遠山キンジの独白 作:緋色
本来なら
あの野郎、当てつけの様に毎回答えさせやがって……。
秋も深まってきたせいか、もう暗いな。それに今夜は雷注意報が出ている。
流石にないだろうが嫌な符合だ。
合宿に行ってる白雪が戻ってきてから白雪のダウジング(的中率は90%らしい)だのなんだので範囲絞って捜索する予定だが、向こうもそれ把握してるならそれより前に仕掛けてくるかもな。
一番最悪なのはワトソンが中立から敵対に変化することだが――明らかに犯罪者だの危険思想が固まってる
一応、(英国視点での)世界秩序の維持が目的の秘密結社らしいし。秩序と真逆の連中と組むかというとあり得なくもないが――でも、いや、うーん。
しばらくはワトソンは殺しそうなぐらい睨みつけてる間宮が
一応アリアにワトソン説得するように頼んでいるが――ワトソンの説得できるとは微塵も思えない。
まあ、ワトソンはアリアを説得で引き抜くのが目的っぽいし、特に問題はないな。万一引き抜かれたとしてもワトソンに殻金の件任せて
ワトソンが殻金集められるとは思えんが、まあ自信あるのか伝手でもあるのだろう。
というわけでヒルダに絞って動こう。妙に癇に障る妨害してくるワトソンを殴るのはその後でいい。
「なっちー、後はヨロシクねー!」
「……あ、は、はい……」
林の中から聞き覚えのあるような声がしたので誰だったかと覗いてみると、薄暗い林で落ち葉を掃除してる
「……中空知か?」
声を掛けると、びくうっ!
人影は箒を抱きしめるようにして身震いした。
その動作で、落ち葉を入れていた大きなゴミ袋が箒に引っかかりわしゃあ、と倒れて中身がこぼれてしまっている。
あーあー。ひどい事になってる。
「そ、そその、その声は――と、おと、とおやま、おとこ、おとこやま君!」
「遠山キンジな。誰だよおとこやま?――掃除当番か?」
この残念な話し方は9月ごろに初めて生で会った中空知だ。
どうもオペやってた有能ガイドの印象が強く同一人物だと認識しづらい。
掃除当番は複数人で回すものだが――他に転がってる箒と箒を一人で持ってびくびくしながら後ずさる中空知の様子からさっきの女子らに押し付けられたらしい。
あ、木にぶつかった。そこまでビビられると凹むな……。
それはそれとして眼鏡してないぞこいつ。ド近眼で見えてないのか声だけで判断してるし、大丈夫かおい?
「1つ借りるぞ」
俺のせいで袋を倒してしまったようなので仕方ないが掃除参加することにする。
林自体は狭いが、落葉は今がピークなので流石に一人で掃除は大変そうだしな。というか中空知の場合一人にしたら永遠に掃除終わらなさそうな雰囲気がある。
なんか怖がられてるっぽいが、またオペレーション頼むかもしれないので放置したことで仲が悪化するのは避けたい。
後方支援する存在を蔑ろにするのは前線戦闘タイプで自惚れてる奴にいがちだが、情報を一手に管理する相手に謀殺されかねんから恐ろしくないのかね。
以上言い訳終わり。
「あ、あ! いいんです、別に、いいんで……ひっ、ひっく、 ひくっ、ひっ、くぅ!」
「手伝ってやるってんだから気にするな。武偵憲章1条だ」
「はひっ……ひくうっ、あ、ありがとうこいしますっ! ありがとうございます!」
ホウキを抱きしめたまま、中空知は真っ黒な長い髪を揺らして深々と頭を下げる。
そして中空知はゴミ袋に飛びつき、思いっきりしゃがんだ。そしてこぼれた木の葉を、わしゃわしゃわしゃ、と袋に素手で 詰め込んでる。
こいつ眼鏡ないと顔も認識できないくらいなのに異様にテキパキ動くな……?
なんでかと少し考えて、レキの聞いてた音の解析で微かな音で色々把握してたのを思い出す。
耳がいいから音で空間把握して働いているのか。逆に目で見えると処理しきれずバグるといったところか…。難儀なものである。
一通り掃除し――
「暗くてよくわからんがこんなもんだろ」
「はい。草と落ち葉が、こす、こすこすこすれ…っる音もしなくなりました」
「……耳良いいな。聞き分けできねえんだが」
「そ、それ、だけが、とりり、取り柄なので」
「一芸特化って奴か」
その時、少し先で注意のつもりなのか軽いクラクションがなる。
誰か車道でも横切ろうとしたのか?
しかし関係ない中空知には効果は劇的だったようで「ぴえ!?」と鳥みたいな悲鳴を上げて飛び上がり、しがみつくように俺の腕を掴んでくる。
もにゅんとバレーボールのような大きさのだらしないカンジの柔らかさの胸を押し付けられ、
「あ、ひぃぃ!」
と意外な怪力で突き飛ばそうとして、体幹が強かったので耐えれたがそこら辺の男子高生くらいは倒れそうなくらいの威力だったな。
その反動で逆に倒れそうになったから慌てて支える羽目になったが。
「す、すすすみません!とと遠山君にだだだ、抱かれて――ががぴぃ!?」
「支えてるだけだろ。顔赤いが熱でもあるのか?」
「わ、私、舞い上がっちゃって、と、遠山君を、作戦中、カメラ映像で見てただけだったから、映画、ドラマの、 中の人に、ああ、あ、会えたような気分で…急に、舞い上がって、しまって、しましまし、ま」
「何言ってるのかわからん」
まあ嫌われてるわけではないらしい。コミュ障過ぎて会話できないだけだなこれは。
「まあ眼鏡で見えてないようだし家まで送るよ。事故られても困るし――」
「い、家!?いえいえいえ、わ、私、頼まれると、嫌とはいえませんので、せせめてき着替えを!着替えさせてください!」
「……そこまで介護はいらなくない?」
「あ、いえ!いいいいやらしい、妄想して、してしてたたわけじゃなくて。そそそうですね。お送るだけですね」
「最初からそう言ってるんだけどな……」
この子日常生活送れてるのか?
一応、オペレーターはできてるし学校に通えてるわけだから一応生活はできてるか。さっきの女子とも一応会話できてたようだし男相手だとテンパりまくるだけかな。
「そういえば中空知はジャンヌとルームシェアしてたよな?今あいつ何処いるか知らないか?」
元イ・ウーの三人の住処は一通り把握していて、何故かジャンヌは中空知とルームシェアをしている。まあ中空知が一人放置してると割と心配になってくるタイプっぽいので世話係を押し付けられたのかな?そうでもないと仲良くなれそうにもないし。
「ジャンヌさん――ですか?先週一度、私に電話で依頼してきて……今朝戻ってきて、欠席してました。学校は。ケガしてたので。部屋に、今います」
怪我?ヒルダを追って以降行方不明だったから死んだのかと思えば怪我でリタイアしてたのか。だからと言って変な戦争に巻き込んだお仕置きしないわけではないが、それなら保護なりなんなりしたのにな。
魔術戦できる人材は必要だし。
「あー中空知。やっぱ部屋行ってもいいか?汚れる――というか汚すことにはなるかもしれんが」
情報共有もあるが――ジャンヌの怪我の具合でお仕置き延期するかもだが逃げられる前に仕留めておきたい。流石に血は流れないと思うが状況次第だな。
「あ、え!?○×△□●▼◆※$&#!?」
「もはや何語だそれは?」
なぜかX脚の膝をガクガク震わせている中空知の案内で第3女子寮の部屋まで来たが――中には音響機器がビッシリ集められてあった。
ラックに積まれた無数のスピーカーや高そうなアンプが、黒い机を半円形に囲んでいる。黒塗りの防音壁には色とりどりのヘッドホンが家電量販店みたいにブラ下げられてる。ラジオ局のミキサー室のような光景に加えて、室内には更に古今東西の通信機が整然と並んでる。処理用のPCや無線機だけじゃなく、携帯電話も50機種ぐらいある。
ガチ勢の部屋だ。
「すご……」
環境整ってる
唯一女子っぽいのはちょこんと見えてる観葉植物ぐらいか。
「ジャンヌは――いるっぽいな」
「は、はい。あ、あっちの部屋に、い、います!」
ぴっ、と指した扉はそこだけいきなり、古風で洋風の装飾がされた木目調のドアだった。 説明不要でジャンヌっぽいカンジだな。
俺はカーペットについた跡から十数分くらい前に誰か通ったことがわかったが、中空知は扉の先にいるのが聞こえているらしい。
聞こえんのかすごいな。
「悪いな急に押しかけて。文句があるならジャンヌに言ってくれ」
「あ、い、いえ!あの!こ、これから私。あります。依頼が。なので、防音室います。2時間。ほど!」
「そうなのか」
「部屋、こっちの。触らない、機械は。下さい」
「高そうだし弁償できないからな。わかってるよ」
「ででは」
顔を真っ赤にして中空知は防音室に籠ってしまった。
でもあの防音室の扉少し開いてね?うっかりさんだな。
中空知は置いとくとしてドアの向こうに入るとマホガニーの机。古風なガス燈みたいな形のルームランプ。なんだか一流企業の重役室とか、政治家の執務室みたいなシックな装飾がされてるな。
こういうとこ見るとお嬢様なんだなあと実感する。普段あれなのに。
構造からしてあと奥に一部屋あるくらいだな。窓もないはずだから逃げ道はなし。
扉の前に立つと中で動く気配がする。寝室ではなさそうだ。
するりと音をたてないように入り込むと
「ふふっ――私はこんなにも愛らしい――ふふっ」
室内にはヒラヒラしてフリフリ、赤やピンク、白、水色――チェック、ストライプ、ハート型のドレス――ロリータファッションがずらりと並んでいて、その奥でジャンヌは鏡の前でポーズをとりご機嫌になっていたようだ。
……いや何してんねんこいつ。
「ふふっ。まさか皆の前で堂々とこれを着られる日が来るとはな。元々持っていたとは思うまい。遠山のヤツ、最高のくじを引くものだ」
「お褒めに預かり光栄だな」
……ぴきっ……
と、俺の声を聴いた
「元気そうだな。で、お前に任せたはいいけど連絡もせずに遊べるくらいは余裕そうだな?」
「……遠山。お前は……見てはならない物を見た。生かして帰すワケにはいかん」
「デュランダル構えんなよ」
ジャンヌは涙目で、背中からデュランダルを取り出した。のでジャンヌが持つ鞘を掴むと手に力が入らないのか――あっけなくジャンヌは剣を放してしまった。
ジャンヌはパワーはないにしても一端の剣士だからそれなりに握力はあるはずなのだが――見た目以上に動けないみたいだな。力が入らないようである。
そのままCz100――
「その状態で俺に勝てるとでも?」
負けを認めたのかジャンヌの力が抜けたようにへなへなと座り込み――手で顔を隠してしまう。
力ぬけたようなので咄嗟に手を放して武器だけ奪ったが――これじゃか弱い女子イジメてるみたいだ。
いや事実だけど。
「こ、この部屋を見た者はいない。ここは私だけの秘密の花園だったのだ。 理子にも秘密にしていたのに……」
「理子みたいな部屋だと思ってはいたが――同じ趣味だと似通うのか?」
まあCVRでも衣装並べてくとこうなってたし、ウォークインクローゼットみたいな……そういうもんなのかもしれない。
「この手のドレスは理子のように小柄な少女が着ることで愛らしくまとまる。だが……私はこの身長だし、幼い頃から男のように 育てられてきたから合わないのだ、本来。しかし、そう思えば思うほど……なぜか、私はこういうドレスに憧れを……。前に遠山に着せられてから止まらなくなってしまい……」
「似合ってるから何を悩んでるのかわからん。可愛いじゃん」
身長190cm超えてると頭ぶつけるとかで気にするのもわかるが――そういうわけでもないのになにを悩んでいるのかがわからない。あと言うほど男のように育ってるとも思わんが――まあ本人が気にしてるなら触れないでおくか。面倒くさいし。
というかあん時に着せたの夾竹桃だろうに。なんか俺のせいっぽい感じになってるが。
しかしジャンヌはアイスブルーの瞳を丸くする。
「か、可愛い……?」
「可愛かったぞ?」
「お前は変な奴だな。センスがないぞ」
とジャンヌは横を向くようににやけるのを我慢してる感じだ。
「お前、
「―――『
真面目な雰囲気だと察してかジャンヌも真面目に答える。
一応ちゃんと動いてたのか。
「ヤツらはどうしてるんだ。正直よくわかってないから動けないし。ここからだと全く動きが見えないんだが」
「皆それぞれの本拠地に戻って、機会を窺っている。 すぐ動いたのは、ヒルダぐらいだ。私もヤツと接敵した。 実は酷く感電させられた」
「力入らんようだな」
「見た目では分からないが、ダメージが全身の腱に残っていて手足に力が入らないのだ。おかげで、半月は戦闘に参加できなさそうだ」
……じゃあヒルダ戦にこいつ使えないじゃん。
ヒルダ仕留める際のメインとして凍らせて封印とかさせるつもりだったのに。
「それとアリアに『
「いんや?玉藻が教えるなつったのもあるけど状況悪化させそうだしヒルダ仕留めるまで教えない方針」
「それがいいだろう」
「まあ今ワトソンの相手してるから邪魔にはならんだろう」
「ワトソンか――気を付けろ遠山。あの男の動きは不自然だ」
「何が?」
ジャンヌ曰くワトソンは
・秘密結社リバティー・メイソンの有能な
・二つ名は『
・硬式テニス部(ジャンヌの部活)の支持者がワトソンに鞍替え
とかなんとか。
……こいつは一体何をしてたんだ?
なんでヒルダ追っててワトソンの事調べてんだよ。
いやそれはいいとして――
「ワトソンは放置してていいだろ。肝心のヒルダの情報――居場所とか塒とか」
「…………
ビキッ――
「……ちょっと発散したくなってきたな。その服汚していいか?」
「!?抵抗できないのはわかっているのか!?」
「知ってる」
「隣には中空知もいるし、私は初めてだから声を抑えられる自信はないぞ!?」
「…?別に声抑える必要はないし、見られても困るのはジャンヌだけだが?」
「く、中空知の事も把握済みか、女たらし…!」
なにを言っているのか全くわからないジャンヌの妄言を無視して、壁に手を付かせて、臀部を突き出させるように体勢を整え、服を調整し――臀部目掛けて思いっきりぶっ叩く!
「俺が」パシンッ!「だっ!?」
「真面目にやってる時」パシンッ!「ひん!?」
「今まで!」バシンッ!「ひゃあ!?」
「何してんだ!」
バンッ!
ジャンヌの声にならない悲鳴が気の済むまで響いた。
お仕置き☆
おしりペンペン
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スカートの上から
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パンツの上から
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生尻