」
「いや、しかし女王様にお会いしなくては」
「では私が代わりに用件を伝えて参ります」
「ならば伝えてくれ。L77星とこの星と友好を結びたい、と」
「分かりました。
女性はそう言うと家を出て行った。
アルス王は横になり、再び眠りに就く。