遠山キンジの独白 作:緋色
ここの作品では一貫して組織犯罪対策部捜査四課のままでしょうけど
「眠ィ…」
「隙あり!」
アクビをした所で打ち込まれた警棒を軽くいなして手首を掴んで捻り拘束する。
「はい。残念」
「もう一本お願いします」
「まだやんの?」
現在、
練習熱心な後輩を持つと中々開放してくれない。
「言っちゃあ悪いと思うけど、指導は他の人に頼んだら?俺は割と正統タイプじゃないし」
「Sランクの遠山先輩を熱望したのは私です。こんな雑でダラしなく性格悪くても強さが本物なのは認めてます」
「乾ちゃん俺の事嫌いなのはよくわかったよ」
中学2年で成績優秀・運動神経抜群。父親は麻布警察署の署長という何というかよくいるエリート一家の娘である。無遅刻無欠席という絵に描いた様な優等生で、Sランクの
最初は憧れでもあったのか敬意を払っていた様だが、最近は腹立つなこいつみたいな眼で見ている雰囲気を感じる。
多分自業自得なんだろうが。
「これだけやっても掠りもしないし片手で制圧されるなんて…。私は才能ないんでしょうか…」
……面倒臭いなこいつ。
無視したいけどお前のせいでグレたら容赦しないみたいな上からの圧力もあるし無視もできない。というか前にこういう感じになった時に無視したら一週間ぐらいやる気無くなってたせいで減点食らったし。
「いや才能はあると思うよ?言い方悪いけど未熟なだけで
この子の同期の成長とか見た覚えないから適当だけど。
「でも先輩は
「俺の家は武家だから古武術継承しているんよ。近代格闘法から見たら外れてるだけで、方式は違うけど
基本戦法は
誉?死んだら意味ねえだろ?まあこれ守ってる奴あんまりいないみたいなのだが……。
「そうですか?」
「俺の戦い方は相手を殺すための技術だからな。ちゃんとした警察官になりたいなら俺を見習っちゃダメだ。というわけで指導は今後別の人に「それは嫌です」――あ、はい」
やっぱうまくいかねえな。
「先輩が適当な事言うのには慣れてます。誰も殺さずに武装集団の制圧を何度も行ってる先輩がそういう技術持っているとは思えませんし「持ってるよ?」――自分が弱いのもわかってます。なら先輩よりも強くなるために努力するだけです。何年かかっても追い付いて追い越して見せます!そして先輩の顔を思いっきり殴ります!」
「理由はどうあれモチベーションがあるのはいい事だけど。……そんなに殴りたいの?」
「最初の一週間、放置されたのは忘れてませんからね!」
そういや面倒だったし、上が諦めさせるためとかで相手しなくていいって言うから一週間ぐらい顔合わせないようにしてたっけ?その間評判がいい、ちゃんとした人が指導してたらしいけど。
しびれを切らしたのか教室まで突撃してきて、指導することになったから意味なかったけど。
勤務時間が終わったので後は帰るだけなのだが、なんか怪しいのがいたので追跡している。
具体的には職業不定の無職みたいな外国人が妙に高そうな時計だとか小物とかを身に着けている。身なりが小汚くて稼ぎが安定しているタイプに見えないのがこういうの身に着けてると不審すぎる。
これは勤務時間外の暇つぶし兼仕事なのでいいとして
「なんでいるん?」
「怪しい先輩がいたので。むしろ先輩は何してるんですか?」
なぜか警察署で別れたはずの後輩と合流した。
勤務中なら兎も角プライベートで関わりたくねえんだがなぁ。
「
ほらアレと指差し、面倒臭いのでシッシッと追い払う。
「確かにそれっぽい匂いがしますね」
「鼻がいいのか?ラリる前に離れた方がよくないか?」
「ヤクの匂いがするのではなく、悪い売買する人間の匂いです」
「あぁそういう」
犯罪対策によってはそういう犯罪者が一目でわかるようになるという。
自分も
今回のもそういう理由だしな。視界に犯罪組織っぽい人間を見つけたから追跡してるわけで。
そういう意味じゃ、まだ研修中のこの子の嗅覚はすごいわけだ。前からやってたのかな?
取引関連に鼻が利くっぽいから捜査二課辺りが向いてるかもしれない。
「私もやります」
「残業代でないし帰ったら?空振りもあり得るし」
「見過ごせません!」
……邪魔だから帰って欲しいが聞きそうにないな。なんでこんなに言う事聞かないんやろか。
人込みに紛れての追跡のコツは相手の視界に入らない事とガン見しないで視界に何となく入れるレベルを維持する事だ。人間ガン見されてるとなぜか気が付くもんだ。動物の本能みたいなもので後ろ暗い事をしている小物な人間ほど察知能力が高かったりする。
適当な雑学を語り、周りから浮かないように気を付ける。
「追跡に集中したらどうですか?」
「集中してるよ。むしろカモフラージュしないとバレるわ。本来追跡は複数人で交代制にしてバレないようにするもんだからな?ほら周りに兄妹っぽく振舞えって。『お兄ちゃんカッコいい』と思われたいんだ」
何言ってんだこいつみたいな顔すんなや。
「言い分はわかりますけど。バカなんですか?」
「妹がツンドラ過ぎる!でも買い物に付き合ってくれるから実はツンデレだよね!」
「……うまい事言ったつもりですか?」
「割と自信あったんだけどな…辛口」
周りが不審な目を向けてきたのでお兄ちゃんカッコいい辺りから動きを大げさにする。
会話も不審者からアレな感じの兄とその妹がいる認識されたっぽいので動きを小さくしていき注目意識を薄れさせる。
「桜ちゃん動き固いし
「う、すみません」
だんだん人気のなく道が入り組んだ方向に向かっていくので、バレるリスクを考え行先を推理していく。
「この方向だと帰宅かな?でも進むにつれ緊張感増してるっぽいから仕事場、いや上司に会いに行くのか?ここら辺の縄張り考えるとシノギの系統が合わない。新参の組織が入り込んで縄張り荒らしてる感じか」
「わかるんですか?」
「経験で。あいつ武闘派臭いがどっかに負けて最近開拓ルートを探ってる密輸業者だな。まだ縄張り把握してないっぽいし」
こっちの尾行に気が付いておびき寄せようとしてるし、拠点バレてもいいと考えてるなら撤収寸前なのかも知れん。まあ学生だし舐められてるだけっぽい気もするが。
問題は他の視線感じるからこっちの顔撮られて共有されてるな…。桜ちゃんは俺と離れたら即攫われるかもしれん。面倒臭い…。
「桜ちゃん。銃持ってる?」
「帯銃許可出たばかりで持ってないです」
「……しゃーないか。これ持っとけ威嚇にゃなる。これから銃撃戦になるから気を抜くなよ――死ぬぞ」
そう言ってリボルバーと弾薬を渡し、自分はベレッタを右手に持つ。
アジトらしき場所が見えて来て剣呑な雰囲気は理解したのか文句は言わないようだ。
「――始末書ですよコレ」
「生きてりゃ安いな」
「先輩のやり口を告げ口しようと思っただけなのになんでこんな事に……」
え?そんなつもりで着いて来てたのこの子?
踏み込んだ先で一斉掃射されました。
踏み込んだ時に見えた人影から人数は14名(もっといる可能性大)。現在撃ち込まれてる弾幕から軽機関銃持ちが3人。他は何持ってるのか知らんけど火力足りるか?
うーん。弾幕でコンテナの陰から出れないし、部下に回り込む用に指示してるからここも危ない。俺だけなら突撃で(死亡率80%越える賭けだが)どうにかなるかもしれんが、桜ちゃんは絶対死ぬな。どうするか。
「先輩……。先輩一人ならどうにか出来ますよね?」
期待されてる所悪いが現状勝てる見込みはない。
一人なら逃げ切れる可能性があるだけで
「出来るかもね。桜ちゃんの命が保証できないだけで」
「……先輩行ってください。元々勝手に付いて来て足を引っ張っているんですからこれ以上「黙れ。キスして口塞ぐぞ」
さて、どうしようか。こういう状況に陥ってもどうにか出来そうな知り合いは大概実力も上だから真似出来ないだろうし……いや実力跳ね上げる方法あったな。でも桜ちゃんだと中二だからなんかヒスらんし無理か?あ、そうだ。
「お兄ちゃんって呼んでくれたら俺のやる気が70%ほど上昇するからなんとか出来るかも」
具体的には30倍ぐらい神経強化で強くなれる気がする。
元々、子孫繁栄のための能力だし、危機的状況で自分より弱い奴を守ろうと思えば血流が来るかもしれない。兄貴だってなんかそういう感じで強化されてる節あるし。
出来なかったら?死ぬんじゃね?
「巫山戯てる場合ですか!?」
「巫山戯てない。死ぬ気もない。俺を信じろ」
迫る足音、時間もないのを察したのかすっごい不本意そうに言う。
「お兄ちゃん」
――ドクンッ
あ、血流が集まる感覚が来た。――俺シスコンだったのかな?
思考回路の高速化で自分だけ脱出プランを廃棄し、周囲を見渡し敵戦力無力化プランを検討立案していく。
うん。今ならできそうだ。
「大丈夫さ。お兄ちゃんは最強だからな」
「雰囲気変わった……?」
足音から計測し周り込んできた連中にカウンターを当てる様に銃撃し、銃のトリガーだけを破壊し銃を使用不可にするのと銃の向きを変えて撃たせることで相手の弾幕に乱れを生じさせる。
ここからRTAはっじまるよ~。
まず近くの敵6名を気絶させることで無力化し、使える銃を奪って敵軽機関銃へ撃ち込み無力化を狙いながら盾となる障害物を経由しながら接近する。近づけたのならこっちのモンだ。
敵を盾に同士撃ちを警戒させることで隙も大きくなる。あとはどんどん仕留めて行くだけの簡単なお仕事である。コツは躊躇わない事と不意討ちする事だ。
「すごい」
「言ったろ?お兄ちゃんは最強だって」
「先輩そういう趣味が…?」
現状否定できないな。
さて、こいつら応援呼ばなかったしこいつらだけかな?
銃撃戦を通報されたのかパトカーのサイレンも聞こえるし、一纏まりに縛っておくか
「先輩。匂います」
クンクン
?自分のニオイはよく分からねえ。汗かいたしそれかな?
「俺臭いの?ゴメンね」
「違います!私は悪の匂いがわかるんですが」
なんだそれ?
ニオイでストレスがわかるとか聴いたことあるけど、それの応用能力か?
「なんていうか。近くに自分を正義だと思い込んでる類いの純粋で危険な悪の匂いがします」
「近くに?」
気配なんて感じないが。
気のせいじゃないかと何となく見回し――視界の端に知らない人影が見えた気がしたので。咄嗟に腕を突き出し桜ちゃんの頭との間に割り込ませ
「痛ってぇ!?」
蹴りを入れて追撃を避けさせつつ距離を取らせ、そいつに銃撃をしてさらに距離を取らせるように牽制する。すげえあっさり避けられたな…。
一瞬でよくわからなかったが割り込ませた腕に指が刺さったように思える。刺された場所から先が激痛で動かせなくなった事から、割り込ませるのに合わせて軌道を変え狙った場所を刺した可能性が高い。
今までのやり取りから過去に見た最強クラスの人間である父や父の同僚である武装検事クラスだと推定される。片腕が動かんし100%勝てないって事だ。――マジで死ぬかもしれん。
姿を隠す気がないのか普通に対面したので姿を確認しておく。
相手は長髪の女。装備は軍用と思われるコートに素手。ナイフや拳銃等は持ってないようだ。
顔は名工が作った人形のように端正で、澄んだ眼は虚無を見てるようだがはっきりと俺と桜ちゃんを見ているのはわかる。あれ?なんかイラついてない?
「――君が遠山君?」
一言発しただけでわかった。
まるで神懸ったような或いはロボットのような純粋に人間離れした別種の雰囲気を感じる。こんなタイミングで出会わなければ神とでも錯覚しそうだ。
「えーっと、瞳のキレーなおねーさん。うちの妹に何しようとしてんだオイ」
「妹じゃないです!」
桜ちゃん今ふざけてる場合じゃないんだけど。
「――短髪だから遠山金次君」
「おねーさんに名前を知られてて光栄だね。出来れば名前を訊ねても?」
「そうね。…ひとみとでも名乗っておくわ」
あかん。殺気が増してきてる。俺ここで死ぬかも。
出たぁ
エミュ難
原作何巻まで読んだ?
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読んでない
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1~10
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11~20
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21~30
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31~39