翌日、明久は朝練のために早くに登校した
すると、海が駆け寄ってきて
「明久、あれ知ってるか!?」
とある方向を指差した
その方向を見ると、屋外プールが工事していた
「なにこれ……ん?」
その時明久は、その工事の施主の名前を見た
《高鷲グループ》となっていた
すると、僅かに遅れて登校してきた雅が
「御父様、本当に仕事が早いわね」
と呟いた
明久は雅に視線を向けて
「雅、どういうこと?」
と問い掛けた
すると、雅は
「聞いた話しだと、明久達はこの寒い中で泳ぐこともあるみたいじゃない? でもそれだと、何時か絶対に体調を崩したり、何かしらの事故が起きるわ。だから、プールを屋内型にして、更に温水プールにしてもらうように御父様に頼んだのよ」
と説明した
それは事実だった
明久も一年生の時に、寒中水泳を経験している
はっきり言って、満足に体が動かせないのだ
だから、今年は海の方針もあり、寒中水泳はしないことにしていた
例年寒中水泳をしていて、大抵一人か二人は体調を崩す男子が居たのだ
海はそこを重視したのだ
しかし、やはり泳げないのは手痛い
近くには屋内型温水プールも経営しているが、簡単に借りることは出来ない
お金が掛かるのだ
男子水泳部は二年前に大敗してしまい、部費が大きく削減されてしまったことが大きい
それまでは、週一だったが借りられていたらしい
「けど、よく引き受けてくれたね?」
明久がそう問い掛けると、雅が
「将来への未来投資ですって」
と言った
つまりは、明久の将来のためらしい
それを聞いて、明久は額に手を当てて
「なんか、一気にハードルが上がったなあ……けど、正直ありがたいかな……期間は、一ヶ月? 早いね」
「高鷲グループは元々、ホテル経営からグローバル化した企業だからね。短期間で工事するのは慣れてるわ」
明久の疑問に、雅はそう答えた
それを聞いて、明久はエトワールの寮が高鷲グループの提供だったことを思い出した
確かに、長期間工事していたら収入は得られないだろう
ならば、短期間工事で終わらせるのは道理だ
その時、海が
「とりあえず、僕は詳しい話を学園長から聞いてくるから。皆は予定通り走り込みしてきて」
と指示を出して、校舎へと向かった
その指示に従い、明久達は走り込みへと向かった
そして、数時間後
明久は体育の授業で、マラソンをしていた
文月学園では、もうすぐマラソン大会が行われるのだ
それの練習とコースを覚えるために、走っていた
やはり、リハビリのおかげで体は軽かった
その時、それまで一人だった明久の横に誰かが駆け寄ってきた
視線を向けると、隣を走っていたのは雅だった
「雅、足早いね。流石、テニス部主将だ」
「これくらい、軽いほうよ」
明久の言葉に、雅は余裕そうに答えた
確かに、大して息を乱していない
そして学校帰りに、明久達は二人で買い物に出ていた
「んー……今日は、何にしようかな……」
と明久が唸っていると、雅が
「んー……そうね……久しぶりに、青椒肉絲にしない?」
とリクエストした
それを聞いて、明久は少し考えると
「うん、それにしようか」
と頷いた
そして二人は手早く買い物を済ませると、帰路に着いた
しかし、この時二人は気づくべきだった
騒動が、すぐそこまで迫ってきていることに