世界に守られたエルフ、オラリオにて   作:アパオシャ

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第九話

ようやく再起動を果たしたヴァイトが顔を青くさせながらも口を開く。

 

「は、話をしよう」

 

それはそれは見事な、満面の笑みを浮かべるリヴェリアは何も言わずに、恐怖を与えるように敢えてゆっくりと近づくとヴァイトの腕をつかむ。

 

ここでヴァイトはやらかしたと自覚した。

 

ヴァイトは魔法詠唱者であるため、腕力では劣るのが実情である。これが彼の知人のモモンガならば異形種であるため基本ステータスは高く戦士職33Lvほどの肉体能力を持つが、ヴァイトは人間種であり、高く見積もって30Lvほどの腕力しかない。

 

それに対してリヴェリアは魔法だけ使ってきたというわけでもなく、その分魔法以外のステータスも上昇しており、しかも神の恩恵の性質上、器の昇華に伴い最低限の能力上昇がある。そのため、リヴェリアの腕力はユグドラシル換算で45ほどある。

 

つまり、魔法を使用しないのであればリヴェリアのほうが強い。ただ、それならば問題ないはずであった。ヴァイトの装備の中には当然ながら移動困難に対する完全耐性を付与するものがあるため、拘束されるということはあり得ない。

 

しかし、完全耐性の判定基準が変わったのか、腕をつかまれただけの自力で脱出がそこまで難しくない今回のような場合では振りほどくことができなかった。

 

である以上、ヴァイトが脱出するには魔法を使用するしかない。しかし、彼が現状把握している魔法で脱出するにはどうしても手荒なことをする羽目になる。しかし、彼の中にある良識がそれをさせてくれない。

 

しかも、リヴェリアを見送ったエルフがこの光景を目撃し、他の面々を呼び出したことで囲まれつつある。

 

「そうだな。話をしよう」

 

優しい声色だが、呪詛を内包していてもおかしくないその声を聞き、ヴァイトは人生で初めて恐怖という感情を得た。

 

リヴェリアに引きずられていくヴァイトはだんだんと涙目になり、辺りを必死に見渡すと、ティオナがいた。その陰には、恐ろしい雰囲気に恐れをなしたのか、アイズが隠れている。

 

「助けてくれ!ティオナ!嫌だ、死にたくない!」

 

その悲壮な叫びにティオナの手が思わずヴァイトのほうに向けられるが、エルフたちの睨みによって弾かれ、垂れ下がり、逃げるように食堂へと入っていく。

 

「なんでだよぉ、待って、行かないで」

 

火事場の馬鹿力を発揮し腕を振り払うが、周りを囲まれているため逃げることは叶わない。

 

一人のエルフとぶつかり転倒すると、足を捕まれ引きずられていく。

 

「助けて、タブラ、るし☆ふぁー!あああぁぁぁぁ…」

 

 

長い長いお話(物理)が始まった。時間はたっぷりある。

 

 

 

ヴァイトはエルフを見るとビビるようになってしまった。そのため、鏡も見れないとか。




仮にLv10の冒険者がいた場合、ユグドラシルのLv100プレイヤーがタイマンで勝利するのはとても難しい。しかし、あくまでそれは単純なステイタスの話。

ちなみに、上位瞬間移動での脱出は不可能です。接触している相手も一緒に瞬間移動してしまうので、意味がありません。
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