遠山キンジの独白 作:緋色
『役立たずの私になんの用だ?』
ベランダで電話したらワンコールも経たないうちにこれである。どんだけ根に持ってたんだ。
「どの件の何についてだジャンヌ?心当たりが多すぎるが…まあどうでもい『よくない』から流すとして、情勢調査頼みたくてな。なんか急にジーサードリーグと揉めることになったが――どっかと繋がってたり、横から殴られるのは避けたいわけよ。特に
『確かに必要ではあるが…。ワトソンに頼んでたのではないか?』
なんで知ってんだよ?こっちの動き監視してんのかこいつ?
「そっちはジーサードの調査だな。というか横槍とか出たらお前らダイヤが矢面に立てよ?最低限味方なら」
『何故私達なんだ?あとイ・ウー
「うるせえ。黙ってやれ」
なんかギャーギャー五月蝿かったが有無を言わせず切る。
これで変な動きをして邪魔することはねえだろう。
ジーサードと揉めるのは確定事項(襲撃されてるし絶対〆る)なわけだが、どうするか……。ぶっちゃけこっちから向こうを追えないから打てる手がほぼないんだよな。
「お兄ちゃん……電話終わった……?」
「その扉から覗くスタイルは可愛くないからやめた方がいいぞ」
目下の問題はこっちか。ため息をつきながら部屋に戻ろうとすると。シュバっとジーフォースが離れて別の部屋へ行き――また家政婦は見たスタイルをし始める。……面倒くせえ。
ジーフォースは俺の部屋に住むつもりらしく――なんか部屋の中が整理されていた。
白雪がちょくちょく片付けとかしてくれてるから部屋は綺麗なのだが、バスカ―ビルメンバーが勝手に部屋に置いていたものが軒並み無くなっている。
具体的にはアリアがソファーに置いてたハート形クッション、白雪のタンス(前の護衛の時からずっと置いてあった)、理子の積みゲーや小物類も消えているし、白雪とレキが共有してるレシピブック――は残ってるな。バラした後でスキャンしてデータを取り込んだような形跡だから残ってると言っていいのかは疑問だが。
曰く「あいつらのニオイがするものは、ぜんぶ箱詰めして病院に送りつけました」――らしい。どうも俺が学校に行っていた間に部屋を片付けたらしく、しれっとジーフォース用と思われる生活用品(歯ブラシとか食器)が追加されている。
それはいいとして、クッションはビリビリに破き、下品な黒い下着とか、エッチなゲーム(何であるんだ?)は1枚ずつハサミで切ったり、手で割ったとの事で。器物損壊も含めて卑怯なことするなとガチ目な説教をしている。
いつも
つまり俺のもの処分したことで不安になって家政婦は見たスタイルになってるらしい。
「……電話相手は誰……?女……?」
「女っちゃ女だが、何とか戦争案件の仕事の依頼だから気にせんでいい。――それより話しにくいから普通にこっちに来い」
割と素直にとことこと来たが――どうも俺に嫌われるのをひどく怖がってるらしく小さく震えている。
これが続いても面倒だし話題逸らすか。
「そういえばなんで武偵高の制服着てるんだ?転入する気か?」
説教は終わってるので至って普通に世間話のトーンで訊くと、ジーフォースは目をぱちくりさせて怒ってないことを悟ったのか、にこっと笑って
「バスカ―ビルの女たちがみんなこの服着てたから……お兄ちゃん、この服が好きなのかなーって。――そっか。転入生……かぁ。それっていいアイデアだよ。お兄ちゃんの妹としてちゃんと日本文化を学ばなきゃ」
さっきの説教で変なスイッチが入ったらしい。
まあこれは良かったかな?俺が学校に行ってる間ずっと部屋に置いておくとか外聞が悪し。というかこれと一緒に病院から帰った際にだいぶ見られていたので、どうせ噂にでもなってるだろうしな。
それになんだかんだ美少女のジーフォースは目立つので行動制限はしやすいだろう。基本不介入とはいえ
――妹として……?
「武偵校の転入のシステムは俺は知らねえが――金積めば入れるザルとは聞いてる。あと転入するのは勝手だが――何と名乗って入るんだ?
「お兄ちゃんの妹――遠山
うーん?母親の目星つけようとしたのに勘付いてとかじゃなくて純粋に興味がなさそうだな?
いやまあそれは置いといて――当然みたいな顔で言うが――遠山ジーフォースはねえだろ。
「……遠山なのはいいとして――名前じゃないなら
わからん。カナ姉あたりに丸投げしたいがさっきも電話通じなかったしどうするか。
とりあえず遠山兄弟は名前に金一・金次と金の字を入れてるから統一性を考えると入れるべきだろう。通り字っぽいし。
「かなめ……」
「あ?あー声出てた?ざっくり名前考えてたけど嫌なら「かなめ……あたしは、かなめ……」……聞いてる?」
思考の海から戻ってくると――ジーフォースが泣いていた。ぎょっとしてまずい事言ったかと固まったが――どうも悲しいから泣いているというより嬉し泣きをしてるらしい。――なんで?
「かなめって……名前だよね?人間の名前だよね?」
「まあそうだけど(そんな名前の人いただろうし)」
「あたしの名前……お兄ちゃんがつけてくれた。名前。うれしい……うれしいよ……ぐすっ……ふぇ……」
「……うん」
どうしよう。叩き台ぐらいで自分でつけるべきじゃないかと言い出せねぇ。
というかこの反応から父の浮気の可能性が限りなく低くなってるが――じゃあなんなんだこいつ……?
疑問はとりあえず脳内の後で考えるリストに書いておきパソコンを起動して武偵校の転入手続きを確認してみるとなんか他所の学校の成績証明書がいるっぽいぞ……?あと住所とかそういう役所関連か。
「……どうしようもできんな」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「ん?あー。
というか金もねえし関われるの無理だな。
よくわからないことにかなめはキュンとした感じになった後、どこからかサングラスみたいなものを付け
「No problem.――はい。手続き完了だよ。これで明日にはお兄ちゃんと一緒に通えるよ♡」
「……は?いや何したんだ?そのサングラスみたいなのでなにかしたのか?」
「テラナ――The Tella Net Assist system うーん、なんて言えばいいのかな。 携帯と、ネットと、放送と、軍用無線が合わさったような?高次の情報インターフェースだよ。あたし側にも
「AI付き思考入力コンピュータってことか」
「大体そんな感じかな?」
脳波読み取って操作するって――煩雑な人間の思考を読み取るのは難しかったはずだが。
この世界変なところで技術が進んでるから技術限界を超えたことが平然と行われたり、逆にできなかったりで対応に困んだよな。
「どこの製品だよ?株価暴騰しそうな代物だが」
「非売品。まだ評価機だから高いよー?1端末で2~3千万ドルはするんじゃないかな。ペンタゴンとロスアラモスだけが使っていいの。あたしにとってのケータイ」
「
$1=¥90前後だから18~27億円……。うっそだろおい。
ジーサードは民間武偵だと思ってたが――かなりきな臭い事になってきたな。
腹が痛くなった気がしてお腹を押さえると何を勘違いしたのかお兄ちゃんお腹空いたよね?すぐご飯作るよ!と台所に向かうかなめを見送って――何もわからないのでとりあえず考えるのをやめてソファに寝っ転がる。
もうヤダ――寝る。
お兄ちゃんの最適解がわからない……
妹
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姉桜妹Ⅳ
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姉Ⅳ妹桜
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どっちも妹