悠の父親と祖父が行方知れずになったことを知って、数時間後
明久と悠は、放課後の部活を早めに終えると、帰宅した
帰宅すると悠は、膝を突きそうになった
だがそれは、明久が支えた
そして、明久は
「悠さん……椅子に座ってください」
と言って、悠をお姫様抱っこで抱えあげた
そして、なんとか靴を脱がせて、居間の椅子に座らせた
すると悠は、明久の胸元に頭を当てて
「ごめん、明久君……少し、このままで……」
と言った
それを聞いた明久は、優しく悠の頭を抱き締めた
そして、どれ程の時間が経ったか
悠がぽつりぽつりと語りだした
悠は桐島家では唯一の女の子なのだが、産まれたのは一番最後だった
しかも、産んだ時の母親は、既に四十代半ば
母体への負担が大きく、悠を産んだ後は年単位で入院していたそうだ
そこで、育児を頑張ったのが父親と祖父だったらしい
父親は仕事をしながらだったが、祖父は結構な頻度で悠の面倒を見ていた
それを見ていた兄二人も、父親や祖父が面倒を見ていない時に遊んでくれていたらしい
その影響もあり、悠は男っぽい性格になったとか
そんな悠にとって、父親と祖父の二人が生死不明というのは、かなり来るものがあったようだ
「お父さん、お爺様……つっ……」
話終えると悠は、明久に抱き締められながら涙を流した
明久は、悠が泣き止むまで、優しく悠の頭を撫でていた
悠が落ち着いたのは、それから十数分後だった
落ち着いた悠は、目許を拭って
「ごめんね、明久君。ありがとう」
と言った
それを聞いて、明久は
「泣いてる恋人を慰めるのは、彼氏の役割ですよ」
と微笑んだ
すると明久は、エプロンを着けて
「それじゃあ、悠さん。一緒に料理しましょうか」
と提案した
それを聞いて、悠は
「うん……そうだね」
と言って、明久と同じようにエプロンを着けた
そして、二人はキッチンに並び立つと
「それじゃあ、今日は何を作りましょうか?」
「そうだね……」
と悩み始めた
そして悠は、チラホラと雪が降り始めた外を見て
「おでん、なんてどうかな?」
と提案した
それを聞いた明久は
「いいですね。今日は、寒いですし」
と同意した
そもそも、今年は例年よりかなり寒い
明久達が居る場所
東京でも、最低気温がマイナスまで行くらしい
この季節ならば、おでんで体の内側から温まる方がいいだろう
そこから二人は、手分けして調理を始めた
明久はタネを
悠は出汁を担当した
そして、約一時間後
「それじゃあ」
「いただきます」
と二人は食べ始めた
外では、しんしんと雪が降っている
それを見た明久は、内心で
(無事に済めばいいけど……)
と思ったのだった