全校集会が終わって、数時間後の昼休み
「ようやく、来れた……」
明久は疲れた様子で医務室へと到着した
全校集会が終わって、明久はすぐに医務室へと来ようとした
だが、そんな明久の周囲を大人数の女子達が囲んで質問攻めしたのだ
その後も明久は、休み時間の度に来ようとした
だが、その度に女子達が囲んできては質問攻めしてきたのだ
そして、昼休みは雅の手助けもあってなんとか来れたのだ
具体的に言うと、巴がロープを用意し雅に手渡していて、昼休みに入ってすぐに雅が明久にロープを渡したのだ
そして明久は、そのロープを使って窓から脱出
医務室へと来たのだ
これに関しては、後から怒られる可能性が非常に高いが、明久は後悔してない
「失礼しまーす……」
ゆっくり入ると、医師が明久に視線を向けて
「あら、お疲れのご様子だけど……大丈夫?」
と言ってきた
「なんとか、大丈夫です……静歌ちゃんの様子はどうですか?」
明久が問い掛けると、医師はベッドを指差して
「まだ寝てるわ。よほど疲れてたのね」
と言った
明久が視線を向けると、確かに、静歌はスヤスヤと寝ていた
顔色はかなり良くなっており。呼吸も最初よりは安定していた
「良かった……」
明久が安堵していると、机の電話が鳴り医師が取った
そして、少しすると受話器を戻して
「ごめんね、少し職員室に行かないといけないから、彼女を見ててくれないかしら? すぐに戻るから」
医師はそう言うと、医務室から出ていった
明久は医師を見送ると、ベッド脇の椅子に座って
「大丈夫そうで、良かったよ……」
と言いながら、静歌の頭を撫でた
そして昼休みも終わり、更に数時間後
「ん……あれ? ……ここは?」
と静歌が寝ぼけた様子で起きた
「あ、起きた?」
「……明久さん? …………っ!?」
明久が声を掛けると静歌は恥ずかしいからか、布団で顔を隠した
「あれ? おーい、静歌ちゃん?」
明久が再び声を掛けると、静歌は僅かに布団から顔を覗かせて
「えっと……なんで、私は医務室に?」
と明久に問い掛けた
「ん? 静歌ちゃん、全校集会で倒れたんだ。それを、僕が運んだの」
明久がそう説明すると、静歌は数秒してからガバリと起き上がって
「そうです! 全校集会はどうなったんですか!?」
と明久に問い掛けた
「ん? 無事に終わったよ……後、新聞部には処分が下されたから、もう、僕達関連の記事は出さないはずだよ」
明久の説明を聞いて、静歌は安堵した様子で
「良かったです……これで、明久さんが安心してリハビリに専念出来ます……」
と言った
すると、静歌の目から涙が零れ始めた
その理由に関して、明久はなんとなく察していた
静歌はかなり責任感が強い
恐らく、今回の騒動に関しても自分の責任と考えているだろう
もしかしたら、エトワールに呼ばなくても、他にやり方があったのではないかと、そう考えて眠れなかった筈だと
「あ、あれ? すいません……いきなり泣いてしまって……すぐに、泣き止みます……」
静歌はそう言いながら涙を拭っているが、明久は静歌を優しく抱き締めて
「僕は大丈夫だよ、静歌ちゃん」
と優しく言った
「明久……さん?」
静歌が不思議そうにしていると、明久は優しく静歌の頭を撫でながら
「僕はエトワールに来れて、嬉しかったんだ……皆に会えたしね……なにより、静歌ちゃんに会えたしね」
「明久さん……」
明久はそう言うと、静歌を離して
「静歌ちゃんのおかげで、僕は夢を諦めずに済んだんだ……実を言うとね、少しばかり、諦めかけてたんだ」
「え?」
明久の言葉が予想外だったのか、静歌は固まった
「病院から退院して、自主練をしてたんだけど……かなり酷かったのは知ってるよね?」
明久がそう言うと、静歌は無言で頷いた
「実はさ、それで結構悪口言われてたんだよね。部活の仲間や学校全体で」
『無駄な努力』
『怪我人なんて、所詮は二級にしかなれない』
『諦めろ、役立たず』
それらの悪口が明久に投げかけられ、明久の精神は非常に危うい均衡だったのだ
それを知っていたので、海や愛子が近くに居て支えていた
もちろん、部活仲間の中には明久を励ましたり、支えてくれている生徒達が居たのだが、焼け石に水だった
「そんな時、エトワールに呼ばれたんだ……まあ、少し悩んだけどね」
明久はそう言うと、静歌に視線を向けて
「だから、静歌ちゃんは責任を感じなくていいんだよ。全部、僕が決めたことだからね」
と言った
すると、静歌は明久に抱き付き
「ありがとうございます……ありがとうございます……」
と泣き始めた
そして明久は、静歌が泣き止むまで、静歌を優しく抱きしめたのだった