遠山キンジの独白 作:緋色
ババババババ!っとバチバチどころか一つの音となったような
ヤバそうなので首を飛ばすつもりで
「
服が破れて晒した姿は――元々のヒルダをベースに蛇…いや魚の鱗を纏った蝙蝠の化け物だ。
人:魚:蝙蝠=4:2:4みたいな感じか?
…なんで身体膨れ上がったのに下着は破れないんだろうか?
疑問を他所に影から
「
ハイパースローの視界の中、亜音速で
バン
っと交通事故のような音が響き、十数M先の資材置き場に身体が盛大に突っ込む。
「キンジ!」
視界の端で叫んでるのが見えるが、ゴパッっと生暖かいものが飛び出しぐでっと力が抜ける。
臭いからして血か胃の中のも吐くよりかはニオイは……マシ……だ……な……。
一瞬、意識が飛んでいた。
「ヒルダアァァァ!」
甲高いアニメ声で意識が戻ったらしい。
戦闘中に気絶とか気が緩みすぎだろ俺。
やたらめったらに銃撃するアリアに対してヒルダは舐めきってるようで、無防備に目玉模様を撃たれ――攻撃の手が緩んだ所でヒルダが力むように――あっやっべ
身体に鞭打ち立ち上がることで、地面に流れる電流を無効化する。
さっきよりも威力が強い気がするが靴で防げるようだ。距離もあるからかな?
「どうして……!?4つの魔臓を撃ったのに……!」
「おーっほほほほほッ!無駄だったわねえ。アリア!私は生まれつき見え難い場所に魔臓があるわけではなかった。その上、この忌々しい目玉模様を付けられてしまったの。だから―――これはお父様にさえ秘密にしてたけど外科手術で変えちゃったのよ。魔臓の位置をね。ほほほっ、おーっほほほほほッ!」
脚の目玉模様を隠さなかったのはブラドと同じで口の中にあるから撃たれることは無いと舐めてたんじゃなくて……そもそもなかったんだな。
刺青の呪いがどういうものかは知らないが『魔臓の位置を示す』のではなく『掛けた時の魔臓の位置を示す』モノだったらしい。
考えてみればゲームじゃないんだから弱点丸出しをどうにかしない方がおかしいか。
戦闘巧者な上に人にプライドやらで身体預けるような事できないであろう
……よし。身体も問題なく動く。
「そうね見た目はいいし二人とも剥製にして屋敷に飾ってあげるわ」
「棺桶に入れるんじゃなかったのかよ。さっきも言ったが
「……しぶといわね。トオヤマ。お父様の仇なだけあるわ。刺して吹き飛ばしたのだから死ぬはずよ」
アリアに止めを刺される前に口を挟んで注意をこっちに引く。
ヒルダは俺の方が脅威度が上だと判断してるのかアリアを無視するようにこっちに向き直る。
その間に理子がアリアを回収してるな良い判断だな。巻き添えが一番怖いし。
「肉弾戦は不得意か?
「そんなバカなこと教える親がいるはずないでしょう」
……いるんだよなぁ。
俺は兄さんに習ったけど、少なくとも兄さんは父さんにそう習ったらしいし。
しかし背中から資材置き場に突っ込んだせいでめっちゃ痛い。電撃プラスで身体が動かなかったので受け身も取れずダメージの大半これである。
「見る間もなく殺しておきたかったけど。私の醜い姿を見た以上生かしては帰さないわ」
「そうか?美しいだろ」
「え」
さっきまでの人型と比べて魚は空気より密度の高い水中の生物だ。
柔軟な戦闘の為の機能美ってやつだ。その推測がなければ串刺しから引き裂かれていただろうし。
それとモンスターがモンスターらしい見た目なのも好感度は高い。人とほぼ同じなのに魔物とか言われてもピンとこないし遠慮なく殴れるし。
「魚が水を泳ぐために進化したように、
「え?あ、そうよ!覚悟なさい!」
なんか戸惑ってる様だがまあ気にするほどの事でもないか。
問題は
帯電してるヒルダ相手に剣で斬っても感電するだけだろうし、銃は弾数の関係上無駄にしたくないし……
となると
「おいおい電撃は効かねえぞ?槍しまったらどうだ?両手を空けた方が魔術使えるんじゃないか?」
「……そこを狙い撃つつもりなのが見え見えよ。トオヤマはステルスハントが得意って聞いてるけど――死ぬ一歩手前まで追い詰めたのはお父様の物理攻撃と聞いてるわ。――突き刺しされるほうが嫌みたいね?」
「アリアと理子連れて帰っていい?お前の命いらないんで」
身柄は押さえるけど。
「ダ メ よ。死になさい」
「やなこった!」
突っ込んでくるヒルダに合わせて、大きく横に飛び。資材置き場からパクってきたワイヤーを結んだバタフライナイフを床に突き刺し、即席トラップで突っ込んできたヒルダ自身の力で切断を試みる。
ガッシャアーン!
結果は体勢を崩して資材置き場に突っ込んだだけだった。
体格がでかくなった上に嫌ってる形態なので制御が相当雑だな。つけ入るならそこしかなさそうだ。
まあ時間は稼げたから良しとする。
「トオヤマ!」
叫ぶヒルダを無視してヒルダの棺桶へ向かう。
蓋を蹴り飛ばして中身を確認してみるとなんかの箱――機械?が置いてある。
柩に近づいてからじゃないと盗電しなかったから盗電のための中継ボックスかなんかであろう。
これ見よがしに柩置いといて剥製だの飾るとか言っていて不自然だと思っていたがこの分だと俺の名前が入った棺桶の方にも細工があるな?ケーブルで繋がってるし。
「理子!そっちの棺桶壊せ!」
そう言いながら
うわっ、蓋が粉々になった。
「私の柩を壊すなんて!」
「その身体なら入らんだろ」
「殺す!」
爆薬でも使ったのか派手な音と共に俺とアリアの名が描かれた柩は壊れ、柩とは違う何らかの機械っぽい何かの破片が散らばる。やはりなんか仕込んでたらしい。
自棄になったのか二、三度突撃してくるのに合わせて振り回すと一回ごとに帯電が収まっていき――明らかに発電が収まった。
発電が収まってからの突撃に合わせて刃を置くことで勝手に切り刻まれる。
逃げようと背を見せれば
十分ほど粘ったヒルダだったが。
「ぜぇ……ぜぇ……」
「スタミナはないようだな白身魚か?」
雨が降ってきた。
身体が更に膨れるのか?と警戒したが流石にそんな機能はないようでヒルダは荒く息を吐き――徐々に体がしぼむのを抑えようとしているようだ。
展望台から飛び降りて逃げようかと考えているのか辺りを見回しているが
「降参しろ。流石にそのデカい身体切り刻んで分けて運ぶのは面倒くさい」
「……トオヤマ。取引しましょう」
「取引?」
「目的は殻金でしょう?それを渡すから今後お互いに関わらないってのはどうかしら?」
「あん?俺はどうでもいいけど――アリアと理子襲いそうだし」
「少なくともトオヤマが生きている間は手出ししないわ。勝てるとも思えないし」
「ふむ」
……正直ありがたい提案ではある。
降参したとして魔術封じとかの準備が出来てない以上、移送途中で回復されて影に潜って逃げられたら手出しできない。
ワトソンなら持ってるかもしれんが
ただこの手の連中が信用できるかというと信用できないってのもある。
何か企んでいるようでもあるし。
「キーくん。企んでるから信じちゃダメだよ」
「……理子」
理子とヒルダは見つめ合った。
お互い何か言いたいことがあるようだが果たして……?
ヒルダの変身にそんな効果があったとは驚きである