遠山キンジの独白   作:緋色

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キンちゃんはファミリーコンプレックスっぽいとは思ってます


ラ・リッサ

 色々あったわけだがかなめは――ベタベタした距離感ではなく少し距離を取ることにしたらしい、それでも普通の兄妹よりかは近い気もするがまあ普通だろう。まだ反抗期が来てないくらいの距離感なだけで。

 微妙に寂しい気がするのは心理的な罠にはまってるからかと考えつつも『体育祭(ままごと)』をゆるく流していく。

 というのもこの『体育祭(ままごと)』は都知事が危険競技してる事にキレて、東京都教育委員のお偉いさんが監視に来ているのだ。

 おかげで少しはましに見えるようにと朝5時に集合させられリハをやるという本末転倒としか思えない事やらされた後にお偉いさんが満足するような健全な『体育祭』をする必要がある。

 普通の学校と違って『体育祭(ままごと)』ではパルクールやビルダリング(建物をロッククライミングする競技)みたいな武偵らしい?競技の他、テニス・バトミントン、インラインスケートとかのスポーツも行われる。

 ……これはこれで問題視されないのかと思うのだが、全員参加の玉入れや綱引きなんかの後で教務課(マスターズ)綺麗所(見た目は)が接待しつつ学園島のあちこちで競技することで全体の監視をさせないわかりやすい手口によりここ数年は問題なしとなってるらしい。

 お偉いさんも別に監視やる気ないんだろうな……。

 戦妹(いもうと)達やかなめの活躍をカメラに収めたり、アリアと出店で買い食いしたり、昼は集まって白雪とかなめ製の弁当食ったりと普通の体育祭っぽいイベントは一通りこなした。

 空が赤くなってきたころ『体育祭(ままごと)』は終了して生徒一同の大してやる気のない拍手でエンディングを迎えた。

 教育委員のお偉いさんはいつの間にか酒を呑まされたのか美人にデレデレしてるのかわからん赤ら顔で「いい勝負でしたなぁ」「全く良い体育祭です」と上機嫌で帰って行った。

 よく見たら瓶ビール転がってるしマジで何しに来たんだおっさん共は……。

 呆れと共に()2()()に向けて片付けと準備をしていた所――エル・ワトソンに呼び出された。

 

「なんだ?G3の居場所でもわかったのか?」

 

 薄暗い体育倉庫は少々埃っぽいのだがシナモンっぽい匂いが異彩の存在感を放っている。なんというか女子感が引き立てられているというか――体育倉庫のシチュエーションはエッチだと武藤は言ってたがこういう事なのかもしれない。デュランダルのおまけ(ジャンヌ)だとならないのに不思議である。

 

「いや。それはイギリス(UK)情報局保安部(MI5)でも分からないよ。ジーサードは「消える」から。移動や通信の足跡はもちろん、光学的にも見えなくなる」

「通信まで消えるのかよ厄介すぎるなおい」

「だが、過去は消せない。 これを見ろ」

 

 と、エルは背中から何枚かのA4ペーパーを出して渡してきた。見た所イギリス政府視点でのG3の情報のようである。

 ……シナモンっぽい香りのなすりつけられた紙を受け取って、積み上げられた棒高跳び用ウレタンマットに腰を下ろす。

 ……そしてなぜか俺の隣に下ろした。

 

「この資料を渡してきたリバティー・メイソンは『師団(ディーン)』としてG3rdに今後どう接するべきかバスカ―ビルのリーダー……キミに意見を求めたいと言ってきた」

「俺はあいつを一発殴っておきたいだけで興味自体はないんだけどなあ」

 

 自立してるみたいだしと嘯きつつ、英文の資料を解読していく。

 読んだ内容を大雑把にまとめると

 

・ロスアラモスからの脱走後、テロリストや犯罪組織を壊滅させて回っている

・無償で無辜の民を救っている

・米軍の刺客を返り討ちにしている

・英米は国益とジーサードの趣味に合いそうな仕事を依頼し、兵器やメンテナンスを行っている

 

 といった所か。

 ……。

 

「トオヤマなんで涙を?」

「いや有能な味方がいるって素晴らしいなって――エルへの好感度がめちゃくちゃ上がってるだけだ」

「なんだキミは?急に褒めてもなにも出ないぞ?」

 

 尻尾を振ってるのが幻視しそうなくらいにへらとなっていて何も説得力ないが――資料に目を戻す。

 

「偏見だがアメコミっぽいヒーローだな。コミックにすれば売れそうだ」

「そうかな?――こういうタイプの怪人(スーパー)は古くからいる。武力を以て力なき人々を独善的に救って回る人間だ。その際たいてい法は無視される。きみの姉にもその傾向があるよね」

「……うちの一族はそういう事やってる一族だからな。教育じゃなくて先天的資質なのは今初めて知ったが」

 

 カナ姉もオニギリ1個で立て籠もり犯から貧乏な家族を救ったりと――貧しい人から金を受け取らない非推奨行為を平然と繰り返し――そういうのが美徳として受け入れられてるローマ校へ半ば追放のように留学したと聞いている。

 俺からすると無償で働くなんてばからしいので取れる所からは取っとくべきだと思うのだがね。貧乏人は払えないだろうから保険会社とかそこら辺からとるべきかな?

 

「君は彼も家族だと思うのかい?」

「まあ親戚なんだろうなくらいの距離感だけどな。……この資料見るに俺がG3殴ったら英米が敵になるって事か?」

「いい気はしないだろうけど敵になることは無いだろう。そこにも書いているように仕事を依頼している『鎖に繋げない猛獣だが益獣として餌を与えている』ってとこだね。だから彼の活動の純粋性は大国の思惑により失われているとも言えるよ。さて、これらの話から……キミはジーサードをどう見る?」

 

 それは……

 


 

 都教委、つまり公務員が5時までしか働かない――つまりお偉方を帰した後に行われる、第2部こそが本番。そして体育祭・第2部(ラ・リッサ)は、夕方5時からスタートとなる。

 と言っても開催するのは2種目――男子競技『実弾サバゲー』と、女子競技 『水中騎馬戦』。

 文字だけで碌でも無さが伝わってくるが内容はより碌でもなく

 男子競技『実弾サバゲー』とは何か――簡単に言えば戦争である。いやニュアンスとしては抗争が近いか?失格となる背中が地面についた時以外リタイアを認めない過酷競技で過去には死人も出たとか

 うん。なんでこの学校存在してんだ?

 女子競技 『水中騎馬戦』も似たようなもんで殴る蹴る(ストライキング)・銃有り+寒中水泳大会を掛け合わせたバカの競技である。

 バスカ―ビル女子もやる気に満ち溢れているのかチームを組んで参加するそうだ。――アリア泳げないのに何でやる気なんだろう?

 それは兎も角、『実弾サバゲー』に参加するためにくじ引きで引いた所定の位置へ向かう。適当に死んだふりして終わらせるつもりだったが俺のライバルの一石が戻っているらしいので決着をつけるためやる気が出ている。

 一石(いっせき)雅人(まさと)――1年の時の同級生でSランクとして強襲科(アサルト)狙撃科(スナイプ)車輛科(ロジ)を掛け持ちしていた超人だ。今は特進コースのX組でほぼ学校に来ず特殊部隊なんかを回っていると聞く。

 印象的には真面目一徹の仕事人間で1年の頃は警察やってた俺と立ち位置逆なんじゃないのと不思議がられてたくらいだ。そんな性格適当じゃないと思うが俺は?

 話は逸れたがなぜか知らんが女と縁がありすぎてちゃんとした全力でやれる機会が少ない俺としては全力出し合って実力を高め合える一石とは仲が良いのだ。

 向こうはそのことにあまり気乗りしてないような気がするが。

 

『はいスタート~』

 

 校内放送担当なのか綴先生の声が流れる前後で開始を告げる照明弾が次々と上がる。

 

「さて一石は何処かな?」

 

 スタート位置に指定された玄関から校舎に入って見回すと。あっちこっちで銃撃戦が始まっているようでお目当ての人物を探すのは容易ではなさそうだ。

 一応競技の為、赤白の鉢巻きを付けて相手の鉢巻きを多くとった方が勝ちとなっているがそんなもん関係ないとばかりに目を付けていた生徒に襲撃するバカ共は後を絶たない。

 

「死ねハーレム男!」「かなめさんを僕に下さい!」「遠山だ!囲め囲め!」「誰だグレネード投げたの!?」

 

 ――一応学年ごとに校舎別でやってるはずなのだが上勝ち狙いの1年や――向こうの方には雑魚狩りを楽しみに来たのか3年までいて2年フィールドとなった校舎はしっちゃかめっちゃかである。

 足元に転がってきたグレネードを窓の外に投げ捨てつつ、飛び掛かってきた1年を衝撃張手(スパンク)で気絶させてから盾として廊下の奥から銃撃する連中へと突っ込み手荒だが壁に叩きつけてダウンさせる。

 

「白ばっか――自分と同じ色って得点になったっけ?」

 

 疑問に思うが一応とっていく。

 戦場となっている校舎で無線が使われているわけでもないので怒声や銃声や走り回る振動で大体の情報を把握していく。

 

「やる気ない生徒の脱落は――非常階段から一階に下がってきてるな。集団で増えていくからわかりやすい。逆に攻撃が激しいのは4階か?音だけだと2階差はよくはわからんな」

 

 脱落者に接触してはいけないルールはないのでそっちに向かい、5階で一石にやられたという生徒の情報を得て5階へ向かう。

 銃弾を無駄に使いたくないので布旗(マタドール)を行いながら襲ってくる相手の銃を奪って銃を撃ち背中を地面に叩きつける様にラリアットや崩しを決めていく。

 

 10分も経たないうちに30本ぐらいの鉢巻きが集まった所で――

 

「よう一石。待ったか?」

「遠山君か。君はこういうイベントふけるタイプだと思っていたが」

「それはお前もだろ一石。さっさと脱落して逃げると思ってたから急いでたんだが」

「あぁ、遠山君がやる気出してると噂になっていたからね……見たまえ」

 

 銃撃音が消えてるなと周りを観るとどうも観戦モードに観客(ギャラリー)は移っているらしい。

 

「Sランク同士の戦いを見れるとさ」

「な~る。ただ俺は今Sじゃねえし見世物じゃねえんだけど――まあいいか。んじゃ素手喧嘩(ステゴロ)で」

「そうだな」

 

 お互いに構え――一気に踏み込む。

 一石の格闘術はコマンドサンボ――打撃・投げ・絞め技・関節技を使う軍用格闘術である。

 対して俺はほぼ我流みたいなものだがなんでもありの古武術みたいなもの。

 つまり初手で必殺で無力化を狙うのは当然である。

 お互いの拳が頭と喉を狙い、それを避けるためにお互いが大きく狙いを逸らさざるをえない。

 喉を狙われて体勢を戻すのが遅れた俺の隙を見逃さず、一石は左腕で俺の右腕を掴んで曲がらない方向に力をかけて関節の破壊を試みようとする。

 その力に逆らわないように飛びながら右腕を引っ張り膝をお見舞いし――しかし同時に飛んできた肘が胴体に刺さる。

 

「前より強ない?」

「君こそ前より強いぞ」

 

 お互いに少々よろめきつつ言葉を交わす。

 お互い結構効いているがダメージはややこっちの方が大きいか。

 

「じゃあ早く倒れな!」

「断る」

 

 壁と天井を蹴ってからの拳からは避けられたがそのまま腕を掴んで崩すように投げるが投げ返されたので更に投げ返すetc...お互いの腕を掴んだままなお互いの投げの勢いを利用して投げ合うことでお互い床に叩きつけられながら転がる大車輪と化す。

 投げ合いながらもお互いに隙あらば拳を叩きこんでいくのでどんどんボロボロになっていく。

 もうこれはどちらかの体力が先に尽きるかの泥仕合と化していた。

 

「「あ」」

 

 何十回目の投げ返しについに防弾制服の耐久力がついていけなくなったのか破れて、すっぽ抜けその勢いのまま二人仲良く壁に激突した。

 

「痛っつぅぅ……」

「……っく」

 

「「……」」

 

「一石」

「どうしたんだ遠山君」

「今背中付けて倒れてるんだが……俺の負けか?」

「僕も今背中から倒れているよ。つまり負けたわけだ」

「……そーかい。疲れて動けねえから確認すらできねえわ」

「まったく。遠山君は相変わらずしつこい」

「しぶとさはてめえに負けるわ。つまりまた引き分けか」

「……今日は僕の負けでどうだろ?そもそもやり合う事は不毛だし」

「なんだてめぇ余裕か?」

 

 ゲーム終了の合図が出てもたわいもない話を続けいたら「さっさと帰れやバカ共!」とキレた蘭豹に叩き出された。

 ……何とか歩けるくらいとはいえあの人鬼か?




原作の唐突さが唐突過ぎてそうはならんやろとなる
情報ターンなんですよねあの後……


一石くんの強さは不明ですがお互い奥の手出さずに殴り合ってる感じを書きたかった……
音速挙動戦闘が近づいてくるぜどうしよう?
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