僕と水泳とお嬢様   作:京勇樹

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急転直下

明久と悠が同棲を始めて、二日後

それに気付いたのは、二人が朝練のために登校した時だった

 

「なんだ、あれ?」

 

「いやに、人が集まってるね」

 

校門付近に、生徒達が集まっていたのだ

その理由を知ろうと、二人はその場所に近寄った

そこは、男子用の屋外プールがある場所だった

しかし、あまりの人だかりに何が起きてるのか分からなかった

そこに

 

「二人とも、こっちだ」

 

と海が声を掛けた

二人はとりあえず、海に近寄り

 

「海先輩」

 

「あれは、一体?」

 

とその人だかりを見た

すると、海は

 

「今朝早くに、数台のトラックが入ってきたんだ。プールを工事するって」

 

と説明した

その時になって、ようやく人だかりが少しは減った

それを見た三人は、立てられている看板を見た

そこに記載されているのは、工事の許可証と施工起業だった

 

「桐島財閥……悠さん?」

 

「うん……僕の家だね」

 

明久が視線を向けると、悠は頷きながらそう言った

その時、壁を構成していた一ヶ所が開いて、中から二人のスーツ姿の男が出てきた

一人は、太った中年男性

もう一人は、ガタイのいい若い男性だった

その二人を見て、悠が

 

「河平専務!」

 

と声を掛けた

すると、太った中年男性

河平孝蔵(かわひらこうぞう)とその息子の河平豪将(かわひらごうすけ)が近寄り

 

「これはこれは、悠お嬢様」

 

「ご機嫌麗しゅう」

 

と挨拶してきた

しかし悠は、それを聞き流し

 

「これは、どういうことだい? 僕は、何の連絡も受けてないが」

 

と二人を睨んだ

しかし二人、平然と

 

「昨夜、幹部会議で決まったことでしてな。桐島財閥も、文月学園に出資すると」

 

「このプール工事は、その第一段でございます」

 

と告げた

それを聞いて、悠は

 

「本当かどうか、父さんとお爺様に聞いても?」

 

と二人に問い掛けた

すると、二人は顔を見合わせてから

 

「悠お嬢様」

 

「もしや、御存知ないので?」

 

と揃って首を傾げた

それを聞いて、悠は

 

「どういうことだい?」

 

と再び問い掛けた

すると二人は、神妙な表情で

 

「今朝早く、会長と社長のお二人が乗ったというヘリコプターが、途中で消息を断ちました」

 

と告げた

それを聞いて、悠は目を見開いて固まった

すると、二人は

 

「会長と社長のお二人が、アジア方面の我が社所有の木材場の視察に向かったのは、お嬢様も御存知かと思います」

 

「その帰りに、会長と社長が乗ったはずのヘリコプターが、レーダーから消えて、通信も途絶えました」

 

と語った

それを聞いて、悠は

 

「そ、捜索は!?」

 

と問い掛けた

すると、孝蔵のほうが

 

「勿論、その国の政府に要請。更に、捜索隊の派遣も決定しました」

 

と告げた

すると、豪将が

 

「父さん、時間」

 

と言った

それを聞いて、孝蔵は

 

「申し訳ありませんが、私は本社に戻ります」

 

と言って、去った

それを明久と海は見送ったが、悠はその場所から動かなかった

すると、明久が

 

「悠さん」

 

と声を掛けた

だが、悠は

 

「お父さん……お爺様……」

 

と声を震わせていたのだった

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