クソッタレな世界だけど、本当に欲しかった物を手に入れた 作:ソーダ缶詰
まずは安定して執筆して、週1位で投稿したいところ
新たな仲間を紹介しよう。そう、オークである! 2メートル越えの体格を誇る紳士な奴だよ!
オークLv1 経験値0%
HP100% MP100% 状態:正常
魔力補正x1.05
装備補正x0.0
アイテム補正x0.0
生産技能補正x0.0
【保有スキル】
【光合成】
【光合成】 光を浴びるとHPとMPがゆっくりと回復する
スキルで察したと思うが一応説明しておこう。こいつは木の魔物のオークだ。
召喚に50DP、1日の維持費として10DPを消費するだけの置物である。しかも送還が出来ないので本当に置物と化してしまった。かといって、勝手に召喚しておいて邪魔だからはい処分、ってのはやりたくないのでここに住んで貰おうと思っている。
唯一の救いがあるとすれば、召喚しただけでは配下の枠を使わない事か。
「言葉が通じないと本当にただの木だな」
会話するには【念話】が必要なんだろうが、【念話】を覚えさせても【光合成】しか出来ないので精々監視カメラ代わりにしかならない。魔力があっても動けないので魔法を覚えさせるのも微妙だろうな。
「監視カメラとしてはDP消費が高すぎるし、戦闘に出せば動けないので的になるだけ。ここは大人しく暮らしていて貰うのが正解かな」
気を取り直して、次の仲間はランク2のストーンゴーレム!
ストーンゴーレムLv1 経験値0%
HP100% MP-- 状態:正常
身体能力補正x1.05
魔力補正x0.0
装備補正x0.0
アイテム補正x0.0
生産技能補正x0.0
状態異常耐性補正x1.05
【保有スキル】
【石の肉体】
【石の肉体】 病気にならない。
感染しないのはシンプルに強いし、抵抗力補正は状態異常に対する状態異常耐性まで持っている。召喚コストもランク2が100DPなのでとても安く済むし維持費も1日たったの20DP。装備補正が0だから強敵相手にぶつけるのには不安が残るけど、でかくて重いので戦えはするだろう。
「日本語で命令しても従ってくれるゴーレムが便利すぎる。でも。足の遅いストーンゴーレムで守りを固めてもちゃんと防衛出来るのか怪しいよなー」
ひとまず仮想敵は人間としておく。強い魔物が襲って来たら現状では何をやっても詰みなので人間の対策だけを考えておけばいい。
レベルの低い人間はどうでも良いが、重火器を持ち出されるとストーンゴーレムだと負けてしまいそうだ。レベルをあげたら石がもっと頑丈になって銃弾を跳ね返せるようになるかもしれないけど、仮にゴーレムのレベルをあげても足の遅さは変わらないので距離を取られて一方的に攻撃され続けたら敗北は必至だ。
でも、問題なのは俺達が人間に勝てないことじゃない。人類の敵として認識されてしまうことだ。
どうすれば人間と敵対しないか、それが1番重要だ、だからここは人間の思考を逆手に取る作戦で行こう。そう決めたらすぐに2体目のゴーレムを召喚した。
『ここから先は私有地の為立ち入り禁止』
『家主に用がある場合は客間でお待ちください』
DPで購入した文字が書かれた2枚の看板を2体のゴーレムに持たせておく。このストーンゴーレムを入り口に配置しておけば即座に攻撃されたりはしないだろう。
「こんな看板を持ったゴーレムを見たら攻撃していいのか悩むだろうなー」
あ、ここは誰かの家なんだ、と思わせたら俺の勝ちだ。ゴーレムの指示に従おうが無視しようが客間は確認するだろう。そこに用意されたお茶やお菓子を見た瞬間、まともな人間ならここには誰かが住んでいる家だと認識すると思う。
相手がただの略奪者だった場合はどうするのかって? どうしようもないので全力で戦って排除するしかないね。
「ランク2までで出来る事はこんなものかな。賢そうな魔物は居ないし、【念話】か【〇〇言語】を買う余裕も無いから今はゴーレムだけで行くか」
さっさとランク3になるべくゴーレムを追加で4体召喚し、台車とリアカーをゴーレムに運ばせて出撃した。
「……なるほど。俺のステータスの配下総数0/4ってのはダンジョンの外に出せる魔物の数か」
ダンジョンとゴーレムの間に不思議な繋がりがあるのがなんとなく感じらる。多分、配下総数ってのは召喚できる数では無くて外に出しても問題ない数だ。
それよりも今は今日の目標であるこいつ、駐車場に残された車をダンジョンに持ち帰らねば。
「ゴーレム、車をダンジョンへと運んでくれ!」
4体のゴーレムが車を囲んで協力して運び……ギリギリ持ち上げて歩けてるね。凄いゆっくり歩いてるけどな。
召喚コストの異常な安さから察してはいたけど、レベルをあげないと話にならないようだ。それでもゴーレム達は結構頑張っていると思うけど、手が石だからか車が少しへこんでるね。
「まずはゴーレムより先に俺のレベルでもあげるか? 配下総数も増やしたいからレベルは必要だし」
ゴーレム達がダンジョンの中に車を運んでくれたので売却できるが……『車(故障中)』となっていて売却額が11000DPにしかならない。
「ゴーレムの力で車の見た目が芸術的になったけど、ちゃんと走ると思うんだけど。あ、バッテリーが切れてるのか」
バッテリーを充電する方法が無いので仕方なくそのまま車を売却し、全財産の42000DPを俺の強化に投入だ!
「予想通り合計5万DPでダンジョンレベルがあがったな。俺のレベルは14で身体能力補正はx2.4ね。レベルの影響がでかすぎるわ」
軽く走って体の調子を確認してみたが、オリンピック選手かと言いたくなる位には速く走れてしまった。ただし、身体能力に補正が付くだけで肉体が成長したという訳ではないらしく、あっという間に息切れしてバテてしまった。明日はきっと筋肉痛である。
「DPはさっさと使って肉体か魔法を鍛えておかないと、いざって時に詰みそうだな」
負けそうな時にDPを大量消費してレベルをあげた所で肉体がついてこないのでは何の意味もない。そんな身体能力補正に対し、配下数上限の方は10で止まってしまったので地上の敵を数の暴力で排除するのは難しそうだ。
少しでも質の高い配下が持てないかととランク3の魔物を確認してみたが、会話が出来そうな人型がいくつか確認できた。しかも召喚コストは200DPで維持費も40DPと相変わらず安すぎである。それと、ランク3からは召喚前に魔物のステータスを確認できるようになっている。それに、ダンジョンコアルームじゃなくてもダンジョン内ならシステムメニューを開けるようだ。
「いや最初から付けとけよって話なんだけどな。今までがチュートリアルで機能制限中だったとしても不親切すぎだったし」
そんなチュートリアル後のランク3の魔物の中にアイアンゴーレムは……いなかった。でも、人型の魔物がいくつか居るので何とかなるだろう。
ストーンゴーレムを追加で6体召喚し、総勢10体で地上に放置された車を拾ってくるように命令を出しながら魔物のリストを眺めてみる。
その中には、ある時は愛らしいモフモフ。ある時は凶暴な獣。だけど基本は雑魚扱いされているコボルトが何故かランク3に居た。初期スキルとして【作戦行動】を習得していて、誰かの指示に従って行動すると取得経験値や能力に補正がかかるようだ。数さえ揃えれば実に強そうである。
【作戦行動】はDPショップにも売っていない強力なスキルだが、文化の壁を乗り越えながらコボルトの面倒をみるのは大変そうなので召喚はしない。というか買えるスキル一覧に厄ネタである【人間言語理解】を見つけてしまったんだが。
「でも、人間以外のダンジョンマスターが想定されているにしてはゾンビの数が少なすぎるし弱すぎるよね? もう滅ぼされたのかな」
それに、レベルが上がって肉体を鍛えれば人間の限界を簡単に超えられてしまう。それを利用して強靭な肉体を作れば、病気扱いの感染症状を跳ね返す事だって十分あり得る訳で。その仮説が正しいのならゾンビが弱すぎる理由にも一応の説明が付く。
「あーやめやめ。脱線しても今は時間の無駄だ」
今は知能が高そうな魔物を探すべきだ。魔物魔物……あ、魔物じゃないのも居るんだ。えっと、エルフワーカーね。えっ、エルフ? マジで? 他にも妖怪系もいるし、ランク3だと意思疎通できそうなのが多くて助かるね。その分だけ言語スキルをDPで買わないといけないけどな。
「ほんと、この世界は何かにつけて面倒だな」
それからはゴーレムを指揮して効率良く物資を回収し、ダンジョンを一気に拡張して一週間が経過した。周辺は相変わらず不気味なまでに静かで、敵は弱すぎるゾンビとしか遭遇しなかった。
ここ一週間で46万DP稼いで42万DPを消費し、ダンジョンランク4までの取得経験値が42%で止まっているので次のレベルまであと58万DP程度だと思われる。Lv2で1万DP、Lv3で5万DPと来てLv4が100万DPと考えるといきなり桁が二つも増えた訳だが、チュートリアルが終わったと考えればこんなものなのだろう。
「10階のダンジョンコアルームに【転送】」
10階まで拡張したダンジョンを自由に移動するスキル、【転送】。ダンジョン内限定スキルだし敵がいる階には移動出来ないが、1個3000DPで複数対象を指定して移動可能と便利なスキルなので即購入した。最初から付けとけよと言いたくもなるスキルだが、その場合は召喚コストが高くなっていたのだろう。
安いからって大量に召喚すると維持費で破産するので召喚する魔物をどうするか悩んだが、最終的には意思疎通が出来そうな奴を重視した。
そうして魔物達が住めるように拡張されたダンジョンの収入は1日2300DPを超えた。約18万DPをダンジョン拡張につぎ込んで収入を増やした訳だが、維持費が最低でも1430DP+俺の食費なので予算が潤沢という訳ではない。
ダンジョンの1~2階は12体のストーンゴーレムが駐屯している接待エリアとなっている。ちゃんと一般人対策の看板も設置されているので安心だ。
3~5階は資源採取エリアに改装した。3階の洞窟エリアには魔法の杖の格となる素材の魔石が採掘できる鉱床エリアを設置。4階には一般的な薬草が採取可能な草原エリアで5階には森エリアとなっている。オークには敵が来たら逃げて貰う為に【転送】と【念話】を与えて5層に住んで貰っている。
6階は沼地エリアで管理はエルフワーカー達に任せることにした。だけど、ここでの戦闘は想定していないので沼地は最低限の維持管理だけで良いと伝えてある。そんな沼地エリアを設置した理由は7階の為だ。
7階には10万DPかけて設置した極寒の氷山エリアが待っている。歩きにくい沼地エリアをずぶ濡れになりながら何とか突破してもその先は極寒の氷山エリアとなっている。この極悪コンボで侵入者の戦意を折る予定だ。
氷山の管理は雪女達10人を住まわせて任せている。種族としての特性なのか温厚でのんびりしている個体が多く、エルフ達と比べると手間がかからないので氷山住まいでなければもっと交流したかった。寒くて死ねるからさっさと帰るが。
8階はエルフワーカー達が住む森林エリアで、20名のエルフが暮らしている。エルフという名前がついていながら【精霊言語理解】では会話できず、【人間言語理解】を取得しなければならなかったので種族的には人間の仲間だと思われる。
そんなエルフワーカー達20人は1日の維持費だけで800DPもかかるが、Lv1の時点で生産技能補正x1.1を持っているので【転移】と【錬金術】と【魔道具制作】与えて自力で採取活動に励んで貰い、ポーションと魔法の杖を量産して貰っている。しかも、生産に成功すると経験値まで得られてしまうので勝手に育っていく上にアイテム補正x1.05のおかげで最低限の戦闘まで熟せてしまう。
まさに万能と言える位には優秀なのだが、その万能さ故に無条件の忠誠を誓ってくれたりはしなかったのでぶっちゃけかなり扱いにくいのが問題だ。あと、女エルフが気になって見ていたら凄く不愉快そうな顔をされたのが地味にショックだった。俺、ダンジョンマスターなのに。
エルフ達が住む森を防衛拠点に改築しようとするとエルフ達に怒られるのでそれも難しい。無視すれば出来ない事は無いが、関係がこじれても正直面倒だ。
エルフ達への投資コストから考えるとぶっちゃけ大赤字である。本当は地上の生活に慣れさせて可能ならダンジョンの楔から解き放ち、地上に入植して貰う事も前提に考えてはいたんだよ。でも、保守的で優秀なエルフ達は理由が無ければ森を出たがらないので悲しいかな、その計画も頓挫してしまった。だから方針を転換し、8階の森をエルフ達に明確に譲渡して管理させることで、ダンジョン内の土地がエルフ達の故郷だと思って貰えるように頑張っている。
そんなエルフ達が住む森を抜けた先にある9階は【転送】での緊急避難先であり、最奥の10階が俺の自宅となっている。
「一週間で作った割にはまともなダンジョンになったんじゃないか? だから俺の部屋を凍らせようとするのはやめてくれ」
久々の休暇を満喫し、自室でだらだらしている俺ごと部屋を凍らせようとしている雪女はスノー。ダンジョンの配下達の中で唯一食事に興味を持ち、隙あらば俺の部屋をオシャレで快適な部屋に改装しようとしてくる問題児だ。
「今日は何を食べるんです?」
「普通に鮭の切り身入りの味噌汁にと少量のご飯と漬物だけど?」
「毎日同じものばっかりじゃないですか! 私はもっと色んな物を食べたいんですよ!」
「そんな事言われてもな……分かった、分かったから離れてくれ」
俺とスノーのDPショップでは買える物が明確に違っている。ダンジョンの元になったであろう異世界の料理に関してはスノーの方が圧倒的に充実しているが、日本を含めた地球の料理に関しては俺の方が充実している。
異世界の料理は結構おいしいのでえり好みしなきゃちゃんと食えると思ったんだけどな。スノー曰く、肉類以外はマスターが出す食事の方が美味しいとのことで、肉を抜いた料理だとまずくて食べられないのだそうだ。
「ユーバリメロンを毎日食べていたマスターには分かりませんよ!」
「いや無理だから。そんなお金持ってなかったから」
「うっそだー。お手軽にDPで買えるじゃないですか、嘘をつくと氷山に埋めちゃいますよ」
「【氷属性耐性】があっても死ぬからやめろ」
仕方が無いので新鮮な生野菜の上に照り焼きカルビがこれでもかと乗せられている照り焼き丼を出してあげた。そうしたら使い慣れない箸を懸命に握りしめ、ハムスターのように頬を膨らませてながら食べるもんから思わず笑ってしまった。
「はんでふか?」
「なんでもない。あと食いながら喋るな、さっさと食え」
「あ、マスターも食べたいんですね? はい、あーん」
「いやもう飯食ったし」
「はい、あーん」
差し出されたものを恥ずかし気に食べる俺を見てスノーがクスクスと笑う。
スノーは温厚な他の雪女達とは違ってからかってくるので鬱陶しいと思う時もある。でも、それ以上に命令せずとも自らの意思でダンジョンの外へと付いて来て、俺を守ろうとしてくれたのはスノーだけだ。その恩に報いる程度の事はしてあげたいと思うのだ。
女性っぽい見た目や強い好奇心に反して、子供っぽさしか感じない言動を繰り返すスノーは。今日も俺を見ながら微笑んだ。
読んでくれてありがとう。