僕と水泳とお嬢様   作:京勇樹

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これで、メインヒロイン達は全員登場です!


新たな出会い

久住が悠に泣きついて数分後、チャイムが鳴り

 

『明久さん、迎えに来ました!』

 

という、静歌の声が聞こえた

 

「ああ……もうそんな時間か」

 

明久はそう言いながら、時計に視線を向けた

 

時間は六時半を少し過ぎたところだった

 

「はい、今開けま……」

 

そこまで言いかけて、明久は気づいた

 

(これ、下手したら修羅場になるんじゃ……)

 

明久はそう思い、背後に視線を向けた

 

すると、いつの間にか久住が泣き止み、優雅に微笑んでいた

 

「いつの間に!?」

 

明久が驚愕していると、悠が苦笑いを浮かべていた

 

すると、再びチャイムが鳴り

 

『明久さん? どうしました?』

 

という、静歌の心配そうな声が聞こえた

 

「あー……うん、今開けるよー」

 

明久は気を取り直して、ドアを開けた

 

「明久さん、約束通り迎えに……」

 

静歌は中に居る久住と優を見ると、驚愕した様子で固まり

 

「会長に副会長! なぜここに!?」

 

と声を上げた

 

「会長、副会長?」

 

静歌の言葉を聞いて明久が首を傾げていると、悠が近づいてきて

 

「久住と僕は星令会という、いわば生徒会に当たる会長と副会長なんだ」

 

と説明した

 

悠の説明を聞いて、明久は久住を指差しながら

 

「会長? くす姉が?」

 

と首を傾げた

 

すると、その明久の呟きを聞いて、久住が微笑みながら

 

「明久くん。言いたいことがあるなら、はっきり言ったら?」

 

と告げた

 

久住の言葉を聞いて、明久は頷くと

 

「あの天然ボケのくす姉が生徒会長なんて、信じられない!」

 

と断言した

 

「て、天然ボケ……」

 

明久の容赦ない言葉に、久住はズルズルと座り込み

 

「悠! アキくんに天然ボケって言われたぁ!」

 

再び、泣きながら抱きついた

 

「わかった、わかったから落ち着いて、久住。キャラが崩れてるから」

 

悠はなんとか久住を落ち着かせようと、あやし始めた

 

静歌はその光景を見て、呆然としていた

 

「ねぇ、静歌ちゃん。ここでのくす姉って、どんな人?」

 

そんな静歌の表情を見て、明久は気になって問い掛けた

 

「……何時も冷静でありながら、微笑みを絶やさず、公平な判断を下す全員のお姉様です……」

 

「そっか……」

 

静歌の言葉を聞いて、明久は一旦久住に視線を向けると静歌に対して

 

「これからは、結構な頻度でくす姉のキャラ崩壊を見ることになると思うから、早く慣れてね」

 

と告げた

 

「……頑張ります……明久さんは会長とはどんな関係ですか?」

 

静歌は明久の言葉に頷くと、明久に視線を向けて問い掛けた

 

「ん? くす姉は従姉だよ。ここに通ってるなんて知らなかったけどね」

 

「そうなんですか……」

 

明久の答えを聞いて、静歌は納得した様子で頷いた

 

その後、明久と静歌は泣いている久住を悠に任せ(押し付け)ると食堂に向かった

 

食堂は時間もあって、既にかなり賑わっている

 

「えっと……空いてる席は……」

 

静歌が空いてる席を探していると

 

「静歌、こっち空いてるわよ」

 

という、静歌を呼ぶ声が聞こえた

 

静歌は声のした方向に顔を向けると、笑みを浮かべて

 

「雅ちゃん!」

 

と言いながら、そちらの方へ歩み寄った

 

その先に居たのは、二人の美少女だった

 

片方は長い髪にメリハリのあるスタイルが特徴で、もう一人は小柄な体格にサイドポニーテールが特徴の女の子だった

 

「もしかして、席を取っておいてくれたの?」

 

静歌が問い掛けると、長い髪の少女は

 

「ええ、そうよ。今日静歌が交換留学生を案内するって聞いてたから、念のためにね」

 

「ありがとう!」

 

長い髪の女の子の言葉を聞いて、静歌は謝辞を述べた

 

「ねえ、静歌ちゃん。この子達は?」

 

明久が問い掛けると、静歌はポンと手を打って

 

「ああ、すいません。紹介がまだでしたね」

 

と言ってから、長い髪の少女を示して

 

「こっちは、私の友達の雅ちゃんです」

 

と言うと、雅と呼ばれた少女は立ち上がり

 

「初めまして。ようこそ、聖エトワール女学院へ。高鷲雅(たかすみやび)。静歌と同じクラスよ」

 

と名乗った

 

「あぁ、どうも……吉井明久です。よろしく」

 

明久は名乗りながら、手を差し出した

 

すると、雅も自然と手を差し出して握手した

 

そして、握手して明久はすぐさま気づいた

 

(なにか、スポーツをやってるな……)

 

確かに、肌は柔らかくしっとりとしているが、意外にしっかりとしていて、力も強かった

 

「……静歌同様、私もあなたの事情は理解しているわ。いろいろ大変ね」

 

「まあ……非常に珍しい体験をさせてもらって、嬉しいかぎりだよ」

 

雅の言葉に明久は苦笑いを浮かべて返すと、雅は優雅な笑みを浮かべて

 

「フフッ……たしかに、ここで男性と会食なんて、滅多にあることじゃないわね」

 

と語った

 

そして、そんな雅を見て、明久は内心で首を傾げた

 

(そういえば……どっかで見たことがあるような……どこだっけ?)

 

明久が悩んでいる間、雅は隣に座っていたサイドポニーテールが特徴の少女に視線を向けて

 

「巴、次はあなたよ」

 

と声をかけた

 

「はいっ! 初めまして、先輩!」

 

「あ……はい?」

 

巴と呼ばれた少女に声を掛けられて、明久はその子に視線を向けた

 

日秀巴(ひびりともえ)、と申しますっ。皆さんの一つ後輩になります。よろしくお願いしますっ!」

 

「うん、よろしく」

 

明久は元気な女の子だなぁ、という印象を受けた

 

「今は私、お姉さま……雅さんのコンダクトとして、誠心誠意、お世話させてもらってますっ」

 

「……こん、だくと?」

 

「はいっ♪」

 

明久が首を傾げると、巴は嬉しそうに頷いた

 

「コンダクトは、下級生が上級生のそばに居て、そのお世話をする関係を指すんです」

 

明久が首を傾げた理由を察したのか、静歌が説明してきた

 

「へぇ……そういう決まりがあるんだ」

 

「規則ではないんですけれど、学生の間だけで昔からの習慣になっていますね。もちろん、強要できるものではなくて、双方の合意がないと、コンダクトは結べません」

 

静歌の説明を聞いて、明久は頷くと

 

「そんな習慣があるんだ……だったら、二人は結構お似合いかもね」

 

と言った

 

すると、巴はピョンピョンと跳ねながら

 

「聞きました、お姉さま? お似合いだそうですよ♪」

 

と嬉しそうに語った

 

「あー……はいはい。わかったから、はしゃがないの」

 

雅は子供のようにはしゃぐ巴を見て、落ち着くように諭した

 

その後、明久と静歌は席に座り、巴がメニューを持ってきた

 

「本当にホテルみたい……」

 

明久が呟くと、雅が

 

「みたい、じゃなくて実質的にホテルね……厨房に居るシェフは、帝国ホテルで総料理長を務めたことがあるし、その他のスタッフも全員、海外の有名店で働いた実績がある人達ばかりよ」

 

と説明した

 

「お金掛けすぎでしょ……」

 

明久の呟きを聞いて、雅は周りに視線を向けながら

 

「これだけのお嬢様たちが、毎日食べるんだもの。そのくらいは揃えないとね」

 

と語った

 

「流石はお嬢様学院……」

 

明久は期待と共に呟き、メニューを開いて固まった

 

「わぁ……今日も美味しそう。迷っちゃうなぁ」

 

「あら、今夜はロシアもあるのね。男性にはちょうど良かったんじゃない?」

 

明久と同じようにメニューを見て、静歌と雅がそう言うが

 

「おぅ……」

 

明久としては、何が書いてあるのかサッパリ理解出来なかった

 

達筆な字で書かれている外国の言葉の下に、申し訳程度で日本語の料理名は書いてあるが、どういう料理なのかが分からなかった

 

明久は学生としては珍しく、一人暮らしをしているので料理には自信がある

 

だが、それは一般人の範囲であるので、高級フレンチやら何やらは完全にお門違いである

 

しかも、そのタイミングで

 

「では、先輩から注文をどうぞ」

 

と巴が聞いてきた

 

「うばっ!? 僕から?」

 

「はい♪」

 

どうやら、巴は気を遣ったらしく一番最初に明久に注文を聞いた

 

助けを求めようにも、静歌と雅は未だにメニューを見ている

 

ゆえに、明久は

 

「……ごめんなさい。理解不能です」

 

素直に降参した

 

そして、メニューを机に置くと

 

「というか、これ学生寮にあるまじきメニューじゃない?」

 

と言うと、共感出来るのか巴は苦笑いを浮かべて

 

「あ、アハハハ……それはまぁ、そうですねぇ」

 

と頷いた

 

その後、雅のフォローもあり、明久はなんとか注文できた

 

そして、明久がメニューを改めて見ながら驚愕していると

 

「まあ、世間一般ではそうなるわよね……私も時々、職気柄でエトワールと外の違いで驚くことがあるし」

 

と雅が言った

 

「え? 職業って……あ、そういえば……」

 

雅の言葉に明久は疑問を抱くが、雅をジッと見つめて

 

「あぁ! そういえば、テレビで見た!」

 

と、手を叩いた

 

「あ、ようやく気が付いたようね」

 

彼女、高鷲雅は今年に入ってから大ブレイクしたお嬢様系のタレントである

 

スポーツドリンクのCMを皮切りに、テレビ、グラビア雑誌、舞台、歌と色々とこなし、しかも頭の良さと立ち居振る舞いの優雅さから人気を博すマルチタレントだ

 

「……水泳部にも、君のファンが居るよ。写真集、買ってた……」

 

「あら、それはありがとう。……でも、明久自身は最初気づいてなかったわよね?」

 

明久の言葉を聞いて、雅は謝辞を述べるとそう言った

 

「う、うん……ごめんなさい。まさか、友達って紹介された人が芸能人だなんて、完全に予想外だったから……」

 

明久が素直にそう言うと、雅はクスクスと笑いながら

 

「まあ、普通はそうよねぇ」

 

と言った

 

そのタイミングで、静歌が

 

「でも、雅ちゃんは本当に凄いんですよ♪ 学業をしながら仕事もこなして、しかも部活動までこなすんですから♪」

 

と嬉しそうに語り出した

 

「あーはいはい……なんで、静歌が嬉しそうに説明するのよ」

 

「だって、本当に凄いんだもん♪」

 

雅の言葉に、静歌がそう返すと

 

「あ、ありがとう……」

 

と恥ずかしそうに言った

 

「でもまあ……気づいてもらえて何よりね。私もまだまだ、頑張らないとね」

 

「う……ごめんなさい。どっかで見たことあるなぁ……とは思ってたんだけど……」

 

雅の言葉に明久が渋面を浮かべていると、雅は肩をすくめて

 

「まだデビューしたてなのは本当だし、実際知名度なんてそんなものよ」

 

と言った

 

「あ、そうそう」

 

雅は何か思い出したのか、手をポンと叩くと

 

「明久、ここでは名字呼びじゃなくて名前呼びにしなさいね」

 

と言った

 

「どういうこと?」

 

「えっと、コンダクトと同じように、昔からエトワールでは誰かを呼ぶ時は、名前を呼ぶのが習慣なんです」

 

明久が首を傾げていると、静歌がそう説明した

 

「へぇ……そうなんだ」

 

「下級生は、先輩って呼ぶ方が多いけどね。同学年や、年上でも親しい場合は、名前を呼ぶのが慣習よ」

 

「なるほど……」

 

明久は頷くと、膝を叩いてから

 

「よし、郷に入れば何とやらってやつだね……よろしくね、雅さん」

 

「ええ、こちらこそ」

 

明久と雅が握手していると、タイミングよく巴が帰ってきてテキパキと食器類を並べ出した

 

 

「随分と手慣れてるね。手際良い」

 

「えへへへー、ありがとうございますっ」

 

明久からの賞賛を聞いて、巴は嬉しそうに笑いながら並べていった

 

そして、配膳が終わると

 

「それじゃあ、いただきましょうか」

 

と雅が言ったが、明久が手を上げて

 

「ごめん。ちょっといいかな?」

 

と声を掛けた

 

明久が声を上げたことに、三人は何事かな? と視線を明久に向けた

 

そんな中、明久は姿勢を正して

 

「これから何ヶ月かの間、さっきみたいに勝手がわからなくって、僕が色々と迷惑をかけちゃうと思う……けど、こうやって皆と知り合えたのはとっても嬉しい。だから、これからよろしくね」

 

と頭を下げた

 

すると、三人だけでなく周りのお嬢様達までキョトンとしながら明久を見ている

 

「……あれ?」

 

そのことに明久が首を傾げていると、三人が微笑んで

 

「こちらこそ、よろしくお願いしますね……私達こそ、あまり外のことを知らなくて、ご迷惑をおかけするかもしれませんけれど」

 

「まあ、明久は普段通りにしてればいいわ。そのうち慣れるでしょ、お互いに」

 

「よろしくお願いしますっ。先輩♪」

 

静歌、雅、巴の順番でそう言った

 

(良かった……受け入れてもらえたみたいだ)

 

明久は内心で安堵すると、一旦間を置いてから

 

「それじゃあ、改めてご飯にしようか」

 

と言った

 

「ええ」

 

「「はい!」」

 

そして、明久達は食事を始めた




我ながら驚きだ
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