遠山キンジの独白 作:緋色
アウグスタは妹なんじゃないか?
「――『
なんて霧の中に照らし出された異形の集団に甲冑姿のジャンヌが語りかけて――歓迎するような事を言ってはいるが奥歯に刃を秘めたような感じだ。
ここに集う一同の交錯する敵愾心――一触即発のムードってやつだ。
どう考えても関わる方が損だろこのよくわからん会議?会合?どっちでもいいが面倒くさいけどなんか注目されてるっぽいから逃げるのも悪手かな…。
ならどうするか…
「パトラお義姉ちゃーん。質問いい?」
一気に周りに注目されるが知った事か
「その呼び方やめるのぢゃ。なぜ妾にはそこまで馴れ馴れしいのぢゃ」
周りに一気に注目されたことで少々居心地が悪そうなパトラ
「いつ兄さんと結婚式すんの?予定空けるし盛大に祝いたいしはよ決めて」
「何を言うかと思えば結k!?$%&@#○×*◇!?」
ふむパトラが壊れた。
「いきなり何を言うんぢゃ!?」
「別にいきなりじゃないだろ。前にもいつ結婚するのか聞いたんだし」
「あれ本気だったんぢゃ!?」
「いやだって兄さんが女に興味持つとか奇跡に近いと思ってるんで。なんかもう色々水に流して捕まえてて貰わんと困るというか」
「第一おぬしに祝われる覚えはない!?」
「いやいや兄さんの結婚は祝いたいし。というか拗らせ過ぎる前に結婚して貰わんと兄さん一生独身だろうし」
カナ姉となってる時点で手遅れと思っていたがパトラに対して男として付き合えるなど驚天動地だ。パトラに関して怨みも多少あるが差し引きでそっちの方が重要だし。
多分最初は任務の為だったが途中でマジになったパターンだと思うが――
「何故そんな事を言うのぢゃ!?」
「見ての通りだが?」
いつの間にやらカナ姉に抱き着かれて人吸いされている。動きにくい……。
「俺の危惧は妥当だろ!?あとカナ姉それパトラにやれ」
「今はパトラじゃなくてオトウトニウムの気分。パトラはまた今度ね」
「え?パトラにやってるの……?」
「されとらんわ!?」
されてなかったらしい。
俺の危機感は間違ってなかったようだ。真面目に拗らせすぎて変な方向に確定するよりかはパトラと結婚で決めたい。というか俺の方が変な方向行きそうだ。
「兎も角、兄さんの結婚は祝いたいけどカナ姉の結婚とか絶対祝いたくな「どう言う意味かしら?」ぶべら!?」
話してる途中で車に轢かれたように吹き飛ばされた。
今のは――身体に触れた面積が拳分しかなかったので恐らく
「危ないな――俺じゃなきゃ死んでたぞ!」
吹っ飛ばされてきりもみ回転しながら頭から地面に落ちたせいで少々汚れる。
というか霧のせいか少々泥っぽい。
「当然じゃない。その程度で怪我するほどぬるい鍛え方してないわ」
「理不尽!パトラお義姉ちゃん助けて!カナ姉がイジメる!」
「なぜ妾の後ろに隠れる」
「イジメじゃないわ。制裁よ」
「そもそも何で怒られたの!?カナ姉はずっと綺麗なままでいて欲しいだけなのに!?」
主に綺麗な思い出としてカナ姉の思い出は終わらせておきたい。
というか兄のウエディングドレスとか絶対見たくねえ。
「ふ~ん?なるほど。まだまだ可愛いわねぇ」
が、なぜかカナ姉の機嫌は回復したらしい。なぜだ。
ぎゃーぎゃー騒いでいると
「お前ら。ここが
「ん?――あ、会議終わった?皆様お疲れさまでした。気を付けてお帰り下さい。このまま残る方は兄さんとパトラの結婚をどう盛り上げるべきか意見ください」
「まだ何も決まってないわ!?」
怒られた。
微塵も参加する気がなかったから雑談に入ってグダグダにして破綻させる気だったなのに。
「確かに決まってないな。和式か洋式か――エジプト式の結婚てどんな感じなん?」
「む、まずは男が花嫁の家に挨拶に行き、その後に家族ぐるみで挨拶して内輪の式を――ってお主まだそれ引きずるのか!?」
「……?俺は最初からその話しかしてないが?というかそれ以外になんか重要なことある?」
「
「そんなもんは知らん!それより兄さんの結婚式の方が重要だろうが!」
逆切れ気味に言ってパトラの勢いを殺す。
「
「それはジャンヌに言え。決闘状送りつけてきたから返り討ちにしてやろうと思ってきたのに」
呆れたように言いつつ殺気をぶつけてくる蝙蝠女。
なんかずっと睨んでくるな……。
「
「武装して0時にココに来いが決闘状じゃないならなんなんだよ。喧嘩吹っ掛けておいて別の予定と被せるとか舐めてんのかてめえ。予定終わったらてめえが売ってきた喧嘩買ってやるからさっさと済ませろ」
「決闘状は送ってないぞ!?」
「
さっきから殺気をぶつけられるしジャンヌはとぼけるしで血管がキレそうである。
というかなんかジャンヌだけが敵で終わりそうにないのが一番面倒くせえ。
「――序言しておこう。かつての我々は諸国の闇に自分達を秘しつつ、各々の武術・知略を伝承し――求める物を巡り奪い合ってきた。イ・ウーの隆盛と共にその争いは休止されたが……イ・ウーの崩壊と共に今また砲火を開こうとしている」
「……」
イ・ウーの残党とか名乗って仕切っといて何言ってんだこいつ。
その後にバチカンのシスターのメーヤとやらがイ・ウーは必要悪で戦乱を避けたいとかそれに魔女っ娘が噛みついたりしていたが――推測するにヤクザより深い位置にいるアンダーグラウンド的な連中が鎬を削っていたが中立気取っていたイ・ウーの登場で――休戦協定を結んだらしい。
で、イ・ウーが潰れたがゆえに再開するという事か。
……その責任取って死ねってのが決闘状送ってきた理由か?
「では、
第一項
いつ何時、誰が誰に挑戦する事も許される。戦いは決闘に準ずるものとするが、不意打ち、闇討ち、密偵、奇術の使用、侮辱は許される。
第二項
際限無き殺戮を避けるため、決闘に値せぬ雑兵の戦用を禁ずる。これは第一項より優先される。
第三項
戦いは主に『
それぞれの組織がどちらの連盟に属するかはこの場での宣言によって定めるが、黙秘・無所属も許される。宣言後の鞍替えは禁じないが、誇り高き各位によりそれに応じた扱いをされる事を心得よ。
簡単に言えば『
戦のスタイルとしては随分と古いが平安時代頃にあった、その土地で名のある武士だけが順番に一騎打ちをしていく形式に似ている。最も闇討ちありなので決闘ではなく戦争なのだろう。
「それぞれの組織がどちらの連盟に属するかはこの場での宣言によって定めるが、黙秘・無所属も許される。宣言後の鞍替えは禁じないが、誇り高き各位によりそれに応じた扱いをされる事を心得よ。続けて連盟の宣言を募るが――」
ジャンヌのイ・ウー
バチカンの聖女・メーヤは『
魔女連隊のカツェ=グラッセは『
足元にいたキツネ少女――タマモは星伽と
パトラの所属するイ・ウー
カナ姉は『無所属』
トレンチコートの男のリバティー・メイソンは『無所属』
LOOと呼ばれる馬鹿でかい装甲の人型戦車みたいな存在は意思疎通できずに黙秘――『無所属』
ハビを名乗る馬鹿でかい斧持った鬼の少女は『
煙管に火を付けふかしながら情勢を見極めるために聞き分ける。何となくのイメージだが吸血鬼や鬼、魔女と言った闇というか混沌側が『
というかカナ姉どういう立場で来たんだこれ?
「遠山。『バスカービル』はどっちに付くのだ」
「知らんし興味ねえ」
いきなりジャンヌがこっちを向いたのでそう返す。
「お前はシャーロックを倒した張本人だろう」
「じゃあシャーロックまだ生きてるから無効でいいだろ。死体見つかってねえから死んだふりだろ。死体見つけるまで休戦な」
「まだ分からないのか?シャーロックは敗北しイ・ウーを壊滅させた。卿が生きていようがもはや関係ない。私たちを再び戦わせる口火を切ったのだからな。この宣戦会議にはお前の一味――最近『バスカービル』という組織名ができたわけだが――そのリーダーの連盟宣言が不可欠だ」
「宣言しねえから休戦でいいだろ。どーでもいい」
「遠山。我儘を言うな」
「じゃあ『不参加』で。今夜はお前殴りに来ただけなんだが?いい加減にするのはお前だろ」
「遠山。お前は
「……じゃあ責任取ってイ・ウーのダイヤノードとやら全殺しにしてやろうか?」
「なぜそうなる!?それとイ・ウー
「お前が売ってきた喧嘩だろうが」
そもそも勝手に頭数に入れられてるが騙し討ちで呼ばれた上にこれである。
俺だけなら兎も角なんかバスカ―ビルのメンバーも巻き込まれてる以上何もわからんうちに決めるわけにもいかんだろう。
「それは『
「あん?」
フン、と鼻を鳴らしキツい目で俺を睨み付けてきたヒルダに俺はジャンヌとの話を中断して振り向いてしまう。
「――それでは、ウルスが 『
「チョイ待て。レキはいつの間にウルスに戻った?」
「先日です」
風力発電器のプロペラに腰掛けるレキが話が終わったと判断したのか勝手に『
「
参戦するともしないとも言ってないのに、俺の件はもう済んでしまったような流れだ。
「チッ。 美しくねェ」
最初から話を聞いているのかいないのか分からなかった、ピエロみたいに派手な衣装を着た男ががしゃん!と、それまで聴いていた携帯音楽プレーヤーを白いイヤフォンごと足元に捨てた。
「ケッ――バカバカしいぜ。強ぇヤツが集まるかと思って来てみりゃ、何だこりゃ。要は使いっ走りの集いってワケかよ。どいつもこいつも取るに足らねェ。ムダ足だったぜ」
「
「関係ねぇなッ今日は、最近テメェらの周りに強そうなのが出てきてるみてぇだから様子見に来ただけだ。いいか。次は一番強ぇのを連れてこい。それを全殺しにしてやる」
忠告するジャンヌに、男は視線すら向けず返し――何か俺と眼が合った気がするが――ジジジッ・・・・・・という壊れた蛍光灯のような音がしたかと思うとその姿が見えなくなっていく。文字通り消えているのだ。今はもう、GⅢの背後を流れる霧の流れが透過して見える。
今のは光学迷彩か?実用化されてたのか。
「――下賤な男。 吠えつく仔犬のようだわ。殺す気も失せる。でも、これで全員済んだみたいね。そうよね――ジャンヌ?」
夜なのに日傘を差したままのヒルダが言うが――うずうずした雰囲気を感じる。
血が騒ぐというか御馳走を前にしたかのような――?
「……その通りだ。 最後に、この闘争は……
ジャンヌがなんかグダグダ言ってるがそれどころじゃないなぁ……。
「じゃあ、いいのね?」
「……よくないつっても来るんだろこれ。今日は
リボルバーに
この平原には銃弾を反射できるものが無いから――無限再生持ちの吸血鬼を倒すにしろ逃げるにしろやりにくいぞ。頼みの綱はさっき煙管でなったヒステリアモードで情報収集してからの逃げの一手か?
「嘘おっしゃい。そんなに汚らわしい
それが理由かい!?
ジャンヌが悪いんで見逃してくれませんかねえ!?あいつ後でシバく!
この兄弟変なところで似てるイメージ