僕と水泳とお嬢様   作:京勇樹

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遅くなって、すまない
今月は、筆が進まないんだ


出場競技

「体育祭、かあ……」

 

と呟いたのは、プールで小早川先生から説明を聞いた明久である

 

これから約二週間後、エトワールで体育祭が行われるという話だった

 

それにより、これから二週間は体育祭の準備や練習を最優先にし、部活動は休止することが決まった

 

それを聞いて、明久はどうしようか考えた

 

正式名称は、育身祭

 

それが、エトワールによる体育祭の名前だ

 

そして翌日、クラスで配られた紙を見ながら、明久は雅と静歌の二人を交えて話し合っていた

 

ただし、その競技内容が一般とはかけ離れていた

 

「えっと……ダンスにバレエ、新体操にフィギュアスケート……いや、出るわけにはいかないし、無理だからね?」

 

明久はプリントに書かれている競技内容を見て、思わず机にうつ伏せになった

 

そして、顔だけ上げると

 

「もっと普通の競技はないの……」

 

と呟いた

 

すると、雅が苦笑いを浮かべながら

 

「あると思う? あっても、簡単には出られないわよ」

 

「デスヨネー……」

 

雅の言葉を聞いて、明久はうなだれた

 

そして、さあどうしようか。と明久は本気で悩んだ

 

なお、体育会系の明久としては、サボるという発想はない

 

だが、今回は本気でどうしようかと、明久は悩んでいた

 

この時明久は気づいていなかったが、考えてみれば、明久は競技に出れない可能性が非常に高い

 

なにせ、明久はリハビリする為にエトワールに来ているのだ

 

それだと言うのに、競技に出てリハビリに支障が出たら、本末転倒もいいとこである

 

明久達はそれに気付かず、非常に悩んだ

 

しかし、それも仕方ないだろう

 

プリントにはキッチリと、全在校生参加(交換留学生含む)という文章があるのだ

 

そして、唸っていた明久はふと気になって

 

「そういえば、静歌ちゃんは何に出るの?」

 

と静歌に問いかけた

 

すると、静歌ははにかみながら

 

「えっと……私は乗馬です」

 

と答えた

 

「乗馬!?」

 

静歌の答えに驚愕し、明久は視線をプリントに向けた

 

すると、確かにかなり下の方に《乗馬》という、競技が書かれてあった

 

「私、運動があんまり得意では無いんですが、乗馬は昔、お父様に習ったので、得意なんです」

 

静歌が得意気にそう言うと、明久は感心したように頷いて

 

「乗馬かぁ……凄いなぁ……」

 

と呟くと、静歌が馬に乗っている姿を想像して

 

「うん……よく似合ってると思うよ?」

 

と言った

 

すると、静歌は顔を赤くして

 

「あ、ありがとうございます。明久さんもどうですか?」

 

と問いかけた

 

だが、明久は首を振って

 

「お誘いは嬉しいけど、やめとくよ。乗馬は難しいって聞くし、たった二週間足らずでちゃんと乗れるようになるとは思えないしね」

 

と断った

 

すると、雅が同意するように頷いて

 

「そうよね。私も乗ったことあるけど、振り落とされないようにするのが大変だったわ」

 

と言った

 

すると、静歌がハッとした様子で

 

「そ、そうでした。考えてみたら、明久さんは乗馬したことないんですよね。すいませんでした」

 

と謝罪した

 

そんな静歌の頭を、明久は優しく撫でながら

 

「ううん……大丈夫だよ。まあ、また誘ってね?」

 

と言った

 

「はい!」

 

明久の言葉を聞いて、静歌は嬉しそうに頷いた

 

静歌の返事を聞いて、明久は競技選びに頭を戻した

 

すると、雅が意地の悪い笑みを浮かべて

 

「明久、バトントワリングとかどうかしら?」

 

とかなり下の方を指差した

 

だが、明久はいやいやと手を振って

 

「それも僕は素人だから、男だから、何よりも団体競技だから」

 

と言った

 

すると、雅はすっとぼけた様子で

 

「あら本当。私としたことが、見逃してたわ」

 

と言った

 

その雅の言葉に、明久は深々と溜め息を吐いた

 

そして、ゆっくりと探していると一つだけ明久が出来る競技があった

 

それを見て、明久は頷いてから

 

「決めた。僕、テニスにするよ」

 

と言った

 

すると、雅が驚いた様子で

 

「え? なんでテニスなのよ。他にも、こんなに競技があるのに」

 

と言った

 

「消去法だよ。僕がルールを知ってるの、テニスだけなんだよ」

 

明久がそう言うと、雅はあーと声を漏らしてから

 

「それもそうね……」

 

と言った

 

明久はなぜ、雅がそんな反応するのか考えた

 

そして、思い出した

 

「あ、そっか! 雅ちゃん、テニス部だったっけ!?」

 

それを知ったのは、ほんの偶然だった

 

それは、数日前の日曜日

 

明久が早朝ランニングをしていた時だった

 

明久があの公園の外周を走っていると、元気な声と共にボールを叩く音が聞こえた

 

それが気になり、明久はその音が聞こえた方に向かった

 

すると、雅と巴を含めたテニス部が練習をしていたのだ

 

なお、そのテニスコートは四面ある見事なテニスコートで、間には柵もあったから、一気に複数の試合が可能だろう

 

そして、雅はキリッとした表情で指導していた

 

どうやら、かなりのカリスマ性を有しているのかもしれない

 

「そうよ。もしかしたら、明久と戦うことになるかもしれないわね」

 

雅が優雅な笑みを浮かべながらそう言うと、明久は肩を竦めて

 

「お手柔らかにお願いね」

 

と言った

 

すると、雅はふふっと笑い

 

「まあ、明久と当たるとは限らないけどね」

 

と言った

 

こうして、出場競技が決まったのだった

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