もしかしたら、手術して入院かもね(マジです)
翌日
朝六時半
明久は、まだ健やかに寝ていた
その時、なぜかドアの鍵が解錠されてドアが開いた
「久住。ボクは止めたからね?」
と呆れ半分で言ったのは、ボーイッシュな美少女
桐島悠である
止められたもう一人の美少女、明久の従姉
苧島久住である
そんな久住の手には、マスターと書かれてあるカードキーが握られている
どうやら、それを使って開けたらしい
久住は笑みを浮かべながら
「ここまで来たんだから、悠も同罪よ? さぁて……寝起きドッキリといきましょうかー♪」
久住はそう言いながら、明久が寝ているベッドへと足音を殺しながら歩み寄った
そして、ベッドの縁に手を突いた
その時、明久の目がカッと見開かれ
「
と言いながら、明久はベッドのスプリングをも利用して高々と飛んだ
「へっ?」
まさかいきなり起きるとは思わなかったらしく、久住は飛び上がった明久を呆然と見上げた
そして明久は、自身のベッドに手を突いた状態の従姉を見つけた
数分後
「で? どうやって入ったのかな、くす姉? カギは掛けた筈なんだけど?」
制服に着替えた明久は、正座している久住を見下ろしながら問い掛けた
「そ・れ・は……寮監さんから、生徒会長権限を使って、マスターカードキーを借りたから!」
明久からの問い掛けに久住は、ドンと胸を張りながら答えた
その直後、明久はどこからともなくハリセンを取り出して久住を思い切り叩いた
「あ痛ー!?」
「思いっ切り職権乱用じゃん! なに寮監さんを困らせてるのさ!?」
従姉の所業に、明久は思わず突っ込んでいた
「だって、アキくんの寝顔が見たかったんだもん!」
「そんな理由で、困らせないの!」
久住の告げた理由に明久は突っ込みを入れながら、久住が持っていたマスターカードキーを奪った
「ああ! 返してよ~!」
「ダメ! これは、後で僕が責任持って返しておくからね!」
マスターカードキーを奪われた久住は、マスターカードキーを取り返すために飛び跳ねるが明久は手を高く上げて阻止した
すると、悠が溜め息混じりに
「だからあれほど、止めとけば? って言ったんだ……」
と呟いた
その時、チャイムが鳴り
『明久さん! 起きてますか?』
と静歌の声が聞こえた
「うん! 今開けるね!」
と明久は返事してから、久住の方へと視線を戻した
すると、久住は優雅な微笑みを浮かべながら立っていた
「どんだけだよ!」
久住の変わり身の早さに、明久は思わず突っ込んでいた
『明久さん? どうしました?』
「ううん……今開けるね……」
朝から疲れた明久はトボトボとドアに近寄り、ドアを開けた
「おはようございます。明久さん……どうしました?」
明久が疲れた様子で居たからか、静歌は首を傾げた
「うん……朝から疲れたなぁ……って」
明久の言葉に首を傾げたまま、静歌は明久の肩越しに室内に視線を向けた
そして、室内に久住と悠を見つけて
「久住会長、悠副会長。おはようございます」
と頭を下げた
すると、久住と悠は笑みを浮かべたまま
「おはよう、静歌ちゃん」
「おはよう、静歌くん」
と挨拶した
そして数十分後、四人は通学路を歩いていた
周囲を歩いている他の女子生徒は、明久を見てヒソヒソと話していたり
「ねえ……なんで殿方が居るのかしら?」
「ほら、手紙が回ってきたじゃない……交換留学生を受け入れたって……」
という会話が聞こえた
中には
「あの男……久住会長や悠副会長に何かしたら……」
という声すら聞こえた
その声を聞いて、明久は頬をひきつらせながら
「僕……無事に過ごせるかな……?」
と呟いた
すると、悠が真剣な表情で
「大丈夫だよ、明久くん……ボク達が手出しさせないし、何かあったら、ボク達が許さない」
と断言した
すると、久住も同じ考えなのか頷いて
「だから、明久くんは落ち着いて過ごしてね」
と言った
そして、歩いていると大きな建物が明久の視界に入った
見た目は完全に西洋のお城で、校門だろう柱に《聖エトワール女学院》と書かれてあることから校舎だとは予想出来た
「デカ過ぎない……?」
明久が呟きながら指差すと、静歌は首を傾げた
すると、久住と悠が
「明久くんが驚くのも無理はないわ」
「そうだね。規模だけなら、日本でもトップクラスだからね」
と語った
明久はしばらく呆然とすると、頬を軽く叩いてから
「よし。職員室に行こう」
と言った
すると、久住が
「大丈夫? 場所は分かるかしら?」
と問い掛けた
すると明久は、カバンから一枚の紙を取り出して
「一応、小早川先生から職員室までの地図を書いてもらったよ」
と言った
すると、久住は微笑みながら
「それなら、心配いらないわね。私は会室に行かないといけないから、ここでお別れね」
と言った
すると、悠が
「なにか困ったことがあったら、遠慮なくボク達に連絡してね」
と言ってから、久住と共に校舎へと入った
そして静歌は
「それじゃあ、明久さん。また後で」
と言って、校舎へと入った
そして明久は校舎に入ると、地図を頼りに職員室へと向かった
そして、職員室に入ると学院長と名乗る初老の男性が明久のことを先生達に説明した
学院長の話を聞いて、ほとんどの先生方が好意的に明久に対して接してくれた
そのことに明久は戸惑いながらも、担任教師は誰かと学院長に問い掛けた
すると、光組の担任は小早川先生だと教えられて驚いた
その後、明久は小早川先生に先導される形で教室へと二人で歩いていた
すると
「どうですか、明久君。ここでの生活には慣れましたか?」
と問い掛けてきた
すると、明久は苦笑いを浮かべながら
「まだ1日では、慣れる訳がありませんよ。でも、くす姉が居て助かりましたよ」
と言った
すると、小早川先生はああっと言ってから
「そういえば、久住さんは従姉でしたね」
と言った
「ええ、まあ……少し困った従姉ですがね」
明久が苦笑しながらそう言うと、小早川先生が立ち止まり
「ここが光組です。ここ光組は、政財界のお嬢様やアイドルの娘達が所属するクラスです」
と説明した
その説明を聞いて、明久は緊張した様子で
「うわぁ……そんなクラスなんて、大丈夫かなぁ……」
と呟いた
すると、小早川先生は微笑みながら
「明久君なら、大丈夫ですよ。それでは、私が呼んだら入ってくださいね」
と言うと、ドアを開けて中に入っていった
そして、数分後
『明久君、入ってください』
と呼ばれたので、明久はドアを開けて入った
そして、小早川先生の隣に立つと
「吉井明久と言います。右も左も分からないので、色々と迷惑を掛けると思いますが……よろしくお願いします」
と挨拶すると、深々と頭を下げた
数秒後、割れんばかりの拍手が明久を出迎えた
明久が頭を上げると、小早川先生が手を叩いて
「皆さん。吉井明久君は皆さんにとって、家族以外での初めての殿方です。ですので、もし質問等されたら答えてあげてくださいね」
と言うと、女子達は元気に返事をした
小早川先生はそれを確認すると、明久に対して
「明久君の席はあそこです」
と窓際の席を指差した
「わかりました」
明久は、小早川先生に教えられた席に座るとカバンを横のフックに掛けた
すると
「今日からよろしくね」
と隣の席に座っている女子に話しかけた
すると
「はい、今日からよろしくお願いしますね。明久さん」
と知っている声が聞こえた
「え? 静歌ちゃん?」
そう
隣の席に座っていたのは、静歌だった
すると、続いて
「はぁい、明久。やっぱり気づいてなかったのね」
と前からも、知ってる声が聞こえた
前に視線を向けると、前の席に座っていたのは雅だった
「雅ちゃんまで……」
明久は絶句していると、校舎に入る前に静歌がまた後で、と言ったのを思い出した
「静歌ちゃん……同じクラスだったのを知ってたんだね?」
明久が問い掛けると、静歌はクスクスと笑い
「はい。どうせなら、少し驚かそうと思いました」
と言った
その笑顔は年相応で、明久は微笑ましく思った
すると、雅が
「静歌ったら、教室に来てからずっとソワソワしてたのよ」
と意地の悪い笑みを浮かべながら言った
すると、静歌はアワアワとしながら
「だって、明久さんが同じクラスになるなんて嬉しかったんだもん!」
と言った
明久は微笑ましい光景を見て、微笑んでから
「二人とも……色々と迷惑を掛けるかもしれないけど、改めてよろしくね」
と言った
「はい!」
「ええ。よろしくね、明久」
二人は笑みを浮かべながらそう返事して、そのタイミングでチャイムが鳴った
こうして、明久の初登校日は始まった