推しの夫【本編完結】   作:蓮田ヒトリ

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かぐや様メンバーとのコラボ回です。
かぐや様は告らせたいのアニメ最新話までのネタバレが含まれます。


斉藤金剛はプロポーズしたい

⭐︎⭐︎生徒会side⭐︎⭐︎

 

 

「恋愛相談?」

「はい、生徒会のメンバーはこのようなこともやっているとお聞きして」

 

 秀知院高等部。日本でも屈指の偏差値を誇り、日本有数の著名人達の親族の多くがこの学園の出身であることは最早公然の秘密となっている。

 そんな学園のトップに立つ生徒会は非常に強い権力と実力を兼ね備え、様々な相談事を持ちかけられることも少なくない。

 実際、恋愛相談も会長である白銀や副会長であるかぐやに持ちかけられたこともあり、その噂が広まったのだろうと解釈した。

 もう新年も十分に明けて生徒会の業務も優秀なメンバーが滞りなく捌いていることもあり、快く相談者、斉藤金剛を招き入れた。

 

 

「それにしても、あの斉藤ダイヤに好きな人ですか……うっ、脳が……焼かれそう……!」

「伊井野、あの人誰か知ってんの?」

ハァ!?石上あんた、斉藤ダイヤ知らないの!?世紀の天才子役、その年相応に思えない物腰柔らかい微笑みは「天使の笑顔」とも称されて、今も若手俳優として大活躍しているのよ!?バカじゃないの!?」

「そんな言われるほど有名人なのか……すみません、知らなくて」

「あ、あはは、もう子役って言われる年齢じゃないから、そんな畏まらなくていいよ。数年前まで活動休止してたし」

「石上くん、『今日あま』アニメのストーカー役の声優さんダイヤくんですよ」

ええ!?ほ、本当ですか藤原先輩!?ファンですサインください!!」

「う、うん」

「なんで色紙持ち歩いているんだ石上……」

「あのー、そろそろ本題に入られては?」

 

 

 ミーハーを発揮する伊井野、声優ヲタではなかったが推し作品の声優だと知ってテンションが上がる石上、それを焚き付けた藤原を他所に、かぐやは舵を取り直した。

 斉藤金剛は、ここ秀知院でもかなりの有名人だ。そもそも、テレビでよく見る同年代の人物など意識しないわけもなく、一部を除くほとんどの生徒が彼のことを知っていると言っても過言ではない。

 そして、一時期休学していたのにも関わらず進級のハードルが高い内部進学を余裕でパスし、本人の性格も相まって学内でもかなりの人気を誇っている。

 現在白銀が生徒会長であるが、持ち前の学力やその知名度からもし彼自身が生徒会選挙に出ていたら結果は分からないと、白銀は心の中で警戒度を上げている存在でもある。

 それはさておき石上達がある程度落ち着いたところで、会長は話を切り出した。ちなみに、他の生徒会メンバーにも意見が聞きたいと言われて一緒に座っている。

 

 

「して、具体的にどんな相談なんだ?」

「実は、付き合っている人がいまして」

「ぐはっ」

「ミコちゃん!?しっかりして!」

「だ、大丈夫です……!かなりショックですが、推しの幸せを願うのがファンの務めですから……!」

「えー、それでですね、そろそろ付き合って長いので、まだ結婚出来ないんですけど、プロポーズしようと思いまして」

「プロポーズ!?」

チーン……

「伊井野が死んだ!この人でなし!」

 

 

 ショックで魂が抜け出した伊井野を慌てて介抱する石上と藤原を他所目に、白銀とかぐやは強い衝撃を受けた。

 何故ならこの二人、まだ秘密にしているもののクリスマス前の文化祭の時から付き合っており、そろそろ次の段階へと思考をシフトしようと思っている時期でもあった。

 勿論白銀は海外進学の準備、四宮は実家への対応に追われる身なので本格的な計画は練っていないが、ゆくゆくはと考えている最中であった。

 そんな中でのタイムリーな相談事に対し、二人の思考は当然こうなる。

 

 

(プロポーズの相談とは驚いたがこれはチャンスだ。相談される以上ある程度の進展は聞けると考えていい。実際の体験談ほど貴重なものはないからな。それに機会がなかっただけで、斉藤とはいずれ話してみたかったんだ)

(芸能界にはさほど手を伸ばしていない四宮家にとって、彼とのコネを作るいい機会です。そして、上手く誘導して会長の好きなプロポーズシチュエーションを聞ければ、それはもう勝ったも同然!)

 

 

「まあ、流石にプロポーズの経験はないが、なにか力になれるかもしれん。話してみろ」

「あ、ありがとうございます。それで、どんなプロポーズが本人に喜ばれるかなって思いまして……」

 

 

 その問いに、伊井野が手を挙げて発言する。

 

 

「質問の腰を折るようで悪いんですけど、別に今すぐプロポーズしなくてもいいのでは?法律上結婚は出来ないですし、わざわざ焦る必要もないと思います。今すぐ責任を取らなきゃいけないというわけでもないでしょうし」

「そっ!?それは、そうなんですけど……」

 

 

 その返答は非常に正論であり、金剛自身その発言にどこか気まずく感じてしまっている。

 上流階級で過ごしているかぐや、そしてそれらに多くの人脈を持つ白銀はその明晰な頭脳から彼の後ろめたい気持ちを読み取った。

 未だ貴族制が根強く残っている日本にとって、政略結婚というのも大して珍しくはない。それゆえに、幼い頃からの婚約者や親同士の決めた会ってすらいない人との結婚など、まるで漫画や映画のような設定を持つ人も少なくない。

 おそらく、お互い相思相愛の人がいるのだろうが、金剛自身は比較的一般家庭と考えるとお相手は上流階級の人間、いずれ自分の手元から離れてしまうと思っているのだろうか。それとも、もうそのカウントダウンが始まっているのだろうか……。

 それを防ぐべく、プロポーズを遂行することでお互いの既成事実を作り上げ、あらかじめ婚約者というバリアで守ろうとしているのだろう。それだけで守れるとは言えないが、斉藤金剛の名前であればそれなりの牽制にもできる。かなりいい案であると分析できる。

 白銀と四宮も言ってしまえばお互い身分違いのカップルである。自分達のために成功例としても、彼の依頼を失敗で終わらすわけにはいかないと決心した。

 …………本当は責任を取らなきゃいけないどころか子供まですくすくと成長しているなんて、さすがの天才達も思い当たらないようだけど。

 

 

「おそらく斉藤も承知の上だろう。それを踏まえて彼は相談しに来ているんだ。今は彼のプロポーズ方法という観点からアドバイスを考えよう」

「そ、そうですよね、失礼いたしました……」

 

 

 そして伊井野に変わり、石上が代わりにと手を挙げる。

 普段なら恋愛相談など話半分で聞く石上であったが、現在子安つばめと付き合うために、少しでも恋愛経験談を仕入れたかったこともあり、この話には真剣に考える姿勢を見せた。

 

 

「とは言っても、そのプロポーズ相手がどんな人か分からないんじゃアドバイス出来るものも出来ないです。何か情報が欲しいです」

「は、はい!」

 

 

 そうして彼が話す姿は、まさに大切な人を紹介するようだった。

 とても美人なこと、嘘が得意なこと、色々不器用なこと、いつでも元気づけられること、少し複雑な事情があって恋愛というものに疎いこと、自身も普通の恋というのは知らないこと…………

 そうやって思い人を語る彼の顔はまさに幸せそうで、全員が思わず顔を赤らめるほどだった。

 

 

「──くらいで、大丈夫そうですか?」

「あ、ああ、貴重な情報だ。ありがとう」

「か、かわっ……」

「ほへー……」

「あんな斉藤ダイヤ見た事ない……脳が破壊される……」

「なんか、中性的な彼の顔であんな顔されると、こっちまで変な気分になっちゃいますね……」

「言うな石上……」

 

 

 そして改めてみんなでどのようなプロポーズがいいか考えると、最初に口を開いたのは石上だった。

 

 

「やはり、恋愛に疎いのならそれだけ恋愛を神聖視しているのではないでしょうか」

「神聖視……」

「ハードルが上がっていれば上がっているほど、そのプロポーズの難易度は高くなってしまいます。ここは、ウルトラロマンティックなプロポーズで行きましょう」

「ウルトラロマンティック?具体的には?」

「その彼女の机に、毎日花を置くんです。月曜日はアガパンサス、火曜日はイチゴの……」

「石上くん、それは却下したわよね?」

 

 

 石上は諦めが悪かった。本人は「知らない人からじゃないなら気持ち悪くないかなって思って……」と供述している。

 

 

「石上はキモいけど、花というのはいい目線だと思います。バラとか渡されながらのプロポーズなんて憧れます!」

「お前もその妄想イタイからやめとけ」

「石上にもう発言権ないから」

「ええ、ひどっ……」

 

 

 花、と金剛は頭にメモをした。

 

 

「まああのお二人は置いておいて、やはり定番なものが安定しているのではないでしょうか」

「定番、ですか」

「ええ、定番というのはそれだけ試行回数が多く、そして成功も多いものですから、恋愛に疎いからこその威力は発揮できると思いますよ」

「なるほど……」

 

 

 かぐやの意見に金剛は思案顔をした。白銀も脳内にメモしておいた。

 

 

「ふむ、四宮の意見も尤もだが、単純ではやはりインパクトに欠けるだろう。例えば、物を渡しながらのサプライズでプロポーズなんてどうだ?」

 

 

 実体験。それは正解のない恋愛において非常に貴重な情報であり、そこから恋愛においての正解を導き出そうとするのも難しくない。

 そして白銀は自分の告白シチュエーションを伝えた。それは少し気恥ずかしいものであったが、金剛のさきほど見せた顔に、自分の恥ずかしさを犠牲にしてでも成功して欲しいと思ったからである。

 さすが生徒会長と、金剛は称賛した。白銀はその眩しい笑顔につい顔を逸らした。

 そして、今まで不気味なくらいに黙っていた藤原が頷きながら立ち上がる。

 

 

「うんうん、皆さんいい意見ですねぇ。ですが、一番大事なことを忘れてますよ!」

「藤原書記は一体なんの立場なんだ」

「それは当然、ラブ探偵の立場ですけど?」

「藤原さん、大事なことってなんですか?」

「んふふ、どんなシチュエーションでも、そのプロポーズの言葉がダサかったら意味がないです!どんな言葉でも構いません。自分の心の叫びを言うんです!!」

「……尤もらしいこと言ってますけど、具体的にはどんな風なんですか?」

「え"、えっと、それは、本人次第なので私には言えないです!」

「藤原先輩ってああ見えてウブですから、プロポーズのアドバイスとか特に思いつかなかったんでしょうね」

「うるさいなあぶっころすよ?」

 

 

 そうしてぎゃいぎゃい騒ぐ生徒会を見て、金剛はつい笑みを浮かべる。今は自分の恋人と子供たちで手一杯で、仕事の都合もあって高校生らしい青春は経験したことがない。

 それを目の前で見て、もしアイさんと同級生でこんな青春が送れたなら、なんていうifを思い浮かべると、笑顔が止まらなくなる。それを見た生徒会メンバーは天才子役の綺麗な笑顔を見て固まってしまう。

 

 

「今日はありがとうございました。また何かあれば相談しにきますね。もし何かお手伝いできることがあるなら、僕も頼ってくださいね。では失礼します」

「お、おう、ではまた…………」

 

 

 

((って、あーー!!肝心の彼の体験談が聞けてない!!!))

 

 

 本日の勝敗、金剛の勝利

(アイとの関係をバラさずに、プロポーズのヒントをもらったから)

 




先ほど活動報告を上げました。見に行ってくれたらもれなく私が喜びます。よろしくお願いします。

次の番外編の話はなにがいいですか?

  • 有馬かなは告らせたい
  • 星野真理愛の苦悩
  • 星野一家のインタビュー
  • かぐや姫と宝石たち
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