遠山キンジの独白   作:緋色

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読者がHな事がよくわかった
ので描写はこうなりました


想定外

 一通り終わった所でジャンヌの携帯が鳴る。

 

「中空知だ。代わりに出ろ」

「涙目でドヤっても格好よくないぞ?」

 

 さっきまで立とうとして立てずに尻を真っ赤にしてビクンビクンしてたくせに。

 もはやギャグみたいでエロさはないな。

 ジャンヌの携帯を拾ってみると本当に中空知だった。

 

『お楽しみが終わったようなので連絡いたしました』

「ジャンヌは今腰砕けだが」

『ジャンヌさんに依頼されたワトソンの盗聴についてです。ジャンヌさんは動けないようですので遠山君にお伝えします』

「……なんで俺に聞かせるの?」

『ワトソンとアリアさんが密会しています』

 

 ……だから何だよ。

 そう思うが中空知は俺の考えを知ってか知らずか話を続ける。

 携帯をスピーカーモードにしてジャンヌにも聞こえるように置く。俺関係ないし。

 

『今、店内です。ホテル日航東京3階、コンチネンタルレストラン、テラス・オン・ザ・ベイ。個室に入りました。室内の会話音声、比較的明瞭』

「どうやって音を拾ってる?アリアに盗聴器でも仕掛けたか?」

 

 確か第3女子寮(ここ)から直線距離で2,3kmはあったと思うが。

 

『―――いいえ。女子寮の屋上に設置した極指向性のレーザーマイクで集音しています。半径3km程までの地上であれば、特定した方向の音声をモニタリングできます。窓ガラスに伝わる声の振動を元に室内の会話を増幅します』

 

 そういえば前にそんなの使った記憶があるな。

 流石に3kmなんて高性能ではなかったが。中空知が何か操作したのかだんだんと声が聞き取れるようになり、ワトソンの声とアリアの声が交互に聞こえる。

 微妙に途切れ途切れだが、アリアの妹の話をしてるみたいだ。というかいたのか妹。あれで姉属性だったのかよ。

 

『―――足音に違和感。有益な情報ではありませんが、気づいたので報告します。どうも、ワトソンは体脂肪率が高いようです。27%と思われます』

 

 体脂肪率の平均は成人男性で10~20%、成人女性で18~28%だったかな。

 ワトソンの27%は戦闘タイプにしては多い方である。ワザと脂肪付けるタイプならあり得なくはない数字であるがワトソンがそういうことするタイプではないので逆説的に戦闘タイプではないのだろう。

 まあ鍛えてるのはわかるが殴り合いに強いわけじゃないのは見ればわかるし、ジャンヌが言うには『西欧忍者(ヴェーン)』――つまり忍者。暗殺者の類だ。

 

『「アリア先輩に――立場を盾に結婚しよ――て…!…許――じワトソン!」雑音(ノイズ)捉え(キャッチ)しました。…アリアのストーカーと推察します』

 

 どっかで聞いたことある声が混ざったと思ったら内容的に間宮か。

 何してんだこいつ。

 

「いやそいつアリアの戦妹(アミカ)の間宮だ。ストーカーなのは否定しないが放置は――どうなんだろ?事故りそうだな」

『店員に発見され通報されたことで逃げたようです』

「高めの店はちゃんとしてんだな」

 

 何となく聞いていると雑談からアリアがワトソンに協力を求め、求婚に話が変わっていったので話半分に聞き流しながら自分の携帯でメールチェックをする。

 協力者からメール来てんな。

 ――理子が建設中のスカイツリーにいて、ヒルダもいる……?

 ……遅かったか。出来ればヒルダと合流する前に捕えたかったのだが切り替えよう。

 スカイツリーに行き別れた所で理子を確保、或いは戦闘なりなんなりで分断して理子を捕獲。

 そんな所か。

 理子を奪還するから第三女子寮まで車で来いと夾竹桃にメールを打っておく。

 

 ……ジャンヌは――いそいそと服装を直しつつ、音声に集中しているようだ。

 しばらく戦闘不能だし――無理について来ようとされても邪魔になるだけなので言わなくていいか。

 

音声(ボイス)、建造物への反射音にて再捕捉(リキャッチ)。ワトソン、アリア、車内にいます。 車種はポルシェ911カレラ・カブリオレ。音声、建造物への反射音にて再捕捉。閉幌状態(ソフトトップ・クローズド)。都道482号線を北東に走行中』

 

 アリアはドライブデートに切り替えたようだ。

 まあアリアはワトソンと一緒なら問題はないだろう。放置だ。

 

「人のデートとか興味ないし俺は帰『待ってください――ワトソン、アリアに話しかけています。アリア、 回答無し。眠っている模様……意識レベル、JCSI-10以下。呼吸音・心音等のバイタルサインは投薬、麻酔等による清明度の低下に酷似。熟睡と昏睡の中間辺りに思えます』

 

 …………………………………………………………………………………………………………は?

 意識レベルJCSⅡ-10以下。

 声をかけても起きれない状態――睡眠薬でも盛ったって事か……?

 婚約者のアリアに?騙し討ちで?既成事実でも作ろうと?

 

 ――ふざけんな

 

 ドクンッ

 と、いう鼓動とともにヒステリアモードに入るのがわかる。

 暴走するように流れる血流は怒りに対応するように発動した。ベルセが発動したか。 

 あのアホ。まさかと思ったが実力行使かよ…!?ジャンヌの懸念は当たっていたわけか。後で謝りはしないが役に立った事は褒めておこう。

 

「中空知。追え」

『―――車内にてカーナビゲーション、入力音。ナビゲーションの音声あり。目的地は……東京都墨田区押上1-1-2』

「どこだそこは?」

『建設中のスカイツリーの住所です』

 

 スカイツリー?

 そこにはヒルダと理子がいるはず……。

 ……アリアを売るつもりか?いや最初から繋がっていたから結婚できないならと?

 

 どっちでもいいかまとめて潰す

 

「ナイスアシストだ、中空知。後でキスしてやる」

『――不規則発言は控えて下さい。――ワトソン、アリア、音声捕捉の限界距離に到達しました。首都高速汐留JCTにて音声逸失。状況から見て、ここからは聴音不能(ソナー・アウト)と判断します』

「そうか。邪魔したなジャンヌ。中空知。今から出撃す()る」

『お気を付けて』

「協力できずすまない」

 

 押っ取り刀で第3女子寮から飛び出し、ちょうどやってきた車に乗り込む。

 

「スカイツリーまでマッハで()()()

「無茶言わないで頂戴」

 

 言いつつも制限速度ギリギリで車は走り出す。

 ここからなら10分ぐらいだろう。

 

「先に言っとくけど私を戦力に数えないで頂戴」

「元々、解毒の為に呼んだだけだ。最初から期待してない」

 

 そう夾竹桃は理子の耳についている毒の解毒の為に呼んだわけである。ヒルダの毒にについては心当たりあるそうで解毒できるだろうとの事だ。

 なぜか今運転手しているが。

 

「それはそれでイラっとくるわね」

「俺が死んだ場合、理子の救助を頼む」

「ヒルダを敵に回すつもりはないわ。解毒だけはしてあとは理子次第ね」

「ならそれで」

 

 流石にアリアまで助けろというのは虫が良すぎるか。

 一度逃げれれば理子ならなんとかできるだろう。

 問題はアリアだが――

 視界の端にあるモノを捉えた。

 

 全く関係ないが武偵高校の1年は『コバンザメ』というものを習う。

 タイヤがデカく最低地上高(クリアランス)の高い車の下に張り付いて隠れてついて行く追跡術だ。

 俺の時は車輛科(ロジ)の江戸川先生がカースタントの様に乗り回すトラックの裏に張り付かされる。とんでもない実践学習である。ちなみに普通は通常運転だがSランクかAランクなら落ちても死なないだろうと判断されるとカースタントで地獄を見るわけだ。免許返納しやがれ。

 その後、雑談交じりに周りが事故るからやるなよとくぎを刺して話したのが――

 車から車へと飛び移って移動する曲芸――ハッソウトビである。

 

「遠山キンジ!脅迫の疑いで逮h――わにゃぁぁ!?」

「危ないから飛び乗ってくるんじゃねえ」

 

 隣のトラックから飛び車に張り付いた間宮がUZIを向けてきたので、暴発しないように指を挟んで発射できないようにしつつ車内に引きずり込む。

 場所ないから膝の上だな。

 

「暴れるなよ。事故るぞ」

 

 捕らえた体勢上、子供を膝に乗せるような形で後ろから囁くように脅す事になってしまい。間宮はビクッと身体を固くする。

 

「……あかりに手を出したら殺すわよ」

「ロリは趣味じゃねえ。俺はどっちかというと年上趣味だ」

 

 そしてできれば姉がいい。なぜカナ姉は存在が間違っているんだ。

 

「誰がロリだ!それより桃子ちゃん!遠山キンジと一緒なんて何かされたんでしょ!?」

「されてないわ。これから仕事に行くだけよ」

「そんなわけない!だってあの遠山キンジだよ!?」

「お前は俺の事なんだと思ってるんだ」

 

 というか桃子ちゃんて。

 そういえば1年生として転入していたんだっけか。いつの間にか仲良くなっていたのかは知らないがだいぶ打ち解けてるようである。

 

「ホントだっての。ちょっとワトソンとか殴りに行くだけだ」

 

 流石に本命のヒルダの事は話すとややこしいので伏せる。

 

「?どういうこと?なぜワトソンがここで出てくるの?」

「ん?話さなかったっけ?ワトソンがアリア眠らせてスカイツリー向かってるって「アリア先輩が!?」――うるせえ。騒ぐな。そこに集まるわけだ。碌な事じゃねえだろうな。――そういや間宮はホテルでアリアを追跡してたようだが――なんでここに?」

「え!?――いえたまたま!ちょっと離れるつもりだったんだけど、車の速度が速くて降りれなくて……――ホテルでアリア先輩がワトソンに襲われてると考えたらこうしちゃいられないととりあえず這い出たら――ちょうど目の前に遠山キンジが桃子ちゃんを脅迫していて……」

「何言ってるのかわからん」

 

 逃げようと車にコバンザメしたら腕がきつくなって上に登ったら俺を見付けたって所か。

 

「まあいいや。俺はスカイツリーで降りるから自力で帰れ」

「私も行きます!」

「なんで?」

「あたしのアリア先輩を取り返すためです」

「お前のでもないが「着いたわよ」タイミング悪いなぁ」

 

 スカイツリーの建設現場の傍で降りたところですぐ近くの駐車場にポルシェを発見する。

 熱をチェックするとまだ温かい。

 建設現場の砂っぽい地面には武偵校指定の靴の足跡が一人分だけある。

 

「何してるの!先に行くよ!」

「お前ホントに着いてくるのか」

「当たり前です!」

 

 こいつ何度かアリア先輩がすごいと煽ってくるので知っているが、なんどか拳骨喰らわせても気絶しない程度にはタフである。

 だとしてもベルセで殴れば骨折はするだろうが――いや待てよ?

 俺が戦ってる間に救出(セーブ)する役割を任せればいいか。

 理子は無理だろうがアリアが救出(セーブ)されるだけでもだいぶ楽になる。

 

「あ、エレベーター。上にアリア先輩が」

「流れる様に上ボタン押すんじゃねえ」

 

 動けば追跡してきたことがバレるが。

 もういいや出たとこ勝負だ。




夾竹桃の車は何となくドイツのアマガエルかと思ってたけどワトソンと被るのでやめた

……おかしいな間宮が生えた
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