僕と水泳とお嬢様   作:京勇樹

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流転

走り始めて約二時間後、車は明久の実家に到着した

しかも、普段は玄関前に止めるのに、車庫に入れた

それを見て、明久は何か起きてると察した

そして、家の中に入り居間に入った

そこには、ある人物達が居た

 

「御父さん! 御母さん!」

 

そこに居たのは、久住の両親だった

二人の服装は、如何にも私服だった

両親を見た久住は、駆け寄って抱き付いた

悠はそれを安心した表情で見守り、明久は明恵に

 

「何が起きてるの?」

 

と問い掛けた

すると明恵は、小声で

 

「今苧島書店は、東藤淳二に乗っ取られたのよ」

 

と言った

それを聞いて、明久は

 

「乗っ取られた?」

 

と言いながら、首を傾げた

すると、久住の父親が

 

「東藤家は元々、苧島書店グループを裏から支える家なんだよ」

 

と言った

それを聞いた久住は

 

「そんな家があったんだ……」

 

と言った

どうやら、久住も初めて知ったらしい

 

「苧島家と東藤家は裏表の関係でな……苧島家が表に出て、書店グループを経営する。東藤家は書店グループに敵対する者達を排除する役割を担っていた」

 

大規模になると、敵対者が現れるのは仕方ないだろう

顧客を奪いたい

苧島家自体を潰したい

様々な理由で、敵対者は現れる

それを排除するのが、東藤家の役割らしい

 

「東藤淳二は、その東藤家の者なのだがな……相当な野心家らしい……去年の頭辺りから内部工作を始めていたようだ……同調者達を集めて、苧島書店グループを乗っ取る計画を立てていたんだよ……気が付いた時には、半数近くの上層部のポストが、東藤淳二の同調者に占められていた……私達を含めて、命を狙われた者達は今は身を隠しているんだよ」

 

「そんな……」

 

父親の話を聞いて、久住は座り込んだ

まさか、そのような事態だとは思っていなかったようだ

 

「それで家の情報網に、そいつが文月学園のプール工事を始めたって聞いてね。念のために動いたのよ」

 

明恵がそう言うと、明久は納得した様子で

 

「なるほど……あのトラックは、それか」

 

と呟いた

すると明恵が

 

「トラック? 何があったの?」

 

と問い掛けた

すると、悠が

 

「実は……」

 

と説明を始めた

そして、聞き終わると

 

「もう直接的な方法で来たのね……予想より早かったわね」

 

と頭を掻いた

そして、少し黙考すると

 

「お義兄さん、お義姉さん、セーフハウスを何とか用意するわ。しばらくは不便だけど、そっちに居てくださいね」

 

と言った

すると、明久に視線を向けて

 

「明久。悪いけど、しばらくはここから登校してもらうことになるわ。多分、学校内では手出ししない筈よ」

 

と言った

それを聞いた明久は

 

「わかった。なんとかするよ」

 

と返答した

それを聞いた明恵は、部屋から出た

だが翌日、余りにも予想外な事態が起きた

昼過ぎ、明久達のクラスはマラソン大会のためのコース確認で走ることになっていた

その準備体操を終えて、明久は何の気なしに周囲を見回した

その時明久は、ある一角のフェンス間際に一台のバンが止まっていることに気が付いた

それ自体は、何ら珍しい光景では無い

だが、そのバンの後部の窓が開いていて、中から黒い物が見えた

その直後

 

「全員、何処かに隠れろぉぉぉ!」

 

と明久は大声を張り上げた

その瞬間、それは発射された

細長い矢が

静かに発射された矢は、風を切りながら飛んだ

明久が忠告したからか、矢は誰にも刺さることは無かった

監督役の先生はその車に視線を向けたが、車はギャギャギャと音を立てて走り去った

帰宅後、明久は起きたことを話した

すると明恵は

 

「つっ……相手の動きが速すぎるっ」

 

と憤っていた

そして久住は、顔を蒼白にしながら携帯を取り出した

そこには

 

《我々は本気だ。これ以上の事態を避けたいのならば、明日の昼までに下記の場所に来い》

 

と書いてあった

そして久住は、決意した

 

(これ以上、アキ君に迷惑は掛けられないよ……ごめんね、アキ君)

 

そして久住は、朝早くに姿を消した

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