遠山キンジの独白 作:緋色
今回はちょっと短め
デートする場合、重要なのは場所とシチュエーションだ。
下手な場所を選ぶと既成事実とか言ってホテルに連れ込まれるリスクが跳ね上がる。
CVRでも個室シャワーに突撃しようとするアホや衣服盗難があったりが出てくるくらいだ。流石エロゲ世界、高校入ってから遠慮なくアクセル踏んで来やがる。
そんなわけでほのぼのピクニックが一番安心してデートが出来る。空気読んでるのか変なイベントが起きないし癒しだ。まぁちょくちょく知ってる奴に見つかって揶揄われたり、変な噂流されるが害はないから許容範囲だろう。
というわけで公園デートである。
「キンちゃん様は公園好きだよね」
「様はいらん。こーいう平和な時間と空間が好きなんだよ。ただでさえ銃撃戦やら抗争とか関わってるとね…。癒しは大事」
実際平和に遊んでる親子とか、サッカーしてる子供らとか眺めてると日頃のドンパチと程遠い光景で和む。昨日の宝石強盗団制圧とか嘘みたいだ。
「キンちゃん。膝枕してあげようか?」
なんで急に――あそこのカップルがやってるからやってみたくなったのかな?
膝枕なんてされたら癒される以前にヒスりそうな気がする。ならば
「…むしろ膝枕してあげよう。ほれ来い」
「!?――不束者ですがよろしくお願いします」
「何そのテンション。テンパってるの?」
膝枕って膝というよりも腿の部位に頭乗せるから腿枕では?
くだらない事を考えながら手持無沙汰なので頭撫でたり髪を弄ってみる。高級なシャンプートリートメントしてるからかめっちゃサラサラだ。しかもいい匂いする。こっちポジなら和むから問題ないかなと思ったけど思ったよりヒスりそうだこれ。
白雪も耳真っ赤にするぐらい恥ずかしがるならやらなければよかったかな?
「だーれだ」
「カナ姉。急に背後取らないでくれ。ビビるから」
急に視界を隠された時点で身体が戦闘モードに入りかけたが、カナ姉の声で気が抜ける。
背後取られただけでもアウトだし、気を抜き過ぎたか?
「久しぶりね。キンジ」
「カナ姉とりあえず抱きつくのやめない?海外に行ってるって聞いたけど日本にいつ戻ってきたの?」
武偵局に入局したと聞いていたが、全国どころか全世界飛び回っているらしい。
変な噂もあったが歴史が浅いとはいえ公官庁、適性とか過去の経歴を叩かれまくる所に就職してる以上問題はなかったのだろう。
「昨日よ。武偵局も人使いが荒くてね。この後また海外に行かないといけないのよ。だからオトウトニウムを補充させて?」
「オトウトニウム…?」
ぎゅーとされてるが膝枕してる男が背後から抱き着かれてるって周りからどう見えるんだろ?
というかオトウトニウムってなんだ?聞いたことのない元素、いや化合物か?商品名かもしれん。
思考逸らしてヒスり防止しようと思ったけど無理だこの方向、軽くヒスってるわこれ。
「お久しぶりです。カナさん」
起き上がった白雪が普通に話しかけたからようやく離れた。
白雪はカナとも兄貴とも微妙に距離あるんだよな。というか俺に対してだけ距離感がおかしい気がする。
「あら白雪ちゃん?キンジとデート中だった?」
「そだよ。デート中だから緊急の用がないなら後でいい?」
「デ エ ト … ?」
「なんでそこで理解不能みたいな顔すんの?」
そこまで変な事言ったか?
「キンジはアレな子だから女の子を勘違いさせる様な事しちゃ駄目よ?仲良くなるのはいいけどちゃんと線引きしないとダメ」
なんか一人で納得したように頷いたと思ったらコラッと怒ってくるカナ姉。
やっぱりなんか勘違いされてる気がする。
「なんでそこまで信用ないのか知らんけど白雪とは付き合ってるから問題ないと思うぞ?」
「 付 き 合 う ? 」
ギギギとブリキの玩具みたいに顔だけ白雪の方へ向ける。
「ご挨拶が遅れましたが、キンちゃん様とお付き合いしてます」
深々と頭を下げる白雪と俺を交互に見た後、何かを悟ったのか
「Eli, Eli, Lema Sabachthani?」
――グシャ
崩れ落ちた。
何語だろうか?少なくとも英語ではなさそうだがローマの影響だからラテン語か?
「そんなキンジが彼女をつくるなんて…いや素晴らしい事じゃないのカナ?そうよねカナ。でもそれとこれとは違うのよカナ。相手が白雪ちゃんなら問題ないでしょカナ。そうよね弟を祝福すべきよね」
ぶつぶつ言いながら片目だけから涙流すな恐いから。
偶にカナと白雪が似ていると感じる事がある。こういう時とか。
「カナさん大丈夫ですか!?」
「この反応はちょっと予想外だな。経験則だとしばらくしたら落ち着くけど」
「どうして私の方を見るの?」
「いや別に」
経験則と言っても類似してるだけで実際そうなるかどうかは別だからな。カナ姉の反応は初めてだし油断ならねえ。
「キンジも先に進んでるのね。私もキンジ離れする時期か。覚悟を決めなきゃ――よし。邪魔して悪かったわね。またねお二人さん結婚式には呼んでね」
「け!結婚!?」
「何もかも気がはえーよ」
しかも気になる事小声で言うな。ヒスってるせいで普通に聞き取れたけど覚悟ってなんだ覚悟って?
足に来てるのかフラフラと去っていくカナ姉は下手すればそのまま潰れそうだ。
「……ごめん白雪。あれ放置するのヤバそうだから送ってく。埋め合わせは今度する」
「あのカナさんは心配になるし仕方ないね。いってらっしゃい」
「いってくる」
フラフラしてる癖に変なナンパは確実に避けてる辺り大丈夫なんだろうが。気になる事もあるしバレるまで追跡する事にする。
変なデバフ入ってるからか注意力の落ちてるカナ姉と、ヒスって能力値が上がってる俺だと、若干俺が上なのかもしれない。カナ姉のデバフがデカすぎるだけかな?
それにしてもどこに向かっているんだ?
武偵庁でも兄貴のマンションでもないし、実家の方向でもないな?
そして十数分の追跡でたどり着いた先は――海?
「悪いけどここまでよキンジ」
物陰に姿を消した事で焦って追跡が荒くなったことで後ろから囁かれ――コツンと脳漿を揺らす攻撃を受け、そのまま意識が落ちる。
目が覚めた時、どこかの小屋に寝かされていて飛び出したが辺りには誰もいないし、海には遠くにイルカでもいるのか一筋のラインが一瞬見えたくらいで手がかりはない。
「はー、敵わねえなあ。いつ追い付けるんだろうか」
一生追い付ける気がしない。
が、だからこそ追い越しがいがあるってもんだ。
ところで何でこんな怪しい事したんだ?
追い詰められてたのか?
『マタイによる福音書』27章46節より
Eli, Eli, Lema Sabachthani
アラム語らしいです
デートしたことないし描写よくわからん
原作何巻まで読んだ?
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読んでない
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