僕と水泳とお嬢様   作:京勇樹

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原作とは違い、この人もヒロインです
作者は彼女が好きなんよ!!


再会と二人目

静歌が泣き出して、数分後

 

「すいませんでした……みっともない所を見せました」

 

落ち着いた静歌は、目元を赤くしたまま頭を下げた

 

「いやいや、大丈夫だよ。むしろ、誰にも見られなくって良かったよ……」

 

明久はそう言いながら、苦笑いを浮かべると共に頬を掻いた

 

ここ、エトワール女学院は文字通り女子校で、明久は男である

 

下手したら、即刻捕まるだろう

 

「それでは、これから寮まで案内しますね」

 

「あ、うん……お願い」

 

そして、明久は静歌の案内によってエトワール女学院の寮へと向かった

 

「ねえ……寮……だよね?」

 

「はい、そうですが?」

 

明久からの問い掛けに、静歌はキョトンとしていた

 

「……」

 

明久は呆然としながら、目の前の建物を見た

 

そこに建っているのは、十数階建てに匹敵するホテルだった

 

しかも、豪華ホテルと呼べるレベルだった

 

「この寮は、生徒の親御さんが学院に提供されたんです」

 

明久が驚愕している理由を察したのか、静歌は明久に説明した

 

それでも、明久は固まったままだった

 

「とりあえずは納得したよ……中に入ろう」

 

明久はそう言うと、静歌と共に中に入った

 

中に入ると、明久は警備員に止められたが、静歌が説明すると警備員は納得して離れた

 

そして、小早川先生から鍵を貰い明久は部屋へと向かった

 

そして、十数分後

 

「ふう……これで、大体終わったかな?」

 

明久は、自室に届いていた荷物の開封を終えていた

 

なお、この後に明久は静歌と一緒に食堂に行くことを約束している

 

だが、食堂に行く時間にはまだ早かった

 

「そうだ……明日の準備しよう」

 

明久はそう思い立つと、備え付けの机に並べておいた教科書に手を伸ばした

 

が、すぐに固まった

 

「しまった……時間割知らないし、教科書も違うはず……」

 

明久が机に置いていた教科書は、文月学園で利用していた教科書だった

 

もちろんの事、同じ教科書を使っている学校もあるだろう

 

だが、生粋のお嬢様学院たるエトワールが使っているとは、明久には到底思えなかった

 

もしかしたら、教科書はある程度使えるかもしれないが、時間割を知らないというのは割と問題だった

 

「どうしよう……そうだ、小早川先生の部屋に連絡してみよう……」

 

明久はそう思い付くと、部屋に備え付けられている電話に近づいた

 

そのタイミングで、チャイムが鳴った

 

「あ、もしかして小早川先生かな……はーい、今開けます!」

 

明久はこれ幸いにと、ドアに近寄って開けた

 

が、そこに居たのは小早川先生ではなく、静歌でもなく、まったく別の美少女だった

 

「あっ♪」

 

そしてその美少女は、明久を見ると嬉しそうな笑みを浮かべた

 

そして、その笑顔に明久は見覚えがあった

 

それは、何年も前に出会っていた従姉妹に

 

「えっと……間違ってたら、ごめんなさい」

 

「うん、なぁに?」

 

明久が一言断ると、その少女はニコニコと笑みを浮かべた

 

「もしかして……くす姉?」

 

「っーー!!」

 

明久が久しぶりにその名を口にすると、その少女は嬉しさからか顔を赤くして

 

「アキくーん!!」

 

明久ですら反応が遅れる速度で、抱き締めた

 

「うわっ!? くす姉!?」

 

「もう! もう! もう!! 心配したんだからね!?」

 

明久がくす姉と呼んだこの少女の名前は、苧島久住(おのしまくすみ)

 

明久の従姉妹に当たる少女である

 

とはいえ、明久が最後に会ったのは小学校に入る前なのだが

 

「本当に心配したんだからね!?」

 

「わかった! わかったから、離して!?」

 

「いーやー!!」

 

明久の抗議も虚しく、久住は明久を強く抱き締めた

 

その力は、明久ですら引き剥がせないほどだった

 

身長的には久住のほうが小柄だが、久住の胸はかなり大きい

 

推定、Eくらいだろうか?

 

そんな巨乳に抱き締められた結果、明久の顔は完全に埋まっている

 

それによって引き起こされるのは……

 

(息が出来ない!!)

 

呼吸困難だった

 

明久はなんとか離してもらおうと暴れるが、久住は明久が驚愕するほどの力で抱き締めてくる

 

そして、明久の奮闘虚しく、明久の意識は途切れた

 

「がふぁ……」

 

明久がグッタリすると、ようやく久住は明久が気を失っていることに気づいて

 

「わぁ!! ごめんね、アキくん! 私ったら、つい嬉しくって!」

 

と離したが、時既に遅しである

 

「白目したらダメぇ! お願いだから、息をしてぇ!?」

 

そんな久住の悲鳴が、寮に木霊した

 

明久が意識を失って、十数分後

 

「うっ……ここは……」

 

明久は、あてがわれた自室のベッドで目覚めた

 

そして、そんな明久の部屋の一角では

 

「まったく……嬉しいのはわかるけど、気絶させてどうするの、久住」

 

「ごめんなさい……」

 

久住が知らない美少女にお説教されていた

 

「あのぉ……」

 

明久が声を掛けると、二人は明久が起きたことに気づいたようだ

 

「あ、起きたんだね。良かったよ」

 

「ごめんね、アキくん」

 

久住を説教していたボーイッシュな美少女は近寄ってきて、久住も正座から立ち上がろうとしたが

 

「久住はそのまま」

 

「はい」

 

ボーイッシュな美少女に言われて、即座に正座した

 

それを見ただけで、明久はなんとなく力関係を把握した

 

「君も災難だったね……吉井明久くん」

 

ボーイッシュな美少女は、明久に近づいてからそう言った

 

「あれ……僕の名前……?」

 

明久は名乗っていないのに、目の前の美少女が知っていることに首を傾げた

 

すると、美少女は微笑んで

 

「君のことは知っているよ。あの大会でね」

 

と言った瞬間、明久も思い出した

 

大会参加者に送られた参加者名簿に、エトワール女学院の生徒が珍しく明記されていたことに

 

桐島悠(きりしまゆう)さん……ですか?」

 

明久がそう問い掛けると、美少女こと悠は笑顔で頷いて

 

「うん、そうだよ」

 

と肯定した

 

エトワール女学院はお嬢様学院ということもあり、大抵は他の女子校などと同じ場所で試合を行うのだ

 

だが、今年は近年では珍しく他の女子校は軒並み予選で敗退しているか、参加を見送っていたりしていたのだ

 

その結果、近い地区で生き残っていた女子校はなかったのだ

 

それが理由により、エトワール女学院が珍しく共学校と同じ場所で試合に臨むことになったのだ

 

「それに、僕も君のことが気になってたんだ。先生が要注意兼将来有望な選手として挙げてたんだ」

 

悠のその言葉を聞いて、明久は水泳部の顧問が小早川先生だったことを思い出した

 

「それに僕としては、君に感謝したいんだ」

 

「感謝?」

 

悠の言葉に明久が首を傾げていると、悠は姿勢を正して

 

「あの時、助けてくれてありがとう」

 

と言いながら、頭を下げた

 

それを聞いた明久は、事故の時に静歌の他にもう一人居た事を思い出した

 

そして、その人物が目の前の悠と重なった

 

「ああ! あの事故の時の!」

 

明久がポンと手を叩くと、優は頷き

 

「そう。あの時僕は、たまたま散歩に出ていてね。あの現場に静歌くんと一緒に遭遇したんだ」

 

と説明した

 

「なるほど……」

 

悠の説明を聞いて、明久が納得していると

 

「ゆ、悠? そろそろ、足が大変なことに……」

 

という、久住の言葉が聞こえた

 

二人が視線を向けると、久住の足がプルプルと震えていた

 

「仕方ないね……いいよ、足を崩しても」

 

悠が許可すると、久住はグテーと寝そべった

 

その光景を見て、明久は苦笑いを浮かべていると、ピーンと頭上に電球が灯った

 

「そういえば、くす姉はどうして来たの?」

 

明久が問い掛けると、久住は上半身を起こして

 

「そうだよ! 小早川先生に頼まれて、教科書とかを渡しに来たんだ!」

 

と言って立ち上がろうとするが、すぐに倒れ込んだ

 

「どうしたの、久住?」

 

悠が問い掛けると、久住はジタバタしながら

 

「足が痺れた……」

 

と答えた

 

「くす姉、何分間くらい正座したんですか?」

 

明久が問い掛けると、悠は溜め息混じりに

 

「大体、十分くらいなんだけど……」

 

と言いながら、居間に当たる部屋に向かった

 

「さすがはくす姉……安定の運動音痴だね……」

 

悠の説明を聞いて、明久は苦笑いを浮かべた

 

なにせ、久住は明久が記憶している限り昔から運動能力が悪かった

 

何もない所で転ぶのは当たり前

 

満足に自転車すら乗れない

 

という徹底ぶりである

 

そのことに明久が懐かしがっていると、悠が両手で数冊の本を持って現れた

 

「はい。これが、明久君用の教科書と、所属するクラスの時間割だよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

明久は優が差し出した束を受け取った

 

そして、渡された教科書を見ると、やはり文月学園の物とは違っていた

 

そのことに明久は安堵すると、視線を未だにジタバタしている久住に向けて

 

「そういえば、くす姉は何でエトワールに居るの?」

 

と問い掛けた

 

すると、ようやく痺れが収まってきたのか、久住は立ち上がって

 

「何でって、生徒だからに決まってるでしょ?」

 

心外だな、という風体で答えた

 

それを聞いた明久は、手をポンと叩いて

 

「ああ……そういえば、くす姉の実家もお金持ちだったっけ」

 

と言った

 

「ちょっ!? それってどういう意味よー!」

 

明久の言葉を聞いて、久住は問い掛けた

 

すると、明久はコメカミ辺りを掻きながら

 

「うん……すっかりと忘れてた」

 

視線を逸らしながら、気まずそうに答えた

 

「そんなぁ!?」

 

明久の言葉を聞いて、久住は目元に涙を滲ませると

 

「悠ー! アキくんに忘れられてたー!」

 

と、優に泣きついた

 

「はいはい……ヨシヨシ」

 

その泣きついた久住に対して、悠は手慣れた様子で頭を撫でた

 

その時、明久と悠の視線が合い

 

(苦労してるんですね……)

 

(その様子じゃあ、キミもか……)

 

なぜかアイコンタクトが成立して、二人の間に不思議な結束力が生まれたのだった

 

 

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