遠山キンジの独白 作:緋色
自分もうわさ以外で見た記憶がない
?「卒業したら結婚するって言ってんだから告白はもう済んでるだろ!まともなのは俺だけか!?」
面倒な事にかなめはまだヒスる事をあきらめていないらしい。
まあ実際に体感したわけじゃないし医学的見解でもない俺の推測でしかないからな。さもありなん。
「百万が4人に七百万が1人……多くない?テロリストでもいたのか?」
部屋に戻って報告書を眺めていたが――思ってた以上に大戦果を挙げていた。
「テロリストじゃなくてランサムウェアの恐喝グループだね」
ランサムウェア
システムとかのデータをウイルスで暗号化して身代金を要求するサイバー犯罪だったか。
ジオ品川に拠点があったのか。
「見つけるのにもっと手間取ると思ったんだけどね。乾桜の嗅覚は――便利だよ。お兄ちゃんが手元に置こうと思うのもわかるよ」
「いやあいつは押しかけ妹なんだが……」
ホントに使える才能というのが俺経由で判明したおかげで特殊能力絡みは貴重だからいろんな部署から欲しがられているようである。
……ほとんど俺のせいで公安の監査辺りに収まりそうな気配ではあるが。そうでなくても監察官辺りに収まるだろうけど。
「NINJA――風魔陽菜は古臭いくせに肉体技術は優秀だね。隙もあんまりないし。テクノロジーに疎すぎるのはどうかと思うけど」
「そこは俺も言ってるんだけど苦手意識あんのか。なかなかねえ」
未だに携帯の電話とメールくらいしか使えないそうだし。機械使った諜報活動も実習あると思うんだが――時代さえ間違えてなければSランクになってたかもしれないのに勿体無いものである。
「二人がいなくてもやれたけど――お兄ちゃん。あの二人必要……?」
「――おや?友達になれなかったか?」
「お兄ちゃんの考えてる事はわかるけど。
「それは……そうなんですが……」
俺が勝手に妹扱いしてるだけなのでガチ妹とはそりゃ違うけれども。
……ただガチ妹が生えてくる経緯がおかしいだけで。
「ただ、誰も入れないってのはおかしいな」
「何が!?」
「え?兄さん・俺・ジーサード・かなめの順番だろうし。いやあいつの事よく知らんから実は兄弟じゃないって言われても納得はするけど」
「いやそういう事じゃなくて」
「あいつサードだしたぶん三男だろ。じゃねえと俺の名前――金次ってなんなんって話になるし。というか兄さんと俺の間にあいつ挟まるのはなんかヤダ――あ、もしかして同じ気持ちって事か?」
なるほど。拒否反応もわかった気がする。
「いやそういうのとは違くて」
「つまり……知らない妹がさらに増える可能性……?かなめの経緯考えるとあり得なくもないのが」
「それは……否定できない気がするけど。あたしより年上なら運用されてるはずだから知らないはずがないし!」
その言い方だとさらに下はあり得るのか?まあ脱走したジーサードとかなめみたいなのは例外だろうし流石突然押しかけてくることは多分ないだろうけど。
「じゃあ何を危惧してるのかわかんねえわ。家族は家族だろ。……キャラメルでも食べる?」
「……食べる」
かなめの好物なのか最近常備されてるキャラメルの箱から二粒取り出して餌付けのようにかなめの口に放り込み、もう一個を口にする。
何となく同じお菓子を共有することは無いので兄妹感が強まる気がする。
自分じゃわざわざおやつなんて買わないし。アリアはももまんに限らず持ち込んだお菓子とか独占するし(気が向いたら割れて見栄えが悪かったりするのを一個だけくれる)。理子は――たまにポッキーゲームとか揶揄ってくるくらいか。
白雪とレキはおやつよりご飯系だしな。
キャラメルを食べてふみゅぅ……と幸せそうに力が抜けるかなめを横目に――全く対策出来てないジーサードについて考える。
かなめ経由で味方にしろとか『
かなめはこそこそとジーサードのメンバーと交流しているっぽいのだが、かなめが女紹介なんかしないとキレたため別ルートは失敗。ジーサードと直接交渉するために仲介も頼んだがジーサード側が拒否。
かなめを引き込んでも、そのまま切って終わりなんじゃなかろうか?本格的に向こう側が見えない。絡んでこないならもうこのまま没交渉でもいいのだが。長期戦のつもりならまだ油断も出来ない。
結局出たとこ勝負しかないのである。
「?どうしたのお兄ちゃん?」
「ん?かわいーなと」
「可愛いなんて」
くねくねしてるかなめには悪いが正直――状況が悪化する可能性が結構高い。
バスカービルメンバーと疎遠気味だが、授業とかで顔を合わせるたびにストレスなのか知らないが不機嫌度が積もってるようなのだ。白雪は前回ガス抜きできたからもう少し持つと思うが――アリアと理子あたりは面倒くさそうな動きが見えている。わかりやすいアリアは兎も角理子まで見えてるのは相当マズイ兆候だろう。
レキはわからん。授業でも日常でもマジで会わないし。来いって命令するか。しれっと部屋に来るとかないと動向を把握できないんだよなあいつ。
あとは『
玉藻とバチカンは静観というか全部こっちに任せると投げてるし、エルは情報収集に徹してるからいいとして、問題は元イ・ウーか。
夾竹桃には釘刺してるから一年の揉め事に介入しないだろうし、それなりの結果に落ち着いて欲しいものだが……。
――ジャンヌがなぁ。
本人は真面目なんだろうが天然で状況を悪化させるタイプだから信用がならないんだよな。
下手すればバスカ―ビルメンバーと組んでかなめ襲撃とかしかねないし
……。
なんで立場近い方が敵みたいになってんだ。
近いうちにジャンヌに会うか。任せてた藍幇の件も聞きたいしな。何もしてなかったり余計なことしてる場合には〆る必要があるし。
つらつらと考えていた所
ピン、ポーン
慎ましやかさを感じるチャイム音に現実に引き戻される。
……。あかん。白雪は兎も角かなめの方がまだ情緒不安定だから会ったら爆発しかねない!
「はーい。どちら様ー?」
最悪が脳に廻って対策まで考えていたため動けなかった俺より早くかなめが玄関へと向かう。
「あーちょっと待って。俺が出るから」
「お兄ちゃんは座ってていいよ」
静止の言葉も虚しく玄関を開かれ――白雪とレキが立っていた。
……え?レキ?
「なんだ。カマトトとだんまり。家族でもないお前らが来ていい場所じゃないぞ」
「キンジさんとはウルスです」
「……はぁ?」
「家族という意味です」
後ろからでもかなめが般若みたいな顔になってるのが感じ取れる。
おい初手から最悪の爆発するだろ!?
「キンジさんとかなめがウルスであり、キンジさんと白雪さんがウルスであり、白雪さんとかなめがウルスであり、私とかなめもウルスです。キンジさんが決めたことです」
ばっと振り返るかなめは何というか困惑顔であった。
「確かに俺が決めたというか決められたというか。どう説明すればいいんだこれ?」
「お兄ちゃん?」
「とりあえず争わないことを条件に入ってくれ。かなめ。お前も争うなよ」
とりあえず全員でリビングに移り、かなめが毒盛ったり等の嫌がらせをしないように俺がお茶を入れる。
「で、急にどうして押しかけて来たんだ?」
「その……ごめんねキンちゃん。キンちゃんが家族に紹介するって話をレキさんにしたらついてくるって……」
「ウルスは全にして一。一にして全」
若干むすっとしているように感じるレキの言い分は……家族だから隠し事するなとかそういう感じか?
どっちにしろアポぐらい取って欲しかったが。
「それでなんでカマトトとだんまりが家族だと?」
「なんで俺が睨まれるんだ?――えーっと逆に俺とかなめが家族な根拠はなんだ?血が繋がってるからか?」
「そうだよ!何よりも強い繋がりだよ!」
血の繋がりが何より強いわけでもないと思うが、氏より育ちというしな。
「うん。なら家族でいいんじゃないか?俺とはいとことかだし」
「……え」
彼女とか言ったら絶対面倒なことになるし別に血縁な事は隠すことでもないしな。兄妹と言っても男と女だと距離があるのが実情――女同士の方がまだ口が軽くなって仲良くなることも可能だろう。
「キンちゃん――いとこじゃなくてはとこだよ?」
「……ん?そうだっけ?いや親戚としか知らんかったし」
そもそも親戚だろうってのが推測でしかないからな。遠山家と星伽神社の繋がりでそれ以外が考えにくいわけだし。なぜそれを俺に隠されてるのかが知らないが。
「……はとこは6親等で家族じゃない」
「おいおい。血が繋がってようと他人であることなんてザラだが――かなめが家族になって欲しいと俺に望んだように家族とは血の繋がりのみを言うのか?そうは思わん。慈しみ合う心がヒトを家族たらしめる。血はその助けに過ぎない。言葉にするなら愛だ。それに家族とは他人同士が出会い築き上げるものだしな」
「それは……」
「ま。徐々に受け入れればいいだろ。今は喧嘩しなけりゃいい。とりあえず自己紹介くらいして貰うか。ちゃんとした顔合わせすらしてないやろ?……かなめからな」
促すとかなめは不承不承という感じで
「……遠山かなめ。お兄ちゃんの妹です」
それに微塵も動じてないレキが
「レキ。キンジさんのモノです」
「その設定まだ続いてたん?」
俺のツッコミも虚しくスルーされて白雪が
「遠山白雪です「まだ違うだろ」星伽白雪――キンちゃんの妻です「いやだからまだでしょ」」
「……お兄ちゃん趣味悪くない?」
「……これ俺のせいなの?」
……。
なんだこの微妙な雰囲気。
「ま、トランプでもするか?ゲームでも何でも交流してないよりかはマシだし。というか胃が痛いから早めに険悪さだけはなくしたいし」
あれー?何でこんなことに?
キャラ的に白雪が言いふらさないわけがないし
レキのスタンス謎だなあとか考えてたら変に事故った