遠山キンジの独白 作:緋色
今度のトンネルは短く車両は数秒で外に出た。
トンネルを抜けた先では眩い光が、車両に降り注いでいる。
眩しさに目を細めながら空を見ると
バラバラバラバラという音を立る報道ヘリが何機もかなり高い上空を舞っていた。どうやらこののぞみ246号をここで待っていたらしい。
この明るさは、そのヘリ達から照射されるサーチライトが集中したものだった。
マスコミめ。爆発の被害を受けないような距離から高みの見物ってわけか。
反射的に撃ち落としたくなる衝動に駆られるが我慢する。
サーチライトに照らされてると悪党になったような錯覚をする。……というかか明らかに俺が注目されてるな。他がロリよりで一番デカいから目立つからかテロの情報をマスゴミが概要しか把握してないか。
手の内晒したくないし二人にやらせるか…
「レキ、アリア。今そんな事してる場合か」
「あんた「キンジさんは『黙って』てください」なさい」
……こいつら時間無いってのに
甘やかし過ぎたか…?最低限の分別くらい付いていると思っていたのだが。
いやレキがアリアも敵認定してるだけか。非情な判断下せないと判断している節あるし。アリアも俺の事温いと認識しているかとどっちにしろ俺が怒らないから自分の意思最優先なんだろうな…。
あんまりやりたくないし、やるなと言われたがあれやるか。呼蕩の茹るような甘い響きではなく。すべての温度を下回るように――
「レキ、アリア。今そんな事してる場合か?」
「ひぃ」「……っ」
「あまり失望させるな」
うまくいったな。信じられないモノを見る二人に反射的に甘く対応しそうになってしまうがまだ我慢だ。
ヒステリアモードは女性に優先のモードではある故に対応が甘くイケメン度を優先する傾向にある。鬼と恐れられた父の存在を考えるに甘い対応をしない厳しくする事も可能。姐御に女に甘くしないように命令された際の試行錯誤の上で無表情で底冷えするような低い声を出せるようになったのだ。
――ちなみにこのモード練習を見た
「今やるべきことはテロの解決が最優先――違うか?」
怯える様にこくこくと頷くアリアと固まっている様子のレキ。
なんか向こうにいるココもビビってるように見えるが気のせいか?
まあいいや。
「レキ。狙撃手がいる。
「はい」
「アリア。3分やる。あれを制圧しろ」
「わ、わかったわ」
弾かれるように動き出す二人に触発されたのか響き渡る報道ヘリ群の音が僅かに変化する。
報道ヘリの一つが近寄って――ヒステリアモードの目でその操縦手の姿を捉え
「
再び空を見渡すと報道ヘリに偽装した機体ユーロコプター社の
アリアは威嚇するように
ヘリが墜落すればココを殺害する事になるし、新幹線に衝突する恐れもあるからだ。ヘリは新幹線を後ろから前へと嘗めるように飛んだ。
風にツインテールを引っぱられたアリアは俺の背後、進行方向側まで後退させられる。
『……うっ、うおっ!!』
ヘリはインカムに驚く声を響かせた武藤の真上操縦室の上空で滞空――時速350kmで併走し始めたのだ。
本来は救出係だったらしいそのヘリから、ハッチを開けて足に鉤爪を付けたココが、新幹線の先端に飛び降りてきやがった。
パァン!
暗い空中で火花が光る。
すげえな。空中で銃を破壊しようと撃ったレキの狙撃を予想して狙撃で相殺しやがった。
3人目のココが握るのは世界最高の信頼度を誇る名狙撃銃M700だ。レキに破壊された物は迷彩色だったが、夜戦用らしいそれはマットブラックに着色されている。
「
「
それを聞いてギロリと
「ビジネスはここまでネ。人質なくなた。日本政府、
「分かたヨ、
「
この狙撃娘――
どうやら面子が傷つけられて報復を選んだらしい。まあこの状態で撤退は後ろから撃たれるだろうし見せしめ選ぶのは当然か。
語り合うココ姉妹の上空では無人になったヘリが何mか上昇して待機している。
どうやらカメラで自分と新幹線の距離を測りながら速度・高度を保って自律運転する機能を搭載してるらしい。小惑星スレスレを平行に飛ぶ探査衛星なんかと同じ機能か?
落としとくか……?いや住宅街だし被害デカいだろうからダメだな。
運転している武藤からとある内容の通信が入る。
それなら制圧するしかないな。
「アリア、レキ。相手は二人。さっき言った通りだやれ」
話してる最中に撃ってきた狙姐の弾丸にはバスッ!ギィン!
俺がデザートイーグル最後の.50AE弾で
狙姐の銃弾はナナメに弾き飛ばされ、俺の弾は
「
アリアが両手のガバメントを撃ちまくりつつ驚いた姿勢を崩した炮娘めがけて駆け寄った。
レキが反撃のドラグノフでタァン!と
「阿っ!」
足払いを喰らった狙姐はとっさに手榴弾をこっちに投げ捨てつつ新幹線の前面へと滑り落ちていく。
レキめがけて飛んでいく手榴弾をアリアが振り回したツインテールで線路の向こうへと弾き、それを見たレキがドラグノフを発砲し、アリアに迫る青竜刀を弾く。
左手に握られたUZIをアリアの.45ACP弾が精密に弾き飛ばし
「逮捕よッ!」
アリアは躊躇無く飛びかかり、炮娘はすぐ押し倒されてアリアにワイヤーで縛り上げられてしまう。
握っていた武器を撃たれて手が痺れていたのか?割とあっさり倒されたな。
「炮娘!猛妹!
助けを求める声が聞こえたのでそっちを見ると新幹線の先端に続く斜面のフチにレキが無言でしゃがんでいた。その向こう側、見えない斜め下に狙姐がへばり付いているらしい。大丈夫かそれ?
「少しうるさいですよ。 あなたも姫なら辨えなさい」
レキがドラグノフを肩に担ぐように構え、その銃口を見るともなく上空のヘリに向けた。
「……うぐぅ」
それを墜とされては堪らない、と思ったのかそれっきり狙姐は黙りこくる。
「あんたら、まさかもういないでしょうねッ!」
アリアは、ぎゅむ。っと自分そっくりの炮娘を遠慮なく踏みつけ、くるくると左右の拳銃を回してスカート内のホルスターに収めた。
そうして、顔を上げたアリアと――立ち上がったレキが、同時に振り向き――その目と目が合う。
「かっ勘違いしないことねレキ。さっきのは体が勝手に動いただけよっ」
少し赤くなったアリアが、アヒル口になった。
「私も、体が勝手に動いただけです」
レキも、まだ意地を張るような事を言ってはいたが視線はさっきまでとは違う。
それは互いを認め合う、武偵と武偵の目といった所か。
……そういえば
一件落着かな?もうココには逆転の目はないようだ。となると――さっき抑え込んでいたヒステリアモードの反動で――
「よくやった」
「「!?」」
二人を片腕づつに抱きしめる様にし二人に柔らかく告げる。
すぐに離して狙姐を確保しに向かう。落ちて死なれても困るしな。
「――
狙姐が袖から出したらしい桃色の煙幕が渦巻いていた。
煙ごと狙姐は新幹線が切る風に押し流されるように――車両後方へと飛んでいく。
あっという間に遥か後方へと飛ばされていった狙姐は、ばさっ、とピンクの煙に紛れてどこにいるのかよく分からないが煙幕の切れ間に一瞬見えた脚を抱えたその姿パラシュートを広げて急減速し小さな畑へ着地していく。
……狙撃銃が見えなかったが落としたのか?
「冷たいお姉ちゃんね。あんたたちを置き去りにしたわよ」
1人取り逃がした悔しさからか、足元のココ姉妹に告げたアリアに応えるようにクンッと、さらに新幹線が加速する。 これで時速370㎞……!
もうこの速度についてこれなくなったのか、上空にあったココのヘリが遅れ始めた。
一定程度以上離れると、ヘリは減速し線路脇の道路に着陸していく。
「きひひひひっ!竜虎相博お前たち道連れネ。爆泡でみんな吹っ飛べ!バーカバーカバーカ!」
ヤケクソなのか炮娘は叫ぶが――
「一応聞くけど解除しない?死ぬよ?見捨てられて」
「もう『
余裕なくなったからか思考も幼稚になってるな。これじゃ爆弾解除は無理そうだ。
「みんな死なないさ。ココも言ってたように俺は――
ぱちんと炮娘にウィンクする俺の背後から警笛の音を上げて
ツリ気味の眉を寄せた炮娘は、ジリジリと追いついてくる新幹線を唖然と見ていた。
ふー。ぎりぎり間に合った。
武藤がさっき言ってた通信――救援の到着前にココ達を制圧できなければ爆発は避けられなかっただろう。でも何とかなった。
「じゃ車内に戻ろうか」
一応の確認で悪足掻きで爆弾でも仕掛けられてないか狙姐のいた場所を確認すると普通に狙姐がいたので捕まえて車両の後端から車内に戻った。
飞机场:飛行場
婢:女を下げた言い方
すっげえ罵倒だな
次回どうすっかな……