遠山キンジの独白 作:緋色
体育祭は白組が勝ちました。
そんなことはクソどうでもいいとして、賞品として配られた1ダースの銃弾が薬莢が真鍮ではなく鉄の安物なのはいいとしてちょっと錆ついてる――つまり使えないゴミである。
廃棄処分費の方が高くつくだろこれ。
「こんなに楽しかったんだね、人生って。 こんなにステキだったんだね、外の世界って。ふふっ。あたし、知らなかったなぁ……」
日が沈んですっかり暗くなった帰り道を半分寝ているかなめを背負って帰っている。
体育祭が終わった後、14区の廃車置き場でバスカービルとかなめで飯を食って、仲直りだのなんだのの印としてバスカービル女子の合作レオポン?とやらを渡されて泣いたかなめ(多分嬉し泣き)を泣き止ましたりといろいろ問題の方が多そうな打ち上げ兼夕食を終わらせ解散。
したのだが一石との喧嘩で疲れて寝入ってしまったのが悪かったのか、かなめと俺しかいなかったし。かなめも勝手に人の腕を枕にして寝ていたようだったし。
道理ですぐ目が覚めたわけだよ。
「むにゃ······お兄ちゃん、明日は……みんなで、何しよっか……みんなで……」
俺の背中で寝言みたいに言ってるかなめは――青春ってやつを満喫してるのだろう。
それはいい事なんだろう。俺からすると楽しむ余裕少ないのが難点でしかないが。
「はぁ……。面倒くさい……」
バスカービルとかなめの仲はだいぶ改善されたようである。
特に一番険悪だったアリアとは戦争する様子がなくなったのは大きい。もう一件落着とばかりに先輩風吹かせて軽くウザがられてるくらいか。まあ割と普通の先輩後輩関係なので良しとする、
だがG3の件は何も解決してない。
一件落着と気を抜いてる今が一番危ない状況ともいえる。
実際、武偵が一番
逆に言えば今がチャンスともいえる。
G3の動きを誘導しやすいタイミングだ。一石がいて助かったな――自然に俺が疲れててベストコンディションじゃないってのを演出できる。向こうがやる気ならこの機を逃さず動くはずだ。
印象論でしかないがあの日の劇場でのあいつは万全での俺とやり合うのは避けたいと考えているように思う。
いや違うな。別にあの襲撃で俺ではなく周りを傷付けてレガシィ?とやらを探っていた気がする。兄さんなら何か知っているかもしれないが正直何もわからない。
かなめが寝入っていることを考えて今日中はないだろう。あるとしても明日。かなめが日報的にG3へ送っている報告書は日付が変わる頃だったか。
動くだろう。俺ならすぐにでも襲撃準備を整えて襲撃する。
「……向こう有利こっち不利。――傑作だな」
できれば俺とG3のタイマンでケリを付けたいものだが乗ってくるかどうか。
情報が足りな過ぎる。効果的な煽りも交渉材料も思い浮かばねえしな。
対してこっちの情報はほぼ筒抜け――かなめがいるからな。
交渉用の窓口になるかと思っていたが、向こうがする気が全くないのには困ったものである。
結局G3の戦力を知るために余計な出費を使ったし――姐御と連絡取れないのが痛いな。おかげで胡散臭いおっさんの面倒事確定だぞクソが。
向こうの手札は
G3・かなめ(うまくやれば敵対しないかも?)・元米陸軍特殊部隊員・元米海軍特殊部隊員・狐の
強そうな手札はその辺で他は雑魚のようなので除外する。
場合によっては在日米軍が絡んでくるかもしれないが――それは考慮に入れる必要はないだろう。都心の学生を襲撃するのは米軍の印象が悪いからとか何とかで米軍は今回のG3の動きに
というか殺したら遺体を引き渡すよう要請してるらしい。装備の補給とかをしてるらしいが味方ではないのだろう。
こっちの手札は
俺・アリア・白雪・理子・レキ・デュランダル(+おまけ)・ワトソン
玉藻とヒルダは最新科学相手だとやる気なさげだし、夾竹桃は興味ないとの事
G3とかなめ以外には俺以外でも勝てる目はあると思うが――特殊部隊の精鋭だとSランク並とも聞く。
となるとアリアとレキで特殊部隊員に当たらせて、白雪とデュランダル(+おまけ)で
机上の空想か。
正直、向こうが先手を取るのは確定的に明らかなので、そんなうまくいかないだろう。
なんなら固まって動いてたら襲撃してこないかもだし。難しい塩梅である。
――ちらっとかなめの方を見る。ここからだと髪しか見えないな。
『
カナ姉は知っているのだろうか?そしてどういう立場なのだろうか?
一応、今の遠山家の筆頭はカナ姉なのだからはっきりさせたいのだが――連絡を取りたいのに捕まらない。
もう諦めて爺ちゃんに話した方がいいか?でも爺ちゃんがどう動くか全くわからないしな……。
星も見えない曇り空の下を歩く。
背中の重みとぬくもりを感じながらただ一人。
短め
いやマジでどうしようかな
道筋がわからんぞ