僕と水泳とお嬢様   作:京勇樹

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進む崩壊

「………………ゴポッ! ブッハ!」

 

潜っていた明久は、息苦しさを感じて上がった

 

「はい、そこまで! 悠さん、タイムは?」

 

明久が出てきたのを確認して、小早川先生はストップウォッチを持っていた悠に視線を向けた

 

「一分三十秒です」

 

悠の告げたタイムを聞いて、腕組みしながら

 

「うーん……全盛期の半分以下かぁ……」

 

と唸った

 

「全盛期はどれくらい潜れたんですか?」

 

小早川先生が問いかけると、明久はプールサイドに上がってから

 

「大体、四分半位でしたね」

 

と答えた

 

それを聞いて、小早川先生は持っていたボードの用紙にサラサラと書き込むと

 

「確認しますが、これらの記録は全て事故前の記録と比較すると、半分以下なんですね?」

 

と明久に問い掛けた

 

すると、明久は水抜きをしてから

 

「そうですね。完全に半分以下です」

 

と答えた

 

水泳部に来た初日、明久はまず、今の自分の実力を知るために記録取りを行った

 

それによって分かったのは、全てに於いて半分以下になっているという事実だった

 

そのことに小早川先生は何か考え始めて、明久は腕組みしながら唸り始めた

 

(これを期に、走り込みとか始めようかな……)

 

と考えていると、悠が明久の肩に手を置いて

 

「明久君、焦ったらダメだよ? リハビリっていうのは、根気が大切なんだ」

 

と語った

 

「そうですよ。駐在医師の方も、根気良く行きましょう。と言ってたじゃないですか」

 

「悠さん、小早川先生……ありがとうございます」

 

悠と小早川先生の言葉に、明久は素直に頭を下げた

 

その後、小早川先生は一度離れたが、悠は明久に最後まで付き合った

 

そして活動時間が終わり、明久を含めた水泳部メンバーは着替えて外に出た

 

しかし、外に出た明久は驚いた

 

なぜなら、出入り口で静歌が立っていたからだ

 

「静歌ちゃん!?」

 

「あ、明久さん!」

 

明久が驚愕の声を上げると、静歌は嬉しそうに笑みを浮かべて近寄ってきた

 

「なにしてるのさ、今日は先に帰っていいよって言ったじゃん」

 

明久がそう言うと、静歌ははにかんで

 

「私、明久さんのコンダクトですから!」

 

と言った

 

そう言われると明久としては怒れなくて、ため息を吐いた

 

「コンダクト? 結んだのかい?」

 

と悠が問いかけると、明久は耳打ちするように

 

「オフレコでお願いしますね。僕、エトワールのことを、まだよく分かってないんで、頼んだんです」

 

と言った

 

すると、悠は納得したのか頷いて

 

「なるほどね。そういうことなら、静歌くんは最適だね。彼女は初等部から居るからね」

 

と言った

 

ここ、聖エトワール女学院はエスカレーター式の女子校であり、初等部、中等部、高等部とあるのだ

 

大学部もあるが、大学部は任意であり、大学は外の大学に行くことも出来る

 

なお、悠は外の運動系の大学に進もうと思っているらしい

 

閑話休題

 

その後、明久達は一緒に寮まで戻った

 

だが、生け垣の根元が一瞬光ったのは気付かなかった

 

翌日

 

「また、このパターン!?」

 

「今度はなんですかぁ!?」

 

明久と静歌の二人は朝から走っていた

 

二人が校舎に近づいたら、校舎の中から大勢の少女達が明久達目掛けて駆け出してきたのだ

 

そして、二人が走っていたら

 

「明久さん、こっちです!」

 

と目の前の別れ道で、一人の少女が手を振っていた

 

「君は確か、水泳部の!?」

 

「早く!」

 

明久が驚いていると、水泳部の少女は明久達を手招きした

 

「とりあえず、今は!」

 

明久は思い出すのを後回しにして、そっちに走った

 

すると、その先にまた一人の水泳部の少女が居て

 

「ここに入ってください! 早く!」

 

とドアを開けた

 

「南無三!」

 

明久は少女の言葉に従って、そのドアに飛び込んだ

 

明久達が飛び込んだ直後、ドアが閉まった

 

そして、数分後に再びドアが開いて

 

「もう大丈夫ですよ」

 

と先ほどの少女が言った

 

「ありがとう」

 

明久が出たタイミングで、雅と巴が現れて

 

「また新聞部ね」

 

「今度はコレです」

 

と一枚の紙を差し出した

 

明久が受け取って見ると見出しには

 

《驚愕! 早くも愛人多数!?》

 

というもので、それは昨日の帰りの写真だった

 

「なんじゃこりゃ!?」

 

明久は思わず、驚愕の声を上げた

 

そして、記者の名前を確認すると

 

《古升恭子》の名前があった

 

「また、こいつかぁ!」

 

明久は叫び声を上げながら、新聞を引き裂いた

 

明久はガルルルと唸るが、それを静歌は何とか宥めて教室へと向かった

 

昨日の新聞と合わせてか、明久や静歌への視線の集中が激しかった

 

そして、放課後

 

「あの新聞部、どうしてくれようか……っ!」

 

明久はグルルルと唸っていた

 

「まあまあ、明久くん。落ち着いて」

 

「今、星令会と職員会議で処分を検討してるから」

 

悠と久住が宥めるが、明久はまだ唸っていた

 

その直後

 

「そうですよ、明久さん」

 

「え?」

 

水泳部では聞こえない筈の声を聞いて、明久は声の方に顔を向けた

 

そこに居たのは、水着を着た静歌だった

 

「し、静歌ちゃん!?」

 

「仮入部って形で、入りました」

 

明久が驚愕していると、静歌は朗らかに笑いながら答えた

 

「明久くんのサポートをしたいって言ってね、許可したよ」

 

「凄い熱意だったよ」

 

悠と久住が続けて言うと、明久は頭を掻いてから

 

「無理はしないでね」

 

「はい!」

 

明久の言葉に、静歌は嬉しそうに頷いた

 

この時、明久は気づいていなかったが、静歌の顔色は僅かに白くなっていた

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