遠山キンジの独白 作:緋色
暴れるアリアは腰まである長いツインテールがネコジャラシの穂みたいにワイヤーから身体を滑り出させる一発芸をしてる間に、乗り合わせた武偵校生――元々16号車にしかいなかったらしい――に情報共有と新幹線に等間隔に配置するようにし、武藤に精神が限界なのか神に祈り始めた運転手と代わらせる。
そこはすんなりいったのだが――
「とりあえず新幹線の上に飛び出てココの足止めするから内通者か脱出手段潰しといてくれない?」
「嫌よ。さっきの話は聞こえてる。私が行くからあんたが中でやりなさい」
「まあ多人数いそうだし二人で行くしかないか」
携帯食として持ってたおにぎりを早食いして手早く準備する。
武器は――銃で行くべきかそれとも
中で
「あんた――ココに絡まれてお兄ちゃんぶって可愛がっていたの?」
武器選択を考えてたところでアリアに話しかけられたので、刀の抜刀と収納が問題ないかを確認しつつ雑談に応じる。
「してないなー。チームの調ky――調整に時間かけてたしな。妹に同年代だし戦妹に任せとけばいいかと」
「あんた今調教って言いかけなかった?」
「気の所為」
アリアがちょくちょく協力時に調教とか言うからうつったか?反省。
チーム調整とかなかったらココに絡みに行ったかも知れんが……レキが四六時中付いて回ってたしそっちの対応の方が必要だったからな。
同じ前線ならアドリブで連携できるだろうが狙撃手だと連携難しいため連携不足で撃たれるのを避ける為にレキのコントロールは必須だし。
「その件なかったら妹増やしてたのね。ココは守銭奴っぽいから通用しなさそうだけど」
「んー。それは違うな。ハニトラにしろロメオにしろ時間掛けた騙し討ちが基本だしな。色仕掛けで即落ちする奴がチョロいなら色仕掛けで終わりかも知れんが色仕掛けはあくまで取っ掛かりで興味持った所で警戒心削いで近付くものなんだし。今回は時間なかったが金目当てなら金目当てで価値観に合わせるもんだし――俺、
強さにプライドあって相手舐めてるような奴は強さ見せつけた後に優しくするDV理論で上手くいく事もあるが…それもタイマンか周りがチャチャ入れない事が前提なので複数人いるココ相手には上手くいかないだろう。複数人相手なら組織としての意識と個人としての意識同時に調整していかないといけないためかなり難しいし。
「あんたココに甘い顔しちゃダメよ。失敗したら大惨事なんだから」
「俺も死にたくないし真面目にやるよ。俺なら狙撃防げるから安心して盾にしてくれ」
「狙撃って――あんた頭おかしいの?」
「出来るんだけどなぁ……」
呆れたのかぱしぱしと自分の顔を叩いて気合入れる可愛いアリアは可愛い。可愛い妹は守らないとな。
とヒステリアモードを補強する。
「行くわよ」
さっそく梯子に飛びついたアリアの小さな手を俺は上から、自分の手で包むように覆う。
「なっ何っいきなりっ。手、手っ手っ」
「梯子や階段を上る時だけは、レディー・ファーストの例外だよ」
奇襲に弱いのか瞬時に赤面したアリアのスカートを、俺は小指でピンと弾く。
自分のスカートを両手で掴んで赤くなっているアリアを思い至らないの可愛い――妹は守らないとな。
とヒステリアモードを補強する。
屋上に開いた四角い出口から、すっかり暗くなった外へ上体を出し、その途端時速200㎞以上で走る新幹線その屋上を流れる風圧に俺の背中が突き飛ばされるように外に飛び出し、
「
「
今背中を襲ったのは
16号車の後部――そこに1つだけあるパンタグラフーー車両上の架線から車両に電力を供給する金具だ――の手前に設置した大きな装置で何やら光信号のようなものを点滅させている所だったようだ。
「
「
俺はその間に
位置的にはちょうど、2人のココに車両の前後から挟まれたような形になる。
ざっくり新幹線の後ろまで確認するが狙撃手の気配はない――最悪だな3人いるのが確定してしまった。
「どっちも曹家なんだろうけど、どっちが
「
「まったくノックスの十戒は多胎児と中国人禁じてるのに推理泣かせだねえ」
「それ中国人差別アル。訂正するネ」
「それは作ったノックスに言え」
軽口を言いながらスクラマサクスを抜いて見得を切る。
「天下無双の遠山侍――お仕置きの時間だよお嬢ちゃん達」
「
「アリア使たのか、ココに似てるアリアを使たのか」
刀を携えた猛妹が俺を睨みながら炮娘に叫び。
短機関銃を構える炮娘は驚いたような表情で赤くなる。
「名推理だな。なんでわかった?」
実際にアリアで補強してるため適当に答えると――なんか二人して妙な警戒心を高めたみたいだな。
バトルパート入るつもりだったので気が抜けそうになる――それが狙いか?
「き、気をつけるネ、猛妹。いろいろと気をつけるネ」
「
と、ステレオで話した2人は元々鋭めの目つきをさらに吊り上げた。
さっきより一段強い殺気が、左右から放たれてくる。
痺れるような本物の殺気どうやら本気になったらしい。
「ココを捕らえるのは俺だから覚悟しなよ」
この緩さと鋭さはゴスロリ制服を思い出すなと戦闘スタイルを脳内でピックアップする。
『どうなってるのキンジ! 出入り口が開かないわ!』
「こっちは現在交戦中だよ。アリアのそっくりさんが2人車上にいる」
インカムからアリアの金切り声が聞こえてきたので適当に返し。
「キンチ生意気ネ。手加減不要ヨ、猛妹。殺すもやむなしネ」
「
新幹線の加速に合わせて猛妹が進行方向から駆け、野球でいうヘッドスライディングみたいな体勢で飛びかかってくる。
時速250㎞の追い風も受けてるからか速い!
足元の薙ぎ払う猛妹を飛び越えて挟み撃ちから逃れようとするが、飛び上がった所でパパパパンッ!と銃を持った方の炮娘が背後からUZIを発砲してきた。
風圧で思ったほど前に飛べなかった俺はやむなくスクラマサクスを振ることで銃弾を逸らしてビリヤードの様に安全地帯を作り出す。
今度は屋上から伸びるように逆立ちした猛妹が俺めがけて足を蹴り上げてきた。俺は猛妹の両足と自分の両足の裏同士を合わせ、ジャンプ台から飛び上がるように跳躍した。
このまま飛び出して飛び越して挟み撃ちから逃れるつもりだったが2,3mは飛んだが思っていたより勢いが足りず飛び越すのは難しそうだ。
炮娘の追撃の銃撃と着地点で待ち構える猛妹から逃れるためにスクラマサクスを咥え、ベレッタとデザートイーグルを両手に構える。変則的な三刀流になったが
デザートイーグルの反動で空中で一瞬留まったのをチャンスと見てか炮娘が前方へと走り図らずとも挟み撃ちからは逃れられた。
この状況で風上に逃げられたか――いやな予感しかしないな。
着地狩りの銃撃を
「花火の時間ネ」
猛妹が道具を出すのを見て顔が引きつる。
気体爆弾のシャボン玉を撃ち出す
「
掛け声と共に風上から放たれた爆泡は、暗い視界でよく見えないが複数。
ジグザグに並んで、小さな龍のように俺へと迫ってくる。
爆弾の殺傷圏は普通、爆心点から広がる『球』だ。仮にその直径が車両の幅ほどの長さであっても、前後に躱すことができる。
だが車両上を被うように連なる複数の爆発は躱せない。逃げ場が無い。
――なら作るしかねえ!
思い出すのはカナ姉の記憶。
あの時のカナ姉の振り回す大鎌が音速を超え
「眼・耳・鼻・舌・身・意――人の六根に好・悪・平――また各々に浄と染!一世三十六煩悩」
龍で言えば尻尾の先で最初の爆泡が弾けた。
爆発が次のシャボン玉を爆発させ、それがさらに次のシャボン玉を――と、爆発が連鎖する。 まるで、ひょろ長い中国龍が燃えさかりながら姿を現すように。
「吹き飛べ――桜花ァ!」
ヒステリアモードの反射神経は爪先で時速100km、膝で200㎞、腰と背で300km、肩と肘で500km、手首で更に100km、それを同時に動かし刀の先は音速を越え
「――桜花:満開、いや桜扇?扇覇ではないな原理違うし――」
爆風が過ぎ去って五体満足で立っていられた。
「キンチ――ホントに人間カ?」
「人間がんばりゃ何とかなるんだよ。――死ぬかと思ったわ!」
それを見てドン引きするようにココに言われるが――できない技も多いしまだまだ未熟なんだよな俺。
腹巻ちゃんほど人間離れはしてない