ビルド NEW WORLD プリティーダービー   作:極み吠えるジンオウガ

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「平和を取り戻した新世界にて、天っ才物理学者の桐生戦兎は、自身の発明品を売るために万丈龍我と共に府中を訪れた。そんな中、出会ったのがアグネスタキオンと名乗る一人のウマ娘」
「私を呼んだかい?」
「うわっ、出た!」
「なんだい、人の顔を見て失礼じゃないか。それよりモルモット君、これを飲んでくれたまえ」
「それぐらい別にいいけどよ……。うわっ、身体が光った!」
「うるさいよ!そんなこんなでタキオンにトレーナーにならないかと逆スカウトをされた俺達は、トレセン学園に行くと今度は幻さんにも出会う事に」
「なあ戦兎、光るの止まらねえんだけど!」
「ああもう、眩しいから近寄らない!ほらほら、あっち行った」
「さあさあ、騒いでいる二人は置いておいてどうなる第二話!」


トレーナーを遂行せよ

 あれから理事長室を出た後、戦兎達は幻徳の視察も兼ねて、学園内の施設を見て回っていた。

 

「しかし驚いたよ。まさか君達が首相秘書と知り合いだとは」

 

 理事長室を後にし、廊下を歩きながら、タキオンは意外だと言わんばかりに戦兎と万丈に語りかける。それに対して、戦兎は複雑そうな笑みを浮かべながら頭を掻いた。

 

「色々とあってな……」

「ああ、色々とあったんだよ……」

 

 万丈も戦兎と同じように、遠い目をしながら呟き、溜息を吐くと、嘗ての日々を追憶する。

 

「まあ、俺達が幻さんと親しい理由はタキオンには教えてやらないけど」

「そんなもの、大して興味も無いから別にいいとも」

 

 冗談めかして語られた戦兎の言葉に、タキオンは素っ気なく返す。

 

「それより、そろそろ昼時だ。昼食にしようじゃないか」

 

 彼女の提案に、戦兎は数式が刻まれた風変りな腕時計を見る。時刻は確かに正午付近、丁度良い頃合いを示している。戦兎達は彼女に連れられてカフェテリアへと足を運んだ。

 

 目的の場所に着くと、中は大勢の人間でごった返して賑やかな雰囲気に包まれていた。周囲に目を遣ると、生徒のみならず、トレーナー含めた他の職員の憩いの場にもなっているようだった。

 カフェテリア内は広く開放的な造りになっており、かなりの規模の施設である事が窺える。中央校と呼ばれ二千人弱の生徒を抱えるが故に、それだけの人数を収容する設備が必要なのであろう。

 戦兎達は空いている席を見つけ、そこに腰掛けると改めて先の会話を続ける。

 

「そういえばさ、幻さんもよく推薦してくれたよね。政府の人間って立場上、ああいうのって色々とまずいんじゃないの?」

 

 戦兎はふとした疑問を投げかけ、座席に座って黙々とパフェを食べている幻徳に訊ねる。幻徳は戦兎の言葉を聞き、少し考えるような仕草を見せると、スプーンで掬ったクリームとスポンジを口元に運び、ゆっくりと咀噛してから言葉を返してきた。

 

「まあ、確かに本来であれば俺がこんな事をするのは良いとは言い難いだろう」

「だったらなんで?」

「紗羽さんが取材したいってなった時に関係者に知り合いが居た方が良いと思って……」

 

 戦兎が問い詰めるように聞き直すと、幻徳は惚けた様に答える。戦兎はその返答を聞いて呆れたように溜息をついた。

 

「ったく、相変わらずのバカ夫婦っぷりだな……。しかも紗羽さんの所属してる所って中央政経ジャーナルじゃん。ウマ娘関連で関わりのある記事とかあんの?」

 

 そんな疑問を耳にしたタキオンが、幻徳の代わりに答える。

 

「勿論あるとも。特に重賞レース、中でもG1レースの時なんかは、どのメディアも挙って取り上げるさ。迷惑極まりない話ではあるがね」

 

 どうやらタキオンはメディアを疎ましく思っているきらいがあるらしく、彼女は辟易した様子を見せつつ、不機嫌そうに答えた。

 

「へぇ……。まあ、確かに国際交流もある訳だし、ウマ娘の人気を考えれば当然といえば当然か」

 

 戦兎は納得した表情を浮かべながら、タキオンの言葉に相槌を打つ。確かに、興味が無くともテレビを含めあらゆる媒体を通して、その手の話題は何度も、それどころか毎日と言える頻度で目に入って来る程に、世間では有名かつ人気があるのだ。あらゆるメディアが注目しない筈がない訳だ。

 

「さて。私は一足先に失礼するよ。午後から実験をする予定があるのでね。また後日」

 

 そうこうしている内に、食事を終えたタキオンは空になった食器を手にして立ち上がると、戦兎達に別れを告げて早々にカフェテリアを出て行ってしまう。

 

「随分と慌ただしい娘だな」

 

 幻徳はタキオンの後ろ姿を見送りながら、彼女の印象を言葉にすると、続けてこう言う。

 

「お前の研究所員時代にそっくりだ」

「え? 俺あんな感じに見られてたの?」

 

 戦兎は、幻徳の何気無い一言に驚愕のあまり思わず声を上げると、万丈も彼の発言に同意したのか、うんうんと首を縦に振っていた。

 

「戦兎が葛城巧の記憶しか無かった時に、猿より低脳とか言われたけど、あいつも言いそうだしな。そっくりだよ」

「いや、猿より低脳は事実でしょ」

 

 万丈の言葉に対して戦兎がすかさず突っ込みを入れると、幻徳は万丈がして見せたように、うんうんと首肯をする。

 

「何幻さんまで納得してんだよ!?」

 

 幻徳にまで賛同された事で、万丈は抗議の声をあげるが、戦兎に他の人に迷惑だから静かになさいと一蹴されてしまい、万丈は渋々押し黙った。

 それから程なくして、カフェテリアを後にした戦兎達は学園内を散策した後、正門の前で幻徳と別れる事となった。

 

「俺はこれから別件の仕事があるからここで失礼する。試験に使えそうな資料は、明日にでもお前達の所に届くように手配をしておくからその手筈で進めてくれ。それじゃ、頑張れよ」

 

 幻徳は戦兎達に向けてそう伝えると、路肩で待機していた黒の公用車に乗り込んでその場を去っていった。

 

「まだ仕事あるのか。忙しいんだな」

「そりゃ首相の秘書だし、政治家ってのはそういうもんでしょ。それより、俺らも帰るぞ」

 

 幻徳を乗せた車が走り去っていくのを見届け、呟く万丈に戦兎は腕組みしながら言葉を返し、二人も帰路に着いた。

 

 

 それから一ヶ月が過ぎ──毎日の様にトレセン学園へと足を運んでは、眩暈を覚える量の資料や本と付き合う羽目になった戦兎と万丈だったが、昨日の試験で漸くそれらも終わりを迎える事が出来た。

 俺一人でも受かれば上出来だろう、というのが戦兎の思惑だったのだが、格闘家時代の経験が生きてか否か、万丈も辛うじてだが合格をする事ができ、二人揃って、正式にトレーナーとして着任の運びとなった。

 そんな戦兎と万丈は、早朝の時間帯に学園へと訪れ、理事長室へと足を運んでいた。

 

「まさか本当に受かっちまうなんてな」

「まあでも、働き口が見つかって良かったじゃねえか。格闘家やってて助かったー!」

 

 衝動的に漏れ出た戦兎の呟きに、万丈はそう返した。

 

「万丈が受かってた辺り、試験ってのは建前で本当は無条件で通してたりしてな」

「あ? 何だよそれ」

「はいはい。そもそも、お前の場合本当にギリギリだったからな。もうちょっと勉強しなさいよ。ほら、入るぞ」

「歓迎ッ! よく来てくれた!」

 

 そう言って扉を開けるなり、元気良く出迎えたやよいの横には、たづなが控えていた。

 

「おはようございます。桐生さん、万丈さん。お待ちしておりました」

「ご無沙汰しています。たづなさん」

 

 戦兎はたづなに会釈をして挨拶を返すと、やよいが要件を切り出す。

 

「さて、早速ッ! 今日からトレーナーとしての任に就いて貰うにあたってこれを渡そう! 君達のトレーナーバッジだッ!!」

 

 やよいはそう口にすると、戦兎と万丈に一つずつ、朱色の丸いバッジを手渡す。渡されたバッジに目を遣ると、そこには中央に蹄鉄を模した銀色のマークが入っており、蹄先にあたる部分には五芒星が描かれている。このバッジを持つ者こそがウマ娘の担当トレーナーとしての資格を有する事を表す証である。

 戦兎は手渡されたバッジを一瞥し、それを普段着用しているトレンチコートの胸元に着けると、万丈もまた同様に、自身のスカジャンにバッジを着けた。

 

「にしてもなんで便座のマークなんだ?」

「便座じゃなくて蹄鉄でしょうが馬鹿」

 

 万丈の質問に戦兎は呆れた様に突っ込む。そんな二人のやり取りを耳にしたたづなは苦笑いを浮かべていたが、やよいが咳払いを一つして場を制すると、改めて話し始める。

 

「それともう一つ。こちらが、トレーナー室の鍵になります。普段使うものなので、無くさない様気を付けて下さいね」

 

 そう言ってたづなは鍵を二つ戦兎に手渡すと、受け取った戦兎は二つの内、一つの方を懐に仕舞うと、もう片方を万丈に預ける。その様子を見届けたやよいが、最後に口を開く。

 

「それでは桐生戦兎君、並びに万丈龍我君の両名は、これより『トゥインクル・シリーズ』を目標とするウマ娘の担当トレーナーとして、その手腕を振るって欲しいッ! 期待しているぞ!」

 

 その言葉を最後に、戦兎達は理事長室を後にすると、たづなに案内されてトレーナー室へと向かう。

 

「ここがトレーナーさん達が主に使用する事になる部屋です。基本的に、ウマ娘の皆さんが授業を受けている間は、トレーナーさん達はここで作業を行い、練習メニューなどを検討している方が多いです」

 

 たづなはそう言うと扉を開いて室内へ入り、戦兎と万丈もそれに続く。中は意外と広く、ニ十畳程のスペースの中にトレーナー用のデスク、チームでの使用を前提としているであろうテーブルとソファ、窓際には資料棚等が並べられているのだが──どういう訳か既に人の姿があった。

 

「あら? もう来られていたんですね」

 

 たづなが声をかける先にいたのは、青みがかった黒髪に黒のベストに身を包んだ女性。胸元にバッヂが付いている事から、トレーナーである事が窺える。

 

「こんにちは。貴女が桐生戦兎さんですね。私は桐生院葵と申します! 理事長から詳しい事は伺っています。何でも、急遽トレーナーとして配属されたとか……」

 

 桐生院と名乗った女性は、戦兎の姿を捉えると、椅子から立ち上がり、握手を求めながら自己紹介をする。差し出された手を握り返しつつ、戦兎は彼女の言葉を肯定する。

 

「まあ、色々と事情がありまして」

 

 戦兎は桐生院の質問に対して曖昧に答えると、彼女が此処に居る理由を知るべく、たづなに目配せをする。すると、彼女は戦兎達に向けてこう説明する。

 本来、トレーナーという役職は、難関な試験を突破しなければならず、殊中央校に於いては経験を積んだベテランですらも採用が難しい程狭き門とされている。しかし、今回戦兎達は、試験を通り抜けたと言えど、異例の事態でトレーナーとして着任する事となった。その為、学園側も戦兎達の負担を減らす他、他のトレーナー達との軋轢を防ぐ為にも、まずは実力のあるトレーナーの下に新人を置かせる事で、学園側の配慮を示す必要があったのだ。そこで白羽の矢が立ったのが──桐生院葵だった。桐生院家は代々優れたトレーナーを輩出してきた名家であり、既に新人ながらに彼女も頭角を現していた。また、名門トレーナー一族の娘である為、蓄積されたトレーナーの知識も豊富で、学園側はこの機会を逃すまいと彼女を戦兎達の教育係に任命したらしい。要するに、学園側としては戦兎達に桐生院をあてがい、彼女にサポートをさせる事で、戦兎達をトレーナー業務に慣れさせ、対する桐生院には場数を踏ませる事でトレーナーとしての経験を増やそうという算段だそうだ。

 

「成る程。そういう事ですか」

「えぇ。これから宜しくお願いしますね!」

 

 戦兎は納得した様子を見せると、桐生院は笑顔を見せながら戦兎に挨拶をした。

 その後、簡単な挨拶を終えた戦兎と万丈を見届けたたづなは部屋を後にし、残された三人で授業が終わるまでの間にトレーニングメニュー等の検討の為にコースやジム等を確認していく事にした。

 

「そういえば桐生院さんは、どんな感じのトレーニングをしているんですか?」

 

 トレーナー室を出た後、戦兎は隣を歩く桐生院に声をかけると、彼女は顎に指を当てて考え込み始めた。

 

「そうですね……色々と試してはいるのですが、一つ自分の中で決めている事があるんです」

「と言うと?」

「ウマ娘用のトレーニングを「まず自分が試す」事です」

「自分で?」

 

 戦兎は思わず聞き返す。

 

「はい、理論だけでは上手く行かない事もあるので、自分が実際にやってみて、どれくらい負荷がかかるのか、どの位体力を消費するのかというのを確かめてからそれを実践に移すようにしています。勿論、人間とウマ娘では身体能力に大きな差があるので、そこは見極める必要はありますけど」

 

 桐生院は戦兎の反応に苦笑しながらそう口にした。確かに、ウマ娘の能力は基本的に人間のそれを遥かに凌駕している。故に、トレーナー側がウマ娘の限界を顧みずに無茶な練習を指示すれば、最悪怪我を負わせてしまう可能性もある。そうならない様に、トレーナー自身が練習内容を熟知しておくという事には一理あるだろう。

 

「成る程なあ」

「じゃあ俺達もそれに倣ってやるか」

 

 万丈が腕を組みながら感心した様に呟くと、戦兎が賛同する様に口を開く。それから暫く歩き続けてトレーニングジムへとやって来た戦兎達は、桐生院の案内の元、各々でマシンを使用してみる事にした。

 

「デッドリフト、ベンチプレス、ラットプルダウン……結構色々有るな」

 

 規則的に立ち並ぶ器具の数々を見ながら万丈が呟く。目につく器具は一般的なスポーツジム、或いはそれ以上に充実しているが、更に目を引かれるのはウマ娘の身体能力を考慮されているだけあってどれも一般のそれとは文字通り、桁違いの重量を有している。プレートの重さは、最大サイズではゼロの桁が二つ付いており、普通の人間が扱えば持ち上げる事すら困難であろう代物ばかりだ。

 最も、体内に投与されているネビュラガス及び、ファントムリキッドの作用によって底上げされた身体能力を有する戦兎と万丈にとってはウマ娘用の機材でも問題なく使用できるのだが。そんな二人の様子を、桐生院は唖然とした表情で眺めていた。

 

「凄いですね……」

 

 桐生院は、呆気に取られた様子で戦兎と万丈に視線を送りながら呟いた。彼女から見た二人は、明らかに常軌を逸していた。何せ、ウマ娘ですら体格や筋力によっては扱う事が困難な程の重量を誇るレベルの重りを涼しい顔で扱っているのだ。桐生院にとってみれば驚愕に値する光景である事は言うまでもない。

 その後も、二人は彼女にアドバイスを受けながら次々とトレーニングをこなしていったが、その度に二人の驚異的な身体能力は桐生院を驚かせた。一通りのメニューをこなした戦兎と万丈は桐生院に礼を言い、彼女の元から去ってトレーナー室に戻った。

 

「さて、それじゃ早速だがトレーニングメニューを考えてみるか」

 

 戦兎と万丈はテーブルに横並びになる形で椅子に腰掛けると、トレーナー室に備え付けられているパソコンを起動させてトレーニングメニューの考案に取り掛かった。

 

「トレーニングメニューって言ってもよ、具体的にどうするつもりなんだ?」

「これを見てみろ、タキオンの親のレース記録と本人のデータだ」

 

 万丈の疑問に、戦兎はマウスを操作しつつ答えると同時に、画面の半分に左半分にデータを映しながら、メニューの作成をしていく。

 

「母は桜花賞、祖母がオークスを受賞している名家の生まれで、本人も傾向としては中距離を得意としているらしい」

「名家って、あいつお嬢様だったのかよ!?」

「らしいな。あんまりそうは見えねえけど「早々に失礼だね、君達は。両親が放任主義だったのさ」ってタキオン、いつの間に来てたのかよ」

 

 戦兎が説明しようとした矢先、不意に声が聞こえてきたかと思うと、そこには話題の主であるアグネスタキオンの姿があった。

 

「たづな君に部屋の場所を聞いてね。今しがた来たばかりだよ。それにしても、随分熱心に調べてるじゃないか」

「まあな。今お前のトレーニングメニューをちょうど作っていて、とりあえずはこんな感じで考えているんだけど。改善すべき所があったら教えてくれ。まだ俺もどういった感じでやればいいかを掴みきれてないから」

 

 戦兎はノートパソコンの画面に映し出された、暫定で作成されたトレーニングメニューを指差して言う。

 

「ふぅン、成る程ね。悪くないんじゃないかい? 一先ずはこれでやってデータを取っていく事にしよう。まあ、トレーニングに来る保証は出来ないがね」

 

 そう言いながら、タキオンは戦兎の肩越しに画面を覗き込むと、そのまま戦兎の隣に座り込んだ。

 

「それで、何の用があってここに?」

 

 戦兎はタキオンを横目に見やりながら問いかけると、彼女は僅かに口角を上げながら答えた。

 

「そうそう、その事なんだがね。実は今、筋力増強の薬の作成を試みているんだが、サンプルが欲しくてね。トレーナー君達に被験体になって貰えないかなと思って来たのさ」

 

 そう言うと、タキオンは鞄の中から小さな試験管を取り出す。中には透明な液体が入っており、青く淡い光を湛えているそれは、当然ながら、とても人体に摂取して良い代物には思えない。

 戦兎と万丈は、怪しげな雰囲気を醸すそれを目の前にして表情を引き攣らせていると、タキオンは悪戯っぽい笑みを浮かべながら言った。

 

「大丈夫さ。副作用などは一切無い筈だから」

「本当だろうな……?」

「勿論だとも。この私を信じたまえ」

「……分かった。じゃあ、少しだけな」

 

 戦兎は半信半疑になりながらもタキオンの言葉に了承すると、万丈と共に渡された試験官の中に入っている青い溶液を飲み干した。

 

「……特に身体に変化は無いみたいだけど」

「俺も特にないな」

 

 飲み干し終えた後、戦兎と万丈は互いに目配せをしながら言葉を交わす。だが、そうしている間にも変化はすぐに訪れた。二人の体が淡く発光し始めたのだ。

 

「おい戦兎! お前めっちゃ光ってるぞ!」

「お前もだろバカ野郎! ていうか眩しいんだよ寄るな! 本当にどうなってんだコレ? 所謂、細胞発光か? ATP合成の活性化による細胞呼吸の増加に加えて薬による何らかの要因で元より人体で起きている発光が強くなっているのかそれとも……」

「おいタキオン! 戦兎が訳分かんない事言ってんだけど!?」

「落ち着くんだモルモット君。彼はどうやら発光の原理について考察している様だ。それより──」

 

 万丈が慌てふためく中、戦兎は冷静に状況を分析しながら独り言の様に呟き、一方のタキオンは二人の袖を掴むと、二人を強引に部屋の外へと連れ出した。

 

「お、おい! 何処に連れていくんだよ! 俺達まだ光ってるんですけど!?」

 

 万丈が必死に抗議の声を上げるも、タキオンは二人の腕を握る力を緩めず、廊下を突き進む。

 

「決まっているだろう。トレーナー君がメニューを作ってくれたんだ。薬の効果を調べるついでに、早速トレーニングと行こうじゃないか」

「「うそーん!?」」

 

 戦兎と万丈の悲鳴が廊下に響き渡る中、二人は半ば無理矢理トレーニングルームへと連れて行かれる羽目となった。言わずもがな、発光している二人の姿は学園中の話題となり、しばらくの間、トレセン学園の間で恰好のネタとなるのであった。




ハギャぎ!?(いきなり赤評価がついててバチギレする先輩)

最近方舟読んだけど何故か麻衣がエイシンフラッシュに脳内変換されて読了と一緒にどうも脳が壊れたみたいなんですよ(自滅)

追記:知らん間にデイリーランキング入ってました ありがとナス!
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