僕と水泳とお嬢様   作:京勇樹

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結ばれる契約

翌日、明久はある提案を小早川先生に言った

 

それは《ここの女の子達に、家事の練習をさせませんか?》

 

だった

 

明久の提案を聞いて、小早川先生は快く承諾

 

初回の教師を明久に頼んだ

 

明久は最初驚くが、小早川先生の頼みを承諾した

 

そして、初めて始まった《特別授業》

 

明久達は、学園の一角にある洗濯機の置いてある場所に集まった

 

「というわけで、今回の特別授業は明久くんが教師役となってくれます」

 

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

 

一人の先生が説明すると、集まっていた少女達は明久に向けて頭を下げた

 

「あははは……僕で出来るかわかりませんが、頑張りますね……その前に……」

 

明久はそう言うと、スタスタと歩いて一人の少女の前で止まった

 

「なんで、くす姉が居るのさ」

 

なぜかそこには、三年生の久住が居た

 

「んー? 明久くんが特別授業の教師役をやるって聞いたから、見ておこうかなって」

 

「授業はどうしたのさ」

 

久住の言葉を聞いて、明久は素直に問い掛けた

 

特別授業をやっているこの時間は、他のクラスでは普通に授業中である

 

それはもちろん、三年生も同じだ

 

「生徒会長権限で来た!」

 

久住がドヤ顔で告げた直後、明久はどこからともなく取り出したハリセンで久住を叩いた

 

「あ痛ー!?」

 

「だから、職権乱用して先生を困らせないの!!」

 

明久がそう声を張り上げた直後、一人の少女がフロアに駆け込んできた

 

現れたのは、悠だった

 

「まったく……やっぱりここだったか……」

 

悠はそう言うと、久住に近寄って

 

「ほら、教室に戻るよ」

 

と言いながら、久住の襟首を掴んで引きずり始めた

 

「あーん! 私もアキくんの授業見たいー!」

 

「ダメ!」

 

久住がジタバタと暴れるが、悠は一喝して引きずっていった

 

そんな二人を明久は溜め息混じりに見送り、ほとんどの少女達はポカーンと見送った

 

そして十数分後、明久はフロア中を駆け回っていた

 

「明久さん、これはどうしたらいいんですか!」

 

「水って、どれくらい入れたらいいんでしょうか?」

 

「洗剤って、どれを使うのかしら……」

 

等々の対応に走り回ったのである

 

授業が終わる頃には、明久は息を荒くしていた

 

「お疲れ様です。明久くん」

 

小早川先生はそう言いながら、明久にコーヒーを手渡した

 

「ありがとうございます……」

 

こうして、週末最後の授業は終わった

 

そして約一時間後、明久達は街に繰り出していた

 

理由はこの後行われる料理教室と、明久の衣服や下着等を揃えるためである

 

「ここが、この街で一番お手頃なお店です」

 

静歌はそう言いながら、スーパーを指差した

 

「案内、ありがとう」

 

明久はそう言いながら、スーパーに入った

 

因みに、この買い物には静歌だけが同行している

 

この買い物に関しては、少女達の間で一悶着あったが、明久は一切知らない

 

他の少女達は明久の部屋にて、料理教室の準備をしている

 

閑話休題

 

「手頃……これが?」

 

明久は値札を見て、思わず呟いた

 

なぜなら、下着一枚で千円という値札が付いていたからだ

 

「男物だからか……? それとも、お嬢様学園だからなのかな……これだったら、もう少し持ってくれば良かったよ……」

 

明久はそう呟きながら、二つ手に取って籠に入れた

 

その後、食品売り場に回った

 

「明久さん、これはどうですか?」

 

静歌はそう言いながら、手に取ったイワシを見せた

 

「んー……いや、こっちのほうが新鮮だね」

 

明久はそう言うと、陳列されていたイワシを籠に入れた

 

「どうやって見分けるんですか?」

 

明久が見分けた方法が分からず、静歌は首を傾げた

 

「まずは、鱗の色だね。透き通った青い色が目印。それともう一つは魚の目が濁ってないか」

 

静歌は説明を聞くと、自身が持ってるイワシと明久が選んだイワシを見比べた

 

「あ、目が濁ってないです」

 

静歌は明久が選んだイワシを見て、そう言った

 

「正解」

 

静歌の言葉に明久は笑顔で頷いた

 

その後、明久と静歌は買い物を続けた

 

そして、とある一角で明久は静歌がリボンを見ているのを見つけた

 

「うーん……こっちがいいかな?」

 

「静歌ちゃん……リボンが好きなんだ……」

 

明久はそう呟くと、静歌が色々な柄のリボンを着けてるのを思い出した

 

「ふむ……」

 

明久はそこで一計を案じた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

そして、清算時に明久は固まった

 

「ブ、ブラックカード……だと?」

 

明久は会計に静歌が出したカード、ブラックカードを見て固まった

 

このブラックカードは、最大限度額が設定されてないと明久は聞いたことがあった

 

しかしながら、静歌が払ってくれて明久としては感謝した

 

なにせ、今回の買い物の全額を払ったら明久の懐は一気に寒冷化するのは確定である

 

とはいえ、下着代は流石に自腹だが、それでも大分痛い出費である

 

だが、明久は後悔してなかった

 

買い物を終えて、明久達は寮に戻っている途中だった

 

自然公園に入り、周囲に人が居ないのを確認すると明久は視線を静歌に向けて

 

「静歌ちゃん……ちょっといいかな?」

 

と声を掛けた

 

「なんですか、明久さん?」

 

静歌が体ごと明久に向くと、明久は一回深呼吸してから

 

「これを……受け取ってほしいんだ」

 

と言いながら、ポケットから蒼いリボンを取り出した

 

「これ……」

 

静歌はリボンを見て、呆然とした

 

なぜなら、そのリボンは静歌が悩んでいて戻したリボンだからである

 

それに、明久としてはもう一つ理由があった

 

「それとさ……僕とコンダクト……結んでくれないかな?」

 

明久がそう言うと、静歌は驚愕で目を見開いた

 

「もちろん、これは強制じゃないよ? 僕はまだまだ、ここに慣れてないから、サポートしてくれる人が居ると助かるんだ」

 

明久がそう言うと、静歌は呆然とした表情で

 

「私で……いいんですか……?」

 

と問い掛けた

 

すると、明久は微笑んで

 

「うん……雅さんは仕事が忙しいみたいだし、巴ちゃんは除外。くす姉や悠さんは生徒会が忙しいみたいだからね……それに、静歌ちゃんなら、この学園に詳しいでしょ? だから、静歌ちゃんにお願いしたいんだ」

 

と言った

 

すると、静歌は目尻に涙を浮かべて

 

「私……頑張って、明久さんのお世話……します!」

 

と嬉しそうに言った

 

それを聞いた明久は、頷くと

 

「それじゃあ、これからもよろしくね?」

 

「はい……よろしくお願いします!」

 

静歌は嬉し泣きしながら、明久に抱きついた

 

こうして、新しく一組のコンダクトが誕生した

 

だが、この時二人にはこの先に起こる騒動は予想だに出来なかった……

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