世界に守られたエルフ、オラリオにて   作:アパオシャ

13 / 14
第十三話

キャンプに帰還した面々は各々行動を始める。

 

疲労困憊で寝転がる者が居れば、武器の整備をする者や食事の準備を始める者もいる。

そんななかでヴァイトは簡易的な椅子に座り脳内に伝わる感覚に答え魔法を発動させる。

 

『レフィーヤ?予定より連絡が早いけどどうしたの?緊急事態でも起きた?』

 

『いえ。猛者がモンスター狩りをしていたため想定よりスムーズに進み、既に予定地点に到着しました。ですので、私が予定より早くそちらに戻り、明日準備が終わり次第遠征隊を50層に送ります』

 

『了解。皆にも伝えとく。重ねて言うけど、《転移門》で来てね。僕も向こうの様子を覚えないと飛べないし』

 

『そう何度も言わなくてもわかってます!...どうしましたか?団長。...はい、まだ《伝言》は切ってませんが...はい。わかりました。伝えます』

 

通信中に団長が口を挟んだらしく、会話が途切れる。

 

これが向こうの電話だったり、とある愚者のマジックアイテムならば辺りの音声を拾うこともあるが、《伝言》だとそれはなく、術者の発言のみが伝わる。

 

『ヴァイトさん、予定変更です。貴方を試験の結果を問わず深層の攻略隊に組み込むこととなりました。そのため、指令の変更やすりあわせのために団長とラウルさんが私と一緒に帰還します。ですので、アキさんを呼んでおいてください』

 

『了解』

 

その言葉を最後に魔法の通話が終了し、さあアナキティさんを探そうと目線を動かすと、すぐそばに彼女はいた。

 

どうやら自分の仕事を早々と終わらせて手持ち無沙汰になった彼女が、予定より早く《伝言》で連絡をとっているヴァイトを見つけ近くに待機していたようだ。

 

そういうところを高く評価されているのかなと思いつつ連絡事項を伝え終わったヴァイトがアナキティと共に広場まで行くと、丁度《転移門》が開き、三人が移動してきた。

 

《転移門》を長く展開することは結構な負担になるため、ヴァイトは軽く会釈をすると早々に《転移門》を潜り抜け、場所を覚えると再び潜り戻っていった。

 

団長が予定外に帰還しているのを見つけた団員たちがフィンを不安げに覗いていると、フィンはそんな団員たちの不安を、槍の石突で地面を打ち付けかき消すと、指示を下す。

 

「総員、傾注!予想より早く50層に到達し、既に遠征隊全員の受け入れ準備は完了している。そのため、明日準備が終わり次第50層に転移で向かう。ただひとつ、付け加えなければならないことがある」

 

その言葉にロキファミリアに在籍して長い団員たちは苦笑いしている。何せ、フィンの顔があまり喜ばしくない状況の時の顔をしている。幸いなのが、その表情に危機を感じさせるものはないため、最悪の状況ではないというのが明らかな点か。

そして彼らが現状をなんとなく把握したのを確認したフィンは続ける。

 

「現在、フォモールをはじめとする様々なモンスターが目的地周辺の階層で大量発生の兆しがあり、いずれ50層に押し寄せてくると思われる。そのため、翌日直ちに撤収し、目的地へ移動、そして速やかに迎撃準備を整える必要がある。よって、サポーター各員は拠点の撤収!戦闘要員、特に前衛は可能な限り休憩をとれ!行動開始!」

 

フィンのその言葉に即座に従い慌ただしくも効率よく拠点を撤収していくサポーターたちを尻目に明日前線を担う戦士たちが身を寄せ合って眠りにつく。拠点を利用できない以上、寝具の類を使うことはできないものの、そういった状況に慣れているためか、次々と眠りに落ちていく。

 

ヴァイトは装備している指輪の効果で体力は一切消耗していないのだが、精神的なものは別である。そのためファミリアの先達たちに倣い、目を閉じようとするとフィンらがこちらにやってきたのを視界にとらえ、睡眠は後回しとなった。

 

 




補足
オッタルはトラブルを避けるため、遠征隊と遭遇しないように予定を立てていましたが、ロキファミリアがあまりにも早く進んできたため遭遇してしまいました。
オッタルに落ち度はないため、それを察したフィンが少し丁寧に対応しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。