遠山キンジの独白 作:緋色
文化祭当日
クロメーテルのせいだけど。
「はいチーズ☆」
――パシャッ
「――はい。盗撮罪状のプラカード回収しますね~」
俺は婦警になっていた。つまりクロメーテルである。
今は撮影禁止なのに料理を運んでいた所を撮影してきたバカをとっ捕まえて撮影してあげてる心優しいクロちゃんの図である。
囚人構図を撮影する婦警って絵面ヤバい気がするが。まあ武偵高だしいいだろう。
「罰金として5万円です。撮影したくなる気持ちはわかりませんが再犯防止のために私の写真集あげますので」
「!ありがとうございます!」
「?何が?」
これは
なぜ5倍の金額なのに感謝される謂れはない。
「クロメーテルさん!一緒に撮影お願いできますか!?」
何を勘違いしたのか強襲科のアホが急に突撃してきた。
顔は知ってるが確か3年だったっけ……?
「……そこの写真集一冊買ったなら一枚だけツーショット撮ってあげます」
「5000円です。ついでにサイン下さい!」
「それは嫌です」
面倒くさかったが文化祭だしいいかと撮影に応じてやる。
「私もツーショットを……」
「嫌です」
「!?」
盗撮犯が愕然とした顔で見てくるがなにも不思議じゃないだろうに。
「盗撮犯は死ねばいいと思うので。一緒に写真とか絶対に断ります」
「でもそいつは」
「普通の客が普通に扱われてるだけですが?普通にすれば撮影ぐらい我慢してあげますけど犯罪者に優しくするわけがないじゃないですか。あなたの自業自得です」
当然の事を言っただけだが、がぁーとよくわからない事を喚き散らして襲い掛かろうとしてきたのでシバキ倒そうかと思ったがその前に強襲科のアホが先に制圧してしまった。
チッ、憂さ晴らしかつスマートにサボる機会が失われてしまった……!
「そのくらい自分で何とか出来ましたけど……ありがとうございます」
「いえいえ!これぐらいお安い御用です!」
そのまま連れていかれるがあの方向尋問科じゃ……?――見なかったことにしよう。
シフト開始してすぐにこれとか幸先悪いなぁとため息をつく間もなくとことこと近寄る小さな影。
「なんでいるのよクロメーテル」
「明日休みたいのでシフト代わって貰いました。CVRのミュージカル参加させようと企ててるのがいるので今日のシフト終わったら速攻で帰ります。来週まで消える予定です」
ランドセルを背負ったアリアが来た。
そういやレジ係の一人だったな。レジ係は二人いて片方は普通に会計、もう片方は客引きとかするらしいが――客引きできんのかよ。
「誰と代わったのよ」
「
「交代でいいでしょ。もう少しで脱走兵狩りに行くところだったわ」
「サボりたかったんですか」
「そうじゃない!」
名目付けて逃げようとしてるんだからサボりでいいだろうに。
しかしランドセルしてても違和感ないなぁ……。
場所が場所だから本来は違和感あるはずなんだが、婦警だのキャビンアテンダントだの消防士だのが入り乱れる空間の為に普通に埋没している。
というかこの文化祭には武偵高附属小学校から体験?と称して小学生が普通に来てたりする。
将来的にエスカレーターで武偵を目指すだろうからという――要は囲い込みの一環なんのだろうたぶん。
「アンタ同学年だったのね。授業で見た事ないけど」
「私は何時でも好きな学年ですので」
「どういう事よ?」
面白半分で始まった設定の為学籍がないからです。
「流石にアリアさんみたいに小学校に潜入はできませんけど」
「アタシも出来ないわよ!」
いやー似合い過ぎて違和感ないから可能じゃないか?
その後ホールの仕事したり、噂を聞き付けたアホが雪崩れ込んで蘭豹がブチギレたり、いろいろあった。
店長役となった白雪が的確に対応を指示しなけりゃ破綻してたな。
というか厨房担当とかを当日決める武偵高の雑さが酷い。出来合いの料理用意されてるのか食堂のおばちゃんがいるのかと思っていたがノープランだったとは。食中毒が出ない事だけは祈っておこう。南無阿弥陀仏。
「ところでワトソン君――ワトソンちゃん?」
「ワトソンでいいよ。クロメーテル」
「恥ずかしいのはわかりますけど。普通に接客してくれません?しれっと目立たない位置に逃げないでください。少々手が足りないので」
割とコスプレ見に来る
「いやわかっているんだけどね。どうも女子として振舞うのは――」
……?なんか震えてるな?
恥ずかしいというか何かトラウマ的な何かがあるのか?
「別に女子らしく振舞わなくてもいいんじゃないですか?女子らしく振舞わなくても服装してれば女子っぽいというのが人間なので」
今は割と女子っぽい喋りがクロちゃんモードだと意識してなくても出るようになっているが、最初は投げやり普通に話してるだけでも勝手に女子扱いされたので気にするだけ無駄だと思う。
「CVRの人間にそんなこと言われても」
「そもそもワトソンの考える女子っぽさって何ですか?」
「?そりゃもちろん女らしくて可愛らしい」
「私は綺麗系らしいですけど女らしくないと?」
「いやそんなことはなくて!?クロメーテルさんが女性らしい女性なのはホールの動きを見ればわかる!これはただ言葉の綾で」
しどろもどろのワトソンだが何を言ってるんだか。
「ちなみに私は男らしく振舞ってるつもりですが?」
「え……?」
「顔がいいからとCVRに勝手に入れられましたけど。幼少期から男として育てられて自認も男なんですよ」
男だから当たり前の話であるが。
「髪長いだけで女らしいとか勝手に言われるんですよね。別に似合ってないと思うんですけど」
「似合っているよ?他の髪型が考えられないくらいに」
普通に短髪の俺と過ごしてるのによく言えるな。
「ま、誉め言葉として受け取っておきます。なので気にすることは無いですよ」
「?」
「テンプレート対応しとけばいいので女性らしさとか出す必要もありません」
ちょっと客増えて来たかな?潮時か。
労働力不足解消できればいいだろう。
「……すまない気を使わせてしまったね」
「そういうのいいんで。というか手が足りないので働いてください」
「ああ。ふふ……もうちょっと早く出会ってたら惚れてたかもしれないな」
「私、
「いやそれは破棄したから」
……。
「……。そうですか。ちなみに私は同性愛者ではないので脈はありません。勘違いしないで下さい」
「口説いたわけじゃないよ!?」
「あ、私入り口付近を担当してますので奥の方を頼みますね」
「物理的に距離を取ろうとしてる!?いや少々境遇に近い事があるなと思っただけで」
「全く近くありません。半径5m以内に近づかないで下さい」
「いや違くて」
なにか言い訳しようとしているワトソンだがまあこれだけやってれば注目されるだろうし働くだろう。
「クロちゃーん。写真撮影お願い~」
「あ、はーい。すぐ行きます」
呼ばれたので向かうと写真集は売り切れてた。
マジか。
写真集の売上の2割がクロちゃんの取り分です
来週の更新しないかもしれません
よいお年を