遠山キンジの独白 作:緋色
くじ引き
まずは状況を整理しよう。
敵同盟こと『
・魔女連隊
ナチスの流れを組む魔女テロリスト組織
・
中国政府と癒着するマフィア
・イ・ウー
イ・ウーの残党その1。世界征服企んでたらしい。
・
吸血鬼、アリアが名指ししてたことと研究盗んでる云々からイ・ウーの残党の可能性大
・ハビ
詳細不明、角が生えてる事から鬼だと思われる
魔女連隊はメーヤ姉……バチカンがやり合うから置いておこう。ドイツ本拠地らしいしこっちで出来る事はほぼない。
となると殻金集めで優先すべきはヒルダの討伐だろう。他の殻金集めたとして再度外されたら意味ないし、なんなら現状でも残りも外しに来てもおかしくない。
一応牙奪ってるとはいえ原理不明だから安心出来ない。アリアには殻金の事話すなと玉藻に言われているがヒルダを追うのはバスカの当面の方針としておくべきだろう。知らずに不意討ちされるのが一番最悪だし。
争わずに殻金取り返せる相手は
あいつらは金権主義の為、最悪金を積めば買える可能性が高い。金で原子力潜水艦である伊Uの整備をしてたのが
流石に俺は大金は用意できないが――アリアが
素人の俺よりかはネゴシエーションで取り返せる可能性高いと思う。
逆にどう転ぶのかまったくわからんのがハビだ。
鬼っぽいこと以外何もわからん。
玉藻は何か知ってるらしく一番警戒してるのか殻金取り返す相手として最後の相手に回すとか何とか。
「ガキども! それじゃ文化祭でやる 『
そういやあったな文化祭。二年は『
『
――事にはなってるがぶっちゃけ見た目のいい女はそれっぽく振舞ってれば売り上げが上がるため女子からはコスプレ喫茶程度の扱いをされてる行事である。
男も一般人騙せる程度(※難易度B)のなりきりできればいいためよっぽどの内容じゃなければ
体育館には2年A・B・C組の生徒たちが集められているが……B組のジャンヌは見あたらないな。欠席らしい。電話も繋がらなかった。早めに〆ておきたかったが『
「よぉーし、各チーム同士で集まって待機ィーゴホゴホッ!」
……くじ箱持ってるの陽菜だな?他にも1年がちらほら見えるので手伝いに駆り出されたらしい。
バスカ―ビルも集合してるし、ちょうどいいからこれ終わったら今後の方針共有するか。
「キンちゃん、クジ引きの箱が来たよ」
「あぁ」
「こちらが男子の箱でござる。ささ師匠、引いて下され」
なぜか近いアリアやレキとかではなく俺の方に来たのかは謎だがリーダーから引くように決まってんのかなこれ?
引かなきゃ始まらないので箱に手を突っ込み、他のくじと違う折り畳み方されたくじを何となく引くと
『婦警』
と書かれていた。
「(絶句)」
固まっていると陽菜が
「クロメーテルの代理に師匠が選ばれてござる」
そう言って女子のクジを差し出してくる。
「マジでなんでだよ」
ちらっと教師の方を見ると担任のゆとり先生がひらひらと手を振ってくる。二学期からクロメーテルしないでサボってた罰か教務科の嫌がらせのようだ。
上からの強制くさいので嫌々引くと…
『警視庁・巡査』
と書かれてる。
……男女のクジ逆じゃね?
箱間違えたか?
「では、師匠は巡査。クロメーテルは婦警でござるな。師匠は何かしこんだので?」
俺の持ってたくじを見てなにか誤解した陽菜だが……都合いいから黙っとくか。
「くじの中見すら知らんのにどうイカサマすんだよ?」
「某が見たのは先にくじを握っていて引いたように見せかけるものでござるな」
あぁ。なんで一年にやらせるのかと思ったらその辺見抜くよう鍛えられてる
「師匠。ジャンヌ殿は本日欠席につき、代理人に師匠を指定してるでござる」
ジャンヌのアホは一体何を考えているんだ?何も考えてないだけか?そう考えつつも引くと。
『ウェイトレス(アットホーム・カフェテリア)』
……店員なんてバイトばかりだろうにマジでコスプレ喫茶なんじゃ……。
なんか急速に馬鹿らしくなってきたがバックレ決めると
「じゃあ次は理子、いっきまーす!」
と勢いよく引いた理子は『ガンマン(西部開拓時代)』
もはや時代すらあってないし銃使う奴ならだれでも当てはまるだろそれ。
「よかった、これならできそう」
と言う白雪が引いたのは『教諭(小学校~高校で任意)』
似合いそうだな。イメージ的には小学校あたりかな?
「……」
無言でくじを引いたレキは『化学研究所職員』
黙々と作業してるならいいだろうけど『
「すぅー、はぁー……」
ガッチガチに深呼吸してるのは変装の類が苦手なアリアだ。
今までの傾向から何引いても気楽にやればいいと思うが――割と外れ多そうなのでわからんでもないが。
アリアのちっこい手がつまむ紙には
『小学生』
赤ランドセルを背負ってペロキャンを咥えた鋭い目つきの小学生のアリアか――
「ぶふぉッ――!」
違和感なさ過ぎてツボに入った。
「やったー!やったよアリア!はまり役だよ!きゃははは!」
理子がアリアの足元を転げまわりながら爆笑している。
白雪も耐えきれなくなったのか、土下座するみたいに伏せて声にならない笑い声を漏らしながら、ぱし、ぱし、と床を叩いてる。
あ、レキがしれっと距離取りだした。
「今のは無し!無し無し無し無ぁーしッ!まずアンタは死刑!」
殺気をばらまきながらアリアがスカートの側面に両手を突っ込み、拳銃を抜いて陽菜に2丁拳銃を突きつけようとするので慌てて俺と理子が左右から飛びかかる。
「待て待てアリア!撃つな!不満はわかるが後輩に当たるな!?」
「あきらめようよアリアちゃん! 理子が衣装作り手伝ってあげる! きゃはははっ!」
「煽るな理子!」
「誰がアリアちゃんよ! 風穴! 風穴流星群! 風穴ビッグ・バーンッッッ!」
泣きながらマキビシを撒きつつ逃げていく陽菜をアリアの銃口から守ってやる。あいつ逃げるのは兎も角マキビシ撒くんじゃねえ!?
ぎゃーす!と当初のターゲットに逃げられても暴れ続けるアリアは、まさにダダッ子状態だ。自分でハズレ引いた『小学生』と言われても違和感ないな!
「死ね!死ね!死ね死ね死ね死ねみんな死ね! 見たヤツがみんな死ねば、無かったことになるんだわ! むぎぃ!」
などと喚くアリアを白雪が羽交い締めし、俺と理子が右左の銃を必死に押さえ、レキはいつの間にか体育館の外に逃げており、防弾扉の陰から顔を半分だけ出してこっちをジーっと見てた。
お前姉自称するんだから止めるか警告しろよ!?
「やらんか!」
「やりません!」
ゴスッ!
アリアと蘭豹が問答の後に蘭豹がジャーマンスープレックスをアリアに喰らわせた後に再度問答をする無限ループに入った所で他のメンバーに情報共有と方針だけ伝えておく。
アリアだけに教えずに情報共有しとかないといけないことが多すぎる。
「つーわけでアリアに入ってた?らしい殻金とやらを取り返さんといけないわけだ。アリアが暴走しかねんからこの件は黙っておいて。当面はヒルダに絞って追ってく予定だ。あとアリアの監視と警護。アリアには裁判の件もあってアリアが追ってたらしいヒルダ捕える方向だって事にしとけ」
ざっくりとした情報共有に三人にするが――理子の眉間にしわが入ってるな。
ヒルダは
「ヒルダ……東欧の魔女だね。紫電の異名を持つ」
「紫電?影じゃなくて?」
白雪に思い返してみるが紫電――雷のイメージはなかったが
「ヒルダは雷で物質を素粒子化して潜り、影に乗り移る魔術を使ってるらしい。それにあいつはブラドの娘だ。電気魚のDNAを取り込んで発電していろいろ使う」
理子が嫌そうに説明をしてくれる。
「……発電器官まであんの?再生能力もあるし天然でそれとかM.O.手術も真っ青だな――M.O.手術ってなんだ?」
「いやキーくんが勝手に言ったんでしょ」
「そうだっけ覚えてねえ。まあヒルダのそこら辺の情報共有はアリアも揃えてやるか。白雪はS研方面から調べてくれ。理子は独自で調べて貰った方が良さそうだな。レキはアリアの警護かな?俺は俺で動く感じで」
その後「小学生やります!」と半泣きのアリアがヤケクソに叫んだのであやすために一旦作戦会議は終了となった。
影潜り理屈はわからん