遠山キンジの独白   作:緋色

134 / 168
赤血と言うより
拍手の方がイメージ近いかなと思うけどどうなんだろ?


困る事

 この流れで意外と困ってるのが実はアリアとの接触である。

 何があったのか知らないがワトソンがアリアに俺との接触禁止――二人っきりで会うな的な事を言いそれを律儀に守っているらしい。

 あいつ割とワトソンには従順だよな。

 アリアは実家だと母親が離婚済みとかあって継承権低いとかであまり強く出れないらしい。離婚した母親の姓名乗ってるあたり離婚済み云々も怪しいが――家庭問題にまで口出しするのはアレなので置いとくとして。

 俺の部屋に来ることも無くなり、しれっと部屋に通ってるレキは兎も角、偶に出現する理子とバッティングすると五月蠅くなっていたので最近は比較的静かな日々である。

 

「というわけで最近ワトソンと仲良くやってんの?」

『それを聞くために電話してくるのがわかんないんだけど』

「いやなんかワトソンがウザ絡みしてくるけどアリアと仲良しとは別に聞かないし……」

『変な気回さなくていいから。あとウザ絡みしてるのはあんたでしょ』

「ワトソンになんかちょっかい出されてるだけで、俺から絡んだことは一度もないんだが?」

 

 NTRは悪い文明だからな。

 それに今はヒルダ相手にするの優先したいから構うの面倒くさいし、なんならワトソンにアリア係のピンチヒッターになって貰いたい感じだ。

 ……アリアの件で味方寄りの中立だと思うしそうなるとやるべきことは……

 

『doubt』

「本当だっての。教室でも急に風評貶めてきたし」

『あんたの噂って割と荒唐無稽から事実に近いものまであって逆に真相絞り込めないのよね』

 

 そういやアリアは未だに俺の事調べてるらしい。

 普通に俺に聞けば答えられないこと以外は普通に答えるのに遠回りな事である。

 

「俺は比較的シンプルな人間だと思うんだがな」

『あんた割と悪だくみするタイプでしょ』

「悪だくみではない。光落ち計画――いや光なのに落ちるって表現おかしくない?」

『知らないわよ。……兎も角!婚約決めたらしいお祖母様に掛け合って事実かどうか確認してるんだから余計な事しない!いいわね!?』

「まあ俺はいいけど。お前ん《ツーツーツー》所の間宮(いもうと)がワトソン追い回してるっぽいのはいいのかってまた途中で切る」

 

 まあ間宮(アレ)も何度か俺を煽りにくる過程で逃げ足の速さは鍛えられてる臭いし死ぬことはないだろう。

 相手ワトソンだし。

 


 

 武偵高では2学期でも月1回は屋内プールで体育をやる。

 犯罪者は冬の海でも気合いで泳ぐからという理由らしいがならやるべきは温水プールではなく寒中水泳じゃなかろうか。

 いやそれは1年の冬合宿でやったか。

 

「よーしガキども! プールを20往復しろや! サボったヤツは射殺やからな!」

 

 体育教師の蘭豹がスターター代わりのM600を撃って、すぐいなくなってしまった。

 監督責任の文字は頭にないらしい。

 ワトソンは見学との事でシャネルのサングラスをかけ……パイプ椅子を取り、埃をポンポンと入念に払ってからテーブルの横に広げてる。その椅子に膝を揃えて座ってから、何かにハッと気づいたような素振りで……慌てて、足を組んだ。

 何しに来たんだろうか?考えられるとしたら鍛え型を見に来たのかな…。

 俺は剣と格闘技してるくらいしかわからないが経験豊富ならメイン武器の鍛え方は筋肉の付き方で大体わかるそうだ。

 それをバレにくくするために中途半端に脂肪つける事もあるが俺は面倒なのでそういう事してないし、水着パンツだけで一目瞭然だから見に来る価値はあるのだろう。

 どうでもいい事を考えながら俺たちは『縦か横かは言われなかった』という屁理屈で、プールを横向きにサッサと20往復してしまう。

 その後はなんとなしにみんな適当に泳いだり、プールサイドで駄弁ったりする自由時間になった。

 

「キンジよー。お前ワトソン狙ってるってマジなのか?」

「んー。なんか闇組織捜査してたら急に出てきたからなあ。どんぐらい繋がってるのかは捜査中~」

 

 トレーニングみられるのも癪なのでワトソンから遠めの位置で背浮きで漂うというある意味贅沢な時間を使っていたら武藤に話しかけられた。

 

「……いやそうじゃなくて風評ヤバいぞお前。ついに女っぽければいけるのかって」

「彼女持ちなのに云われなきロリコン扱いされた挙句、女侍らせてて、それら全部フェイクで本命の不知火と付き合ってる――みたいな本出されてる俺に今更風評とか言われても困るんだが」

「ちょっと待ってそれ初めて聞いたんだけど!?」

 

 真面目に縦20往復に相当する横34往復してきた不知火が合流してきた。

 

「なんだ不知火知らんかったの?何度か摘発してんだけど」

「もしかして遠山君がちょっかい出して喧嘩別れしたってグループ……?」

「アレは醜かったけど。ただの音楽性の違いだから俺関係ない」

「音楽性はチゲーだろ?」

「そうだな違ったんだろうな」

 

 何となく噛み合ってない感じに会話をしつつ、浮かんでるのもアレなのでプールサイドへ移動する。

 蘭豹の授業放棄を先読みしていた武藤がロッカーから持ってきた雑誌の束から映画雑誌を取り、ワトソンのそばにあるパイプ椅子を拝借しに行く。――ワトソンはなんか水着で戯れる男子達の方を向いたまま顔が赤いな。

 なんで来たんだ?と首を傾げつつもとりあえずワトソンの傍だし声掛けないのも不自然だろうと適当に声掛けておく。

 

「ワトソン。このパイプ椅子持ってくぞ。別にお前使わんだろうけど」

 

 その声でワトソンはこっちを向き、俺の胸や肩を見て――わ、わわ、と口元を震わせてからサッと顔を逸らした。

 …なんか妙にいやらしい気配で見てた気がするが気の所為だろう多分。きっとめいびー。

 

「おいキンジ! これAKB全員載ってるぞ! 不知火も来いよ、総選挙やろうぜ!」

「3人じゃ選挙にならないんじゃないかなあ」

「俺、曲ほとんど知らねえんだけど」

「TVでよく流れてるだろ」

「聞いたらわかるかも」

 

 雑誌借りてる身だし適当に付き合うか。

 

「じゃあ全員、5票ずつな。 おいワトソン、お前も選べよ」

 

 初めからこっちを見ないようにしていたワトソンは、プイッ、とそっぽを向いた。

 

「断る。そ、そんな本を公共の場で広げるなっ」

 

 ………………………………ふむ。

 

「エル・ワトソン。これを見ろ」

「なんだい?」

 

 武藤の顔を指差したあとゆっくりと指差しを下へ向かわせる。

 律儀にその視線で追うワトソンはダンダン頬を赤らめ…

 

「やめろ!?そのガチっぽい反応!?」

「海パン辺りが一番反応いいな…。よかったな武藤脈ありだぞ」

「その脈はうれしくねぇ!?なあワトソンもなんとか言えよ!」

 

「ボ、ボクは帰る! もう限界だッ!」

 

 まるで声変わりしてないかのような甲高い声で言うと、ワトソンは慌ててるのか微妙にジグザグ走行しながらプールから逃げ出してしまった。

 

「……え?あいつマジで?」

「うーん。女相手だと完全にナチュラルなんでもしやと思ってたが――やっぱ男の方に関心持ってるっぽいな。まあ人間の7割は性癖を開拓するからチャンスはあると(CVRで)聞いた気もするし。まあ人の性癖なんてとやかく言う事じゃないし――とりあえず武藤――ワトソンNTRしてアリア泣かせるなら許さんぞ」

「NTRねーよ!?俺は普通に女が好きだからな!?」

「?」

「なんでそこで心底不思議な顔するんだよ!轢いてやる!」

 

 なぜか切れた武藤に水中戦に引きずり込まれた乱闘の末、授業終わりに顔出した蘭豹にキレられて二人ともプールの藻屑にされ、プール掃除の罰を押し付けられた。

 理不尽である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

pipipipipipi

 

「どしたのレキ?」

「理子さんにヒルダが接触しました」

「……へぇ」

ワトソン

  • エル
  • リタ
  • ワトソン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。