遠山キンジの独白   作:緋色

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公式ルールだとその都度カード引き、そのターンドロー扱いで次の人に出番回すらしいです



ドライブ

 先日はエロゲ世界のエロに飲み込まれかけたが、理性を鍛え直す必要性を感じたキンジです。鋼の遺志でヒルダに条件吞ませたのでまだセーフだと思う。

 あと話すことは吸血鬼を欲しがる土御門の相手が面倒くさすぎてワトソンに押し付けたくらいか?どうでもいいか。

 一応一件落着という事で束の間のゆったりタイムである。

 級友と時間を潰しながら雑談する。最近関わる女率高くなりすぎて面倒なので気を使う必要性が少ない同性の方が気楽である。

 

「そういや不知火ーSなんとかランキングって知ってるか?ドロー2」

「もしかしてSDA(Skilled Detective Armed)ランク(Rank)の事?ドロー2」

「なんだそのランキング?ドロー2」

「知らね。なんかアジアのランキング入ってるとかでワトソンに絡まれただけだからよく知らん。ドロー2」

 

 ざっくりネットで調べただけだがそんなもんのランキングには載ってなかった。有名になりたいわけじゃないのでどうでもいいが。

 

「格付け会社が武偵のランキング作っていて名称はSDA(Skilled Detective Armed)ランク(Rank)、通称『超人ランク』だね。遠山君はアジアで89位だったかな?エリア50位以上か世界ランク100位だと公式に載るから起業とか就職に有利だね。ドロー2」

「おー。キンジすげーじゃん。ドロー4で赤」

 

 ……なんで不知火は公式に載ってない俺の順位知ってるんだ……?

 

「知らねえランキングに勝手に載せられてもうれしくもねえ。有名になりたいわけでもねえしな。一石より上ならまあ喜べるか?ドロー2にドロー4重ねるのありだっけ?」

「一石くんはアジア78位だから負けてるね。ドロー2にドロー4重ねは無しだから10枚引いてね」

 

 一石の方が上なのかあいつよりは実績上げてると思うが……チーム判定で低く見積もられてるのか?一石が今度日本に戻ってきたら実力試してみるか。

 

「ちくしょー無しなのかよ!」

「あいつに負けてるとか自慢できねえな。げ、ドロー4ねえから4枚追加じゃん。赤6」

「遠山君。赤7でUNO」

「また不知火が最初にあがりそうだな?イカサマしてないか?」

「しなくても勝てるからしてないよ」

「ん゛ん゛~!?どういう意味だよおい」

「そのまんまの意味だけど」

 

 わちゃわちゃしていると歩み寄って来る人影が

 

「お~、ワトソン。トライク(ロードソオツクス)はどうよ?」

「武藤の整備がいいからか楽しくドライブできたよ。車庫に返しておいたから、キーはその場にいた妹さんに代わりに渡しておいたよ」

貴希(きき)に?メール入ってる……な」

 

 珍しく歯切れが悪いなと覗き込んでみると貴希(きき)ちゃんがワトソン紹介してくれないかみたいなことが書かれている。女子人気高いんだなぁ。

 

「悪いけどトオヤマを借りていいかな?少々話したいことがあってね」

「俺はねえけど」

「むしろ君がいないと話が進まないから来て貰わないと困る」

「ふーん?そういうわけらしいから俺抜けるわ」

「なら解散しようか」

「そだな」

 

 なんとなく解散の流れになったのでワトソンに先導されるままワトソンのポルシェに乗る。

 

「ドライブか?」

「そうだ。キミも周りを気にせず話せるだろう」

「気にしてんのはお前だけだと思うがまあそれでいいや」

 

 そういや間宮がワトソンのストーカーするきっかけになったのが食堂だったし面倒ごとになりにくいかもな。

 迷わず首都高速道路へと追跡警戒しながら乗るあたりよっぽど聞かれたくないらしい。

 

「あかりだったかな?アリアの戦妹(アミカ)には口止めしたよ」

「そうなのか?口軽いわけじゃないけどさらに首突っ込んできそうなイメージなんだが」

 

 アリアが絡むと短絡的に追け回したり煽ってくるが。

 

「アリアとの婚約を破棄することを話したら掌返しで生涯口外しないって言ってたよ」

「……それで解決するならそれでいいけどよ。婚約破棄ってワトソン家はそれでいいのか?」

「アリアにはワトソン家の事情もほとんど話してね。その事はワトソン家にもバレているから潔く手を引くみたいだ。元より成功すると思ってなかったんだろうね……。ボクの苦労は何だったんだろうね……」

 

 はぁ。と溜息を吐くワトソンはだいぶ疲れているようだ。

 婚約破棄は悪役令嬢っぽいけど現実ではそこまで派手にならないようである。面白味がねえな。

 

「まあ今後は普通に接すればいいんだから気楽だろ?」

「確かにね。今思うと少々アリアに気取りすぎてた気もするし……ただ」

「ただ?」

「その……ボクがじょし……であることは言っていない。あまりにも恥ずかしくて……」

「まあ気持ちはわからんでもないが……」

 

 今では割と慣れてるけどクロメーテルとか二度とするものかって思ってたはずなのにな。

 ワトソンは顔を赤くしてモジモジしながら黙ったので話題を変える。

 

「ヒルダはどうしてんだ?」

「目を覚ましてからは逃げようとしたりナースを噛もうとして大変だったんだが――君と話してからおとなしくなってるよ。確認の為に少し話したが――理子のおかげで助かったことに呆然としてるようだ」

「まあそうだな」

 

 普通自分が虐げてた存在に助けられたとか想像もできないわな。

 

「あとヒルダに見慣れないチョーカーがついていたが何をしたんだい?」

「契約中はこれ付けとけって首輪としてつけといた。魔の契約は目に見えるもんがあるとか聞いた気がするし目に見える形でなんかあった方がいいだろうと思ってな」

「それは魔との契約の印を勘違いしてる」

「ん?そうなの?」

「一応君が持ちかけて成立してる様だからとやかくは言わないけど。破ったらとんでもないことになるから気を付けたまえ」

「ヒルダが契約守る側なんで知らんわ」

「ならいいけど……」

 

 流れていく車を横目にしばし無言の時間が流れる。

 

「――これからの戦いは厳しいぞ。キミは自ら『師団(ディーン)』茨の道を選んだのだからね」

「俺は選んでねえんだが――今更な話だし鞍替えするのもたぶん無理だろ」

 

 バスカービルのメンバーはレキはウルスとして師団(ディーン)選択しているし、よく知らんが星伽も玉藻が代表なのか師団(ディーン)となっている。メンバーの問題で鞍替えは無理だろう。

 鞍替えしたとしても殻金持って行った連中と仲良しこよしになれるわけもないだろうし大して変わらない気もする。

 『眷属(グレナダ)』のヒルダ倒してるしな。

 

「リバティー・メイソンも『師団(ディーン)』になる事を本部グランド・ロッジで議決した。 これからはボクもキミの味方になる」

「それは――頼もしいな」

 

 俺は前々から医療系の武偵が仲間に欲しいと思っていた。

 白雪も回復系の能力はあるようなのだが璃璃粒子だかなんだかで安定した治療が望めるわけでもないという欠点がある。

 その点ただの技術である医療系の武偵――救護武偵(ドクターDA)衛生武偵(メディックDA)の2種類がいて、東京武偵高ではそれぞれが救護科(アンビュラス)衛生科(メディカ)で育成されている――は安定した治療が望めるであろう。

 救護科(アンビュラス)は武偵病院で負傷者を治療する医学、衛生科は事件現場で武偵を救助・応急処置する技術を教えていて――救護科(アンビュラス)の生徒は医者やナース、衛生科(メディカ)の生徒は救急隊員や衛生兵のような役割分担をしている。

 ワトソンは衛生科(メディカ)だし、医療免許も習得しているようなので倒れた仲間がいれば銃撃戦の現場にでも飛び込んで行かなければならない高い戦闘技術も求められる衛生武偵は味方にするのは心強い。

 ただその分雇うのは凄く高いんだが――俺は払えないな。アリアに頼むか?流石に厳しいか?

 

「外注でエルを依頼する形になるのか?それともエルがこっち(バスカ)を雇う感じか?」

「対外的にボクは君に負けたことにしているからバスカービルを雇う形は難しいだろう。ボクを雇う形になるね」

「お前を雇えるほど金はねえな」

 

 というかしれっと下負け(年下に負ける)を隠してるんだなこいつ。

 

「もう報酬は貰ってる――ヒルダの翼と魔臓組織。どちらも対魔武装(アンチミデイアン)の一級素材になる。キミがヒルダから切り落とした腕と共に一部は土御門に持って行かれたが――それらを貰えるなら1年間の援助契約を結んでも構わない」

 

 あれ俺の所有物扱いだったんだ。じゃあ契約に盛り込まなくても良かったな。

 

「それなら頼むわ。これからは俺らの衛生武偵(メディックDA)になってくれ」

「――承ったよ。契約書はバスカービル宛に後で送るね」

 

 こっちを向いてウインクしてくるワトソンには悪いが不意打ちで可愛いのやめろ。

 眼を逸らすと首都高速道路も後半に差し掛かりそろそろ戻るのかなと考えていると。

 

「トオヤマ。一つ頼みがある」

「頼み?なんだ?」

「秘密を守って欲しい」

「なんの話だ?」

「だから……ボクが……女子だという事を誰にも言わないで欲しいんだ……!」

 

 真っ赤になってチラチラッと見てくる。運転中の余所見はやめろ。

 

「別にバレて困りそうなことなんて無さそうだと思うがね」

 

 男子更衣室やトイレ使ってるならバレたら面倒くさいか?

 

頼む(please)頼む(please)、誰にも言わないでくれっ。学校の皆にもいつかカミングアウトする。でも。今じゃ急すぎるっ…!ボクはまだ女子として振舞う準備ができていないんだっ」

 

 慌てるワトソンは可愛いなこいつ。いじめたい可愛さだ。

 

「女子っぽく振舞う必要はないと思うが――まあ俺からばらす意味はないな」

「そ、そうか。よかった」

「代わりに一つ聞かせろ」

「なんだい?」

 

 緊張した面持ちになるワトソンだがそんな大したことはない。

 

「フルネームなんなんだ?L.WatsonのLはイニシャルだろ?」

「誰にも話さないなら君にだけ教えるよ。Lita.ボクはLita.Watson」

「リタちゃんね。覚えtわああああ!?」

 

 急に遠心力がかかるような下手糞なグネグネ運転になったため変な声が出た。

 

「ちゃんと運転しろ!」

 

 慌てて横からハンドルを掴んで真っ直ぐに固定した。ああーびっくりした。

 

「きゅ、急に名前で呼ぶなぁ……」

「なんで顔赤くしてんのか知らんけどとりあえず前見てしっかり運転しろ」

「て、手が――」

「?とりあえず運転できるな?手を放すぞ?」

「う、うん」

 

 偶然とはいえワトソンの手の上から握ったから痛かったのかな?

 女の子っぽいリタの名前は地雷なのかもしれない。今まで通りエルと呼ぶか。

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