遠山キンジの独白 作:緋色
桜花の弱点、いや欠点は音速を超える際の衝撃波のダメージが肉体にフィードバックする事なので。刀にダメージを肩代わりさせるのはうまくいった。今の技――名付けるなら
「
「
パパパパン!
「ちぃっ!?」
咄嗟に身体を捻って避けるがそれを見逃さず
肉体サイズの違いをうまく利用されているな。
スレスレのところでスクラマサクスで柳葉刀を防いで
「捕まってくれない?」
「キンチが降参するネ!」
「それはヤダ」
剣戟と銃撃の合間に蹴りをいれてはみるが自覚していた通り攻撃ではなく軽く押すくらいまでしか力が出せず
「キンチ。女攻撃できないナ?勝てる見込みないアル!」
「俺だけならね」
正直
年齢的にロリ寄りの桜ちゃんでも訓練とはいえかなり手加減して取り押さえてるし取り押さえるのも難しいかな?陽菜くらいなら普通に取り押さえれるんだが――いやあいつ縄抜けとか修行してるからすぐ逃げだすんだよな。修行に付き合ったせいで縛り方には詳しくなったがいや今は関係ないか。いや理子の師匠ならそれなりに脱出にも詳しいかなあいつ。
アリアも登ってくるかと待ってたが登ってくる気配無いし……これは詰んだかな……?
このまま関東圏まで粘り自爆するか解除するかの交渉に持ち込むか――いや脱出手段あるだろうし難しいか?と考えつつ攻撃をさばいていた所で――ふと視線を感じた。
「あん?
いやだが今の気配は……?
見上げた所でバラバラバラバラと後方の空から近づくヘリが視界に入る。
「
「Blitznak!三人目か!?」
さっき言ってたデートはやはり離脱の事か。
マズイ。流石にスナイパー気にしながら三人相手は勝てる見込みがねえ!
さっさととらえて人質にするのがいいだろうがうまく打撃斬撃を当てれない以上捕らえるのは難しい。
猛妹は風に揉まれる袖から小さな瓢箪を出して、ぐいぃっ、と天を仰ぐような姿勢で真上を向き中身を一気飲みし放り捨てた。酒――酔拳か。
「
ゆらり。一瞬、バランスを崩したように見えた猛妹が――てんったんったんっ!とツインテールを新体操のリボンのようにヒラヒラさせつつ、側転やら宙返り前転やらで俺に迫る。
射撃は――来ない!流石に不規則なこれには援護できないのかならこのターンでどうにかするしか道はねえ!
猛妹は捨てた瓢箪を踏んで転ぶような動作まで交えられた所で一つ気付く。なるほど理子の師匠だったなこいつら。
ヒステリアモードの頭で記憶と知識が繋がり絶体絶命からの突破口へのか細い糸が繋がる。
「この桜吹雪。散らせるものなら散らしてみやがれ」
猛妹は立っていた俺の腰に広げた両脚でしがみつこうとしたが、俺は倒れ込むように前に出てチラッと見えたそれを思いっきり引っ張る。
「
「待ったなしだ!」
背中のそれを引っ張ると
「
即座に撃ってきた
「服は返すよお嬢様」
その布で下着姿の
「あのヘリ
「心当たりあるだろ。ったく。安静にしてろって伝えておくように言ったはずなんだがな」
新幹線を追尾してきたヘリは
その開け放ったハッチから身体のあちこちに包帯を巻いたままのレキが身を乗り出し狙撃銃を構えていた。
「
『キンちゃん…あの、 もしもしっ。作戦中ごめんね。星伽の蒔江田さん――運転手さんからキンちゃんにお電話ですっ』
「電話?」
ちらっと
「わかった手短に頼む」
答えた俺の耳に、かちゃ、ぴっと白雪の携帯がインカムと接続されるような音が聞こえる。
『遠山様、申し訳ございません。星伽の蒔江田です。今…のぞみ246号の後部を飛んでおります』
「見えてるヘリだな?援護は助かったが怪我人連れてくるなよ」
『――これは私共の失態です。 テレビを見た幼い寵巫女たちが騒ぎ立て、それをお聞きになられたレキ様が……銃を取りこのヘリで白雪様の救援に向かおうとしていた風雪様を降ろし、操縦手の私にご自分を乗せて飛ぶよう命令なされたのです』
……しれっと脅迫して飛ばしたらしい。おとなしくしてろよ。
「……レキには助かったから今すぐ戻って療養しろ。と伝えろ」
車両後方を見れば、ヘリはもう新幹線に接触しそうな距離まで降下してきている。
そのハッチから半身を出したレキはそのショートカットの髪を風に暴れさせながら、列車の最後尾を見下ろしている。そしてヘリの操縦席に何かを命令し
『――なりませんレキ様もう超過禁止速度を超えております。これ以上は機体がもちません……!遠山様もレキ様に戻るように言われております』
蒔江田さんがレキに返したらしい声が聞こえ――それでもレキが蒔江田さんにドラグノフを向け、更に何かを命令するのが見えた。
あいつホント俺の言う事聞かねえな。
『キンジ! ヘリを退避させるのよ!前にトンネルが!』
星伽の運転手と俺の会話を聞いていたらしいアリアから、悲鳴のような声が届く。
進行方向に振り返れば、車両は緩やかなカーブを描きながらトンネルに向かっていた。
まずいなトンネルの上は山だ。このままだとヘリが、斜面に激突する!
「蒔江田さん離脱しろ!上昇するんだ!」
『……!』
限界以上の速度での精密な操縦に集中しているのか、 ヘリからの返事は無い。
堪えきれなくなったヘリが迫る山を避けようと機首を上げ、それを感じたレキが、 ひらっ。 空中でヘリから飛び降り、新幹線の最後尾、その屋上に銃剣を突き立ててしがみつく。
その色の瞳は、まっすぐこっち俺と、ココたちの方を向いている。
なんでここまで無茶するかなあ!
縛られてる芋虫のような
ばんっ!と闇の中、周囲を流れる気流が一気に強まり、気圧が一瞬で変わり、肺が破裂しそうになる。渦を巻く風に押しつぶされないように歯を食いしばって、音の中で耳を澄ます。
トンネル内に反響する、のぞみ246号の駆動音にヘリの爆発音が混じらないか。
――混ざらない。豪風の音しかしない。
ヘリは決死の機動技で山の斜面を避け難を逃れたのだろう。
蒔江田さんは武装巫女たちのお抱え運転手なだけはある実力だ。名前だけでも覚えておこう。
頭上では、トンネル内に等間隔に灯された電灯が流星雨のように次々と流れていく。映画のようなその光景の中、400mほど離れた列車の最後尾にレキがいる。
レキは何とか立ち上がり、一歩、また一歩とこっちへ向かって進んでくる。
「
がしゃッ! という音に振り返ると、
一旦あの斜面に身を隠してレキが射程圏内に来たら銃で迎撃するつもりか。。
「しら……ぬい……!車内に……他に爆弾は……!?」
『こちら不知火。手分けして探したけど先頭車両以外には見つからなかったよ』
「わかっ……た」
呼吸すらマトモにしにくい風圧の中でインカムを差した耳を押さえて叫ぶ。
他に爆弾はない。――当然か突っ込んで爆破する以上先頭を押さえておけば最小限の労力で最大の被害が見込まれるだろう。つまり連動した仕掛けは多分ない。
なら最後の手段だ。
「しら……ゆきッ……!」
武術で服掴むのは密接な関係があり服を用いて無傷で制すのもありかなと
それはそれとして