遠山キンジの独白   作:緋色

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原作の超能力の社会での扱いがわからん


心の問題

 かなめと映画に行ったりとコミュニケーションを模索したりしてた数日後の夕方アリアたちが退院したとの連絡がワトソンから入った。なんでワトソン経由で知る事になってんだろうか?

 元々ピンピンしてたから、病院には『強化合宿』とやらで居座ってたんだろうけど。まあいろいろ面倒臭い認識されてる気がするので関係捻れてそうな気がするな。

 一応、ジーサードの率いるジーサードリーグと揉めてる事になってる以上、ジーサードを引き摺り出して決着を付けないといけないのだが、女性陣がかなめにやり返すことを主軸に置いているのが面倒くさい。嗾けたのはジーサードだろうから尖兵となったかなめを本丸にされても意味がないというか……。

 なのでバスカービルの方針を定めないといけないわけである。

 バスカービルで最も我の強いのがアリアである以上アリアの説得は必須である。

 そこが折れれば他の3人もなし崩しに折れるのは想像しやすいし、そもそも他は戦略とか俺への信頼とかを使えば説得自体は割と通じる方である。

 感情感覚派のアリアはまず理屈が通じ難い上に勘で事実に肉薄するので下手な事言うと騙そうとしてるとキレて話を拒否するからな…。

 仕事ならまだ折り合いつけやすいのだが今回の件は何とか戦争とか言ってもほぼ私闘の分類なので(参加した覚えすらないし)納得するまでやり返すという精神状態だろう。

 個人的には殻金とやらの回収を最優先にしたいので、俺の兄弟姉妹とかの話は後で詰めればいいとしか思わないし。――妹の命の関わってる事を優先するのは私情に流され過ぎか?

 

 そんなこんなで電話してみると

『あたしも話したいことがあるから来なさい』

 

 超能力捜査研究科(SSR)の屋上にいるとの事だ。――なんか最近妙にSSRに縁があるなあ。


 

 SSR棟にお邪魔して、何故かSSRの生徒に星伽神社みたいに通りがかりに頭下げられつつ、手すりの柱がトーテムポールになってる階段を上り、魔法陣が描かれたドアを開け、屋上へ出ると――夕陽の中に、何やら難しい顔をして目を閉じ、あぐらをかいているアリアとその傍らに立つ、SSR3年・時任ジュリア先輩がいた。

 クォーターのアリアよりずっと外国人っぽい、ハーフの時任先輩は白魚のような右手の五指を開き、アリアの頭に乗せている。

 時任先輩は、SSRの首席候補で触れれば切れるような怜悧なイメージのある人で、一般教科の成績も優秀。来年はモスクワ大学に旧ソビエト時代からあるという超心理学科へ推薦入学する事が決まっているらしく――それはある能力を欲しがってるからだと言われているが――まあそこら辺は俺には関係ないか。

 先輩は俺が来た事に気付いたらしく、瞳孔のハッキリ見える薄青の瞳をこっちに向けた。

 

「どうも。まだ時間かかるなら出直してきますが」

「静かになさい」

 

 いやその返しはどうなんですかね?すぐ終わるって事?

 状況がわからんため、修行なのか時任先輩による能力行使(アゴトリ)状態なのか判別つかない。

 普通に考えるなら修行するのに部外者の俺を呼ぶとは思えないし、時任先輩がどっかのエージェントか?全く実感はないがアリアはシャーロックのせいでとんでもない価値がある存在になっているみたいだし。

 だが手出しするにしても時任先輩の能力だと二度と目覚めなくする事すら可能という話を聞くし。どうすればいいのかわからん。

 

「あっ、キンジ」

 

 こっちはいま俺に気づいたらしいアリアが、座ったまま目を開け――「こら、集中しなさい」

 時任先輩が女にしては低い声で命じると、アリアは再び目を閉じて何かを念じるような顔になる。

 ……とりあえず危険はなさそうだな?

 

「……神崎。元々ダメだったのがもっとダメになったよ。前頭葉正中部(フロンタル・ローブ・センター)からFmθ波に近い脳波まで漏らして……好きな男子が来たぐらいで、そんなに心を乱してはいけない」

「は、はいッ?」

 

 犬歯丸見せで大口を開け、先輩の方を見上げたアリアはマバタキするほどの間にぎゅいッ!っと夕陽の中でも分かるほど真っ赤になった。

 そして俺の方を見て、先輩の方を見て、また俺の方を見て、口をアメーバ形にするほどわぐわぐさせてる。あれは、アリアが声も出ないほどビックリした時の顔だな。

 Fmθ……確か習慣的な行動や衝動的な反応を抑える実行制御を担っているんだったか?いろいろ考えてるみたいな状態だったはず。仮想戦闘パターンでも挙げてるのか?

 

「―――お前、そいつに抱かれるのが夢なのか」

 

 ………………………………は?

 

「外見は子供っぽいのに、随分……ませた事を考える。視てる私まで恥ずかしくなるよ。そういう思念はもっと成熟してから持ちなさい。そんな小さな体でそんな事をしたら、壊れちゃうよ」

 

 どうやら耳がおかしくなったらしい。なんか想像したくもない言動があの時任先輩から飛び出しまくってる気がする。

 

「ま、が、えっ、あたしは! そんな! 違う! ハズレ! ハズレ! ハズレもハズレ、大ハズレですそれは! それはそれはハズレ!」

 

 ようやく声が出たアリアは、ばたーん!真後ろに倒れ込み、両手両足をジタバタさせ、ダダッ子モードで先輩を大否定してる。

 すごい心当たりがある感じだな。何言われたのかは知らんけど。

 

「お姫様抱っこがそんなに気に入ってたのか?サイズ的に程よいと思うからそこまで否定するほどじゃないと思うが」

「だから違――いや、それも好きだけど!?それが好きなんであって勘違いしないでよね!?」

「もはや何が言いたいんだ?」

 

 すごい冷めた目で時任先輩に見られるな。白々しい誤魔化ししてるなみたいな背景が見える気がする。

 まあアリアがやられたように時任先輩は脳波計(スキャンメトリー)という思考が読める能力を持っているそうだ。正確には脳波を読み取って意識無意識レベルで分析できるとかだそうだが、脳から情報を読み取る能力とだけ覚えてればいいだろう。

 で、読み取った内容が本人に少しでも危険を及ぼす事(ちょっとでもケガをするとか)だった場合、その本人に注意をする自分ルールがあるらしく――結果彼女は嫌われ者の日陰者。SSRしか居場所がないらしい。

 俺自身は読まれることは気にしないけど時間軸とか世界線的な問題で興味持たれたら面倒くさいので関わりたくない感じである。俺もよく知らん事だしな。

 

「今日は終了だ。神崎。お前は遠山が来てから雑念が酷くて、視ちゃいられない。σ律動を指標にα脳波も視てたけど、μカーブの極小から戻ってこない。つまりまさに『心ここにない』状態だよ」

「いや、あのっ、ののっ、ノー! ノー・ウェーイ!」

 

 ダダッ子ポーズから立ち上がろうとしたアリアは、こけっ!っと起きようとしてミスり、そのまま後ろにダイブするみたいに転倒してる。動揺しすぎだろ。

 

「なんかアリアが迷惑かけててすいません」

「君に謝罪されるほどじゃない――なるほど。前途多難だな。こいつに関しては早めに諦めた方がいいぞ神崎」

「ノーウェイ!」

 

 何がだよ。

 しかし時任先輩はでしょうねみたいな目で不憫なものを見るような目をしつつ話を続ける。

 

「いいか、神崎。さっきも言ったが……お前がやりたいという心技(メチェ)は、強く念じればいいってものじゃない。対象物を自分の体の一部だと思って、手足を動かすようなイメージをするんだ」

 

 念動力的な修行してたのかよ。そもそもオカルト的な修行は白雪に監視されながらやれって言ったのに。

 まあ聞くとは思ってなかったけどさあ。

 

「体の一部…?えっと、じゃあ、それが実際に体の一部だったらどうなんですか?」

「より動かしやすいはずだよ。2年の星伽が使う鬼道術にも、それを応用して体の動きをアシストしている感じがあった」

「じゃ、じゃあ、体の一部……たとえば、髪の毛はどうですか?」

「髪の毛?ああ。お前のその髪型だったら、そうだな腕がもう2本あったり、翼が生えた人間をイメージしなさい。そのイメージはリアルであるほどいい。天使の像とか、仏像とかを見学して鍛えるのが伝統的なやり方で――」

「わ、分かりました。そういうイメージは既にリアルに持ってます。理子とヒルダの事を思い出せばいいんだわ」

 

 アリアの言葉に少々?を浮かべた先輩は気にしないことにしたのか忠告をする。

 

「……この後は、食べたくなったものを食べること。お前はまだ曖昧な蕾。何を原動力に力が花開くのかは分からない。だがI種または混成型種の超能力者だった場合は意識的であれ無意識にであれ能力を使うと、体から何かを消費するものだよ。そして消費したものを摂取したくなる。どう?今、何か食べたいか?」

「え、えっと……ももまん……」

 

 それはいつも食べたがってるだろ。お前。

 

「ももまん……饅頭か?だとしたら糖分系かもね、神崎は」

 

 と言うと時任先輩は修行が終わったのかアリアに背を向け、屋上のドアから去って行った。

 

「で、なんで時任先輩の手を煩わせてまで超能力習得しようとしてんだ?制御目的じゃなさそうだが」

「ジーフォース対策よ」

 

 やっぱりか。

 

「下手な付け焼刃なんぞかなめに効果ないと思うがな」

()()()?」

「ん?あー?ジーフォースの名前だ」

「へえぇぇ。ワトソンから映像見せて貰ったけど。名前つけてあげたの。やっさしいのねぇロリコン!」

 

 ツリ目気味の目をさらに尖らせてギロリと睨んでくる。

 

「俺はロリはあんま好きじゃねえからな?妹は可愛がるだけで」

 

 そもそも年下と相性悪いんだよな。妹枠が好意的だから勘違いされがちだがなんか利用しようとか弱みを握ろうってのしか近付いてこないし。……ほぼCVRだな。ロリコンの噂これのせいか。

 

「!?嘘つきなさい!」

 

 何に怒ったのかローキックで臑の破壊を試みてくるので足で衝撃を吸収するように受ける。

 ……なんか無駄にこういう技術だけうまくなっていくのが悲しいなあ。

 

「――ワトソンにも言っておいたけどね。アイツはあたしたちを奇襲して負傷させた。明確な敵よ。て、き!それを、あんたらったら……!」

「それには同意するがそれ命令したのジーサードだからそっちを引き摺り出さんと意味ないだろ。ジーサードは確実にぶん殴るためにジーサード・リーグとの抗争になる事も踏まえてかなめに固執すんな」

「うるさいうるさいうるさい!この裏切り者!」

 

 と、アリアは俺の肝臓やら胃袋やら狙いでショートフックをつるべ打ちしてくる。

 もう話になんねえな。

 ……何処かでかなめとぶつかり合わせる必要はありそうだな…。どういう形でか考えないといけないがガス抜きしねえと話にもならねえ。

 かなめは白雪もそうだが俺に対して猫を被っていい面だけ見せようとしている。まあ人間、大なり小なり外面というものを取り繕うのは普通だが……そんなもん四六時中続ければ疲れるのは当たり前の話である。つまり自分の素を出せるかどうかという話だ。

 正直、アリアよりも同年代で立場の近い戦妹(さくらちゃん)と揉めさせて良くも悪くも素が出せる状態にするのがかなめにとっての最善だとは思うんだがな。陽菜と桜にもいい修行になるだろうし。

 年上かつ戦争とかいうバスカービルと争わせるのは損益考えた打算感が出てよくないだろうし。

 ひょいひょいと掌で受け止めていた拳がガチになってきて避けるのも厳しくなってきたのでアリアの頭を掴んで押しのけると、ぶんっ! と、今度はミニおててのアッパーカットが俺の顎スレスレで空振った。こうするとギャグマンガみたいだがリーチ差でアリアの拳は俺に届かなくなる。

 

「ふんっ。まぁ、あんたはずぅいぶぅんあの子がお気に入りみたいだし、ワトソンたちもすっかり怯えてるみたいだし――敵か味方かの議論は、するだけ平行線だわっ。もう繰り返さない。あたしたちは、あたしたちで判断して動くから。ベェーだ!」

「俺は相当妥協してるんだけど?その先考えてるんだけどなあ」

 

 かなめを取り込むという最初の一手が気に食わないからダメって事なんだろう。まあ逆の立場ならわからん事もない分強くも出れん。

 どうしたもんかな。余計拗れた感あるぞこれ




アリアはロリ枠の自覚がある感じですかね?
うっすらとですけど
認めたくないから認めてない感じですかねえ
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