クソッタレな世界だけど、本当に欲しかった物を手に入れた   作:ソーダ缶詰

3 / 11
最終回です


本当に欲しかった物

「杖3本ともヨシッ、ポーション3本ヨシッ」

 

(まずは鑑定して隠れる。ゾンビが反応して近づいてくるなら鑑定の杖を捨てて魔法の矢で迎え撃つ。やる事はそれだけ。簡単だろ)

 

 大きく深く、そしてゆっくりと深呼吸してからダンジョンを出た。時刻は太陽が頭上で輝いているのでお昼すぎと言った所か。

 なるべく足音を殺し、ゾンビの声を頼りに近づいていく。電気が通っておらず、人も全然居ないのでゾンビの声がとても良く聞こえてとても緊張する。鑑定の杖の有効射程は視界内だ。なので距離さえ空ければ余裕をもって発動できる筈だ。

 

(見えたっ!)

 

 ゾンビLv2 経験値12%

 HP98% MP100% 状態:感染

 全能力補正0.2

 全技能補正0.2

 

 【保有スキル】

 【感染の爪】【感染の牙】【腐敗する肉体】

 

 ゾンビは? ……鑑定に反応して襲ってきたりはしないな。

 

 状態:感染 肉体が常に腐り続ける病気。自然治癒する可能性が低く、感染状態で死亡するとゾンビになる。ゾンビ系の魔物に深い傷をつけられる事で感染する病気である。

 【腐敗する肉体】 常時感染状態となる。

 【腐敗の爪】【腐敗の牙】その爪(牙)によって深く傷つけられたものは感染状態になる。

 

 対処法がなければ1発で詰む凶悪な性能だな。しかも【腐敗する肉体】があるから治療は不可能だ。救いがあるとすれば、死ぬまでの猶予があるという事くらいか。

 この世界厳しすぎない? なんて愚痴った所で何も始まらない。

 鑑定の杖を静かに置いて左手に2本持っていた魔法の杖を二刀流に構え直してゆっくりと近づいて――。よし今だ!

 

(狙うはゾンビの頭。必中なのか確認の為に山なり射撃でゾンビの頭を攻撃!)

 

 市街地に捨てられた車を飛び越えて飛んで行く魔法の矢が、見事なカーブを描いてゾンビの頭を砕く。鑑定で表示されていたゾンビのHPも0%になり、状態:死亡になっている。

 『83DPを獲得しました』

 

 ゾンビが死んだ事で周囲のゾンビが反応するかもしれない。新しいゾンビがやって来ないか血眼になって待ち続けたがゾンビ1匹見当たらなかった。それだけではなく、新たな足音一つ聞こえなかった。

 

(やっぱりここは色々とおかしい。パンデミックが起きてそうなのに人間とゾンビが争った形跡が無い。災害が起こって危険だから避難しろと言っても何かと理由を付けて逃げない奴が居るのが普通なんだ。パンデミックが起こったから全ての人間が大人しく避難するとは思えない)

 

 ここまで人の気配が無いのなら、火事場泥棒の位は居るだろうといくつかのお店の中を覗いてみた。でも、食料品が根こそぎ持っていかれているだけで、それ以外の商品が根こそぎ盗まれる様な事態にはなっていなかった。

 決定的だったのが靴屋だ。スーツに似合いそうな高級皮靴達が、まるで現在の価値を示すかの様に床に転がっている。

 

(盗んで売ればそこそこの値段にはなっただろうに。靴の価値が暴落したか、火事場泥棒が沸かない程にここが危険なのか。今は何でもいい、とにかく俺のDPになってくれ)

 

 靴屋の店主には申し訳ないとも思うが、今は少しでもDPが欲しいので俺の足に合うスニーカーを残して根こそぎ換金させて貰う事にした。

 それからは順調で、DPで台車を購入し、周辺から物資をかき集めて売却を繰り返すだけで所持DPが5万を超えてしまった。その内2万をダンジョン改築に投資してあっという間にダンジョンレベル2になり、レベルアップでの収入上昇の影響もあって500DPを超えていた。おかげで人間らしい暮らしをしてもDPの残高に悩まされる事は無くなった。

 でも、それ以上に問題もあった。

 

(ここを捨てて逃げた理由が全く分からない。何でここを放棄したんだ)

 

 その疑問に答えが出るのは、次の日の事となる。

 

(寝起きにダンジョンコアを弄って居たら感染していた件について。空気感染するってまじで言ってんのか)

 

 生命のポーション(緑)を飲んでステータスを確認したら正常に戻っていた。ダンジョン強い。

 最大の問題点はDPショップだ。元の世界のネット環境も娯楽品も何一つ買えないのだ。普通に致命傷である。

 購入可能アイテムは食料と生活必需品、武器防具戦闘用アイテム、生産技能関連品や素材、そしてスキル関連アイテムだけである。娯楽品は何一つ売っていない。

 

(娯楽が無い……いや違うだろ、そうじゃ無いだろ、ここは異世界なんだよ! なんで俺は願って手に入れたダンジョンの中で元の世界の知識や常識に縛られているんだよ! ゲームがしたいのなら人外の魔物達とゲームすれば良い。そうだ、そうだよ。常識に囚われる必要はどこにも無いんだ。俺は、自由になったんだ! 自由に生きて良いんだ!)

 

 生活の為に全てを効率で考えたり、あるかどうかも分からない恐怖に怯えて暮らす必要なんて最初からどこにも無かったのだ。俺は異世界で自由に生きたいと願っていながら、自分自身を元の世界の常識やポストアポカリプスの常識という名の椅子に自分自身を縛り付けていただけなのだ。

 きっと、元の世界でも社会という名の常識や、自分自身が作り出した常識という名の椅子に自分を縛り付けて生きていたのだ。それにもっと早く気が付けていたら少しだけ楽に生きられたかもしれない。

 

「過去や常識に縛られるつまらない人生はもう終わり。今の俺はダンジョンマスター。人外の魔物の親分で、いつか人類の敵として討伐されるかもしれない存在だ。でも、あるかどうかも分からない未来の恐怖に怯えて暮らすより、俺は人生を楽しんで自由に生きたい」

 

 ダンジョンマスターLv2になって増えた召喚枠の0/4を全部使って魔物達を召喚して配下にしよう。最初はオークだ。

 召喚されたオークがどんな奴だったとしてもまずは謝ろうと思う。召喚可能リストにある奴は、たとえどんな奴だったとしても俺みたいな馬鹿の配下になってくれる奴なんだから。




 正直消して書き直したいですけど主人公が生きた証と自分への教訓として残しておきます。
 次はもっと上手に面白く書きたいなー。書き直したいなー。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。