遠山キンジの独白   作:緋色

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妥協

 技が似てるとか俺と同じ技が使えるとか考えると、ジーサードは俺と体質が同じか同系統の体質なんだろう。

 詳しくは知らんが同じ体質はユーラシア大陸には何人か(医学的分類の歴史的に)いたらしいしな。アメリカにいてもおかしくはないだろう。フォースがお兄ちゃんと俺を呼ぶのはそこら辺が理由か?少々疑問は残るがあり得なくはないだろう。

 今は考えても仕方がない。切り替えてジーサードをシバキ倒してから事実を聞き出してから考えればいい。

 チラッと見るとフォースは参戦する気はあまりないようだ。

 というかなんか目つきがどろっとした欲望を感じてなんか怖い。邪魔になりそうもないし無視しよう。

 

「そんじゃ軽ーく始めっか」

 

 不意討ち(アンブッシュ)とは言い難いが名乗り前の一撃で決まらなかった以上、こっからは正式な喧嘩だろう。

 決闘の流儀守った方が格好いいしな。

 

「バスカb「それはまだ早い。少なくとも今回じゃねえ」――何がだよ。吹っかけて来たのはテメーだろうが」

 

 名乗りキャンセルとか礼儀を知らんのかこやつは。

 

「見たいのはベルセじゃねえんだ」

「あん?」

「女侍らせてるなら可能性あると思ったんだがなぁ」

 

 ()()()

 

「なんの話だよ」

「知らねえのか。となるとただの偶然か?女増やす傾向があって強化されてると聞いてたんだがな」

「……それはただの成長だ」

「ただの成長でシャーロックを仕留められるわけねえだろ」

「だから逃げられてんだっつーの」

 

 あのクソ爺の評価どんだけ高いんだよ。そしてそれで俺の虚像高くなってんのかよ。

 

「本気を出す気がねえのか。隠してんのか……。フォース!こいつでなら――なれそうなんだな?」

「うん!」

 

 うんじゃないが。

 

「フォース。キンジがRegalmenteに覚醒してねェか調べろ。お前はそいつとHSSを使いこなせるようにしてこい。今から作戦(ガンビット)をプロセスγに移す。 次は――― 『双極兄妹(アルカナム・デュオ)』になったお前らと再合流する」

 

 Regalmente……?いやそれはどうでもいいか

 

「待てや。クソガキ。落とし前付けてけ」

 

 勝手な言い分を述べて去ろうとする。ジーサードに決闘とかどうでもいいから仕留める!

 

「フォースをよろしくな」

 

 ヒステリアモードでも聞こえるか聞こえないかギリギリの音量の声を拾ったが知った事ではないので、もう一度地抛(ショット)を撃とうと構え

 

 ♪♬♩♫

 

 大音量のクラシックが流れ出した。

 

「んがぁ!?」

 

 微かな動き逃さねえと視覚と聴覚に神経を注いでいた分、舞台から放たれる急な爆音で繊細な力のコントロールを狂いただ素振りしただけになってしまう。

 それでもかまわずに第二波を撃とうとしたところでフォースが軌道上に入るように降りてきたためフォームを中断し構える。

 ジーサードの姿は影も形も無くなっていた。光屈折迷彩(メタマリアル・ギリー)か。追いかけるにしてもフォースで足止め食らえば追い付くのは難しいだろう。瞬殺できるほどには弱くねえからな。

 しかしジーサードが消えた後ジーフォースは――とことこ。と全く敵愾心のない足つきで、俺とワトソンの横を通り過ぎ、倒れたままのアリアたちのそばに立ち愛嬌たっぷりの無邪気な笑顔を向けてきた。

 

「――車呼んだから。お兄ちゃんについた悪い虫たち、病院に閉じ込めちゃお」

 

 敵意を全く感じないから傷つける意図はない……な。

 年下(中学生ロリ)が敵意害意も見せないなら反応しづれえ!?

 

「半分は否定しにくいが――お前が襲った4人をお前に任せるわけないだろ」

「んーと……じゃあ、はい」

 

 彼女のプロテクターの各所から水蒸気のようなものが鋭く噴き出し、次の瞬間、バラバラッ。 ジーフォースの装備は、刀も含め全て外れてしまう。

 武装解除は想定外だったためついて行けずにただ見るだけになってしまう。

 その体に残ったのはスキー用のブーツみたいな靴と全身にピッタリと張り付く、黒いアンダーウェアだけだ。

そのウェアは、ストッキングのように薄い最新の防弾繊維製らしく……ジーフォースの未成熟なボディーラインが、クッキリ浮き出てし腰周りには下着の線、というかシマシマの柄までもがクッキリ見え――上はつけてねえ!?

 

「……あッ、み、見るなトオヤマ!」

 

 急な展開に血流がバグって固まってる俺を見てワトソンが両目を手で覆ってきた。

 視界が途絶えたことでバグってた血流がだんだん落ち着いてくる。

 

「その、トオヤマ。キミには妹がいたのか……?それとも妹扱いしてるだけか……?」

「上には兄姉いるけど、下の血縁はいねえ。妹扱いはアレにはしたことはない」

 

 だいたい妹扱いは妹と認識した方が都合がいい時と反応が面白い相手にしかしないし。

 レキの件から面倒ごとが増えそうなのであまり新しく増やす気はないしな。

 

「偶に与しやすいと思ってかそういう感じでハニトラ仕掛けてくるのはいるぞ。というか結構いた」

「――は?お兄ちゃんは私のお兄ちゃんなのに?急用ができたよお兄ちゃん。その泥棒猫の事詳しく教えて?」

 

 どこに向けてるのかもわからない殺気が湧き出してきたので、倒れている4人に向かないように

 

「……アメリカ出身で――年下の14歳くらい――の女子だな。――ジーフォースって名前らしい」

「なんだぁ。私が恋人(honey)って事か」

 

 ずいぶん都合のいい耳をお持ちのようである。

 

「じゃあ、こいつら運ぼ。武偵病院ってとこでいいよね?」

 

 などと言ったジーフォースは、ぐい。

 アリアとレキをネコ掴みして、両肩に担いでいる。

 自分で倒した4人を、自分で救助するつもりらしい。――格付けは済んだからよほどのことがない限り興味がないって感じだろう。

 気絶している白雪をおぶった俺に理子を背負ったワトソンが「見た目ほど重傷じゃない。4人ともね」そう耳打ちしてくれる。

 

「今夜は手抜きしたから。そうしろってサードに命令されたからね」

 

 それが聞こえたのかジーフォースは愛らしいウィンクをして見せた。

 

「だろうな。不意打ちとはいえ実力差は大きかったしな」

 

 よほどの実力差がない限り『手抜き』は難しい。

 俺でも相手を殺さないために技を選んだり当てる場所を限定することはあっても加減はしない。

 単純に相手が強かったのもあるが、ぬるい攻撃だと仕留めきれないことも多々あるからだ。

 ジーサードが再度戦闘を仄めかして去ったが……フォースは詫びや人質として残したわけじゃないだろう。

 何か知りたいことがあるんだ。そしてこっちもジーサードの動きを知るためにフォースに手出しするのも難しい。逃げられはしないだろうが下手にフォースを倒したことでフォースが切り捨てられた場合、こっちから仕掛けるのも難しいからだ。ざっくり調べただけだがジーサードはアメリカだけじゃなくヨーロッパ、南米、アフリカと世界各地で活動してたりする。

 つまり追うのが難しいのだ。一学生の身としての資金力やコネでは。

 だからこそ残されたフォースは細い糸――連絡係――使者の役割として倒して終わりにはできないぞ。

 向こうが利用しようって言うなら逆に篭絡しないといけないだろうってぐらいには。

 


 

「――フォース様、お見事で御座いましたよ」

 

 ビルの車寄せには大きな黒塗りのハマーが駐車しており、横でスーツを着た白髪の男が深いお辞儀の姿勢をしていた。

 男が顔を上げとその顔付きは、引きつるように歪んでいた。

 背筋も伸びきらず、曲がったままだ。初老の白人だが、これは加齢による曲がり方じゃないな。回復不可能な攻撃で首か背骨からの神経系に障害があるんだろう。

 

「ありがと、アンガス。サードは?」

 

 その男が開けた後部座席のドアにアリアとレキを放り込んだジーフォースは、老人……アンガスに、偉そうな口調で訊いている。

 

「ロカの御するグンペルト・アポロにてガリオンへ向かわれておりますよ」

「サード、ガルウィング好きだなー」

「左様ですな。あの形を、美しいと感じられるようで。 ツクモは、ウラジオストクに待機させてございます」

 

 東方を支配する町(ウラジオストク)か――ロシアに飛ぶ前に追うのは無理だな。怪我人おいてけないし自動車(グンペルト・アポロ)に追い付かんだろう。

 疲れたからヒステリアモードも切れてきたし。

 

「遠山様と……そちらの殿方は、ご自分のお車でご自宅へ戻られますかな?これより、女性のご一同を武偵病院までお送りしますが」

 

 老人(アンガス)が笑みを浮かべ、こっちに話しかけてきたがさてどうするか?このまま任せて帰るのは論外だし――

 それを知ってか知らずかエルが彼とジーフォースの方に向き直り

 

「もう戦う意思がない事は理解したが、ボクらはキミたちを信用したワケじゃない。ジーフォースは、ボクの車に乗れ。トオヤマ、キミはそっちの車に乗るんだ」

 

 サッ、サッ。ワトソンが素早く老人をボディーチェックして、それを見たジーフォースが小さく吹き出した。

 

「フォースが武装解除してても運転するのはエルだろ?」

「問題ない。ボクのポルシェは自爆できる。不審な事はしないことだ」

 

 後半はフォースに向けて言いきかせてる様だ。……何かあっても最悪自爆で巻き添えにするくらいはできるか。

 

「それはそうと……ワトソンって、かわいい顔してるね。まるで女の子みたい」

「しっしっしっ失敬だぞキミは!ボクは男だ!もう一度言う、ボ・ク・は・男・だッ!」

「なんか相性よさそうだったし。なんかお兄ちゃんを見る目が怪しいなぁ?」

「キミ、はっ、なんていう事を、考えるんだッ!変態か!」

 

 なんでそんな自覚のあるような反応するんだろうか。こいつホントにエリートなのか……?

 もういいやほっとこう。

 

「そういう事らしい。安全運転で頼む――日本の免許持ってるよな?」

 

 俺は理子と白雪をハマーの中に運び込み、埃一つ落ちてない革張りの助手席に自分も座った。

 

「国際運転免許証にてジュネーブ条約締約国内での運転はできます。その国の交通事情も把握しております。その国に合わせた運転に合わせてこそ運転手というものです」

「そういうもんか」

 

 見たところ軍人崩れっぽいんだが。だいぶ故障しているようだが雑魚相手なら縊り殺せるぐらいの実力はありそうだし。

 

「――ご心配めされるな、遠山様。私はサード様の、ただの執事にござりますよ」

 

 首をねじるようなポーズで振り向いた彼はどんな運転手よりも優しい手つきで―――軍用車のようなハマーを、実にソフトに出発させるのだった。




ノルマーレとかベルセとか兄がつけたんじゃなければイタリア人にその体質いるんじゃないかな?
さて妹が増えたが……問題がある

  • 姉桜妹Ⅳ
  • 姉Ⅳ妹桜
  • どっちも妹
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