遠山キンジの独白 作:緋色
金がない。
後で何か民間からの依頼を受けるにしても、報酬が入るのは来月だからな。
体育の後だから腹が減ってるが、金がない事には仕方がない安いうどんで凌ごう。
……日替わり定食今日大盛りの日じゃねえか。
「Blitznakだなおい」
会計を済ませ、セルフサービスの水を持ってテーブルにつく。
うーん。午後運動予定だからカロリー足りるかな?修行と称して素潜りで魚でも取らせるか……?(※密漁です)
久々に修行すると言ったがサボって直受けの依頼でも受けて金策でもするかと考えていた所、俺の向かいに、食事のトレーを持ったワトソンが通りかかった。
そして俺を見て、クスッ、とイヤな笑い方をしやがる。
「……なんだよ」
「一緒に食べようか。君と話をしたくてね」
「なんだ?お義兄ちゃんと話したかったん?」
「それやめたまえ」
本気で嫌そうなワトソンの昼食は学食で一番高い、ステーキプレート。紅鳴館で扱ったから覚えてるが神戸牛の霜降り肉だな。
貴族は金持ってるなあ。
と思っていたら見とれてしまうようにキレイな仕草で十字を切り、食前の祈りをしてから―――ナイフが溶け込むように柔らかいステーキを切る。
リアル貴族の動作は勉強になるな。育ちの良さがにじみ出ている。
それ言うならアリアは貴族のはずなんだが――いやマナーはちゃんとしてる時はしてるんだが完全にオフだと――うん。
昨日も監視させてた陽菜の報告だとヤケクソのももマンタワー崩しとかわけわからん遊びしてたらしいし。あいつホントに貴族か?
「トオヤマ――食べたいか?」
ぼんやりと眺めているとワトソンは何を勘違いしたのか見せびらかしてくる。
……俺は心のお兄ちゃんスイッチをONにした。
これにより精神へのストレスを緩和するために他人への手間のかかる子供と認識し、幼稚だなと一種の達観状態になる。
そして子供ならではの突発的な行動に対応するために一挙手一投足に注意しつつ周囲に気を配る。
アリアと関わるうちに身に付いた残念な能力である。あいつ何となくで銃撃するし。
ちなみに割と子供染みてる相手にしか使えないし、殴って躾けた方が効果あると判断した場合は殴って済ませる。まあそんな相手
「やっぱお義兄ちゃんに構って欲しいのお前?」
お義兄ちゃん自称してるのは昨日の今日なのとアリアの婚約者なのを周知させて悪い虫がつかんように(嫌がらせも込みで)サポートする意図があったんだが通じてないらしい。
まあアレ暴露してから距離詰める女かなり減ったからベターではあっただろう。なんか別の問題発生してる気もするが――害はないだろうからいいや。それより対処しない課題が多すぎる。
「なぜそう思うんだ」
「子供みたいな煽り方してくるから……」
「はぁ!?」
……自覚してなかったらしい。
自覚してるんだったらまだマシだったが。ワトソンが何かゴチャゴチャいってるが無視して話進めよう。なんか周りに人はいないし。
「そういやお前伊Uだろ?」
「なぜそう思うんだい?」
「逆に聞きたいんだがあのICBMを乗り物にするイカれた組織他にあんのかよ?」
「ないね。ただボクはイ・ウーではない。情報収集の為に潜入していただけだ」
「…どこの刺客だよ。
「リバティー・メイソンさ」
リバティー・メイソン
確か英連邦の貴族を中心に各地各国で活動する組織だったな。
その特性上、各国の王族貴族とのパイプが強く欧州での影響力は相当高いと聞く。
ヒルダはルーマニアの貴族らしいのでまあつまりそういう事だろう。
「ふーん。バチカンは孤立したのか。
ヒルダはイ・ウー
俺としては大陸の西側で何してようが知った事ではないが、欧州の
バチカンの趨勢はどうでもいいが殻金取り戻してくれる見込みは0に近いとみておくべきだろう。
味方0になる前に乗り込むべきなのだろうが、アジアはアジアでヒルダに藍幇とあとハビ?も和風の衣装から察するにアジア圏の存在だろうから討つまで動けんだろう。
「
「それは違う。ボク達は中立さ。
「じゃあなんでアリアは助けたんだよ」
「彼女はボクの
イギリスの基本方針である勢力均衡って事かな。
……一番面倒臭いパターンだな。
こっちが不利な時は味方してくれそうだが逆に有利になったら敵対してくるという事でもある。
いや敵対や味方も違うか。善意の第三者を維持して利益だけ掻っ攫うと。
アリアをルアーにリバティー・メイソンを味方にするように工作するべきなのかもしれないが俺が口挟んでも逆効果にしかならなそうではある。
そしてなんか通りがかった間宮がすげえ顔してるし。これはこれで利用できそうだしこれ以上は聞かれて困るから会話変えるか。
「俺の妹のアリアの
面倒な腹芸は一旦やめておちょくることにする。
「天地がひっくり返っても呼ばない」
「いーじゃないか親交深めようぜー?一緒に任務でも受けるもありだな。昼暇か?」
「仮に暇だったとしても君とはいかない」
「つれないねえ」
「先輩は自分がした約束の方を優先すべきだと思いますが」
勝負系なら受けるかな敵愾心強そうだしと押し引きを考えていた所で声をかけられた。
「……あれ?桜ちゃんいつからいたのん?昼鍛えると言ったけど流石に早すぎない?」
「今来たところですよ。先輩は最近昼食が貧困と聞いてたのでここかなと」
「なんで俺の食情報筒抜けなんだよ」
「星伽先輩にちゃんと食べてるのか確認して欲しいと依頼受けてますので」
「後輩に何頼んでるんだよ白雪」
あー、白雪は合宿とやらに行く前に
それ知ってるからか合宿前に作り置きを(勝手に)多めに冷蔵庫にあったから朝晩は飯に困らないけど昼はどうしてもな…。
クロメーテルの口座は少し前にゴールドと暗号資産(名前が変わっててビートコイン?とやら)にぶち込んで塩漬け中だから触れれんし。少なくとも政権交代まで置いておきたい。
「先輩は初対面の女性に奢らせるくらいはしそうですし」
「俺の事なんだと思ってんだ」
「たらし」
「それマジでやめてくんない?どっちかと言うと一人の方が気楽なタイプよ俺」
なんか面倒ごとに巻き込まれまくってるから麻痺してるが本来は一人でふらっと動いてふらっと帰ってくるポジである。気まぐれで
「トオヤマ。彼女は誰だい?」
「
「先輩。それ絶対勘違いされます。初めまして乾桜です。遠山先輩の
「いや迷惑かけられてるの俺だからね?」
首都ど真ん中にICBMで乗り込んだけど婚約者のアリアが悲しみそうだから突き出せないし。
「先輩の存在が迷惑ですいません」
「存在がって……やっぱ反抗期かな?どう思うエルちゃん?」
「距離を詰めてくるなトオヤマ。百歩譲ってもワトソンと呼べ」
「ありゃこっちも反抗期」
「君は――いやもういい。ごちそうさまでした」
呆れたのか何なのかプンプンって擬音が見えそうなワトソンはそう言って去って行く。
――間宮が人殺しそうな視線で追跡し始めたな。前より隠密力上がってはいるな。バレバレだけど。
「それでどうなんです?」
「うどんじゃ力出なさそうだけど。桜ちゃんぐらいなら捻れるから問題ないよ?」
「それも腹立たしいですけど。違います。あのワトソンって人から悪のニオイがしました。先輩何に首突っ込んでるんです?」
「あ、そっち?まあ説明面倒くさいんだけど……………………なんかアリアを誑かしたとかうんたらかんたら婚約者は自分だとかなんとか」
「……?先輩が勘違いさせるのが悪いのは当然として「おい」そんなワトソンさんに理がある感じのニオイはしなかったのですが。八つ当たりや逆恨みに近いニオイでしたが」
八つ当たりねえ。
そう考えると辻褄合うのかな?一応アリア自体には思う所があって表向きは友好的だが――まあ貴族の家のお家争いとか興味ないしその辺に首突っ込むのは地雷に爆撃するようなものだろう。
爆発させるのが最善かもしれんがよくわからん戦争中は何が起こるのかわからんし保留だな。
俺個人としては妹の結婚は喜ばしい事ってスタンスでいい。本来はアリアとワトソンの問題だからな。
「兎も角、先輩は空腹だと明らかに手抜きするからちゃんと食べてください」
「金欠だからいいわ」
「では修行代として出します」
「賄賂には屈さないぞ。日替わり定食大盛りで」
「星伽先輩が先払いしてるので賄賂ではないです」
「……ホント何しとんねん白雪」
この後無茶苦茶修業した。
拳圧で離れた相手にダメージ与えるって無理じゃね?
書かないといけないことが多い上にどこ書けばいいのか悩む
勢いだけで突き進んでる
ワトソン
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エル
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リタ
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ワトソン