全校集会から数日後、明久達は何時も通りに登校していた
すると、近くを通った女子が
「おはようございます。会長、副会長、お姫様……
と挨拶すると、恥ずかしそうに足早に去った
女子の挨拶の言葉を聞いて、雅が意地の悪い笑みを浮かべて
「
と明久に言った
「ガラじゃないんだけどなぁ……」
雅の言葉を聞いて、明久は苦笑いを浮かべながら頬を掻いた
明久としては、何とも恥ずかしい二つ名である
そして、明久が話した来ることになった理由を聞いて、周囲の生徒達は明久に同情するようにすらなった
だからか、明久がリハビリに向かうと応援する女子すら居た
そして、月は変わって11月
明久は変わらないが、久住達は冬服へと変わっていた
紅葉も大分散って、段々と冬化粧を始めていた
明久のリハビリも順調に進み、少しずつではあるが、事故前に戻ってきていた
だが、まだ先は長いと明久は思ってはいたが、諦めないように頑張ろうと思った
そして、時は経ち放課後
「さってと……部活に行くかな」
と明久は言うと、静歌と一緒に教室を出ようとした
その時
「随分と仲良くなったみたいね、明久」
と雅が明久に声を掛けた
「そうかな?」
雅の言葉を聞いて明久は首を傾げるが、雅は何とも意地の悪い笑みを浮かべて
「だって、隙間がほとんど無いじゃない」
と雅は、明久と静歌の間を指差した
確かに雅の言った通り、二人の隙間は拳一つ分有るか無いかというものだった
それを見た瞬間、静歌は顔を赤らめて少し離れた
「しかも、あの集会から静歌は足繁く通ってるみたいだし……まるで通い妻みたいね」
雅がトドメ気味にそう言うと、静歌はハウッと声を上げてから
「通い妻……私が、通い妻……」
と呟きながら、頬を緩めた
明久はそれを見てから、視線を雅に見せて
「まあ、静歌ちゃんは気立てはいいし、覚えもいいけどさ。それは雅ちゃんも一緒じゃないの?」
と言うと、雅は呆然とした表情を浮かべて固まった
「だってさ、何気に気配り上手だし、面倒見もいいし、料理もかなり上手だったし」
と明久が立て続けに言うと、雅は顔を赤らめて
「な、ななな……」
と狼狽した
「あの新聞部の騒ぎの時だって、かなりお世話になったし……僕自身としては、仲良くなりたいんだよ?」
明久がそう言うと、雅は明久から視線を逸らして
「明久……よく、そういう恥ずかしいセリフが言えるわね」
「え? 僕の本心なんだけど」
雅の言葉を聞いて明久がキョトンとしていると、雅は深々と溜め息を吐いてから
「明久……そういう言葉は、あまり言わないほうが良いわよ?」
と忠告した
「え? なんでさ」
雅の忠告の意図が分からず、明久は首を傾げた
「なんでもよ……それじゃあ、私は仕事があるから」
「あ、うん。頑張ってね」
撮影に向かう雅を見送って、明久は手をヒラヒラと振った
そして、雅が見えなくなると
「それじゃあ、僕達も行こうか」
と静歌に視線を向けて、明久は固まった
「はい……行きましょうか、明久さん」
そこには、笑顔ではあるが、怖い笑顔を浮かべている静歌が居た
「あ、あれ? なんか、怒ってる?」
なぜ怒っているのかが分からず、明久は僅かに後退りした
「いえいえ……怒ってなんか、いませんよ?」
静歌はそう言うと、明久の腕をガシッと掴んで
「それじゃあ、行きましょうか。明久さん!」
と言うと、明久を引きずり出した
「待って!? 自分で歩くから、引っ張らないで!?」
明久は抗議するが、静歌は無視して引き続けた
その光景を見て、クラスメイト達は心中で明久に向けて合掌した
十数分後、プール
「今日もお願いします!」
と明久が挨拶すると、黄色い声が響いた
明久と静歌が視線を向けると、そこに見えたのは、観客席を埋め尽くさんばかりに居る部活に所属していない女子達だった
その密集具合はまるで、人気アイドルのコンサート会場であった
その密集具合を見て、明久は溜め息混じりに
「また人数増えてるし……」
「はい……昨日よりも、確実に増えてますね……」
明久の呟きを聞いて、静歌は同意した
明久としては、静かにリハビリに集中したいところである
しかし、歓声を上げてはいるものの、邪魔してるわけではないので、現状では、意識しないようにするしかなかった
そして、明久が準備運動していると
「はい。皆さん、集まってください!」
と小早川先生の声が聞こえた
どうやら、今来たらしい
明久は準備運動を終わらせて、小早川先生の所に向かった
そして、小早川先生は部員達に指示を出すと、明久に対して
「明久君は、今日はタイムを計りましょうか」
と言った
「今どの位出来るか分かっておくのも、大切ですから」
小早川先生がそう言うと、明久は頷いてから
「わかりました! 僕は大丈夫です!」
と言った
明久の言葉を聞いて、小早川先生は頷いてから悠に視線を向けて
「悠さんはタイムの計測をお願いしますね」
と言った
「はい、わかりました。静歌くん、手伝ってくれるかな?」
「はい!」
小早川先生の頼みを聞いて悠は頷くと、静歌に補助を頼んだ
その頃、久住は更衣室に駆け込んでいた
「ああー……もう始まってるよね、急がないと」
久住はそう言うと、手近なロッカーを開けて着替え始めた
久住が遅れた理由は、星令会での書類の量がダントツに多かったからである
悠も同じ位の量だったが、悠は手際良く片付けて一足先に部活動へと向かったのである
久住も急いで片付けると会室から出て、周囲に人が居ないのを確認してからダッシュ(本人にとっては全速力)で来たのである
そして久住は水着に着替えると、自分の大きな胸を見て深々と溜め息を吐いた
久住的には、自分の大きな胸が苦手であった
服や下着を選ぶのも面倒になり、なによりも外に出た際に向けられる男性のイヤらしい視線が嫌いだった
だが、今はさして気にしていなかった
なぜならば、思いっきり明久を抱き締められるからである(明久としては、窒息の危機)
明久を抱き締めると幸せな気分になれるし、何よりも明久も気にしている様子だからである
そう思うだけで、久住は笑みがこぼれた
そして、着替えた制服を見苦しくないように簡単に畳んでからしまってから
「それじゃあ、行きましょうか」
と呟くと、プールの方へと向かった