遠山キンジの独白   作:緋色

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何となく変化には目敏く気づきそう


用意

 現像用にプリンターがあったのでスコープの写真を現像する。2km先の写真取れるとは言え少しピンボケしている。大体わかるからいいか。

 

『急に署から留学生の情報持って来いって言われて大変だったんですが。先輩なにしたんですか!?』

「んー。その留学生が密輸に関わってるとか何とか。武偵校にはもう戻らんだろうけど校内で見かけたらすぐ教えろ逮捕すっから」

 

 なんか桜ちゃんから電話が来たので電話片手に作業を行う。

 桜ちゃんにココの写真をこっちに送らせようとしたがココの武偵校のデータが何故か消されてるらしい。

 不正アクセスだとか何とかで情報科(インフォルマ)が調べてるらしいが――用意周到だな。

 

『先輩またヤバイ件に関わってるんですか?』

「関わってるというか絡まれてるな。そっち戻ったら手伝って貰うかもだが――まあ必要になったら言うわ。じゃおやすみ」

『いや何か手つd――』

 

 電話を切って片手間に描いた似顔絵をそれを写真に収める。

 筆と和紙は似顔絵には向いてないんじゃないかな。コツ掴むまで数枚ほど無駄にしちまったし。

 送るべきところに送った所で白雪からジャンヌが到着したから連れてくると連絡が入る。

 ふむ。ちょうどいいタイミングだったな。

 

「キンちゃん。ジャンヌさんが来たよ」

「で、なぜ私は呼ばれたのか説明はあるのだろうな?」

「来いって言ったら二つ返事で来たくせに偉そうだなお前。いくつか聞きたい事あるのと協力しろってだけだ」

 

 星伽分社に今すぐ来いと命令したらすぐタクシーで来たジャンヌに先ほど作った似顔絵と写真を見せる。

 

「こいつら知ってるか?襲われたんだ」

「男の方は知らんな。こっちはアリア……?いや眼鏡はしてないが黒髪でこんな服を着ているのは――ツァオツァオか」

「ツァ……?いや武偵校に留学してきたココつってたぞ。曹操の子孫だとか偉そうに言ってたが」

「なに?奴が日本に!?」

 

 非常にまずいみたいな顔をして焦るジャンヌだが――この感じだとなんも知らなかった感じだな。手口から見てイ・ウー残党が絡んでる可能性を感じていたがあたりだったか。

 

「説明しろ」

「あ、ああ。ツァオツァオは莫大な金と引き換えに魚雷やICBMや魚雷を乗り物に改造したりしたイ・ウーの天才技師(メカニック)だ。イ・ウーと通商関係の秘密結社の人間で核燃料から米軍の試作品、絶滅危惧種や情報まで金次第で集める――金次第で何でもするし金を得るために何でもする奴だ。Bandire前だから油断していた……!」

 

 Bandire?英語じゃないな。フランス語か?というか前にも聞いたような……?いや今はどうでもいいかそんな事。

 

「手口からして理子が絡んでるのかと思ったが――違うみたいだな」

「ツァオツァオは理子に『減速爆弾(ノンストップ)』の作り方や中国拳法を教えている。理子の先生の一人であるからそう感じたのも仕方がないが――今、理子がお前に仕掛ける事はない。それより今はツァオツァオだ」

 

 今は――ね。司法取引組が犯罪者に戻る場合、元イ・ウー組の担当である俺が最優先に討伐に向かわなければならないからそれは良かったが。面倒くさいし。

 

「しかし技師(メカニック)ねえ?――相手した感じだとそんな気配は感じなかったし。三人目がいるって事か」

「三人――?どういう事だ?」

 

 その様子だと気が付いていないらしい。説明してないんだから気付く方が難しいか?いやイ・ウー内でも気づいてる奴は気づいてるだろうが。

 

「まず夕方頃にレキと狙撃戦になったココの写真がこれだ。その後レキが狙撃銃を破壊したがレキが負傷しての撤退時に現れたのが似顔絵のココだ。ほとんど見分けがつきにくいが別人なのは何となくわかるだろ?」

 

 言いながら先ほどの写真と似顔絵を指さす。

 

「いやわからない」

「……直接対峙した感じだと狙撃を鍛えてる人間の鍛え方ではなく近接戦を鍛えたエキスパートだったな。じゃなきゃ逃がさねえし」

「どっちも出来る人間ではないのか?」

「どっちも鍛えてレキ並みの狙撃できて俺と殴りあえて、技師(メカニック)できる奴なんてあの年齢では不可能だな。イ・ウーメンバーとの喧嘩でそれなりにレベルが見えてるからこそ言うがそれこそあのクソ野郎(シャーロック)ぐらいか?できそうなの。どっちにしろ基礎から徹底的に鍛えてる重みが違うんだよ。この狙撃手の写真見ればわかるだろうが格闘メインじゃないのはわかるだろ?」

「見てもわからない。だが言いたいことはわかった。だとするとツァオツァオは顔が同じ人間が複数人いることになる。――姉妹か」

「一人っ子政策ガン無視してるから親戚かもな。そこはどうでもいいが複数人いる事だけは頭にいれといてくれ」

 

 そこまで話したところでどう出るかは問題なわけだが。

 

「一応、日本警察唆して山狩りさせてるが――まあ無駄だろうな。密輸ルートは潰せるかもだがココは潤沢に金ぶち込んでも命優先で使い捨てれるタイプだろうし」

 

 逆に言えば俺とレキを手に入れる利益がそれ以上になると判断してるという事になるのだが――。

 色金絡みか?超能力が滅ぶとか言ってるから別件か?

 それより今後どうするか。いい考えも浮かばずに唸っていると

 

「キンちゃん。御飯まだだよね?お腹が空いてればいい考えも浮かばないし襲われたとしても動けなくなっちゃうよ?」

「……食べる」

 

 危機的状況が続いたからあまり自覚はしてなかったが確かに空腹である。なんなら疲れてるからか眠気もある。

 

「星伽の防衛力はあるし、レキさんも安全です。幸いお外は人手は足りててキンちゃん様が必要な場面ではありません。だからぐっすり休んでから反撃の策を考えましょう」

「……正論だな。悪い白雪。ちょっと――いや結構焦ってた」

「夫を支えるのも良妻の務めですから」

 

 はにかむ白雪だが、しきりに俺の顔色を確認している。

 ……気を使わせたかな。確かに今の場面で俺に出来る事はあんまりない。それにだいぶ疲れが顔に出ているのだろう。

 

「そういうわけだ。とりあえず対策はまた後で考えよう」

「わかった。しっかり休むといい。星伽すまないが今晩泊まれるだろうか?」

「それは問題ないけど。ジャンヌさんは星伽内をあまり自由に動き回れないからそれは理解しといて」

「客だからな。理解している」

 

 食事はすでに済ませているらしいジャンヌは自分なりに調べると言い残し、別室に案内されていなくなる。――PCでも持ち込んでいるのだろうか?

 俺は膳殿という料亭みたいな場所に案内されてそこで食事を取り――疲れが出たのか食べ終わったあたりで眠気にあらがえずにそのまま突っ伏すように眠ってしまった。

 


 

 あの後、そのまま寝た俺は気が付くと布団の上で寝かされていた。

 山の中にいたので多少泥で汚れてたはずなのだが着替えさせられていて身体もきれいに拭かれているようだ。

 白雪の仕業かな?神社に汚れたままだと拙いから着替えさせられたのだろう。

 

 閑話休題

 

 連絡を受けて知った事だが、予想通り山狩りでは捨てられた機材と犬20匹の確保で終わったようである。

 それから人海戦術で密輸ルートを暴くそうだ。

 数と国家権力の合わせ技は改めて脅威である。すでに日本海で怪しい拠点を絞り込んでるとか。いや早すぎひん?

 ココは監視カメラなどの情報から大阪方面に逃げたという事も確認されており、今なら襲撃の心配もないしアリアの母の裁判の打ち合わせもあるため、一度東京に戻る事ととなった。

 レキは安静状態で動かせないが星伽神社は『璃璃色金は穏やかにして、その力、無なり。人の心を厭い、人心が災厄をもたらすとし、ウルスを威迫す。璃璃色金に敬服せしウルスは、代々の姫に己の心を封じさせ、璃璃色金への心贄(ここにえ)とした』とレキが感情を自覚してない原因が色金らしく、レキを大陸の姫――巫女?とかで恭しく扱っているため問題は起きないだろう。

 下手に安定してるものが狂うと困るニュアンスに見えるがオカルト的な事はわからん。

 動けるようになったら迎えに来ると伝えるように頼んでおいたが目が覚めたら動き回りそうなのですぐとんぼ返りすることになるかもな。

 




次回から新幹線かな
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