遠山キンジの独白   作:緋色

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謹賀新年


狐につままれる

 クロメーテルから着替えて文化祭をひやかそうかと思っていたが、ジャンヌに呼び止められるという痛恨のミスからの一連の流れでヤバイ先輩扱いされている事が判明した。

 前からヤバイやつ扱いされているのは知っていたが人外という噂流れているのは初耳である。超人ランキングに入っているから人間じゃないとかアンブッシュされた気分である。

 変な人扱いは気にならないけど敵でもない奴に怖がられるのは普通に凹む。

 文化祭を楽しむ気分でも無くなったので白雪に甘えに行こう。今は確かSSRの建物にいるはずである。

 

「遠山の」

 

 歩いている途中で戦闘訓練用の廃墟ビルからなんか歳上ロリの声が聞こえた気がするが――面倒くさかったので無視して進「聞こえておるじゃろ!無視するでない!」できなかった。

 

「なんか用か…?くだらない用なら無視するぞ?」

「今代の遠山は生意気じゃの!?女神を敬わんか!」

「俺が誰を敬うかどうかは俺が決める」

 

 文化祭なので見栄えが悪いとブルーシートで覆われて立入禁止となってる入口からはいると高い所に横向きに渡された鉄骨の上で武偵高のミニサイズ・セーラー服に頭にフリルつきのベビーキャップみたいな帽子をかぶって帽子にはキツネの耳型の突起が上に思いっきり突き出ている玉藻がいた。

 

「ときに遠山の。ヒルダを討ったようじゃの。でかした」

 

 ぴょーん、人間じゃ無理な謎の駆動で玉藻が鉄骨から動物的な身のこなしで降りてくる。こいつも人に化けてるだけでバケモノなんだろうな。

 だからだろうかシッポはスカートの中にちゃんとあるのが見えるが気にして欲しい。パンツ穿いてるだけマシではあるが。

 

璃巫女(りみこ)に言付けを頼むとはの……。璃巫女(りみこ)をも己の女にするとは流石じゃて」

「リミ……?それは知らんがヒルダ足止めしてる間にレキにお前呼びに行かせた事か?」

「そやつが璃巫女(りみこ)よ。璃璃色金の巫女。感情を嫌う故に男と通じる事なぞあり得ぬが――流石よの」

「むしろあっちから迫ってきたんだが……」

 

 主に白雪が勝手に決めたる事だが謎の経緯でオメカケ?になる事になっていたはずである。よくわからんが家族という事でギリギリ理解はしている。なんか将来の事が勝手に決まってるような……?

 軽く遠くを見て現実逃避をしていると――玉藻はひょいっと両手を差し出してくる。

 

「……どういう構えだそれは?」

「抱っこせい」

「嫌だけど?」

「神輿が無いから抱っこでガマンしてやると言っておるのじゃ。ありがたく思わんか! 抱っこして案内せい。バチが当たっても良いのか?んん?」

 

 輿に乗れるのは大名でも一握りで貴族でも上の方だったと思うが……というか抱っこの方がダメな気がする。

 玉藻は背伸びして、べちべち!と俺の鼻を叩いてくるのがウザいので仕方なく両脇を持ち上げるものの

 小1女子の体重は平均20kgぐらいだそうだ。なのでそのくらいと思い持ち上げたのだが……

 

「重っ!?40kgぐらいあるのかよ!?」

「それは女神、いや、全ての女に言ってはならん数値じゃぞ!」

「事故る方が問題だから隠す意味が分からない」

 

 はしっ、と玉藻は俺の首に手を回してしがみついてくる。

 背負った方が楽だと思ったのだがそうはさせないつもりらしい。面倒なことだ。

 

「ほれほれ、なんとかせい。神を抱くと運が良くなるぞ。ふははっ」

 

 嬉しそうな玉藻の顔は、 あどけなくて、無邪気で……くりっくりのお目々が至近距離から見上げてくる様はなんというか父性本能を掻き立てられちまうな。

 キツネ耳とシッポさえなければ、誘拐とかされそうな外見だよ。

 

「なんじゃ。お前、儂に興味があるのか。惚れたか?」

 

 まじまじと顔を見てしまっていた俺に、玉藻が笑ってくる。

 

「バカ言うな。歳が離れ過ぎだ」

「791歳差ぐらい構わんぞ。化生の世界では無い事ではない」

「俺は純粋な人間だ。年上の方が好みではあるがロリは趣味じゃねえから諦めな」

「ふーむ、遠山侍は昔から時々分からん事を言うのう」

 

 自意識が高いのはいったん置いといて、なんで変なところで好感度高いんだろうか?

 付き合ってもいいくらいには好感度稼いだ記憶がないのだが……。

 

「それはそうとどこに運べばいいんだ?これから白雪のところに行くつもりだったんだが――文化祭楽しみに来たんだったら自力で歩いて回れ」

「ふむ。ちょうどいいの。白雪に用があるからそこまで運べ」

「ここからだと結構歩くんだけど?」

「そうか。あまり揺らさぬように」

「……」

 

 投げ捨てたろうかこやつ。

 しかし、これの事を前に白雪に聞いた時に玉藻様がどうとか言っていたし変に雑に扱うのはいいだろうが怪我でもさせたら怒られそうだな……。仕方なしにこのまま運ぶことにした。

 


 

 超能力捜査研究科(SSR)

 モアイだのトーテムポールだの、地蔵や謎の人形などわけのわからないものが平然と置かれてるカオスな雰囲気の一階を通過しようとしたが何人かの生徒が俺を見て――というか玉藻を見て大慌てで居住まいを正して跪く。

 え、なにその反応?超能力者や魔女(オカルト共)一般人(こっち)を見下し気味だというのに。

 

「よいよい。楽にして構わん。お忍びじゃからの」

 

 慣れた感じで対応する玉藻には悪いが――なんか俺が信じられない物を見る目で見られてるんだが?

 視線が痛いのでさっさと退散する。

 途中で土御門の土下座というレアなものが拝めたりといろいろあったが、白雪の部屋に到達する。

 

「はーい」

 

 ノックに反応した白雪がドアのロックを解除したので、部屋に入り、さらに星伽の家紋が描かれた襖をあけると――

 

「ようこそおいで下さいました。キンちゃん……」

 

 巫女装束の白雪が折り目正しく三つ指ついて出迎えてくれた。

 

「悪いな急に。余計なのもいるけど気にすんな」

「余計とは何じゃ!」

 

 玉藻の声は無視して降ろすが白雪はそれどころじゃないらしく、器用なことに座ったまま畳の上で飛び上がり着地と共に土下座した。

 

「た、たま、玉藻様!?ご無沙汰しております!いらっしゃるとは露知らず、何の準備もせず……!申し訳ございません!」

「いやアポなしで来る方が悪いから謝らんでいいだろ」

 

 抜き打ちで社長が来た平社員みたいな焦りっぷりである。

 

「謝り癖は変わっておらんのう。ほれ、面を上げい」

 

 玉藻は白雪の膝と胸の間に潜り込むようにして、思いっきり両胸を掴んで上半身を上げさせた。

 ……なぜ胸を掴む?

 玉藻は後ろから抱っこされるような姿勢になって、膝の上に座る。

 ロリってなぜか膝の上とか好むよな?なぜだろう?

 

「玉藻様も、昔とお変わりなく」「共学でもなんとか通えてるようじゃのう、 白雪。琴は上達したか? 自転車には乗れるようになったか?」「そ、そんな。 子供の頃の話をされないで下さい……」

 

 疑問はさておき親戚に久々に会ったみたいな感じの緩い感じになったので、俺は座卓のそばにあぐらをかいて白雪が用意していた緑茶を飲む。

 二人でも眺めて癒され

 

「それにしても使い事じゃの、 遠山侍と星伽巫女が同い年とは――どうじゃ白雪。もうこいつの子供を産んだか?」

 

 お茶が気管に入った。

 

「げっほげっほ!?」

「キンちゃん様!?大丈夫!?」

「――むせただけだ。つーか玉藻何言ってんだおい!」

「む?結ばれてるは聞いとるし同じ部屋に住んでおったのじゃろ?」

 

 その結ばれるは恐らく付き合ってる意味であって結婚等の意味ではない。

 しかし、白雪には効果抜群だったようで。へにゃ、 へにゃへにゃ、とタコみたいに軟体化しつつ……

 

「そ、そんな、わ、私は、いつでも、どうぞ……どうしよう、あなた。娘が、弟か妹が欲しいって」

「おちつけ。その狐は娘じゃねえ」

 

 存在しない記憶前提で家族計画するな。

 あと秒でキツネを娘扱いする方が無作法だろうに。

 

「一姫二太郎というし次は男の子がいいかな?」

「次はじゃないが。まず姫いないから」

「そうだね!まずは一姫だね!」

「あー、結婚は法律上18歳からだからな?」

「……来年ゴールイン。キンちゃんは7月5日生まれだから来年の七月……」

「せめて卒業まで待って?あとゴールじゃなくてスタートだからね?」

 

 なんか来年には押し切られそうな気がする。

 流石に金にならん事ばかりさせられてるから現状養える自信はねえ。……そうなったら本格的に就職だな。

 

「まだ手を出しとらんのか?遠山侍は奥手じゃのう」

「無責任じゃねえんで」




キンちゃんが雑に対応してるだけで相当偉い上に強いヤバい妖怪だと思われる玉藻
結界条件を人に変えたら相当ヤバいだろうし
読み返すと好感度高過ぎね?となってる
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